#56: ダンスフロア、空席、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

以前のニュースレターでブラジルの干ばつについて軽く触れましたが、数々のメディアで報じられているとおり、干ばつに次いで寒波による霜害が発生しています。ブラジルのコーヒー生産者(ひいては他国の生産者も)を襲うこの問題について、ポッドキャストThe MAP IT FORWARDのエピソード463~465では、霜害が起こる仕組みから、業界へのインパクト、さらにそれがどのようにいちコーヒーショップに影響を与えるかを丁寧に説明してくれています。

言わずもがな、この霜害は今年のブラジルの生産量に影響を与えますが、来年以降数年間に渡るインパクトの方が大きく(霜害でだめになってしまったコーヒーノキは植え替えが必要。収穫できるようになるまでには少なくとも3年ほどかかるため)、世界一のコーヒー生産量を誇る同国が業界全体に与える影響は計り知れません。そしてブラジルに次いで生産量の多いベトナムやコロンビアでも、COVID-19の爆発的な拡大や政治デモによってコーヒー生産が大打撃を受けており、市場価格の不安定な動きはこれからも続きそうです。ちなみにコロンビアやブラジルの状況、Cマーケットの高騰については、Standart Japan 14号の「24/7」に登場してくれた松尾 彩香さんがこちらの記事で詳しく説明されています。

そしてこのブラジルの不作をきっかけに、業界全体がコーヒーの販売価格を上げることを検討すべきだと提案しているのが生豆インポーターCaravelaのCEOアレハンドロ・カデナさん。グローバルなムーブメントになるかどうかの判断は難しいところですが、アレハンドロさんがポッドキャストで語っていたように、「why(なぜ)」を伝え続けていくことで、たとえ時間はかかっても消費者からの理解が得られるようになるかもしれません。

今週は、ようやくStandart Japanの最新号がみなさまの元へ届き始めました。SNSでみなさんの喜びの声を聞くたびに、胸が熱くなります。読み終わったら、ぜひいつものようにご感想を聞かせてくださいね。MOMOS COFFEEに所属する、2019年のワールド・バリスタ・チャンピオン、チョン・ジェヨンさんが、今回のGesha Villageのコーヒーを淹れるおすすめのレシピをご紹介してくれたので、ブログ「Brew it like MOMOS!」もアップしています。

それでは今週も良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

空席を埋める者

先日、Lobsterrの発行するウィークリーニュースレターの中で「スターバックスが新たな人材輩出工場となっている」と題されたBloombergの記事が紹介されていました。同記事によれば、スターバックスを「卒業」した幹部人材の多くがGODIVA、Pinterest、JPモルガンといったさまざまな分野の企業で要職に就いており、スターバックスはS&P 500企業への幹部人材の輩出数ではアマゾンやウォルマートと肩を並べる存在だとされています。

この背景として記事内で強調されているのが、利益以外の側面にも目を向けた行動が求められる企業文化です。スターバックスでは従業員や顧客に負担を強いることで得られる利益ではなく、常に全体幸福を前提とした株主価値の向上が意識されているとのこと。総会などで「顧客」と「従業員」を意味する2つの空席を設けていることも、その文化の象徴と言えるでしょう。同社の幹部人材を獲得することは、言い換えれば同社の強みを最も簡単に取り入れるということ。「私たちは世界のリーダーを育成しており、それこそが真のゴールである」というチーフパートナーオフィサーのリス氏の言葉に示されるように、スターバックスが多様な起業家人材を世に輩出することは、同社の思い描くヴィジョンの一つでもあると言えるのです。

上記のように同社の人材への注目が高まる一方で、バリスタの激務化やコーヒー生産者の生活収入・賃金の保証問題などの課題が残されていることも事実です。成長と共に「全体」という言葉の範囲が拡張し続ける中で、どのように全体幸福を体現し続けるかこそ、大企業が全うすべき使命であり責任であると感じます。

 

その他の気になるニュース

▷ リビア初のコーヒートレードショー「Libya Coffee Expo.」が10月に開催予定。旧宗主国イタリアの食文化が浸透しているリビアですが、植民地化のはるか前から人々の生活の中心にコーヒーがあったとのこと。どんな盛り上がりを見せるのか気になります。

▷ フィンランドのスタートアップRensがコーヒーかすとリサイクルプラスチックを原料としたアスレチックシューズを販売。最近Nikeもリサイクル素材をベースとしたスニーカー「Space Hippie 04」の新たなコーヒーカラーモデルを発表しました。

▷ フランスでは朝のコーヒーとクロワッサンのために、グリーンパス (ワクチン接種証明書)または陰性証明書が必要に。ちなみに米国・NYでも、屋内施設利用時のワクチン接種証明の提示が義務付けられる見通しです。

▷ エルサレムの博物館でコーヒーをテーマにした企画展が開催予定。東西30か国のコーヒー器具の展示などを通じて、コーヒーを中心に政治、宗教、文化などがどう絡み合い、発展していったかが紹介されるとのこと。

▷ コーヒーテーブルをステージ代わりに踊る子どもがtiktokで大人気。子どものクリエイティビティにかかれば、コーヒーテーブルはあっという間にダンスフロアに。カップの置き忘れにはご注意を。

