#148: 寺院、スイカ、コーヒー

#148: 寺院、スイカ、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週は、福岡の夏の風物詩 COFFEE T-SHIRTS STOREに行ってきました。コーヒー屋さんが作るTシャツを全国から集めたこのポップアップストアは、2016年からスタートして今年で8年目になるそうです。

今年も新しいコーヒーショップが参加されていて、お店によっていろんなカラーがあって見ているだけでも楽しいこの企画。コーヒーラバーはもちろんのこと、Tシャツ好きにもたまりません。僕も気になる一着を今年もゲットしてきました。(昨日早速着ていたら、「それあのコーヒー屋さんのTシャツですよね?」と話しかけられました!こういうところから始まる会話楽しいですよね)

このT-SHIRTS STOREの企画・運営を行うのは、最新号のStandart Japan (24号)のShout!コーナーでシャウトしてくれたClick Coffee Worksの古賀由美子さん。「コーヒー屋よ、ローカルの旗を振れ!」と、コーヒー屋が持つ潜在的な力や地域との関係、そしてホスピタリティについて、読者に疑問を投げかけてくれました。コーヒー業界の方のみならず、他業界で活躍される皆さんにもぜひ読んでもらいたい記事です。

全国にはコーヒーをテーマとした大小様々なコーヒーイベントがありますが、このTシャツストアほどユニークな着眼点で企画されたイベントはあまり見たことがありません。Tシャツをメディアにして全国のコーヒー屋さんを紹介・ファンを増やす、コーヒー愛に溢れた素晴らしいイベントです。6/27(火)まで開催しているようなので、福岡近隣の方や期間中にたまたま福岡にいる方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

最後に、来週はギリシャ・アテネで開催されるWorld of Coffeeに行ってくるのでニュースレターはお休みです。ギリシャでの滞在中は、Standart Japanのインスタグラムで現地の様子をお届けしますので、よければチェックして見てください。また7月に皆さんのメールボックスでお会いしましょう。

それでは今週も良い週末を!

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

コーヒービジネスのプロデューサー

コロンビア最大のコーヒー生産者団体「グリーンコーヒーカンパニー(GCC)」が、シリーズCラウンドにおいて約35億円の資金調達を実施しました。同社は今回の資金調達を通じて、新たにコロンビアでの農地拡大を予定しており、2025年までには世界最大のアラビカコーヒー生産者団体になると言われています。さらに2026年までに株式公開を検討しているとのコメントも。

記事によると、今後GCCはコロンビアでの農地拡大に加え、米国での焙煎施設の立ち上げを予定しているそうです。GCCは本社を米国、活動拠点をコロンビアに置いており、企業として生産から流通までのバリューチェーン全体を網羅しています。コロンビアでの生産力拡大に加えて、より付加価値の付きやすい焙煎事業の強化に乗り出すことで、さらなるキャッシュフローの最大化を目指します。さらに同社は、コーヒーの精製過程で発生したチェリー等を活用した蒸留酒の開発も進めているとのこと。既存事業の拡大と新規事業の立ち上げを並行して進めることで、収益モデルの多角化とリスク分散の両立を図っています。

今後同社が手がけるコーヒーやアルコール飲料を提供する実店舗の展開や小売店での流通強化、コーヒーツーリズム事業への着手など、コロンビア産コーヒーの体験価値を届ける新たな事業の可能性も感じさせます。同社の今後の展開に注目です。

 

気になるニュース

▷  インターコンチネンタル取引所(ICE)が、コモディティ商品を対象とするトレーサビリティチェックサービス計画中。来年12月に施工される新たな法律によって、EU内では森林破壊に繋がるコモディティ商品の輸入が禁止される予定。本サービスでは、ICEが商品データと法律の規定を照らし合わせ、独自の規格チェックを行います。

▷ 市民社会組織「ソリダリダッド」が、世界18ヵ国、約1万人の小規模農家へのアンケート調査結果をまとめたオンラインプラットフォームをローンチ。農家の現状に関するデータをオープンリソースとして公開することで、サステナビリティ関連のイニシアチブに小規模農家の声が反映されるような仕組みづくりを目指します。

▷ ドイツ本社のコーヒー総合商社「ノイマン・カフェ・グループ(NKG)」が、ノルウェーの生豆商社「ノルディックアプローチ」の買収を発表

▷ 足立区古千谷本町にある寺院「全學寺」の副住職夫妻が運営する、コーヒーの無料配布を行う寺院コミュニティ「ゼンガクジフリーコーヒー」。今年は全學寺の駐車場での営業に加え、全国100ヶ所でフリーコーヒーを実施するプロジェクト「めちゃくちゃフリーコーヒー」も開始しました。

▷ コーヒーメディア「スプラッジ」編集部がおすすめする夏のコーヒーレシピは、インフューズドコーヒーならぬコールドブリューインフューズドのスイカ。人生は一度きり、なりふり構わず思いっきりかぶりついちゃえ!  

