Standart Japanの最新号、21号がリリースされました。全国一斉に発送が開始され、読者の皆さんの元へ最新号とOnyx Coffee Labのコーヒー豆をお届けします。Standart Japanの6年目を、日本全国のコーヒーラバーである読者の皆さんと共にスタートできることを嬉しく思います!
そして今日は一つご報告があります。
これまでStandart Japanは香港で印刷を行っていましたが、今号から印刷地を日本国内に移しました。
国内での印刷は、創刊当初から思い描いていましたが、なかなか良いパートナー(印刷会社)と出会えず、また費用面からも踏み出せずにいました。そうこうしているうちに、中国で印刷される出版物に対する中国政府の検閲は次第に厳しくなり、全世界中で起きている資材や輸送コストの高騰も追い討ちとなり、今年の初めごろから国内での印刷に向けて少しずつ動き始めていました。
Standartはクライメイト・ニュートラル認証を2021年に取得し、私たちの活動によって生み出される二酸化炭素量を測定・相殺しています。コーヒーの世界の美しい面だけでなく、醜い面をも伝えることを使命の一つと考える私たちにとって、コーヒー業界と環境の持続可能性は、Standartの創刊以来、大切なコンテンツのDNAの一部です。
ただ、クライメイト・ニュートラル認証を取得することが目的というわけではなく、認証の取得は気候変動に対する責任を果たす過程にすぎません。私たちのような小さな出版社が削減できる二酸化炭素の排出量は、出版業界全体で見るとすずめの涙に過ぎないことは承知しています。それでも私たちは、リモートワークやFSC認証を受けた印刷紙を使うことで、排出量を削減し、この問題に取り組み続けています。この考えのもと、そもそもの二酸化炭素排出量を減らすことが重要だと考え、日本国内での印刷へと舵を切ることにしました。また、微力ながらも国内の出版文化に貢献したいという思いもその背景にあります。
そしてようやくご一緒したいと思えるパートナーが見つかりました。
東京の神楽坂にある誠晃印刷さんです。高品質なモノづくりをモットーとするオフセット印刷のプロフェッショナルたち。Standartがクライメイト・ニュートラル認証を取得する上で欠かせないFSC森林認証を受けた紙も取り扱う印刷会社で、質の高さを求める我々のようなインディペンデントな雑誌にも真摯な姿勢と丁寧なコミュニケーションで接してくれています。
先日、誠晃印刷さんをチームStandart Japan全員で訪れ、21号の印刷に立ち会いました。その時の様子を少しお見せしたいと思います。
ToshiとAtsushiは、前職で印刷にも関わっていたので(二人は職場の同僚でした)印刷機を見るのは久しぶりでしたが、昨年末から新たにチームに加わったカスタマーエクスペリエンス担当のNanakoは初めて見る印刷機に興味津々。
印刷現場は、インクの独特な匂いと印刷機の動くリズミカルな機械音、湿度がコントロールされているために少し重たく感じる空気で満たされていました。
これまでは香港で印刷されていたこともあり、印刷の様子を直に見ることはできていなかったのですが、今回初めてその現場に立ち会うことができました。自分たちが数か月かけてパソコンに向かって作り続けてきたものが、形となって目の前に現れるく瞬間。なんとも言葉にならない感動がありました。
印刷自体は2日ほどで終了します。この日は、表紙や本文数ページの色味を現場で調整しながらアウトプットを確かめていきました。私たちからのバトンを受けとった印刷のプロフェッショナルたちが、雑誌を最高の形で世に送り出そうと気持ちを込めてくれているのがわかります。
これはオフセットの刷版(プレート)。私たちが作った誌面データをプレートに焼き付けたものです。オフセット印刷は、このプレートにのせたインクを一度ブランケットと呼ばれる転写用ローラーに転写(オフセット)してから、ブランケットを紙に押し付けて印刷していく印刷手法です。プレートを見たのも初めてでした。
この日、数年ぶりに全員で再開することができ、いつもはリモートで働いている3人がチームStandart Japanとして初めて顔を合わせた記念すべき一枚。
印刷が終わると製本へと進み、皆さんの知るあの雑誌ができあがっていきます。完成した雑誌は亀有にある倉庫へと運ばれ、皆さんの元へ届けられるわけです。
先日手元に届いた最新号はよりパーソナルなものに感じられました。皆さんのお手元に届くStandartはどうでしょうか?
新しくなったStandart Japan、皆さんに手に取ってもらい、ゆっくりと読書やコーヒー時間を楽しんでいただきたいです。そしてぜひ、どんなご感想でも構いませんので、お声を聞かせてください。私たちが雑誌を作り続けていく活力になります!