おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
先週、Standart Japanの実験的なイニシアチブ「アルゴリズムとの闘い」について発表しました。オンライン広告を利用する代わりに、Standartの紹介カード(クーポンコード付)をロースターやコーヒー関連企業が商品発送時に使うパッケージに「広告料」を支払って入れてもらうというこの取り組み。私たちがマーケティングに使うお金を、テクノロジー企業ではなくスペシャルティコーヒーのコミュニティに還元したいという考えから生まれたアイディアです。
この考えに共感してくれたパートナーたち(Kurasu kyoto&FBC International💛)とすでにカードの配布はスタートしており、発表後には全国のロースターやコーヒー関係者の方々からも励ましの言葉やぜひ参加したいというメッセージをいただきました。この取り組みを通じてお支払いできる広告料は微々たるものですが、私たちが今まかなえる範囲で、私たちを信じてくださる方々と一緒に前に進めることを本当にありがたく思います。ご興味ある方はいつでもご連絡くださいね(このニュースレターへのご返信で構いません)。
今週はStandart Japanのインスタライブで編集のAtsushiと共に久しぶりにみなさんと画面越しにお会いできました。今度は来週の26日(水)20:30〜、コーヒーと人をつなぐアプリKOHIIのオンラインイベントにゲストとして私が参加させていただきます。ご都合の合う方は、ぜひKOHIIのインスタをチェックしてみてくださいね。
そして最後に、昨日オリジナルコーヒープレイリスト Standart Music to Brew to Vol. 2をアップしました! 昨年7月のVol.1 からもうすぐ1年。週末のおうちコーヒーやリラックスタイムにぜひお聞きくださいね。
それでは良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
郵便箱に届く小さな冒険
以前のニュースレターでも触れたサブスクリプションサービスの急成長。英国の消費者1000人を対象とした調査によると、一世帯当たりのサブスクサービスの平均利用数は約7つ、成人の平均出費は年間約550ポンド (約85000円)に及ぶのだそう。コーヒーラバーにも馴染み深いサブスクサービスですが、その成長要因とは一体何なのでしょうか。
The Guardianの記事によると、人気サブスクサービスの魅力は「3つのS」: ①Security (安全) 、②Savings (節約)、③Surprise (驚き) に分類されるとのこと。確かに、人とほぼ接触せずに商品が送られてくるSecurity (安全)や、 月約3000円で一日5杯までコーヒーやドリンクが飲めるサブスクといったSavings (節約) の要素は明らかな利点です。しかし同記事によれば、今日の単調で閉鎖的な自粛生活に喜びや驚きをもたらすSurprise (驚き)こそ、この度の急成長の一役を担っていると言います。毎月クラフトビールと本がセットで届くサブスク「Books + Beers」をはじめ、人々はサブスクサービスを通じた日常の「小さな冒険」に大きな価値を見出しているのです。
そんな新たな日常の楽しみ方が浸透していくと同時に、改めて私たち自身が小さな変化や行動の主体となる意識を大切にしたいと感じました。例えば友人や家族から手紙が届くと、その文量や内容以上に、離れた場所から自分のことを考えてくれた事実に、温かい気持ちになりますよね。世界のどこかで誰かがとった小さな行動が、他の誰かの大きな喜びになり得る。そんなバタフライエフェクトを起こす主体が自分かもしれないと思うと、日々の行動も少し変わってくるかもしれません。
地球の(飲み)歩き方
Financial Timesのトラベル記事で紹介されている今日のシンガポールのコーヒーシーン。今回は、伝統的なコーヒー文化とスペシャルティ文化が交差するシンガポールに脳内トリップしてみましょう。
