おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
ようやく夏風邪から回復して元気になりました。コーヒーが美味しく飲めるって最高だと思いながら、毎朝のモーニングルーティーンを楽しんでいます。
今週は、次号の制作を進めつつ、来月の9/27から開催されるSCAJ(日本最大級のコーヒー展示会イベント)に向けての準備も進めていました。毎年参加させてもらっているCoffee Villageは、今年は9/28(木)〜30(土)の3日間で開催されるそうです。日本全国から小規模のロースターやカフェ、その他のコーヒー関連サービスが参加するCoffee Villageは毎年出店者も来場者も増えていて、かなり盛り上がるんですが、今年は初めて土曜日も開催されるということで、コーヒーフェス的な盛り上がりを見せてくれるのではと期待しています。どういう雰囲気になるのか、今からとても楽しみです。みなさんご都合合う方はぜひご来場くださいね。
そして、オンラインイベントのご案内。9/1(金)にStandart Communityで「Coffee with Standart」を久しぶりに開催しますよ! Standartのメンバーと読者の皆さんと一緒にコーヒーでも飲みながらお話しましょうというゆるい企画。20:00からなので、もしお時間合う方がいましたら良ければご参加ください。
それでは皆さん、良い週末を。
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
遺伝子証明のお墨付き
非営利団体ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)が、アラビカ品種の遺伝子情報をまとめたデータベースの無料公開を開始しました。公表された遺伝子データは、サンプルの遺伝子情報を識別するSNPマーカーを用いたコーヒー品種の検証に利用できます。今後定期的にデータベースの更新・追加も行われる予定で、民間および公的研究機関が自由にアクセスできるオープンリソースとしての活用が期待されています。
WCRの発表によると、コーヒー品種の遺伝子証明は、他の作物と比較しても費用が非常に高く、アクセスできる人が一部に偏っていたことが問題視されていました。実際に品種情報と遺伝子証明の関係性を調べた過去の研究では、88のゲシャ種サンプルの内、遺伝子情報が一致したものはたった39%だったという報告も。こうした現状を受け、WCRは遺伝子証明のコスト低下と業界内への浸透を目的に、遺伝子データの無料公開を実施しました。今後このデータベースはエルサルバドルでの展開が予定されており、10年間で国内に1億5,000万本以上の苗木の生産・流通を掲げる同国での苗木の品種証明に使用される見通しです。
以前のニュースレターで紹介したイエメンの事例にもある通り、植え付けから収穫までが長期サイクルで回るコーヒー栽培において、品種情報を知らずに苗を植えてしまうことは長期的なリスクに繋がる恐れがあります。特に気候変動が深刻化する今日、その土地と気候に応じた品種の選択を行うための知識の民主化が各地で求められています。
気になるニュース
▷ ロイヤルメルボルン工科大学の研究チームが、コンクリートの製造時にコーヒーの出がらしでできたバイオ炭を加えることで、コンクリートの強度が約30%上がることを発見しました。この発見によって、従来のコンクリート製造に用いられてきた天然砂の代替素材になる可能性が挙げられています。
▷ 英国の高級スーパー「ウェイトローズ」が、万引き防止に向けたイニシアチブとして、警察官へのコーヒーの無料提供と商品の割引を開始。コーヒーを飲みたい警察官が(結果的に)店舗を"巡回"することで、万引きの未然防止を目指すのこと。
▷ プーアル茶やコーヒーの生産が盛んな中国・雲南省南西部の街、普洱(ふじ)市。今年上半期、同市のお茶・コーヒー関連の観光客の受け入れ人数が、前年比51%増の2772万人を記録。観光収入も前年比78%増化を記録しており、同市のアグリツーリズムの成長がうかがえます。
▷ スターバックスが、中国・深圳市にテック&イノベーションセンターをオープン予定。店舗運営のオート化やサプライチェーンのデジタル推進、パーソナライズにおける顧客エンゲージメントの改善に向けた拠点になるとのこと。
▷ コーヒーにマヨネーズを入れることで知られるNFL選手ウィル・レビスが、ユニリーバ傘下のマヨネーズブランド「ヘルマンズ」と生涯契約を結んだとの報道が。記者会見の映像では、コーヒーやマフィンにマヨネーズをかけるレビス選手の日常が垣間見えます。
物足りないあなたへ
東京・リトルダーリン・コーヒー・ロースターズにて、ORIGAMIドリッパーを用いたオフィシャルコンペティション「ORIGAMI CUP TOKYO 2023」が9月26日に開催。既に競技者参加枠は埋まっていますが、一般ビジターは無料入場が可能。さらにこちらのページから大会限定カップ(3oz)を事前購入すると、当日競技者のコーヒーの飲み比べもできるそうです。
コーヒーイベント
▷ 京都:9/9(土)〜10(日)に「Enjoy coffee time in 京都ビル」が開催!
