おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今週は、先週の記事の撮影結果がフォトグラファーから納品され、クリエイティブチームと記事のレイアウト作業に取り掛かりました。素晴らしい写真ばかり。次号も期待していてくださいね。
新しいオンラインジャーナルもアップしています。今回は、Standart Japan第25号のパートナーを務めてくれたSYU・HA・RIのチームメンバーのインタビューです。今年のワールドバリスタチャンピオンに輝いたブラジル代表のBoram Umさんのコーチも務めたマルシア・ヨーコ・シモサカさんにカッパーとしてのご自身の役割、そしてSYU・HA・RIの買い付けについてお話を聞いています。記事はこちらから。コーヒーブレイクにでもぜひご覧ください。
そして、SCAJの準備もやっと終わりました〜〜!(と言っても、それぞれ各所から配送されてくる荷物をイベント会場で受け取るまでは安心できないのですが)。StandartはCoffee Villageのエリア内のブースに3日間(9/28~30)います。どこかわからないよという方は、目線を上げてぷかぷかと漂うバルーンに記された「ST」の文字を探してみてください! Standartのチームメンバーも読者の皆さんや、これから読者になってくれるかもしれない皆さんとお会いできるのをとっても楽しみにしています。
イベント開催中は、The Weekend Brewの号外「The Weekend Brew Paper」(新聞)を皆さんにお配りしています。昨年に続き、今年も限定部数で印刷したリアルなニュースペーパー、いい出来になっていますので会場でぜひゲットしてみてくださいね。そして、オリジナルグッズのサコッシュも数量限定で作りましたよ。こちらもぜひ会場でチェックしてみてください。
最後に、来週のニュースレターはSCAJで疲れ切っていそうなのでお休みです!
それでは皆さん、良い週末を。
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
ケニアのコーヒー市場の大混乱
ケニア産コーヒーの約80%が取引されると言われるナイロビコーヒー取引所(NCE)で、現在コーヒーの販売量と価格が激減しています。NCEの報告によると、2023年8月のコーヒー取引量は前年同月の4,380トンからなんと95%減の192トンを記録し、販売価格は1袋(50kg)当たり30%以上も下落。この衝撃的な事実の背景には、ケニア政府が今年7月に実施したコーヒー取引に伴うライセンス制度の改変が関係しています。
まず今回の政府のライセンス制度の改変によって、ケニアのコーヒー精製業者の大半がNCE上で取引するためのライセンスを失効し、精製処理したコーヒー豆の出品ができなくなりました。その結果、今年7月からNCEでのコーヒーの取引量が激減し、ステークホルダーの間で大きな混乱が生じます。この影響を受けて、今度はNCEのオークションでコーヒーを購入するはずだったバイヤーが取引市場から離れはじめます。記事によると、121の有資格コーヒーバイヤーのうち、2023/24年度のオークションへの参加登録を行ったのは現時点でわずか58。NCE上でのオークションが行われず、ケニア産コーヒーが市場に回らなくなったことで、スターバックスや海外の大手焙煎業者は、別の市場(国)でのコーヒーの調達へと流れています。最終的なコーヒー豆の買い手も市場を離れ、市場全体の循環が滞った結果、現在ケニアのコーヒー精製業者はコストカットのための大規模な従業員の解雇を発表しています。
ケニア政府は早急な対処を約束したものの、未だ回復の目処は立っていません。市場が停止することは、取引業者はもちろん、コーヒー農家の経済的困窮も引き起こします。一刻も早い現状の改善を願うとともに、今後もニュースレターを通じて最新の動向を追っていきます。
気になるニュース
▷ スターバックスが中国・崑山市に約325億円規模のコーヒー焙煎工場を建設予定。この工場には、倉庫やパッケージング・配送用施設に加え、コーヒーやスターバックスのマーケティング活動について学ぶことができる体験型エリアも併設されるとのことです。
▷ ラ・マルゾッコから新たなホームグラインダー「ザ・ピコ」が発売。同商品のセールスポイントの一つが、ポルタフィルターをマグネット式のフィルターフォークにセットすれば自動で適量のコーヒーをグラインドしてくれるというハンズフリー設計。『午前8時』と題したプロモーションビデオもいい感じです。
▷ カタール国立美術館がインドネシア国立美術館と共同で、カタールとインドネシアのコーヒー文化から紐解く世界のコーヒー史展を開催予定。この展示は、カタールが毎年異なる国と共同開催する国際文化交流プログラム「イヤーズ・オブ・カルチャー」の一環として開催されます。
▷ 米の老舗新聞社ワシントンポストから限定ブレンド「ザ・ポスト・ロースト」が登場。同社のニュースレター購読者数100万人突破とポッドキャストランキング首位を祝って発売されました。同社曰く「どんなに忙しい朝でも、コーヒーとニュースレター/ポッドキャストの相性は抜群」とのことです。