長年シンガポールで親しまれる「Kopi (コピ) 」とは、バターや砂糖などと共に深く焙煎されたコーヒー(主にロブスタ種)をソックス型のネルに入れ、お湯に浸して漉したものに、コンデンスミルクや砂糖などと合わせたドリンクを指します。朝食では、このコピと「Kaya (カヤ)トースト」と呼ばれるココナッツジャムとバターのサンドの組み合わせが定番なのだとか。そして特筆すべきはコピの種類で、「Kopi O」だと砂糖入りでミルク無し、「Kopi C」は無糖練乳入り、「Kopi Gao」だと濃い目のコーヒーといった具合に、その微妙な作り方の違いで100種類以上のコピが存在しているのだそう。そんなコピは、Kopitiamと呼ばれる伝統的なコーヒーショップやシンガポール版の屋台村「ホーカーセンター」などで提供されているそうで、お気に入りの一杯を見つけに足を運ぶのも楽しそう。
一方で、若者は伝統的なコピよりも西欧スタイルのスペシャルティコーヒーを好む傾向にあり、コピの伝統が薄れつつあるとの指摘も。そんな中、スペシャルティコーヒーと並行してコピを提供するカフェや、伝統的なコピの淹れ方を学べるレッスンの開講など、伝統を守る取り組みも見受けられます。スペシャルティ文化が世界に広まるにつれ、各地の多様なコーヒーあり方を「スペシャルティ」という一つの価値基準ではなく、多彩なコーヒーストーリーとして大切にしていく姿勢をより一層問われているのではないでしょうか。
その他の気になるニュース
▷ 先週のニュースレターでも取り上げたコロンビア国内で続く反政府デモ。こちらのサイト「SOS Colombia」には、コロンビアで支援を必要としている市民団体のクラウドファンディングキャンペーンがまとめられています。
▷ MLB傘下のマイナーリーグで活躍するZach Reksが、マイナー選手の生活支援を目的とする非営利コーヒー団体を設立予定。オフシーズンに給与が支払われず、生活に苦しむマイナー選手たちの支援を目指すのだそう。
▷ 京都に本社を置く小川珈琲が、6/24~7/26の期間限定で「コーヒーの詩」と題したキャンペーンを企画。認証コーヒーを題材とした詩を届けることで、人々にコーヒーを通じたエシカル消費の認知拡大を目指すのだそう。お申し込みは、こちらから。
▷ コーヒー愛に秘められた無限の可能性はもはや言わずもがな。ペンシルベニア州に住むエリックは、3Dプリント技術を用いた小型エスプレッソマシンのDIYに成功したそうです。
▷ Appleが新たに導入したデータトラッキング規制ATT (App Tracking Transparency)。ユーザーがアプリケーションに対して自らのデータの追跡を許可/拒否できるこの機能については、コーヒーのテイクアウトから始まるこちらの動画が分かりやすく、そしてなかなか衝撃的です。
What We're Drinking
今週のコーヒー
これからのコーヒー を想像してみる
これからのCOFFEE 創造する
ここ、沖縄から世界へ
五感を超えていく珈琲を
沖縄県那覇市、「与儀市場通り」という、戦後、那覇で一番活気があった市場通りに私たちのお店はあります。今は世代交代で以前のような活気は無く、シャッター通りになってしまったこの通りに、「コーヒーのチカラ」で少しずつ人が戻ってくるようになりました。沖縄県産コーヒーを始め、全世界50種以上のコーヒーと「コーヒーを通した感動体験」を届けるのが私たちのミッションです。
生産者:アダ・ファーム (代表 徳田 泰二郎)
生産国:日本
生産地域:沖縄本島北部、国頭村安田(地図)
品種:ニューワールド1号、2号
精製方法:コンプレックスファーメンテーション
テイスティングノート:フローラル、カラメル、ブラウンシュガー、ティーライク、チェリー
編集長のコメント:
Standart Japan 最新号の産地特集記事でフォーカスした「日本」。記事の中でお話しを聞いた徳田さんのアダ・ファームのコーヒーをいただける貴重な機会をrokkanさんにいただきました。しかも2021年のクロップ。今週農園で脱穀されて送られてきて焙煎された、最速のseed to cupです。収穫量が少ないためアダ・ファームの豆はかなり高額&貴重ということで、カッピングスプーンを持つ手にも力が入りました。挽いたばかりの豆にお湯を注ぐと、じんわり香ってくるすっきりとしてフローラルな水仙の芳香。スプーンですくった液体を口に運び啜ると、口に広がったのは混じり気のない黒糖のような甘さ。目の前にすぐさま浮かんだのは黄金飴でした。冷めてくるとトロピカルなフルーツ感も感じます。昔タイで食べた濃厚でクリーミーなドリアン(全然臭くなかった)の後味をふと思い出しました。決して派手ではないコーヒー、でも飾らない素朴な魅力がありました。素晴らしいコーヒーが日本でも作られているのを実感し、心躍ったのはいうまでもありません。
