おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今日は嬉しいご報告です。いよいよStandart Japan 17号がリリースとなります! 発送はお盆休み前になるのか後になるのかまだ確定していませんが、楽しみにしていてくださいね😉
毎号「これまでで一番の号ができた!」と感じるものですが、特に今号は印刷会社から届いたサンプルを手にした瞬間にゾワゾワする感覚を覚えました。洗練されたビジュアルとコーヒージャーナリズムが1冊の雑誌の中で躍動するような、そんな感覚をお届けできることを願っています。
今号のキーワードは「パンク」「ラブドール」「コーヒー」。テクノロジーが発展した先にある未来のコーヒーの姿や世界初のエスプレッソマシンが誕生するまでの道のり、ベトナムの郊外でコーヒーの栽培・焙煎に取り組む山岡 清威さんのインタビューや、パンク界で連綿と受け継がれる「ストレートエッジ」の哲学とコーヒーとの関係性、表象文化論の視点からラブドールの研究を行う関根 麻里恵さんのインタビューなど盛りだくさんで、きっと楽しんでいただけるはずです。
気になるサンプルコーヒーは、2019年のワールド・バリスタ・チャンピオン、チョン・ジェヨンさんが所属する韓国のMomos Coffeeより、エチオピア Gesha Villageのコーヒーがついてきます。こちらも楽しみにしていてくださいね!
そして最後はお馴染みの、最新号のデザインを覗き見👀
それでは今週も良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
心の距離は開けないように
洗練された動きから華やかなイメージを持たれやすいバリスタ業務ですが、同じ動作を繰り返すことによる身体的負担や、接客にともなう精神的負担など顧客からは見えづらい苦労があります。加えてパンデミックによる不安やストレスも重なる中、Perfect Daily Grindのこちらの記事では、バリスタたちのウェルビーイングへの注意喚起とサポートの方法についてまとめられています。
この記事で重視されているのが、組織内のこまめなコミュニケーションです。パンデミックによって社会的な交流の機会が減ったことから、厳しい規制が敷かれている国や地域では特に顧客がバリスタとの会話に大きな価値を見出し、よりオープンで深い会話を求めるようになりました。しかし顧客の悩みを聞くといったカウンセラー的な役割を担うことで、(同様にパンデミックのストレスを抱える)バリスタたちの精神的負担が増加しているという側面も。マネジメント層は店頭に立つバリスタとのこまめな対話を通じて心身の健康状態をチェックし、ストレスに対処するための時間を確保したり、営業時間やシフト編成を必要に応じて柔軟に変更したりすることが大切であると述べられています。
一方で、より多くの人がバリスタたちとの会話に価値を見出していること自体は、等価交換を超えた関係の構築に繋がることからポジティブな変化と捉えることもできます。コーヒーを中心としたネイバーフット・コミュニティを維持するため、あなたがカウンターのどちら側にいたとしても周囲の人を気遣う姿勢を大切にしたいですね。
その他の気になるニュース
▷ ハワイ州農務省の発表によると、昨年10月にマウイ島で確認されたコーヒーさび病が、ハワイ内の主要な島々へと広がっているとのこと。現在米国環境保護庁は、感染防止策としてハワイのコーヒー農園における殺菌剤の使用を一時的に許可しています。
▷ ファミリーマート内のカフェブランド「FAMIMA CAFE」が、アパレルブランドとのコラボアイテムを発表。糸の原料となる素材は、焙煎過程で発生するコーヒーかす (ファミマカフェのものではない)を使用しているそうです。
▷ La Marzoccoがイタリア・フィレンツェ郊外の自社施設内に、カスタムモデル専用のデザインスタジオを開設。既存のテクノロジーを組み合わせた「カタログ」ラインと、顧客の要望に基づいて一から設計を行う「ビスポーク」ラインの2カテゴリーが展開されるそうです。
▷ 世界57か国をカフェイン飲料のタイプ別消費量から比較したインフォグラフィックが公開。予想以上にお茶や紅茶、ソフトドリンクの消費割合が高く、カフェイン視点で見る世界も興味深いです。
▷ 英国・ケンブリッジシャーのとある町に突如現れた、巨大なマグカップのオブジェ。併設するレストランパブが、人々にポジティビ”ティー”満タンで”ブリュー”ティフルな一日を過ごしてほしいとの思いで作ったそうですが、地元住民からは目障りとの厳しいコメントも……。
What We're Drinking
今週のコーヒー
広島のコーヒーとお菓子の店です。コーヒーは浅煎りコーヒーを中心に、クリーンで甘みが心地良く感じられるコーヒーを提供できるよう日々焙煎しています。
生産者:Kianjogu Factory
生産地域:ケニア ニエリ地区 (地図)
品種:SL28 SL34 Batian
精製方法:フリーウォッシュト
テイスティングノート:ピンクグレープフルーツやスモモのようなフレッシュ感のある酸味。サトウキビのような甘みも長く楽しめるコーヒーです。
編集長のコメント:
