#43: マフィア、ホワイトハウス、コーヒー

#43: マフィア、ホワイトハウス、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週無事に発送が完了し、みなさんのもとに徐々にStandart Japan最新号が到着し始めているのではないでしょうか。まだ来てないよという方、もう少しお待ちくださいね!😉 

今号にはポストカードが付いてきます。ロサンゼルス在住のアーティスト Zack Rosebrughによるイラストは見ているだけでも楽しく、飾って楽しんでもらうのも嬉しいのですが、あることに使って欲しいと思っています。それは、日頃おいしいコーヒーとカップいっぱいの愛情を届けてくれるバリスタやロースターのみなさんへ、ご自身の言葉でこの前飲んだコーヒーの感想や日頃の感謝の気持ち伝えてみること。

国内では緊急事態宣言が発令されている地域もあり(私の住む福岡も)、カフェでゆっくり話をするのがはばかれるという方もいるでしょうし、コーヒーショップで働く人の中には葛藤を抱えながらお店を開け続けている方もいます。しかし残念ながら営業を続けるお店に対し、心ない言葉が投げかけられてしまうことも。

LINEでもなくインスタグラムのDMやコメントでもなく、ペンや筆を取って書いた言葉は、それがたった1文であったとしても、そこにかけた時間と想いが相手に届くはずです。こんな時期だからこそ、体温のある関係を忘れないでいたいですね。

こちらのインスタグラムの投稿と重複しますが、最後にポストカードの使い方を改めて。

  1. Standart Japan 16号に同封されたポストカードのアートワークを眺めて楽しむ👀
  2. お気に入りのペンであの人へのコーヒーラブレターをしたためる📝
  3. カードに切手を貼ってポストへ投函、もしくは次にコーヒーを買いにいったときに店頭で直接カードを手渡し💌
  4. ポストカードを受け取った人はお店に飾ったり、家に持ち帰ってじっくり読んだり😉

それでは良い週末を。

編集長 Toshi



 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

より良い未来のための叫び

コロンビア政府が4月に提出した税制改正法案に端を発し、現在同国全土に広がっている反政府デモ。この法案では、経済危機脱却に向けた改正・増税が行われる予定でしたが、パンデミック以降加速する国内の貧困化を受け、多くの国民がこれに反発する形で抗議デモを開始。その後政府は法案の撤回を発表したものの、年金、保険、教育システムや治安部隊による過剰な暴力行為に対する非難の声は止まらず、現在も続く抗議活動の一環として一部の主要道路が封鎖されています。

道路封鎖によって、国内のコーヒー栽培地が収穫期を迎える中、国内外へのコーヒーの物流が完全に滞っているとの報告も(5月6日時点)。収穫されたコーヒーは現在空き倉庫に保管されていますが、今後も抗議活動が続けば倉庫利用に重税が課せられる可能性もあり、コーヒーの出荷停止による国の経済被害は計り知れないと報じられています

一方Sprudgeはこちらのインタビュー企画を通じて、コロンビアのコーヒープロフェッショナルの声を広めようとしています。その背景には、コロンビアの問題を「貿易/取引」の視点ではなく「コーヒーストーリー」として捉え、西欧メディアで取り上げられていない現地の声に耳を傾け、現状や背景情報について理解を深めるべきだという問題意識があります。デモに至るまでの不平等な国家政策、税制改正法案が意味する未来、抗議活動が犯罪行為として取り上げられている現状など、同記事からは、報道の視点によって私たちが見る「世界」が変わりうることを示しています。コロンビアの反政府デモは、私たちコーヒーラバーにとって重要なコーヒーストーリー。今後も現状への理解を深めるべく、ニュースレターを通じて随時発信を行っていきます。

 

壁に耳あり、カフェにも耳あり?

先日南イタリアの都市ポテンツァにて 、恐喝、殺人など31の容疑でマフィアの一族が逮捕されました。驚くべきはその19番目の訴因で、なんと容疑者たちは裁判所内にあるカフェを経営していたというのです。裁判資料によると、容疑者たちは「司法裁判所内に情報を得るための拠点を構えていた」そう。たしかに捜査員や検察官たちがカフェで一息つきながら、うっかり捜査上の秘密を話してしまう様子が目に浮かびます。

なんでも同カフェの経営を希望した地元弁護士のペナッキオ氏が、カフェの利権争いに敗れたものの納得がいかず控訴した結果、マフィアのメンバーから手を引くようにと警告を受けたことが、今回の捜査のきっかけになったのだとか。事件の調査はマフィア側に悟られぬよう約3年に渡って秘密裏に行われ、この期間中、事態を知る検察たちは、状況を知らない同僚たちがエスプレッソ片手に秘密をこぼさぬよう祈るしかなかったというハラハラドキドキの展開。その後警察が盗聴器や隠しカメラを用いて捜査を続けた結果、この一族が市内の宝石強盗事件の背後にいたことなどが明らかになりました。まるで映画のような世界観ですが、「マフィア×コーヒー」の組み合わせには、イタリアの香りが漂う気も……。

ちなみに、ペナッキオ氏の友人によると、このカフェにはもう一つ「ローストチキンがプラスチックのように固い」という大きな問題があったのだそう。法廷では語られていない「32番目の容疑」かもしれません。

 

その他の気になるニュース

▷ 米マクドナルドがホワイトハウスと連携し、7月からワクチン接種を促すコーヒーカップを導入予定。カップには「We Can Do This」のスローガンとワクチン予約ページのURLが記載されているとのこと。

▷ ドイツのグラインダーメーカーMahlkönigがお家コーヒー市場の拡大を受け、新たなブランドラインMahlkönig Homeを発表。第一弾として、エスプレッソからプアオーバーまであらゆる需要に応えるホームバリスタ向けのグラインダー「X54」が発売予定です。

