#160: 消毒、ラウンジ、コーヒー

#160: 消毒、ラウンジ、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週は雑誌記事の撮影をいくつか行いました。Standartはフルリモート企業で、チームメンバーは様々な国やタイムゾーンで生活しています。それもあって、クリエイティブチームのメンバーが常に撮影現場に同行することは難しいので、基本的にコントリビューターであるフォトグラファーが一人で撮影現場に向かいます。

この方法には一長一短あるのですが、これまでの経験上、撮影内容のディレクションが事前にしっかりと共有できていれば、フォトグラファーの感性が色濃く現れたアウトプットが出来上がります。また撮影対象者との現場でのコミュニケーションもスムーズになることが多いです。我々の意図を汲み取って撮影に臨み、独自の視点と感性で素晴らしい仕事をしてくれるフォトグラファーの皆さんは、質の高い読書体験をStandartが届けるためになくてはならない存在です。

ただ、様々な要因で撮影がうまくいかずに撮り直しになることもあります。撮影後に写真が納品される時はいつも、ワクワクの中に少しドキドキが混じった気持ちでファイルを開いています。今週はその撮影内容をフォトグラファーや撮影対象者に共有する作業や、撮影時に使用するプロップなどの準備、撮影現場の手配などに奔走しました。来週、写真の出来上がりが楽しみです。

SCAJの準備も最終段階となりました(9/27〜開催!)。先週のニュースレターでもお伝えしたように、イベントに向けてThe Weekend Brewの紙版である「号外」を作成していて、今週は無事に印刷手配を行いました。雑誌同様に、出来上がった実物が手元に届くまでは心落ち着かないものですが、なんとか間に合いそうで安心しています。毎週末にお送りしているこのニュースレターとはまたちょっと違う楽しさがあるので、会場にてぜひゲットしてくださいね。(ちなみに今回、限定グッズも作成しているのでお楽しみに!)

今週はその他に、第24号のStandart Japanでパートナーを務めてくれたスペシャルティ・カフェインレスの分野を牽引するスイスウォーターの記事をジャーナルにアップしました。一日中コーヒーを楽しむために、増えてきた美味しい選択肢としてカフェインレスのコーヒーの需要がこれからさらに日本でも増えていくであろうその理由を、同社のマーケティングディレクター、エリン・リードさんにお聞きしました。コーヒーブレイクにでも、読んでみてくださいね。

それでは皆さん、良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

アップサイクルの新たな兆し

コスタリカ大学が発表した最新の研究で、コーヒー豆のミューシレージに含まれるポリフェノール成分が細菌増殖を抑制する効果を持つことが分かりました。ミューシレージとは、コーヒーチェリー内部の生豆を覆う粘着質の膜のこと(サーカスコーヒーコーヒーさんのこちらの記事では写真付で説明されています)。コーヒーの精製段階に発生する副産物の中でもあまり脚光を浴びてこなかったミューシレージですが、今後本研究をきっかけにヘルスケア領域で注目を集めるかもしれません。

今回の研究で、ミューシレージに含まれるポリフェノール成分が、食中毒の原因となるセレウス菌をはじめ、食品腐敗につながる8種類のバクテリアの増殖を防ぐことが分かりました。さらに特筆すべきは、このポリフェノール成分がヒトに有益な腸バクテリアには抑制作用を持たないということです。この結果を踏まえ、将来的にはミューシレージを活用した抗菌剤や消毒薬品の開発が期待されており、現在研究者たちは同成分のさらなる分析を進めています。

コーヒーの精製段階に生じる副産物が新たな価値を持つことで、アップサイクルによる環境的利益だけでなく、生産者にとっての経済的リターンにも繋がる可能性があります。今後の研究の行方に目が離せません。

 

気になるニュース

▷  公益法人グローバルコーヒープラットフォームの2022年度のレポートで、コーヒー生豆企業上位8社が取り扱う生豆の70%がサステナビリティ基準を満たしているとの報告が。なお本レポートにおいては、フェアトレードなどのサードパーティ認証及びネスプレッソAAAプログラムなどのセカンドパーティ認証を獲得している場合、基準を満たしていることになります。

▷ ワールドコーヒーリサーチ(WCR)が、新たなコーヒー品種ポスターを無料公開世界22ヵ国で栽培される100種類のコーヒー品種の血統図が網羅されています。ポスターサイズの選択・ダウンロードはこちらか

▷ 新たな研究で、コーヒーの出がらしが3Dプリンターに必要なフィラメント素材として利用できることが分かりました。従来のPLA(バイオプラスチック)を必要とせず、使用後の素材は自宅でコンポストか粉末状にすれば再利用も可能。また同素材は大半の消費者向け3Dプリンターに対応しているとのことです。

▷ コーヒー科学・情報協会(ASIC)が主催する国際カンファレンスの第29回目がベトナム・ハノイで開催。コーヒーの作物栽培学、化学、テクノロジー、生理的影響の領域における研究発表や、研究者間の交流が行われました。

▷ マレーシアのとあるコーヒーショップでは、オフィスや催事用にアイスコーヒー100杯分の注文も承っているとのこと。ちなみに抽出の様子はこんな感じ。よく見たら、抽出してる場所ってオフィスフロアでは…?