▷ 長野:9/30(土)〜10/1(日)に「長野コーヒーフェスティバル」が開催!
※日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jp)でぜひシェアしてください!
What We're Drinking
今週のコーヒー
Supple Coffee Roasters 岐阜(地図)
岐阜県郡上市内のロースター。店内では、店の横を流れる吉田川を眺めながらコーヒーが楽しめます。コーヒーも時代も常に変化する中で、芯は変わらずに良いと思ったことはどんどん吸収していける、そんな柔軟(supple)なロースターを目指しています。
生産者:エステバン・ヴィラロボス・コラレス
生産地域:コスタリカ ウェストヴァレー(地図)
品種:Hybrid 17(Ethipian and catuai)
精製方法:アナエロビック・ナチュラル
テイスティングノート:レーズン、ハニー、チョコレート、シナモン、カルダモン、ラズベリー、プラム、バナナ、ワイニー、シロップ、ヴァイブラント
編集長のコメント:
先週風邪をひいてしまって飲めずにいたコーヒー。体調が回復して久しぶりのコーヒーとなり、体の隅々まで染み渡るおいしさでした。袋を開けるとシナモンやプルーンを混ぜたような甘い香りが飛び出してきます。挽いた豆からも微かにシナモン、そしてキャラメルプリンのような香ばしくも甘くどっしり濃密な香り。早く飲みたい衝動を抑えながら、カップにお湯を注いで待ちます。一口すすると、香りから想像していたより軽やかでジューシーな口当たりの液体。「グッと溜めてパンッ」と広がるような、プルーンを思い出す濃縮感、そしてフレッシュなブルーベリーを噛んだ時に弾け出るジューシーな味わいや同時に鼻へ抜けていく華やかさを彷彿とさせてくれる果実味。発酵感をまとったフレッシュなカカオやベリーがふんだんに使われたショコラケーキが頭をよぎります。液体が喉をするりと落ちていくと、鼻に抜けていくシナモンのニュアンス。これが味わい全体の締まりをしっかりと整えてくれていて、シックでアダルトな味わいを生み出しています。とてもおいしかったです。ごちそう様でした! 飲んでみたい方はこちらから。
What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること
今週のStandart Communityでは、Standart Japan 第24号でパートナーを務めてくれたKiguさんからのスペシャルオファーをシェアしました!
海外の様々なメーカーのコーヒーギアを扱うKigu。Standart読者にもKiguのファンは多いのではないでしょうか?Standart読者限定の特別オファーです。気になる方はぜひコミュニティを覗きに来てくださいね!