▷ コーヒー焙煎機のサブスク企業Bellwether Coffee、NPO団体Heifer International、スペシャルティ専門のインポーターSustainable Harvestが連携し、コーヒー農家の最低生活収入を保証する新たなコーヒー生豆の価格設定モデル「Verified Living Income」をローンチ。

▷ Costa Coffeeが英国・ミルトンキーンズの店舗限定で、デリバリーロボットを利用した配達サービスを開始。デリバリーは1時間以内に行われるそうですが、利用者からはコーヒーがアツアツだったと好評。

▷ 造形作家もんとみさんが製作した「コーヒーが飲みたかったしわしわピカチュウ」が、ツイッターで話題に。背中の丸みから漂うなんとも言えない哀愁がたまらない...製作過程を撮影した動画も公開されています。

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

ROUND POINT CAFE
兵庫

神戸の自家焙煎コーヒーショップ。コーヒーは日常に寄り添う美味しいもの。同時に、ふと社会環境に目を向けるきっかけにもなりうる意義あるもの。 コーヒーから生まれる小さな『?』をもとに、少しでもよりよい社会になるような事業/プロジェクトを進めている。

生産者:ムンガノ組合

生産地域:コンゴ民主共和国 南キブ州(地図

品種:ブルボン

精製方法:ナチュラル

テイスティングノート:スウィーティ、ピーチ、オレンジ、ピーナッツ、スムースマウスフィール

編集長のコメント:
ニュースレターに初めて登場するコンゴ民主共和国(DRC)。ROUND POINT CAFEさんが直接買い付けをされているコーヒーです。グラインドした豆にお湯を注ぐとアーシーな香りが漂い、草木土を連想させるような風景が頭に浮かびます。一口啜ると、温かいうちはレモングラスやお茶のようなニュアンスがありました。少し温度が下がってくるとブラッドオレンジのような柑橘で甘さのあるフレーバーが感じられます。そして後味にリコリス。オランダに住んでいた時によく食べていたリコリスキャンディを思い出し、これこれ!と思わず笑みが。ハーブのようなニュアンスがあり、黒糖を煮詰めたようなキャラメル感のある強い甘さの余韻が長く続きます。ちなみに、ムンガノ組合はジェンダー教育に力を入れていて、働いている女性の割合も多いそう。ROUND POINT CAFEさんが発行されているTHE COFFEE TIMESで、DRCやムンガノ組合について詳しくまとめられていてとても勉強になるのでぜひ。

 


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

BORN TO RUN
ウェブサイト

購読しているWIREDが1週間のテーマと共にニュースレターを送ってくれるのですが、GW前のテーマがRun&Hikeでした。そのニュースレターでトレルランの話があり、久しぶりに10年以上前に買ったBORN TO RUNを引っ張り出して読んでみました。当時マラソンのために走ることが日課になっていて、何度か引越しした今も大切に持っている思い出深い本のひとつです(B5サイズくらいある巨大な本ですけど)。人類は走るために生まれたというスローガンを掲げたこの本は世界的なベストセラーになりました。「どうして私の足は走ると痛むのか?」というランナーである著者の疑問から、人間の身体構造や生物学、人類学の視点を織り交ぜながらドキュメンタリーのように話が進みます。中でも個人的にそしておそらく誰もが一番盛り上がるのが、自らを「ララムリ」(”fleet of foot” people=俊足の民)と呼ぶタラウマラ族と世界最強のウルトラランナーや"脚"に覚えのあるランナーが密かにメキシコの秘境で激突するウルトラレースの場面。このレースは、ウルトラマラソン・カバーヨ・ブランコと呼ばれ、今では実際に開催されいます(こちらのWIREDの記事参照)。とにかく走りたくなる本、おすすめです。


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

奥井 大輝

GLITCH COFFEE、LEAVES COFFEEにバリスタとして勤務後、blend kyotoをオープン。091としてデザイン事務所も運営

セットアップ:
抽出器具:Tricolate
豆量:14g
湯量:238ml
挽き目:中細挽き
温度: 90℃
抽出時間: 6:00

手順:

  1. フィルターをセット後、リンスします コーヒー豆を入れて、60mlのお湯を注ぎます
  2. 注ぎ終えたら、Tricolateを10回ほど円を書くように回します
  3. 30秒の蒸らしが終えましたら、残りの178mlのお湯を投入します
  4. 最終の投入が終えましたら、再度円をかくように1周回し、落ち切るのを待ちます

          ポイント:

          なんと、ホットコーヒーを湯気ごと密閉して冷やすだけ! アイスコーヒーのための特別なレシピも、手間も要りません。 苦くも酸っぱくもなく、スペシャリティコーヒー特有の、個性豊かなフレイバーの違いを一番感じられるアイスコーヒーです。 KONO名門ドリッパーを選んだ理由は、側面にリブがないのでペーパーがぴったり張り付きお湯の抜けを防げるから。 特に、ナチュラルプロセス、アナエロビックプロセス、中南米のコーヒーとの相性がよく、他ドリッパーに比べて、とろみを感じるドリップコーヒーを抽出することができます。

                一言:

                お家でも、さらに簡単に冷やしコーヒーを楽しめる新商品を開発中です!お楽しみに。 今年の夏は、冷やしコーヒーを家でも外でもお楽しみくださいませ。


                 

                今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

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                今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第16号スポンサーの TYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業セラード珈琲カラベラコーヒーのサポートでお届けしました。

                LOVE & COFFEE✌️
                Standart Japan
                (執筆・編集:Takaya & Atsushi)