物足りないあなたへ

フェアトレード・インターナショナルと国際企業認証「B Corp」の発行元であるB Labが、スモールビジネス向けのデュージリエンス(事業の人権・環境リスク管理)ガイドを発行。日本航空が、国内線ラウンジで提供されるコーヒーの抽出後の出がらしを再利用したクラフトジンを発売。今月9〜10日にインドで開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では、インド南東部アーンドラ・プラデーシュ州、アラク・バレー産のコーヒーが提供された模様。

コーヒーイベント

▷ 福岡:9/16(土)〜24(日)にART×COFFEE〜アート×コーヒー福岡散歩2023 が開催!

▷ 福島:10/8(日)に、矢吹町にて「SOUTH FUKUSHIMA COFFEE TIME」が開催!

▷ 愛知:10月14日(土)に名古屋市で「珈琲博覧日」が開催!

▷ 滋賀:10/21~10/22に、守山第2なぎさ公園で「COFFEE AND..」が開催!

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

Cinema Coffee Roasters 兵庫地図

このコーヒー屋には、”小さな映画館だった場所でコーヒー屋を始めた”というストーリーがあります。 映画のようにお客様がワクワクしてコーヒー豆を選べたらいいなと思い、当店では、世界各国で厳選された個性豊かなコーヒー豆を取り扱うようにしています。映画のような奇跡と感動を信じて、お客さまとの繋がりを大事に美味しいコーヒーを淹れさせていただきます。

 

生産者イパネマ農園 リオ・ヴェルデ

生産地域:ブラジル ミナスジュライス州 コンセイサン・ド・リオ・ヴェルデ(地図

品種イエローカツアイ種 

精製方法ナチュラル

テイスティングノート
非常にクリーンで、オレンジティーのような優しい甘さと、りんごの様な丸みのある酸が心地よく、 とても上品な味わいになっています。

編集長のコメント:

「綺麗なコーヒーだなぁ」と一口目から感心しました。瑞々しい果実が口に広がるように、スーッと体に染みわたります。綺麗な酸味で、昔メルボルンに住んでいた頃に通っていたマーケットで、よく買っていた青リンゴを思い出しました。ハチミツのようなニュアンスもあり、丸みのある甘さも優しいです。味わいの終盤にはピーナッツのようなコクがあり、口当たりがどこかクリーミーにも感じます。和梨をかじったときにふわりと香る香水のような匂いが、鼻腔の奥をなでる感覚もありました。液体が喉に落ちていくと、アーモンドのような余韻が感じられ、飲み込んだ後もとても長く続きます。飲み始めから終わりまでの全体のバランスが完璧で、朝一の一杯目はこれ以外ないんじゃないかと思うくらい整っていました。いくらでも飲んでいたいコーヒーです。ごちそうさまでした! 飲んでみたい方はこちらから

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること


 

今週のStandart Communityでは、コミュニティメンバーがこれまで飲んで感動したコーヒーを各々紹介してくれました!

ゲシャからご自身で焙煎されたコーヒーまで回答は様々。ちなみに私が最近飲んで感動したコーヒーは、先日開催されたSUMIDA COFFEE&SWEETS MARCHEで購入したKico.nのブラジル・ザロカ農園、イエローブルボン、ナチュラル。遠くにブラジルらしさがほんのり感じられつつも、中米を思わせる美しい酸と信じられないほどのクリア感に感動しました~!

投稿者さんのおすすめは和歌山県で自家焙煎をするtres coffeeさんのタンザニア中浅煎り、ヘジヤ農協のコーヒーそうです。気になる方はぜひチェックして見てくださいね!

