おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今週、桜を見に近所の公園に出かけたときに聴いていたポッドキャストで、認証コーヒーが話題に上りました。日本でもよく見る「有機栽培(オーガニック)認証」「レインフォレスト・アライアンス」「フェアトレード」「バードフレンドリー」などの認証について、設立背景や課題を知ることができました。
認証を受けることで農家はより高くコーヒーを売ることができ、環境にも生活にもサスティナブルというのが認証制度の狙いですが、課題も多くあるようです。例えば、認証の取得にはお金がかかり、それは農家が負担しています。結果的に高く売れるなら先行投資とも考えられますが、市場価格よりも高い販売価格を保証している認証もある一方で、認証を取得しているから必ずコーヒーが高く売れるとは限りません。さらに農家が育てたコーヒーのすべてが認証品として販売されるわけではないという現実もあります。それだと農家にとっては認証はあまり意味のないものになってしまいますよね。
認証コーヒーはエシカルな消費は促すものの、品質を保証しているわけではないため、実際にコーヒーを飲むとおいしくない、ということもあります。その結果、我々消費者が認証コーヒーをあえて選ばずに、需要が伸びず、結果的に認証を取得しても売れないという負のスパイラルに陥っているんだとか。
ただ認証自体が悪いというわけではありません。認証のもう一つの大きな役割は、世間の関心を高めるということ。認証があることで人々に問題意識を芽生えさせることができます。認証コーヒーの誕生で農家が直面する貧困の問題はまだ解決できてはいませんが、サステナビリティへの考えを人々が深めることができる機会を作ってくれたことには変わりありません。
皆さんは認証コーヒー、飲んだことがありますか?
そして、認証の有無は、コーヒーを購入する際の理由になりますか?
皆さんのお考えをぜひ聞かせてください。
それでは本日も良い1日を。
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
未来の歴史を築く者
毎年3月はこれまでに女性が成し遂げてきた功績や、権利運動の歴史などを振り返る「女性史月間(Women’s History Month)」として、米国を中心に世界各地でイベントが開催されます。CNNの記事によると、国連が3月8日を「国際女性デー」と定めたのが1975年。その後ロビー運動の高まりを受け、1980年に米国で3月8日からの一週間が「女性史週間」となり、1987年には米国政府が初めて3月を「女性史月間」と宣言するに至ったそうです。
コーヒー業界の中でも、先月は女性史月間にちなんだ活動が多く見受けられました。コーヒー業界における人種の多様性・平等を目指す非営利団体CCRE (Coffee Coalition for Racial Equity)は、ニュースレターの中で「2022年注目すべき黒人女性13人」を選出。以前紹介したオーツミルク企業「Ghost Twin Oats」のCEOミシェル・ジョンソン氏、テネシー州で活動するロースター「Cxffeeblack」の共同創設者であり、貧困状態の若者に向けたユースプログラムを運営するレナータ・ヘンダーソン氏をはじめ、業界の立役者たちが紹介されています。
またCup of Excellenceは、CoEに入選した女性コーヒー生産者に焦点を当てたテイスティングイベントを実施。会場ではコーヒーだけでなく、女性の作り手によるワインやスナックも提供されたそうです。女性史月間の未来は、現代を生きる私たちによって築かれる。その意識を胸に、社会全体として当事者の声を拡げていく継続的な働きかけがジェンダー平等の社会の実現には不可欠なのです。
その他の気になるニュース
▷ 2022 World of Coffeeの開催地が、ワルシャワからミラノに変更されました。ウクライナ難民の流入が続くワルシャワの負担軽減が理由とのこと。なおチケット収益は、ウクライナのコーヒーコミュニティへ全額寄付される予定です。
▷ 長期にわたる渡るコンテナ不足を受け、現在一部の生豆が「ブレイクバルク貨物」として輸送されています。これは長尺・超重量貨物の輸送に使われる手段で、生豆を入れる袋も通常の60kgの代わりに1tのものが使われているそうです。
▷ 現スターバックスCEO退任に伴い、創始者であるハワード・シュルツ氏が暫定CEOとして復帰予定。新たな後任者が見つかるまでの期間限定で、報酬はわずか1ドル (約122円) だそうです。
▷ ストックホルム環境研究所が、コロンビアのコーヒー生産地域であるカンポアレグレ市の調査レポートを公開。所得・教育格差や安全な飲み水の不足、食料不安をはじめ様々な問題に直面する先住民や小規模コーヒー農家の現状がまとめられています。
▷ ネクタイ専門ブランドのジラフが、喫茶店モチーフの新作コレクション「喫茶ジラフ」を発売。現在ニュウマン横浜では期間限定のポップアップ喫茶店「喫茶ジラフ」もオープン中。さくらんぼのネクタイピンもいい感じです。
What We're Drinking
今週のコーヒー
ASLAN Coffee Factory
福岡