物足りないあなたへ

東南アジアのニュース・ストーリーを届けるウェブメディア『RICE』で、シンガポールのコーヒーショップ(団地住棟や商業施設などの一画にある店舗スペースの総称)についての記事が公開。フィリピン発のコーヒースタートアップ「ピックアップコーヒー」が、約56億円の資金調達に成功コマンダンテから、ブランド史上最大容量のハンドグラインダー「C60 バラクーダ」 が登場。

コーヒーイベント

▷ 大阪:阪神梅田本店にて、GOOD COFFEE FEST @HANSHIN 2023 summerが開催中(6/14〜19)。大阪初出店のお店もあるそうです!

▷ 福岡:COFFEE T-SHIRTS STORE 2023が、福岡・Stereo Coffeeにて開催中(6/9〜27)!

▷ 東京 :Coffee aid チャリティーイベント vol.3が、7/9(日)に中野セントラルパークで開催予定。現在プロジェクトへの支援も募っています

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

CAMEO COFFEE COMPANY 茨城(地図

2018年3月、美しい海と山に挟まれた美しい茨城県日立市で、地域と日常に根差したコーヒースタンド/ マイクロロースターをはじめました。私達のコーヒーが、誰かが創りたい生活や幸せの一部と重なり、より面白い相乗効果を生むこと、そして、個性豊かなスタッフ皆がそれぞれの良さを活かし、地域にコーヒー+αをお届けすること、そんなコーヒーコミュニティーをつくりたいと思っています。

 

生産者カルロタ・カルデロン氏

生産地域:コロンビア ウィラ県サン・アグスティン、アルト・デル・オビスポ(地図

品種カトゥーラ

精製方法フリーウォッシュド

テイスティングノート
フローラル、グレープフルーツ、ライチ、ブライトアシディティ

編集長のコメント:

豆を挽くとトマトソースで煮たミートボールみたいな香りがしてきて、旨味in the airな感じがたまりません。早速沸いたばかりのお湯をカッピングボールに注ぎ(お湯を注ぐとそんな香りがしないのが不思議)、テイスティングの準備。一口目は、黒い果実を想像させてくれる果実味、そして濃いめのブラックティーが浮かびます。黒糖のような強い甘さが特徴的で、上質な午後の紅茶みたい。コーヒー果皮で作るカスカラティーも頭をよぎります。二口、三口と飲み進めながら温度が少し落ちてくると、味の輪郭が柔らかくなってきました。アメリカンチェリー、濃い味の葡萄の果実、レモン、みかんピールと、次々といろんなフレーバーを連想させてくれます。甘さがしっかり全体の味わいを包み込んでくれていて飲みごたえもあり、飽きさせない味わいの繊細な変化もあり、ウォッシュト好きな僕にはどストライク。コーヒーだけでも楽しめるし、食事中や後でも絶妙にマッチしてくれそうです。こんな一杯が朝出てきたらその日は一日ハッピーだろうなと思わせてくれるコーヒーでした。飲んでみたい方はこちらから

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

Standart Japanでは生理のある人に対してカフェが担える役割について取り上げた、第23号に掲載の「生理とカフェ」をもとに、2023年4月25日~5月24日の期間でアンケート調査を実施し、199名の方からのご回答をいただきました。今週のStandart Communityでは、このアンケート結果をもとに、「生理とカフェ」の著者クロエ・スカイ・ワイザーさんとStandartメンバーで行った鼎談の内容を、コミュニティメンバー限定で公開しました。生理のある方もない方も、ぜひ一度ご覧いただけたら嬉しいです🙇‍♀️

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

アシスタント

先日、NEUT Magazineが主催した試写会に当選し(嬉しい!)、ひと足先に映画『アシスタント』を観てきました。主人公は、有名大学を卒業し、大手エンタメ企業で働き始めた新人アシスタントのジェーン。映画プロデューサーを志望する彼女にとって、業界の有名会長のもとで働ける職場は夢のような環境…だったはずが、そこで待ち受けていたのは、殺風景なオフィスと永遠に終わらない事務作業、それに常態化するハラスメントの数々でした。本作では、憧れの映画業界が抱える闇に搾取されるジェーンの姿を通し、人々を黙らせる組織の仕組みと、それを温存するネットワークの実情を描きます。

