#151: キャビア、ウェルカムボックス、コーヒー

#151: キャビア、ウェルカムボックス、コーヒー

 

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週は、次号の校了最終WEEKで慌ただしい週でした。印刷が間に合うギリギリまで日程を引き延ばして完成度を高めた次号は、色んな想いが詰まった特別な号になっています。

並行して、定期購読者の皆さんについてくる付録のサンプルコーヒー豆の準備も進めています。次号のサンプルコーヒー豆は、実は昨年から計画していたもので、念願叶ったコラボレーションが実現しています。個人的にも待ち遠しく、楽しみにしていてもらえると幸いです。

そして最後に、今週、最新号のStandart Japan(24号)についてきたスクラッチカードの当選者の発を行いました。Etzinger etz-Iをゲットしたラッキーな小林さん、この場を借りて改めておめでとうございます!🥳 スクラッチカード好評だったみたいなので、また何かの機会にやってみたいなと思っています。

今週はちょっと短めですがこの辺で。良い週末を!

 
編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

関係性のあり方

インド・ベンガルールを拠点に、南インドの先住民族農家が生産するコーヒー豆の販売を行うコーヒー企業「ブラックバザコーヒー」。創業者のボセさんは、ケンブリッジ大学の博士課程で、「コーヒーの認証制度が農家の生活向上、または環境に配慮したコーヒー生産を促すか」をテーマに、インド最大のコーヒー生産地の一つコダグ地区での調査を開始。その結果、認証制度がインドのコーヒー農家の生活向上にも、環境保全にも結びつかないという研究結果が明らかになりました。ボセさんはこの経験を機に、社会的企業「ブラックバザコーヒー」起業を決意したと言います。

認証制度の大きな問題の一つとして挙げられているのが、認証取得に要する農家の金銭・作業コストです。しかも仮に認証を取得した場合も、人里離れた山岳地帯でコーヒー栽培を行うインドの小規模農家の大半は、バイヤーとの接点が少なく、結果としてバイヤーが提示する金額での取引に応じざるを得ない環境が常態化していると言います。さらに、歴史的にアグロフォレストリー農法を採用してきた国内のコーヒー農家は、既存の環境認証の基準を既に満たしているため、認証取得が必ずしも生物多様性の保全・回復には結びつかないという構造も浮き彫りに。こうした制約を踏まえ、ボセさんは民間部門の立場から、コーヒー生産者を中核とする社会モデルの構築に乗り出しました。具体的には、歴史的に自然との共生を重視する先住民族のコーヒー農家と長期契約を結び、市場価格を大幅に上回る取引価格で継続的な取引を実施。さらに農場での環境保全の実績を条件に、農家は品質・生産力向上に向けた援助を受けられるという支援体制を構築しました。そして、これらの活動に共感するロイヤルカスタマーの獲得に企業として注力することで、コーヒー農家との高い取引価格の維持し、ビジネスとしての循環を実現しているのです。

以前のニュースレターの中ではインドのコーヒービジネスの現状について紹介しましたが、改めてインドの生産地としての動向についても、引き続き追っていきたいと思います。

 

気になるニュース

▷  ワールドコーヒーリサーチの発表によると、今後コーヒー産業が存続していくためには、年間626億円以上の研究開発投資が必要であるとのこと。ほぼ全ての資金は、歴史的に過小投資が続くグローバルサウス(アフリカ・ラテンアメリカ諸国)での農業研究・開発費として、産地の多様性の保護、コーヒー農家に向けた気候変動支援に当てられる必要があるとのことです。

▷ 西アフリカスペシャルティコーヒー協会(WASCA)が、ナイジェリアとカナダの二国間コーヒー貿易の強化、及び国際市場におけるナイジェリア産コーヒー製品の販売促進を目指す戦略的パートナーシップを締結しました。

▷ 現在カリフォルニア大学デービス校の研究チームが、コーヒーの出がらしなどの農業副産物を利用して菌を培養し、培養食品へと加工する技術を開発中。過去には、農業副産物から培養キャビアの加工に成功したのだそう。

▷ ベトナム航空が機内コーヒーメニューの強化を発表。国内・国際線のビジネスクラスを対象に、バックシウ、カフェスアといった本格的なベトナムコーヒーの提供が開始されます。

▷ メタを率いるマーク・ザッカーバーグ氏が、自身のThreadsアカウント上で「自分は日々カフェインを摂取していない」と公言しました。この投稿によって、コーヒーラバーのThread参加率が下がったかも…?

物足りないあなたへ

ANAインターコンチネンタルホテル東京が、コーヒー専門店兼バー「ブリュワーズコーヒー&バーをオープン。ハリオとORIGAMIがグラスコーヒーサーバー共同開発。コーヒーメディア「フレッシュカップ」が、新規コーヒーショップもしくは今後1年以内にオープン予定のコーヒーショップに向けて、ウェルカムボックスの無料配布を開始。残念ながら対象エリアは米国限定だそうです。

コーヒーイベント

▷ 熊本:ブラジルのコーヒーに特化したBrazil Coffee Festivalが、明日熊本の早川倉庫にて開催!

▷ 大阪・東京:WBC 2023 Athensでも多くの競技者が使用していた新しいBarista Hustleのツール「Auto Comb」。開発者であるMatt Pergerさんが来日してトークイベントを開催!(7/18&20)

▷ 高知:7/22~23に、高知蔦屋書店にて「KOCHIi ICE COFFEE FESTIVAL」が開催予定現地ではアイスコーヒーの飲み比べもできるそうです。まさに夏ならではのイベント!