▷ 米レビューサイト「レヴィー」が、独自の米国コーヒー都市ランキングを発表。人口5万人以上の米国267都市を対象に、カプチーノ価格の手頃さ、歩きやすさ、大手コーヒーショップの数、独立系コーヒーショップの数、コーヒーマニア要因(ロースターの密集度など)の5カテゴリーから分析したところ、第一位に輝いたのはカリフォルニア州のサンタクルーズでした。
物足りないあなたへ
米国初となるブルーボトルスタジオがロサンゼルスにオープン予定。フィナンシャルタイムズのコーヒーガイド・ミラノ編。バリスタ日本チャンピオンの石谷貴之さんが、音声番組『石谷貴之—珈琲からはじまる。』を開始。
コーヒーイベント
▷ オンライン:社会人向け新型アートカレッジ「藝術学舎」が、酪農・乳業界のブランディングを学ぶオンライン講座「熱狂!(乳)NEW CULTURE学」の受講生を募集中。ミルク出しコーヒーブランド「MILKBREW COFFEE」を筆頭に、NEW CULTURE(乳カルチャー)の醸成を目指す中島大貴さんを講師に迎えるそうです。申し込みは9月30日まで。
▷ 京都:29名の清水焼職人が手がけたコーヒーカップの展示販売会「珈琲とうつわ 3rd」が、2023年10月7日(土)〜22日(日)に京都伝統産業ミュージアムにて開催予定。
※日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jp)でぜひシェアしてください!
What We're Drinking
今週のコーヒー
Appartement 熊本(地図)
Appartement(アパルトマン)は、2022年1月にオープンした熊本・山都町にある自家焙煎スペシャルティコーヒーと同施設内にあるARBOLのクラフトアイスクリームが楽しめるロースターカフェです。世界各地のコーヒー生産者の生豆を厳選し、産地毎の個性を最大限に感じられるような焙煎・抽出を日々心掛けています。子供から大人まで誰もが気軽に寄れて、気取らずに過ごせる場所。暮らしの中にいつの間にか溶け込んで、皆さまの心を満たせる場所になれますように。 そんな特別ではないけれど、記憶に残るような日常の中のおいしいコーヒーをお届けいたします。
生産者:チョロンギ・ファクトリーの小規模農家
生産地域:ケニア ニエリ県ニエリ(地図)
品種:SL28、SL34
精製方法:ウォッシュト
テイスティングノート:ブラックティーやブラックカラントのようなアロマ、グアバのようなジューシーで甘酸っぱい味わい、後味に蜂蜜のような甘さが続いていきます。
編集長のコメント:
ケニアといえば鮮やかな酸味が魅力だと思っていますが、このコーヒーも綺麗な酸味が特徴的でした。豆を挽くと、グミの実を潰した時のような甘酸っぱい香りがします。秋ごろになると食べ頃になっていた実家の井戸のそばにあった大きなグミの木を思い出し懐かしい気持ちに。そしてシナモンロールのような、スパイス感のあるパンの焼き上がりのような匂いがしました。ほっこりしたところでまず一口。その鮮やかで瑞々しい液体に全身が喜びで身震いするような感覚。大好きな青リンゴのグラニースミスがすぐに思い浮かびました。それを丸かじりしているような弾けるフレッシュさがたまりません。刺々しい酸味ではなく、体によく馴染むような塩梅で、続けて感じるサラッとした蜂蜜のような甘さが極上の緩急を舌上で演出してくれます。あんずのようなストーンフルーツを食べ終わった後のようなニュアンスもありました。温度が下がってくると、フルーツウォーターのようなジューシーさとクリーンな味わいで、レモンやレモンピールの風味やハーブ感も。ケニアっぽさを存分に感じる、大好きな味わいでした。ごちそうさまでした! 飲んでみたい方はこちらから。
What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること
今週のStandart Communityではコミュニティメンバーおすすめのデカフェコーヒーがシェアされました!年々高まるデカフェの需要。健康上の理由からカフェインの摂取量をコントロールしなくてはならない人にとって、美味しいデカフェコーヒーはまさに救世主😍
先週のニュースレターの中でも少しご紹介しましたが、第24号のStandart Japanでパートナーを務めてくれたスペシャルティ・カフェインレスの分野を牽引するスイスウォーターの記事もジャーナルにアップしています。この記事では、一日中コーヒーを楽しむための選択肢としてのカフェインレスコーヒーの需要が、今後日本でも増えていくであろうその理由を教えていただきましたので、ぜひチェックしてみてくださいね👍
※Standart Japan定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『ジャズ・カントリー』