福岡県北九州市小倉南区葛原町にある、スペシャルティコーヒーをベースとしたロースタリーショップ。親しみやすいカップバランスを大切にしつつ、その中で豆それぞれのテロワールの個性がはっきりと感じれられるローストアプローチと豆のセレクトを心掛けています。 表現力豊かなスペシャルティコーヒーの風味の世界から家事や仕事のちょっとした一息に珈琲で季節を感じられ、日々の生活に四季彩を与えられるような町のコーヒーショップを目指しています。
生産者:エル・ミラドール農園(ガブリエル・カスターノ氏)
生産地域:コロンビア ウィラ県アセヴェド地区(地図)
品種:ピンクブルボン
精製方法:ナチュラル
テイスティングノート: 酸質は明るく、甘味も強く、奥行が長いので味に広がりがあり、滑らかなテクスチャー(舌触り)の中で果実感が重層的に楽しめる。アフターでは明るいベリー系の酸味と花の香りがアロマとして鼻に抜け、バターのような滑らかな質感の中で豊かに広がる果実感はレモンキャンディーやラズベリーのような甘酸っぱくジューシーなカップクオリティ。
編集長のコメント:
一口目に一番に感じたのはクランベリー。クランベリーは生で食べるとかなり酸っぱいんですが、ソースやジャムにしたりするとそのユニークな酸味がクセになります。まさにそんなクセになりそうな弾ける酸が口に広がり、オランダのテルスヘリング島で見た野生のクランベリーの赤い果実が浮かびました。ただ、しっかりとした甘さが感じられるため、酸味も全く嫌味のない、バランスのよさを感じます。そして発酵したカカオのようなフレーバー。カカオのナッツ感とフルーティな発酵感が一体感があり素晴らしいです。ヨーグルトのようなニュアンスも。若い赤ワインのようなフレッシュなジューシーさと、快活な様子がとてもよく似合うコーヒーでした。ちなみに、コーヒーのパッケージと一緒に添えられたテイスティングノートが丁寧で、カッピングのあとに眺めると、ここで何を書いたらいいのかなと悩むほどでした!
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
クラウス・クレメルツ ウェブサイト|Instagram
プロフィール:
ラップトップ一つでどこでだって仕事をこなす大の旅行好き。イーロン・マスクから記念すべき一人目のイラストレーターとして火星に招待されるのを待ちわびている。
最新の掲載記事:
Standart Japan 第19号「ウガンダ」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『作家と珈琲』
Books&Cafeドレッドノートを訪れた際に思わずジャケ買いした一冊。本書は昭和の文豪や現代の人気作家による、コーヒーにまつわるエッセイ、漫画、詩など52編を集めたアンソロジー。シーボルトの見聞録から水木しげるさんの漫画、日々の食卓から行きつけの喫茶店、海外での一杯まで、文字通りコーヒーが映し出す色とりどりのストーリーが集約されています。私たちの生活に寄り添う一杯のコーヒーから書き手の日常をのぞき見しているかのようなエッセイたちには、思わず口角が上がってしまうこと間違いなし。また『食卓に珈琲の匂い流れ』、『コーヒーと恋愛』、『「平熱」としての京都の喫茶店』をはじめ、コーヒーの香り漂う粋なタイトルたちもたまりません。本書は平凡社が出版する「作家と◯◯」シリーズの一つで、犬好きの自分としては『作家と犬』も気になるところ。コーヒーのお供としてはもちろん、日常の隙間にホッとひと息つける、そんな一日を彩ってくれる存在。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
菅原 峻
箱根の旅館でサービスを学び、東京のコーヒー屋でバリスタとしての経験を積む。地元の宮城・気仙沼に戻り、フリーランスバリスタとして活動。主には宮城・岩手の沿岸地域でコーヒーを淹れる。趣味はバレーボールをすること。
セットアップ:
抽出器具:Tornado Duo Double Wall Glass Dripper
豆量:13g
湯量:220g
挽き目:wilfaのFilterから二つ細かくする
湯温:93°
抽出時間:2:45 ~ 3:00
手順:
- フィルターをセットしてリンス
- 0:00 お湯を30g注ぎ全体を撹拌
- 0:30 お湯を70g注ぐ
- 1:00 お湯を40g注ぐ
- 1:20 お湯を40g注ぐ
- 1:40 お湯を40g注ぐ、注ぎ終わったらドリッパーを軽く回し、落ち切ったら完了
ポイント:
▷ 1湯目~3湯目は全体に優しく注いでもらい、4湯目と5湯目は優しく真ん中のみ注ぎます。
▷ 抽出されたコーヒーは軽く混ぜてください。
▷ 真心を込めて注いでいただき、お気に入りのカップでコーヒー時間をお楽しみください。
コメント:
「コーヒーと共に美しいヒトトキを。」
こちらを大切にし、コーヒーをお届けしております。皆さまの、コーヒーのある暮らしがほんの少し豊かになり小さな幸せを感じるお手伝いができれば幸いです。
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第19号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、カラベラコーヒー、Toddyのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)