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

SKY BLUE COFFEE ROASTERS
北海道

スカイブルーコーヒーとは、コーヒーが嫌いだった僕が、日々、成長研究と鍛錬を積み重ねた焙煎によって作り上げた、 飲んだ人に感動を与えるようなクリーンな味わいのコーヒー。 飲んだ後に空色=スカイブルーのような爽やかな味わいをお楽しみ下さい。

生産者:マルティン ウレニャ

農園:LA CHUMECA MICROMILL - FINCA LA FILA 

生産地域:コスタリカ サン・ホセ州 サンイシドロ、レオンコルテス(地図

品種:レッドカトゥアイ,イエローカトゥアイ

精製方法:アナエロビックナチュラル

テイスティングノート:クランベリーのような酸味、ワインのような飲み口、スパイシーな後味、アーモンド、チョコレートのような香り

編集長のコメント:

焼き上がりのベイクドチーズケーキやチョコレートブラウニーのような香りがするグラインドされたコーヒー豆。フレーバーもカカオを強く感じます。複雑なフレーバー体験で、洋梨のブランデーや黒葡萄のニュアンス、そしてミネラルを感じ、抑揚があります。赤い果実のような爽やかな酸味を彷彿とさせるなと思っていると、浮かんできたのはフランボワーズ。カカオとフランボワーズは個人的に大好きな組み合わせで、間違いなくそのエッセンスをこのコーヒーに感じました。クリームチーズのようなクリーミーなテクスチャと、長く続く余韻、そして嫌気性発酵のコーヒーでたまに感じるくどさがなく、クリーンな味わいに感動しました。

 


Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち

  

アーティスト:丹野 篤史 ウェブサイトInstagram

プロフィール:10代半ばにパンクロックに衝撃を受けバンド活動を開始。その後はDJ、ギタリストとして音楽のフィールドで活動。2000年に始めた自転車との出会いをきっかけに、ライド中に目に入る風景を記録するために手にしたコンパクトカメラで写真の世界に魅了され、表現手段が音楽から写真へと変化し、写真家としての活動を始める。直近では、Coffee Countyのウェブサイトの写真撮影・アートディレクションを担当。

最新の掲載記事:Standart Japan第11号「他視点と多視点」

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

kindling magazine 

Kinfolkが新しいマガジンを発行するという噂を聞きつけ、ずいぶん前から楽しみにしていたkindling。子供と関わりがあるすべての人に向けた雑誌で、この6月に創刊したばかり。もともと2010年代にKindling Quarterlyという父親をテーマとした雑誌が一時期別の発行元からリリースされていましたが、Kinfolkがその名前を一部引き継ぎ新しくローンチしたという流れ。イラストやグラフィックデザインなど、Kinfolkさを感じつつも、チャーミングでフレンドリーな仕上がりは見事で、思わず笑みを浮かべてしまいます。Standartより少し小さいフォーマットは子供でも持ちやすい仕様になっていて、子供が大人と一緒に遊べるアクティビティなどもありなかなかニクい内容。広告も読書体験の一部としてしっかり溶け込んでいて、読みながら、パブリッシャーの視点で吟味してしまう場面も多々ありました(笑) Stack Magazineのポッドキャストでkindlingの編集長Harriet Fitch Littleさんが語っていた「雑誌ではあえて家族の写真などを載せない」という話が興味深く、どんな家族もそれぞれ異なり、理想的な家族像を押し付けたくないという思いが背景にあるのだそう。kindlingは単に子育てをテーマとしたものではなく現代の家族の形を多角的に表現するような雑誌で、あるテーマの周りにある事柄にスポットライトを当てていくことでそのテーマ自体が浮き彫りになるような、そんな感覚を読みながら覚えました。アートやカルチャーや文学といったテーマでのインディペンデント雑誌はよく見ますが、子供を取り巻く環境という普遍的なテーマは出会ったことがあまりありませんでした。子育て系の情報誌・メディアだとQ&Aやアドバイスをするようなものが多く個人的にはあまり読むことがなかったのですが、新しい視点を与えてくれるkindlingがこれからどんな世界観を見せてくれるのか楽しみです。


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

三谷 晃代

福岡県福津市を中心に活動する、出店型のコーヒー屋「ミタニコーヒー」。同市にあるくつろぎ珈琲で修行し、いまは実店舗オープンに向け活動中。最近はpodcastにはまり中。家ではずっとジェーン・スーさんと堀井美香さんの「OVERTHESUN」か平野紗季子さんの「味な副音声」を聴いてます。

セットアップ:

抽出器具:エアロプレス/インバート
豆量:15g
湯量:200g
挽き目:wilfaのfilterのf部分
湯温:88度
抽出時間:2分

手順:

  1. お湯を50g注ぐ (タイマースタート)
  2. 5回まぜる
  3. 20秒たったら200gまで注ぐ。リンスしたフィルターとキャップをセット
  4. 30秒待つ
  5. 30秒かけてゆっくりpress。最後まで押し切る

                      ポイント:

                      ▷ 波を立てるようにお湯を注ぎ、まぜること。
                      ▷ コーヒーの甘さとなめらかな質感を引き出すレシピです!

                      コメント:

                      オンラインショップを8月中に立ち上げる予定です!ぜひ! 


                       

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                      今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第16号スポンサーの TYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業セラード珈琲カラベラコーヒーのサポートでお届けしました。

                      LOVE & COFFEE✌️
                      Standart Japan
                      (執筆・編集:Takaya & Atsushi)

                      #56: ダンスフロア、空席、コーヒー

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