▷ 東京・大阪・福岡:8/9(水)に、ジャパンエアロプレスチャンピオンシップ主催のローストチャンピオンシップが日本3ヶ所で開催予定。大阪・福岡会場では、まだ参加枠が残っているようです!(7/14時点)

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

Seven Years Coffee 東京(地図

Coffee Roasterとして世田谷・松陰神社前を拠点に2021年スタート。一杯を通じて出会う「時間」をテーマに、浅煎りをメインに取り扱う。 106 coffee stand and mens salonというヘアサロンに併設のカウンターで毎週3回の出店と、国内のコーヒーショップやバーなどへの焙煎豆の提供、開業サポートやトレーニングを行う。

 

生産者:Y.C.F.C.U. (Yirgacheffe Coffee Farmers Coop.Union)

生産地域:エチオピア・イルガチェフェ(地図

品種:エアルーム

精製方法:ウォッシュト

テイスティングノート
:ジャスミン、アールグレイ、ピーチ

編集長のコメント:

お湯を注いだカッピングボールからは、ハチミツのような甘くて微かに花の香りがするアロマ。一口啜ると、まずその出汁のような奥深さや旨み感が体を駆け巡ります。そしてズブズブと体がその液体の中に沈んでいくような、包み込まれるような不思議な感覚。ベルガモットを彷彿とさせる、柑橘とハーバルかつフローラルさを強く感じます。パイン株式会社のパインアメも、懐かしさと共に頭をよぎりました。強くしなやかな甘さが特徴的で、なんでこんなに甘く感じるんだと不思議なくらいです。少し温度が下がってくると、後半にかけてブラックティー、白桃のようなジューシーな味わいが感じられるようになります。一番印象的だったのは、舌に'乗る'ような質感。前述のフレーバーの飴玉をコロコロと舐めているような感覚さえあります。そのせいか、感じられるフレーバーもとても長い余韻が残りました。一口目からもうこれ絶対好きなやつだと思ってましたが、気づけばカップが空になるくらい、スルりと飲み終えました。ごちそうさまでした! 飲んでみたい方はこちらから。ちなみに、届いたパッケージがブラウンバッグに入っていて、なんかちょっとパン屋さんでクロワッサンを買ったみたいで可愛いかったです。 

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

7月8日(土)にStandart Japan 第24号に掲載の「Shout! 」のスピンオフ企画として、Click Coffee Worksの古賀 由美子さんをStandart Communityへお招きしてオンライントークを開催しました!コーヒーショップで過ごす「余白」やサービスの持つ可能性など、実店舗を持たずに活動する古賀さんならではの視点でお話いただきました。

後半では「サービス」をテーマにCommunityメンバーとの意見交換も実施。バリスタと消費者それぞれの目線から、ご自身の体験したサービスやサービスについての考えが語られました。案外、議論されることの少ないコーヒーショップでの「サービス」。あなたには心に残るサービス体験、ありますか?

※オンライントークの音声データとテキストは、後日アーカイブアップします!ご参加出来なかった方はぜひチェックしてみてくださいね!

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

I Smile

アメリカゴスペル界のカリスマ的存在、カーク・フランクリンが2011年にリリースした楽曲。ゴスペルにヒップホップを取り入れた、どこかストリート感覚のある彼の楽曲の数々は、伝統的なゴスペルをより身近に感じられると、全米で大人気。女性コーラスと共に力強く歌われる「I Smile (笑うんだ)」という歌詞を聴くと、自然と口元の筋肉が緩んできます。

この曲を初めて聴いたのは5年ほど前。コーヒーショップでたまたま隣り合わせたお客さんから教えてもらったことがきっかけでした。結婚式で流すゴスペル調の音楽を探していたところ、結婚式なら間違いなくこの曲とおすすめしてくれたのが「I Smile」。不思議とその日に飲んだコーヒーの味がよみがえってくるのが、音楽の面白いところ。そして、コーヒー以外のものとも出会える可能性があることが、コーヒーショップの大きな魅力の一つであると、Spotifyから流れてくるこの曲を聴いてしみじみと感じました。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

山口 ももこ aka MOMO

1992年東京生まれ
高校卒業後アパレル業界で働く。初めて行ったニューヨークのコーヒー屋で感銘をうけ、帰国後コーヒーショップで働き始める。24歳の時に兄弟が遊び場で借りていたアパートの駐車場の敷地が空き、自分でやってみようと思い25歳の時にキッチンカースタイルのGINZAN COFFEEを始める。年内から焙煎を始めるために準備中。

5 questions

今気になっている問いは?

「30代の過ごし方(仕事・プライベート共に)」
30代から人となり・その人の人生が顔にでるらしいので..

 

お気に入りの場所は?

「穏やかな海(国内外)」
旅行に行ったら大体海に行きます。その時悩みがあったとしても、地球規模で考えたら米粒みたいな悩みだなと思ってどうでも良くな

 

譲れないこだわりは?

自分の好きなものを身につける(気分が上がるので)

 

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

今は海外に住んでいる親友

明日地球がなくなるとしたら誰と何をする?

兄弟(家族)と一緒に美味しいご飯を食べておしゃべりする

 

Fancy a refill?
編集後記 

近頃は誕生日にもらった鍵盤ハーモニカに夢中。ピアノと違い、息遣いをベースに強弱をつける感覚が、これまで管楽器の経験の無い自分にとってとても新鮮。単音でもすごく華があるし、楽器自体もとても軽いから、今度散歩がてら公園に持ち出してみようと思います。子どもと犬と一緒に遊びたいな〜。

Takaya

 


今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第24号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Swiss WaterFaema x DKSHFellow x Kiguのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi & Nanako)