#158: 舞踊、マッシュルーム、コーヒー

#158: 舞踊、マッシュルーム、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週は、月末に開催されるSCAJの準備を急ピッチで進めながら、次号の制作に取り組んでいました。Meet Your BaristaやMeet Your Guestのインタビューを行い、お話をベースにクリエイティブディレクターのKirillとビジュアルのアイディアを固めていきました。

いつも面白いなぁと思うんですが、インタビューをしているとなぜか最近気になっていることの答えや気づきが話の中で見つかることがあります。無意識にそういうお話を聞こうとしているのか、その話の中から自分で答えを見つけ出そうとしているのかはわかりません。でもそれがインタビュー記事の個性を生み出しているのだと思います。聞いたままの物語を伝えることは難しくありませんが、そこに聞き手の意思や考えが投影されて初めて、良い記事になるんじゃないかと個人的に考えています。

誰かの話を深く聞きながら考えを巡らし、いろんな話が派生して広がりをみせ、新たな興味や視座が生まれるインタビューの時間はいつも本当に楽しいなと感じます(あとでメモや録音した音声を聞いてどうまとめるか頭を悩ませることにはなるのですが)。そんな体験を少しでも雑誌を読んでくださっている読者の皆さんにもお届けできれば幸いです! 最新号のインタビュー記事などのご感想も、ぜひSNSやメール、DMでもいいので、聞かせてくださいね。

今週はStandart Communityでコーヒー with Standartも久しぶりに開催しました。私とカスタマーエクスペリエンスのNanakoと一緒に、読者の皆さんがオンラインイベントに参加してくれました。ご参加ありがとうございます! 最新号から変わったデザインや、ビジュアルコンセプトをどのように誌面で表現しているか、今回のサンプルコーヒーを準備してくれたランビアン・コーヒープロジェクトや生産者の山岡清威さんとの出会いなど、読者の皆さんとワイワイおしゃべりすることができました。こういう機会にいただけるフィードバックやご感想が、新しいアイディアやさらに雑誌をより良いものにしていく原動力になります。

また次回開催するときは、ぜひコーヒー片手にお気軽にご参加いただけると嬉しいです。

それでは皆さん、良い週末を。

編集長 Toshi 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

サウジアラビアのコーヒータウン

これまでのニュースレターの中でも、急成長を遂げるサウジアラビア王国のコーヒー産業について繰り返し取り上げてきました。世界で再生可能エネルギーへのシフトが議論される中、原油産出量世界第二位のサウジアラビアにとって、コーヒー産業は石油に変わる新たな”ブラックゴールド”。国家の成長戦略の中核を担う重要な産業として、国産コーヒーの生産支援から、海外コーヒーブランドの誘致、コーヒーツーリズム産業の開発など、生産から消費に至るあらゆるセクターへの積極的な投資が行われています。

そんな中、先日サウジアラビアは南西部のバーハ州にコーヒー生産拡大に向けた新たな都市の立ち上げ計画を発表しました。この計画に伴って、農業開発基金とバーハ州・バルジュラシの農業組合との間で、約28億円の融資契約が締結。この融資はプロジェクト全体の60%に当たる資金源となり、約50万本のコーヒーノキの植林、工場や輸送システム、灌漑設備の構築などに当てられることになります。

今年7月には、サウジアラビア政府が100%出資する公的投資基金 (PIF)が、国内のコーヒー生産支援や関連産業の現地化、トレーニング提供を目的とするコーヒーアカデミーの設立も発表ました。収穫まで数年の時間を要するコーヒー生産にとって、先行投資は産業発展の大きなカギと言えます。原油生産に代わるサウジアラビアの新たなブラックゴールドを巡る動きは、今後より一層加速しそうです。

 

気になるニュース

▷  ドイツの国会議員らが、国内の代替ミルクへの税率変更を訴えています。ドイツはヨーロッパで最も植物性ミルクの販売額が高く、国民の28%が少なくとも週に1回は植物性ミルクを飲んでいると言われる一方で、代替ミルクへの税率は依然として19%(牛乳への税率は7%)。この現状から、議員たちは代替ミルクの税率を牛乳と同じ7%にすべきだと主張しています。