不思議なもので、ちょうど昨年の8/2に発行した#4のThe Weekend Brewで登場して以来のケニアでした。丸っと1年ぶり。ケニアのコーヒーは、スペシャルティコーヒーを飲み始めるきっかけになったと言っていいほど個人的に思い入れがある産地です。輪郭がはっきりとはしていないハーブやスパイスが混ざったような香りがある豆は複雑なフレーバーを期待させてくれます。一口すすると「パンッ」と広がり、頬を内側から優しく撫でるような、鮮やかで艶のある酸味を感じます。グレープフルーツやエルダーフラワーのよう。しっかりとした甘さも酸味と手を取り合っています。二口目には、まるでよく熟した洋梨にかぶりついているようなジューシーさととろみのある質感を感じました。温度の変化と共にジューシーさを増していくようです。後味には桃を食べた後のようなフレーバーの余韻があり、夏を感じる一杯でした。
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:Rachel Tunstall | ウェブサイト|Instagram
プロフィール:イギリス・カンブリアを拠点に活動するイラストレーター。デジタルながらも質感を重視した、温かみが感じられる作品が特徴。雑誌やオンラインメディアなどのエディトリアルワークを中心に活躍し、最近は絵本の制作にも取り組んでいる。
最新の掲載記事:Standart Japan第12号「Panasonic The Roast」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『feminist city - Claiming Space in a Man-made World - 』leslie kern
以前のニュースレターでコーヒーショップと公衆トイレのトピックを取り上げて以来、インクルーシブな都市づくりや都市に潜む排他性について考えていました。そんななか出会ったのが、都市の現状を女性視点から考察する本書。シスジェンダー (異性愛者)かつ健常者の男性を中心に構築されてきた近代以降の都市の歴史と排他性を紐解きながら、あらゆる人々にとってのインクルーシブな都市、通称「フェミニスト・シティ」の可能性について論じています。事例として興味深かったのが、交通費に見られるジェンダー差別 (ピンク税) です。例えば家事・育児の負担が女性に偏っていることを背景に、小さな子どもを持つ女性は託児所や学校に子どもを送ってからオフィスに向かい、帰り際にはお迎えや食材の買い出しを行うケースが度々見受けられます。このように(主に)女性が都市の中を移動するとき、単に家−オフィス間だけでなく、無賃金労働 (家事・子育てなど)に伴う移動が組み合わさり、男性と比較して交通費や荷物量が増えてしまうのです。この構図的な問題には、「男性が一家の稼ぎ手 (オフィスに向かう人)で、女性は家事・育児を担う」という男性中心的なジェンダー観に基づく都市設計が関係しています。だからこそ都市という空間を考える上で、さまざまな属性を考慮した、つまりはインターセクショナルな視点が求められているのです。同時に、コーヒーショップという空間があらゆる人々にとっての安全な場所 (セーフスペース)であることがどれだけ大きな意味を持つのか、そしてコーヒーショップという空間から私たちができることについて考えさせられました。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
ALL DAY COFFEEから始まりSCHOOL BUS COFFEE STOPを経て自分のオリジナルブランド『Little WAVE coffee』を立ち上げる。 趣味はサーフィン。海から徒歩5分の場所に住んでいるので毎日海に入ってます。一生コーヒー。一生サーフィン。
セットアップ:
抽出器具: HARIO V60
豆量: 15g
湯量: 230g
挽き目: 中挽き
湯温: 92℃
抽出時間: 2:15-2:30
手順:
- ペーパーフィルターをセット後リンスする
- 1湯目はお湯を30g注いで、30秒蒸らす
- 2湯目で100gまで注ぐ
- 3湯目で230gまで注ぐ
- 2:15-2:30で落ち切ったらフィニッシュ
ポイント:
愛をたくさん込めて一定の油量をゆっくり注ぐことが一番大事です!
今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?
今日のShout outは、今週末に広島で開催されているコーヒーイベント LIQUID POOL! Standartもスタンプラリーの企画に参加させてもらっています。広島を中心に、県外のコーヒーショップも参加されています。今回ご紹介しているshimaji coffeeさんもご出展されていますよ。お近くの方はチェックしてみてください。
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第16号スポンサーの TYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、セラード珈琲、カラベラコーヒーのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)