#70: サイクルウェア、EU、コーヒー

#70: サイクルウェア、EU、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週は月曜から昨日まで東京にいました。約2年ぶりとなる東京滞在の目的は、先週のニュースレターでもお話ししたSCAJ2021。11/17~19に開催された同イベントには、全国からコーヒー関係者やプロフェッショナルたち、そしてコーヒーラバーが集まりました。

イベントの2日前より福岡から東京に移動し、イベント用の消耗品の買い出しや設営、打ち合わせやコーヒー屋さん巡りを詰め込みました。SCAJサイトに掲載されていた来場者数は3日間の合計で19,334名。正直なところ、前回に比べると来場者数が多くなかったことに少し驚きました。というのも、体感としてはいつもよりかなり賑わっていて、若い年代の方々も多く活気を感じたからです。

Standartは、2018年より企画・デザインに関わらせていただいているCoffee Villageにて出店しました。本当にたくさんの方々が直接会える時を待ち望んでいたようで、マスクでは隠しきれない笑顔をいたるところで見ることができました。イベントの3日間は、とにかく声が枯れるほどたくさんのご来場者の皆さんとお話しをさせてもらい、イベント初日の会期中に遅れて到着した最新号のStandart Japanも多くの方に手に取っていただくことができました。わざわざブースまで足を運んで下さった皆さん、本当に本当にありがとうございました! 楽しさや懐かしさなど、いろんな感情が沸いた1週間でした。東京での様子はStandart JapanのInstagramストーリーズ ハイライトでご覧いただけます。多少プライベート感もありますが、その辺も楽しんでいただければ(笑)。

そして、そろそろ最新号のStandart Japanとサンプルコーヒーが皆さんの元に到着し始めている頃。楽しんでもらえていますか? Mocha Originsのサンプルコーヒーのおすすめレシピはこちらのブログでご紹介しているのでチェックしてみてください。皆さんのご感想や雑誌とコーヒーをSNSでシェアしていただけると嬉しいです!

最後に、来週11/23(火)20:00~より、この最新号の発売を記念して代官山 蔦屋書店 x Standart Japanのオンライントークイベントを開催いたします。最新号やStandartについてQ&Aにお答えしつつ、皆さんと画面越しにいろんなお話しができると嬉しいです。チケットはこちらから、コーヒー1杯ほどでご参加いただけますので、ご都合が合う方はぜひ。

それでは良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

ボーダーラインの描く未来

英国・グラスゴーで開催されたCOP26を受けて、先日欧州委員会が森林破壊に繋がるコモディティの輸入を禁止する法案を提出しました。同法案が可決されるとコーヒーや牛肉、木材、大豆などを対象に、企業は輸入に際し、当該商品が森林破壊・劣化に関与していないことを証明しなければならなくなります。違法か否かにかかわらず森林破壊全体を取り締まる今回のような法案は、EU史上初の試みです。

COP26では100超の国々が2030年までに森林伐採を終わらせる文書に署名しましたが、それを加味してもEUの法案はパイオニア的試みだと言えます。しかし多くの環境活動家が今回の法案に賛同した上で、草原や泥炭地などが保護地域に含まれていないこと、また森林伐採の大きな要因の一つであるゴム製品が対象に含まれていないことを指摘しています。加えてCOP26に提出された各国の気候変動対策を実行したとしても、目標の1.5度を大きく上回り2100年までに2.4度の気温上昇が予測されるなど、国境を越えて環境問題に取り組むことの難しさが浮き彫りになっています。

今回のEUの法案がコーヒー業界におけるサステイナビリティの前進にどう繋がるのか。そしてこの法案を通じて、農家から消費者に至るまでのサプライチェーンをどのようにより良いものにしていけるのか。引き続き情報を追いかけていきます。

その他の気になるニュース

▷ ACEが運営を担っていたCup of Excellence (COE) がNPOとして独立し、両者は別団体としての道を歩むことに。引き続き姉妹団体として関係を保ちながら、活動領域の明確化と資金調達の最大化を図るそうです。

▷ ポートランド発のカーボンニュートラルな牛乳ブランド「Neutral」。米国初のカーボンニュートラルな食品ブランドとも言われ、先日ビル・ゲイツ創設のVCから資金調達を行ったことで注目を集めています。

▷ NYのロースターCoffee Bros.がNYにカフェをオープンするため、NFTプロジェクトでの資金調達を計画中。NFTの購入者にはクローズドコミュニティへの招待が保証されるなど、デジタル・フィジカルを行き来する興味深い事例です。

▷ バルミューダ初のコーヒーメーカー「BALMUDA the Brew」の発売に際し、WIREDが創業者兼社長である寺尾氏のインタビューを公開しました。コンセプト・開発に至る背景からブランドが見据える未来など、前後編内容盛り沢山。

▷ 2018年ツールドフランスチャンピオンが、ライド中に素敵なカフェを発見。優雅なカフェ時間を過ごして外に出ると……なんと愛用の自転車が盗まれており、サイクルウェアのままUberで帰宅することに。カフェに向かう前には営業日と自転車のロックの確認をお忘れなく。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

編集長のコメント:

今週はお休みです🙏 でも、SCAJの会期中や前後で巡った東京のコーヒー屋さんで、素晴らしいコーヒーをたくさん飲ませていただきました〜!


Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち

 アーティスト: 

ジェレミー・ベンケムン Instagram ウェブサイト

プロフィール:

フランス・カンヌ出身のフォトグラファー。ファッションやエディトリアルの分野で活躍しながら、独立誌『IWAKAN』の編集メンバーとして日常に潜む違和感やジェンダーをテーマにした作品制作にも取り組んでいる。

最新の掲載記事:

Standart Japan第17号 Meet Your Guest: Marie Sekine

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

『この国の不寛容の果てに』 - 雨宮 処凛他

最近立て続けに起きた電車内での事件に関するニュースを見ていて気になる点があり、そこからたどり着いた本書。2016年に起きた相模原障害者施設殺傷事件をテーマに、著者がジャーナリストや医師、ソーシャルワーカーなどを招き、日本の格差問題や優生思想、弱者というラベルが意味するものなどについて対話する様子が収められています。特に印象に残っているのが、「べてるの家」(北海道浦河町にある精神障害などをかかえた人たちの地域活動拠点)の理事を務めるソーシャルワーカーの向谷地 生良さんのエピソードです。とある地方の市役所関係者から無差別殺人をほのめかす青年について相談を受けた向谷地さんは、本人と直接電話での対話を始めました。すると最初は「人を殺して何が悪いんだ」とうそぶいていた青年の態度が徐々に和らぎ、ランチのお誘いをきっかけに「仕事を始める」と言いだし、1年半後には「俺、寂しいんだ」と本心を漏らしたといいます。1年半もの期間には当然青年と向谷地さんとの対話があったわけですし、この1件をもってすべてを語ることはできません。また、残忍な事件で愛する人を亡くした人たちや現場に居合わせた人たちの無念、心理的負担は推し量れないほどのものがあるます。ただ自分を含めた「部外者」が、ある事件の犯人に異常者の烙印を押して忘れ去ることにも危険性が潜んでいるのではないか。そして種々の事件の背景にはどんな社会があり、その社会のあり方に自分はどのように作用しているのか。そんなことを考えていると本当に「部外者」など存在するのだろうか? という疑問が浮かんできます。



Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

寳 和輝 aka クウハクさん

コーヒーチェーン店でサイフォニストとしてのキャリアをスタート。2019年から個人でサイフォンの魅力を発信し始め、関西を中心にサイフォンのセミナーやワークショップを行っています。現在は地元の姫路でサイフォンのお店KUUHAKU COFFEEを営んでます。 最近はゲーム実況動画にハマってます。先日よく観る配信者の方がデロンギのコーヒーマシンを購入されていたので、オススメのコーヒー豆をお送りする方法を模索しています。枕を5つ持つほど、睡眠にはこだわりアリ。Twitter: @KUUHAKUCOFFEEtk

セットアップ:

抽出器具:サイフォン/ビームヒーター
豆量:17g
湯量:220g
挽き目:中細挽き(Lagom P64 7番)
湯温:92度
抽出時間:全体で1分20秒(第一攪拌3秒、浸漬時間20秒、第二攪拌2秒)

手順:

  1. 挽いたお豆をロートに入れて、フラスコに引っ掛けて待つ
  2. フラスコ内のお湯が沸騰したらロートを差し込む
  3. お湯が上がりきったらロート内を勢いよく攪拌して30秒待つ
  4. 30秒経ったら熱源を消して、もう一度ロート内を軽く混ぜる
  5. コーヒーがフラスコに落ちきって、ブクブク泡が落ち着いたら完成

    ポイント:

    ▷ サイフォンの味は攪拌で決まります。勢いよく攪拌することでコーヒーの美味しい成分が抽出されやすくなるので、思い切ってグルグル混ぜましょう!
    ▷ 攪拌後の液面を上から見て、きめ細やかな液面になっていたら上手な攪拌ができてます
    ▷ 攪拌の動きはオールを漕ぐ動きをイメージ

    コメント:

    近年、スペシャルティコーヒー業界やお茶の業界からサイフォンが注目され始めているので、その一助になれれば幸いです。おうちで始めるには少しハードルの高いサイフォンですが、ひとつひとつの手間を楽しんで頂けたら嬉しいです。


     

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    今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第18号スポンサーのブルーマチックジャパン、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業The Roast Expert by PanasonicFAEMA x DKSHのサポートでお届けしました。

    LOVE & COFFEE✌️
    Standart Japan
    (執筆・編集:Takaya & Atsushi)