▷ 10月1日の国際コーヒーの日に、ICO(国際コーヒー機関)とILO(国際労働機関)が、コーヒーサプライチェーン全体の健全な労働環境の促進を目指すキャンペーン「#CoffeePeople」をローンチ予定です。

▷ コーヒーの出がらしを利用してマッシュルーム生産を行う、ポルトガル・リスボンのアーバンファーム「ナム・マッシュルーム」。国内の大手コーヒー企業と連携してコーヒーの出がらしを回収し、栽培したマッシュルームは農園から15km圏内のレストランに販売。生産時に発生した廃培地などの副産物は、自治体によって市内の庭園の肥料に使われます。

▷ 南アメリカ大陸北東部に位置するガイアナ共和国が、国内のコーヒー産業の復興・拡大に向けた計画を進めている模様。同国の農業大臣は、先住民コミュニティの農業の発展という大きなビジョンに向けて、現在米州農業協力機構との連携を図っているとコメント。

▷ コーヒーを愛する舞踊集団「ワカバコーヒー」による新作公演「おどらない、からだ」が、9月29日から10月1日まで東京・高架下空き倉庫にて上演予定9月30日には誰でも参加可能なワークショップもあるみたいです(コーヒーワークショップではない)。

物足りないあなたへ

ブルーボトルコーヒーとミュージシャンのザ・ウィークエンドのコラボプロジェクト「サムラ・オリジンズの第二弾として、インスタントコーヒーとコラボアイテムが発売。今夜の夕食のサラダドレッシングに、コーヒーヴィネグレットソーはいかが?

コーヒーイベント

▷ 京都:9/9(土)〜10(日)に「Enjoy coffee time in 京都ビル」が開催!

▷ 長野:9/30(土)〜10/1(日)に「長野コーヒーフェスティバル」が開催!

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

Amill Coffee 山口(地図

アミルコーヒーは山口県周南市の政所という小さなまちにある自家焙煎コーヒー店です。2021年4月にオープンしました。 Giesen W6Aで日々焙煎しています。風味と甘さが広がり余韻の心地よいコーヒー作りを心がけています

 

生産者ワチュリ生産者組合

生産地域:ケニア ニエリ(地図

品種Ruiru11、SL28、Batian

精製方法ウォッシュト

テイスティングノート
フローラルアロマ、グレープフルーツ、キャンディーのような甘味、鮮やかな酸味

編集長のコメント:

半年以上ぶりのケニア。個人的に大好きな産地ということもあり早くも胸が高鳴ります。挽いた豆はしっとりと空気にまとわりつくような木やスパイス感があります。一口啜ると、柑橘系のフルーツをギュギュッとスクイーズしたような瑞々しさと活き活きとした酸。熟れて食べ頃のグレープフルーツやオレンジを思い出しました。柑橘系の果物の皮に爪を軽く立てた時にふわっと香る、果実とハーブが混ざり合ったような複雑なアロマが鼻に抜け、なんともいい心地よさです。そして波のように口全体へ広がる甘さ。きび砂糖を彷彿とさせ、後からチョコレートの後味のような舌に残る余韻が印象的でした。全体を包み込むような力強い甘さは、初めは軽やかに感じたコーヒーに重量感のある味わいのレイヤーを加えてくれて、肉付きのいい果実にかぶりついているような満足感を与えてくれます。夏の終わりにぴったりだなぁと感じました。ごちそうさまでした!飲んでみたい方はこちらから

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

今週のStandart Communityでは、スペシャルティコーヒーショップのみを掲載したカフェ検索アプリSpecilico(スペシャリコ)をご紹介いただきました!