※Standart Japan定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『マリッジ・ストーリー』
タイトルはマリッジ(結婚)ストーリーですが、実際は離婚のお話。離婚することを決意した一組の夫婦が、離婚のプロセスに戸惑い、子の親として親権やこれからの未来に苦悩する様子を繊細かつ赤裸々に描くコメディ/ヒューマンドラマ映画です。主演はスカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライヴァー。”友達”のような関係になって別れていくのかな、もしかしたらどこかで復縁すんのかなと淡い期待も持ちながら見ていましたが、離婚の過程で、燃えかすとなった愛が姿をじわりじわりと変えて憎しみに変わっていき、夫婦の二人のための離婚だったはずが、二人をもっとも苦しめる結果に。家族がそれぞれを思いやる気持ちはあって、なんでうまくいかないんだろうとやるせない気持ちになります。家庭を持つ者として感情を絶えず揺さぶられるような映画でしたが、ある意味人生に対して前向きになれる作品でもあり、泣いて笑って悶えて温かくなる映画でした。ちなみに監督は、「イカとクジラ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」、「フランシス・ハ」、「マイヤーウィッツ家の人々」などを手がけたノア・バームバック。青春ものと家族ものにはとにかく弱い僕としては、家族をテーマにしたものが多い彼の作品たちにはついつい手が伸びてしまいます。しかもどれもリアルで辛辣ながら思いやりが溢れ、クスッと笑えるような独自の視点があって素晴らしいです。こちらも併せて良ければぜひ。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
石原 匠真
1996年生まれ27歳。岐阜県出身。大学生の時に兄からスペシャリティコーヒーを飲ませてもらいコーヒーの世界を知り、TRUNKCOFFEEに入社。現在はバリスタ兼ロースターとして働いています。コーヒーの様々な競技会にもチャレンジしており、Japan Cup Tasters Championship 2022で優勝しました。将来は独立して自分のお店を作るのが夢です。
5 questions
今気になっている問いは?
「JCTC(カップテイスターズ)の地位」
コーヒーの大会でまず注目を浴びるのが、JBC(バリスタチャンピオンシップ)やJBrC(ブリュワーズカップ)のようなコーヒーを抽出する大会を思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか。それはカップテイスターズは競技自体シンプルなルールでありコンペティターがカッピングを淡々と行っているのを見るだけの為少し地味な面があるからだと思います。しかし、結果発表の時の他の競技にはないワクワク感を会場全体で楽しめるのが魅力の一つ。そして、その結果の裏にはコンペティターのとてつもない努力があるのを伝えていきたい。
お気に入りの場所は?
「TRUNKCOFFEE高岳本店」
今でこそバリスタとして働く職場ですが、初めはお客さんとして遊びに来た場所です。 居心地の良さと初めてスペシャリティコーヒーを知ったお店です。そして、素敵なバリスタやお客さんと出会いコーヒー業界にのめり込んでいった場所です。
譲れないこだわりは?
「新しい映像作品をたくさん見る」 アニメやドラマ作品を幼い頃からたくさん見てきました。周りに同じ話題で話せる人もたくさんいるので毎週必ず見るようにしています。
今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?
「トランクコーヒーに通ってくださり大会の応援をしてくださった常連様とスタッフ達」
普段皆さんと一緒にゆっくりコーヒー飲みながらお喋りする機会が無いので、たまにはそうやって座ってゆっくり過ごしたいですね。
最近、何に感動した?
「World Coffee Championships Athens 2023」
私もカップテイスターズの世界大会にチャレンジしたアテネでのコーヒーのイベントです。世界中のコンペティターと繋がり、お互いリスペクトもある中戦ったことが、今まで感じたことのない新しい感覚でした。 結果発表の時のドキドキ感と決まった瞬間、サッカーワールドカップで点が入った時のような盛り上がりがコーヒーの大会でもあり、こんなに名誉あることの決まる瞬間に立ち会えたことにものすごく感動しました。
Fancy a refill?
編集後記
先週は北海道に住む友人とともに道内をロードトリップ。食い、飲み、山を登り、音楽を聴き、温泉に浸かり、語り合い、爆睡し、新たな土地へ向かう。大切な友と過ごしたそんな数日間は、宴という言葉がよく似合う時間でした。今この瞬間、この時間を、腹の底から楽しむ。楽しむことに理由を求めない時間の中で、身体の内から湧き上がるような喜びを噛み締めていました。また違う季節に、違う表情を見せる北海道を訪れたいです。
今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第25号スポンサーのPostCoffee、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、TYPICA、セラード珈琲、Probat x DKSH、SYU HA RIのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi & Nanako)