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『隔たる世界の二人』
Netflix
2021年度アカデミー賞最優秀短編実写映画賞を受賞したNetflixオリジナルの短編SF作品。ラッパー兼俳優のJoey Bada$$演じる主人公の黒人男性カーターが、一夜を共にした女性の部屋を出てから白人警察に殺されるまでが繰り返されるタイムループにはまるところから物語が展開されていきます。注目すべきは、劇中で主人公が経験する殺人事件はフィクションではなく、実際に現実に起こった事件をなぞっている点。本作は2020年のジョージ・フロイドさん殺人事件に端を発したBLM運動を受けて脚本執筆・撮影され、約30分という短い映像の中で「I can’t breathe. (息ができない)」のフレーズをはじめとする、BLM運動を直接的に訴える実に多くの要素やキーワードが盛り込まれています。そして作品が進むにつれ、はじめはフィクション要素に見える「タイムループから抜け出せない」という設定も、「繰り返される歴史」を示唆するメッセージへと昇華されていきます。この構成には、監督のTravon FreeさんがThe Guardianのインタビューの中で語る「作中であなたが追体験する約30分間を通じ、黒人が過ごす毎日(24時間)への理解に繋げてほしい」という思いが反映されているように感じます。お時間ある方、是非チェックしてみてください。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
丹澤 昌子 aka Masa
2012年からコーヒーチェーン店に勤務。2015年よりAKITO COFFEEに所属し、地元である甲府でバリスタとして店舗や出店にてコーヒーを提供。現在はECを担当しながらバリスタとして現場に立つ。 趣味はミニチュア、食品サンプル観賞。
セットアップ:
【水出しアイスコーヒー】
抽出器具 : 水出しパック、パックが入る容器
豆 : 50g
挽き目 : ek43. メモリ8 / wilfa AeroPressメモリ
水量 : 1000〜1200ml
抽出時間 : 常温で約13時間以上
手順:
- コーヒー豆を50g挽く
- 水出しパックや、だしパックなど、粉が溢れないパックに粉をいれます
- パックを容器に入れ、水を1000ml〜1200ml入れる
- 常温で約13時間後、パックを取り出し冷蔵庫でよく冷やし完了。
ポイント:
常温の水でも日や時間帯によって抽出度合いが変わるので、最終的にはTDSを計り濃度を調整します。抽出後はパックを取り出し、良く混ぜ、冷蔵庫で保管。早めに消費。
*浅煎り TDS 1.4〜1.6
*中煎り以上 TDS 1.6〜1.8
TDSが測れない方は、良く冷蔵庫で冷やしてから味見でチェック。温度で味の感じ方も変わります。 少し濃いめに抽出するのがポイント(濃い場合は水を加えて調整できますが、薄いと手立てがないので)。 クリーンな豆であればあるほど、水出しアイスコーヒーはおいしいです。豆選びもとっても大切。
一言:
AKITO COFFEEでは水出しアイスコーヒーの量り売りも行っています。複雑な抽出も管理して、皆さんに美味しく飲んでもらえるよう心がけています。山梨の美味しい水で抽出した水出しアイスコーヒー。いつか山梨にお越しの際はぜひ飲んでみて下さい。
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第16号スポンサーの TYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、セラード珈琲、カラベラコーヒーのサポートでお届けしました。
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Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)