グルメサイトで高評価のカフェのコーヒーがいまいちだった、 「地名+コーヒー」で検索しても有名チェーン店しか見つけられないなど、コーヒーラバーであれば一度は直面するであろう問題を解決してくれるアプリ。

現在は開発者である投稿者さんが一人で全国のコーヒーショップの情報収集をしているそうですが、利用者もアプリ内から掲載店舗の提案が可能とのことです。ぜひ皆さんのおすすめ情報もシェアしてみてはいかがでしょうか?🙋🙋‍♂️

アプリのダウンロードはこちらから👇

iOS版 / Android版

 

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

säje

4人組ヴォーカル・ジャズ・アンサンブル・グループ「Säje(セージュ)」の待望のデビュー作。メンバーは、ジャズ・シンガーのSara Gazarek、ヴォーカル・アンサンブルを専門とするアレンジャーのAmanda Taylor、サウンド・テラピー・プラクティショナーの資格も持つSSWのJohnaye Kendrick、Amber Navranとの共作やJacob Collierのツアーメンバーとしても知られ、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の教授も務めるErin Bentlageの4名。グループ名のSäje(セージュ)は、メンバーの名前の頭文字をとって付けられました。デビュー作となる本作には、Jacob CollierやトランペッターのAmbrose Akinmusireらがフューチャリング。バックバンドには、Sam Gendelとの共演でも知られるジャズドラマーのChristian Euman、パーカッションに小川慶太を迎えるなど、今をときめく豪華アーティストたちが名を連ねます。どこまでも広がっていく感情の景色を旅しているような繊細で力強いサウンドに思わず聞き惚れること間違いなし。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

大島 睦美 aka むっちゃん 

1990年生まれ、静岡県沼津市出身。 足立区古千谷本町にある「全學寺」を拠点に、スペシャルティコーヒーを無料で淹れる“フリーコーヒー”を週1で開催する「ゼンガクジ フリー コーヒースタンド」オーナーバリスタ。 コーヒー豆やスペシャルティチーズケーキなどをオンライン販売する“コーヒータイム”のブランド「Masako Mutsumi by Zengakuji free coffee」コンセプター。

  

5 questions

今気になっている問いは?

「“フリーコーヒー”をより楽しむには?」
スペシャルティコーヒーを無料で淹れるフリーコーヒーのコミュニティを5年以上続けてきて、その間でたくさんの素敵な人たちと繋がることができました。 「スペシャルティコーヒーを“モノ”から“コト”へ」と思いながらフリーコーヒーの活動をする中で、どうすれば“コト”がより楽しくなるか?をいつも考えています。
   

お気に入りの場所は?

「新婚旅行で行ったイタリア」
イタリアにはたくさんのバールがあって、そこでは店主と楽しそうに会話をしながらカプチーノやエスプレッソを飲んでいる街の人たちがいて、その日常的な風景がとても素敵でした。 まだフリーコーヒーを始める前で、私も美味しいコーヒーと共にこんな素敵な空間を作れたらいいなぁと思いました。

 

譲れないこだわりは?

「家族との時間を大切に」
家族との時間を大切にしてこそ、自分のコーヒーの活動を通して誰かに小さな幸せを感じてもらえるかなと思っています。

 

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「家族4人が集まるコーヒータイムが楽しい」
最初は自分のためにコーヒーを淹れ始めます。すると、「ちょっとちょうだい」と言って、それを飲みたがる夫。実はコーヒーが苦手ですが、私が淹れるコーヒーは美味しいと飲んでくれます。そして、私が楽しそうに淹れるから興味津々で一緒にドリップをやりたがる6歳の長男、さらに、それを面白そうに見つめている2歳の次男。 家でコーヒーを淹れると、家族が集まってきて楽しい時間になります。

 

最近のやらかしエピソードを教えてください。

今年8月に日本橋兜町での出張フリーコーヒーを行った時、事前に用意しておいたコーヒーを飲んでもらうためのカップをまるっと忘れてきてしまい、近所のコンビニに(夫が)買いに走りました!笑 忘れ物が多いので、気をつけます。

 

Fancy a refill?
編集後記 

今日は友人宅でシナモンロール作りに挑戦。はじめに「え、ほんとにあってる?」と心配になるほどの大量の砂糖を使って生地とシナモンペーストを作成。その後、生地を伸ばしてペースを塗り、丸めていい感じのサイズに切っていきます。そしてこの文章を書いている今は、生地を約2時間寝かせている真っ最中。後ほどどんなシナモンロールが焼きあがるのか、楽しみでしかたないです。(写真は丸めて切った後のシナモンロールの生地)

Takaya

 


今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第25号スポンサーのPostCoffee、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業TYPICAセラード珈琲Probat x DKSHSYU HA RIのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi & Nanako)