キティ・グリーン監督は本作の製作に当たって、膨大なリサーチと当事者らへのインタビューを実施。当初は女性たちの体験談を元にしたノンフィクション作品を想定していたものの、何千ものインタビューを重ねるうちに、ある1人の女性の目を通じて映し出される「一日の(オフィスが開いて閉まるまでの)物語」へと進化していったと述べています。ノンフィクション以上にリアリティを感じる本作の重みは、まさに何千もの体験談というドキュメンタリーによって醸成されていると言えるのです。また、主人公のジェーンという名前は、匿名の女性を指す英語「JaneDoe」に由来しています。あらゆる業界で同様の権力構造に直面し、状況を放置するしかないとあきらめている人物としてスクリーンに映る「ジェーン」は、同時に映画を観ている観客自身の姿にもなり得るのです。

上映後には、ゲストとして登壇した永井玲衣さん、武田砂鉄さんのアフタートークと、参加者を交えての意見交流が行われました。日本語版ポスターに書かれた「わたしはどうする?」の一文を「わたしたち」へと広げる、その連帯が不可欠なのだと突きつけられるとともに、「私たちは変化のためにどんな行動をとれるのか」という問いがイベント終了後も胸に残りました。ミニシアター中心に既に公開されているので、お時間ある方は是非チェックを。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

前田 国男 

仙台生まれ、仙台育ちの25歳です。 21歳のときに「sendai coffee fes」でコーヒーに魅せられ、その日にコーヒーの道を志しました。 現在は仙台市内に2店舗を構える「darestoreに勤務しています。 またプライベートブランド「Neyi coffee roasters」として、ポップアップやイベントなどを通して活動しています。

5 questions

今気になっている問いは?

「仙台のコーヒーカルチャーのこれから」
仙台はここ数年でコーヒーを扱うショップが急増したように思います。 またケヤキ並木が続く定禅寺通りで開催されるsendai coffee fesは、回を重ねるごとに盛り上がりを見せ、コーヒーが仙台の街を豊かなものにしてくれていると肌で感じます。 仙台のみならず、東北、日本中でコーヒーカルチャーがどのような形で、どこまで進化していくのか、とても楽しみです。

 

お気に入りの場所は?

「実家」
実家に帰った時に食べられる母親の料理はひとつの楽しみで、テーブルを囲んでテレビを観ながら家族とご飯を食べる時間が好きです。特に会話が多い家族ではないですし、兄弟仲もそこまで良くないですが、それでも実家がどこよりも1番落ち着くお気に入りの場所です。

 

譲れないこだわりは?

「読みたい本は自分で買う」
読みたい本は人から借りずに必ず買って読みます。 読みたいときにいつでも読み返せるということもありますけど、昔から収集癖があって、最近はその関心が本に向いているという感じです。 なので、読んだ本たちが並んだ本棚を眺めるのも好きです。

 

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「お客さん」
普段お店やポップアップに来てくれるお客さんとコーヒーを飲みたいです。 普段から「お客さん」と「スタッフ」という関係の間に壁ができないよう、気をつけているつもりですが、エプロンを脱いでよりフラットな関係でコーヒーを飲みながらお話をしてみたいです。

 

あなたのギルティプレジャーを教えてください。

好きなお店さんはたくさんありますが、結局のところ1番好きなお店は、お客さんだった頃も、勤めている今も「darestore」です。 プライベートブランドの「Neyi coffee roasters」も、誰よりも自分が1番好きだと思っています。 バリスタという仕事も、コーヒーも大好きです。 これは私自身とても良いことだと思っていて、 自分のやっていることや所属元に抱く思いは、「届ける」ということをするときに、良くも悪くも少なからず形となって表れると思っているからです。 好きなことをして生きていくということを続けていけるようにまだまだがんばります。

Fancy a refill?
編集後記 

久々に本棚の整理をしたのですが、ここ半年ぐらいで本棚のスタメンゾーンに置くラインナップが大きく変わったことに自分でも驚きました。読書歴の浅い自分にとって、本棚の景色の移り変わりは日々の思考や歩みそのもの。本棚を通じて、自分を少し違った角度から見れたような、とても面白い体験でした。

そして整理しながら、本屋という空間の居心地の良さは、本棚が語りかけてくるという受動的な側面と、実際に手に取るという能動的な側面が、すんばらしいくらいええ感じのバランスを保つことで育まれてるのかもと考えていました。整理もひと段落ついたし、週末はどこかに本を買いに行こうかなと思います。

Takaya

 


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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第24号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Swiss WaterFaema x DKSHFellow x Kiguのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)