 

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

傲慢と善良』 - 辻村 深月

少し前に個人的に開催している読書会で課題本となった恋愛ミステリ小説。普段読まないジャンルの本にも抵抗なくチャレンジできるのが読書会の良さでもあります。ストーリーは、忽然と姿を消した婚約者の女性を探す主人公の男性が、彼女の過去と向き合いながら、自分自身や彼女との関係を見つめ直していくというもの。あまり細かい話をするとネタバレになってしまうので書けないんですが、ミステリでもあり、恋愛小説でもあり、読んだ人だけが最終的にどんな小説だったのかがわかる構成になっています。イギリスの作家ジェーン・オースティンが、18世紀末から19世紀初頭のイギリスの田舎での恋愛や結婚事情を描いた「高慢と偏見」にインスパイアされたタイトル「傲慢と善良」は、現代の恋愛や結婚が持つ問題点や現代社会の生きづらさのようなものを理解するカギになっています。読み進める中で、「それ書いちゃうんだ」と、口には出さないけれど自分が心の中で思っていることを指摘されているような気分にさせるセリフやシーンが出てきて、胸の辺りがチクチクと突かれているような感覚に。読書会では、それぞれの恋愛観や結婚観、性別や立場の違いで、ストーリーの感じ方が全然違うんだなというのが印象的でした。文庫のカバーのイラストが、自分が思い描いているキャラクター像と全然違っていて、もやもやしているのは僕だけでしょうか。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

天野胡美  

大阪の専門学校で2年間コーヒーを勉強し卒業後は地元名古屋のコーヒーショップへ就職。7年間バリスタとして経験。子供の頃から好きだった和菓子を学ぶべく和菓子屋へ転職。2022年に独立し現在は『huu(ふう)という屋号で名古屋を中心に愛知、岐阜にてキッチンカーで「スペシャルティコーヒーと和菓子」の移動カフェを運営。

  

5 questions

今気になっている問いは?

「コーヒーと和菓子というペアリングについて」
このペアリングの魅力を広げたいという想いから今の活動をしていますが、多くの方から言われるのが組み合わせの意外性についてです。どうしてもコーヒーのお供として洋菓子というイメージの方が強いようで「珈琲と和菓子」という暖簾を捧げて営業していると斬新だというお声をいただきます。しかし名古屋には独特なモーニング文化が根付いているので名古屋人は小倉トーストとコーヒーで既にあんことの組み合わせは潜在しているんです。「和菓子」という括りになるとそこの紐付けが難しいようで、一人でも多くの人が受け入れ易い伝え方を日々試行錯誤しています
   

お気に入りの場所は?

「車の中」
ずっと車の免許を持っておらず、キッチンカーを始めると決めてから合宿に行き最短で免許を取得しました。なので一人で運転してどこにでも行けることが未だに新鮮で、自分の小さな城を手に入れた気分で嬉しいです。営業終わりの車内はコーヒーの良い香りに包まれてます。

 

譲れないこだわりは?

「エビフライは尻尾まで食べる」
そもそも嫌いな食べ物がありません。食卓や外食先でもテーブルに並べられた食事は絶対に全て胃袋へ。 なのでもちろんエビフライも尻尾まで美味しく頂きます。あと、尻尾が残っていなければ何本食べたかもバレないので。笑

 

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「疎遠になってしまった過去の友人」
子供の頃、些細なことで喧嘩してしまった友達やどうしても馬が合わなかったクラスメイト。10代の頃は上手くいかなかった人間関係も大人になった今、同じテーブルで向かい合って一緒にコーヒーを飲みながらゆっくり語り合えば、その時と違った関係性が築けたのかもしれないなぁと。コーヒーを嗜む時間にはそういう力があると思います。

 

あなたのギルティプレジャーを教えてください。

「愛犬の柴犬の匂いを嗅ぐ」
口周りや肉球、耳、頭、おしり… 全身くまなくクンクンします。不思議なことに毎日香りの強さが違う。特に香りの強い部分が大好物で、愛犬の耳の中に自分の鼻を埋めて大きく深呼吸するのがやめられません。。。

 

Fancy a refill?
編集後記 

先週トラベルカルチャー雑誌『TRANSITの15周年ローンチパーティーに伺いました。雑誌の制作工程をまとめたパネル展示や、世界各地を取材した際のビハインドシーン動画、選書や物販まで、編集部の日々の景色を追体験しているような空間に終始興奮しっぱなし。そして旅先のお土産を集めたという「旅の蚤の市」の会場に入ると、「こんなに素敵なものが、こんなお手軽な価格で...!!!」とボルテージMAXに。帰宅後、旅の余韻に近い充実感に包まれました。本当に行ってよかったです。編集部の皆さん、開催ありがとうございました!(写真は旅の蚤の市で購入した品々)

Takaya

 


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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第25号スポンサーのPostCoffee、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業TYPICAセラード珈琲Probat x DKSHSYU HA RIのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi & Nanako)