少し前に京都を旅行したときに珈琲山居さんで購入した中古本。個人的にジャズが好きだからという理由だけで買ったら、あまりにおもしろすぎて帰りの新幹線で一気読みした作品です。(よくよく調べてみると、発売当時「最高の青春小説」として話題になった作品らしい)
主人公はニューヨークで繰り広げられるジャズの世界に魅了された16歳の白人トランペッター・トム。大学進学かプロのジャズ演奏家を目指すかを悩むなかで様々なミュージシャンたちと出会い、彼らの影響を受けながら成長する心の軌跡をナイーブに描いた青春物語。ミュージシャンとしての実力への不安や同世代のライバルとの関係といった青春作品としての要素も含みつつ、白人というアイデンティティと黒人中心のジャズコミュニティとの間で生じる葛藤には、この本が出版された1960年代中盤というアメリカの時代性も反映されているのかもしれないと考えさせられました。あきらかにセロニアス・モンクであろうピアニストの登場や著者のナット・ヘントフが有名なジャズ批評家であるにもかかわらず作中で批評家を批判している点など、個人的にツボな要素ばかり。漫画『ブルージャイアント』が好きな人は、夢中になることほぼ間違いなしです。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
Peter Weilenmann Yamazaki(ペター)
スウェーデン出身、4歳までプエルトリコで育ち、20歳のときにロンドンに移り住み、美術写真を学びながらバリスタとして働きはじめました。2014年にオールプレス・エスプレッソが清澄白河にオープンしたタイミングで日本に移住。最初はヘッドバリスタとして勤務し、その後徐々にロースター業にシフトしていき、直近7年間はヘッドロースターとして働いています。
5 questions
今気になっている問いは?
これは日本でもヨーロッパでも見られることですが、コーヒー業界や業界周辺の人々がシングルオリジンを強く賛美していることに興味があります。誤解しないでほしいのですが、ぼくはコーヒーラバーとしてシングルオリジンのコーヒーが大好きです。ただロースターとしては、だれかが栽培して加工した豆を焙煎するだけでは、創造的な満足感を得ることが難しいと感じるときもあります。その豆の良さを際立たせることはできますが、そのコーヒーに新たな価値を加えたわけではないからです。ぼくはロースターである自分をシェフのようにも捉えていて、様々なフレーバーを組み合わせてブレンドを作っていくことにより大きな満足感を覚えます。
お気に入りの場所は?
東京やロンドンのような大都市に住むのが好きですが、毎年機会を見つけては海辺のビーチに行くようにしています。多分プエルトリコにいた頃に、カリブ海のビーチで育ったことが関係しているのかなと。広い海からはパワーをもらえるし、スウェーデンに住む家族、そして大好きなコーヒー生産国とのつながりを感じられる気がします。
譲れないこだわりは?
とにかく発酵に夢中で、乳酸発酵から味噌やナンプラーまで何でもやっていて、カフェメニューのレシピの中でも使っています。ここ数年は麹を使うことに特にハマっていて、発酵に最適な麹を作ろうとヒノキで麴室を自作しました。
今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?
2009年にスウェーデンのバリスタチャンピオンになった友人のマティアス・ビョークランドです。ぼくらは二人とも写真畑出身で、ロンドンでは「The Bench」というコーヒーバーを共同経営していました。暇な時は店の外のベンチでコーヒーを飲みながら、話をしたり、人々を眺めたり。もう何年もそんなことはしてないですね。
あなたにとってのお気に入りのレシピは?
最近肉じゃがの新しいレシピを作ったのですが、これが日本料理とスウェーデン料理の完璧なマリアージュになっていて。Tallskogenでは、オープンサンド用に黒パンを作り、余ったパンは米麹と混ぜて常温で3ヶ月ほど発酵させて味噌にしています。この味噌をジャガイモ、牛肉、タマネギ、ニンニク、エストラゴンと混ぜてシチューにするんです。早く寒くなるのが待ち遠しいです、そのころにはやっとカフェで提供できると思いますし。
Fancy a refill?
編集後記
「うわー今日疲れたー」ってときにスパイスカレーを食べるとなぜかちょっと元気が出るんですよね。イメージ的にはポパイがほうれん草を食べたときのアレです。ぼくの場合は曲がってた姿勢が若干伸びる程度ですが。
Takaya
今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第25号スポンサーのPostCoffee、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、TYPICA、セラード珈琲、Probat x DKSH、SYU HA RIのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi & Nanako)