おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
木曜日に福岡で開催されたエスプレッソマシンメーカーFAEMAのローンチパーティに参加してきました。ローンチといっても、今回は国内の総代理店の移行(昨年3月よりDKSH ジャパン株式会社が総代理店に)に伴ったイベントでした。会場はMei Café。
ホテル一階のカフェラウンジに2台のエスプレッソマシンを並べ、マシンを触ったり、フルーツサンドやチーズケーキと一緒にコーヒーを楽しんだりと、SCAJのような展示会とは違い終始リラックスしたムード。九州各地や山口から集まったコーヒープロフェッショナルが順番に会場を訪れていました。
機器メーカーによる、こういった肩の力が抜けたイベントを日本では体験したことがなかったため、とても新鮮でした。コーヒーを飲むことに主眼をおくコーヒーフェスティバルとは違った魅力があります。今回はコーヒー関係者だけの参加でしたが、一般消費者と接点が持てるようなポップアップも今後あると良いですね。
そして個人的に一番テンションが上がったのは、イタリアンバールなどで見かけることの多いFAEMA E61を実際に触れられたこと。1961年にイタリアのミラノで誕生したエスプレッソマシンの名機ですが、60年以上経った今でも(もしくは今だからこそ)、クラッシックな佇まいや完成されたデザインにただただ感動するばかりでした。現在は高性能でデザインも洗練されたエスプレッソマシンが多いですが、ここまで存在感のあるマシンが他にあるのかなと思えるほど、長い時間をかけてこそ醸し出される味わいに感性を刺激されました。皆さんもどこかで見かけたら、コーヒー飲んでみてくださいね。
それでは本日も良い1日を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
競技会における選択肢
今日、植物性ミルクは単なる動物性ミルクの代替品をこえ、業界のスタンダードとしての風格を帯び始めてきています。身近なカフェやコーヒーショップでも見かけることが増えるなか、Perfect Daily Grindのこちらの記事で指摘されているのが、 競技会における植物性ミルクの使用について。例えばワールド・バリスタ・チャンピオンシップでは、ルールとして牛乳 (全乳) の使用が義務付けられています。業界全体の動きとは裏腹に、なぜ競技会では植物性ミルクが許可されていないのでしょうか。
記事によると、競技会のスコアシートやルールの変更といった膨大な事務作業、既存スポンサー企業との関係、植物性ミルクが動物性ミルクと異なり原料が単一ではない、といった点が導入の阻害要因になっているとのこと。その一方で、大会に出場するバリスタがヴィーガンまたは乳糖不耐症の場合、普段口にしない動物性ミルクの使用が求められることで、本来のパフォーマンスを発揮できないというもっともな指摘も。競技会運営側と出場者との高まる緊張を示す例として、2019年のカナダ・バリスタ・チャンピオンシップでの出来事も紹介されています。同競技会に出場したクリスチャン・テレスさんは、抗議の意味をこめて無断で植物性ミルクを使用した結果、ミルクビバレッジのスコアが0となり大会から敗退。しかし後日、彼の行動は競技会のルール変更を訴える署名活動へと発展しました。
テレスさんの言葉を借りれば、競技会は今のコーヒーの姿を表現する場であるとともに、将来のコーヒーの方向性を提案する場としても考えられます。競技会における選択肢の広がりは、公正な大会環境、ひいてはインクルーシブな業界作りに繋がっていくのではないでしょうか。
その他の気になるニュース
▷ 豪州の7-Elevenが現地コスメ企業と連携して、$1のコーヒースクラブを発売。100%国内生産、原料には7-Elevenで販売されるコーヒーと同じ豆を使用しているそうです。
▷ 環境や社会に配慮した公益性の高い企業に与えられる国際認証「B Corp」のポップアップストアがロンドンにオープン。認定ブランドのプロモーションを目的に、お店には約120社・300点以上の商品が並んでいます。また店内ではOrigin Coffeeの豆を使用したコーヒーの提供も。
▷ 韓国の2021年のコーヒー輸入量・額が過去最高を記録。国税庁の統計データによると、コーヒーショップの店舗数8万3363店(21年12月時点)は、4年前と比べて88.2%も増加しているそうです。
▷ ニューサウスウェールズ大学の研究チームが、プラスチックやコーヒーの出がらしから得られる水素をグリーンスチール技術の一部として使用できることを示す論文を発表。鉄鉱石・石炭の代替資源としての実用化、及び製鉄工程に発生するCO2の削減が期待されます。
▷ テイクアウトカップの蓋にある小さな穴の存在を知っていますか? 実は飲み口とは別に空気の通り道を設けることで、コーヒーがスムーズに流れ、飛び散りを防げるそうです。缶ビールのショットガン飲みと原理は一緒ですね
What We're Drinking
今週のコーヒー
Circular Coffee Roasters
神奈川 鎌倉
ローカルでぐるぐると循環を回すことを目標に立ち上げました。ダイレクトトレードやサステイナブルにフォーカスしたコーヒーを取り扱っています。僕らはコーヒーを販売するだけではなく、他の珈琲屋さんはもちろん様々なローカル店舗や企業と協力し地域の活性化やイベント、環境問題などの勉強会やアクションを行っています。
生産者:ニャマガベ地区の小規模農家(ウォッシングステーション Remera)
生産地域:ルワンダ 南部州ニャマガベ地区(地図)
品種:ブルボン
精製方法:フリーウォッシュド
テイスティングノート: 口に含んだ瞬間にブラウンシュガーの甘さが広がり、ウェイトが軽めの割にトロッとした食感とフレッシュで熟したバレンシアオレンジが最後まで楽しませてくれる珈琲です。
編集長のコメント:
意外にも初登場のルワンダ。お湯を注ぐと、大福のような甘い香りと小麦のようなニュアンスを感じます。どこか優しい味を想像しながら一口目をすすると、柑橘系のフレーバーを感じ、すぐにテイスティングノート通りのブラウンシュガーが広がりました。みかんやグレープフルーツの気持ちのいい酸味を甘さで包み込んでくれるよう。フレッシュなジューシーさではなく、よく熟れた果実からじわりと滴るような果汁の美味しさがあり、どこまでも染み渡るような美味しさがとにかく心地いいです。温度が下がってくると、焼き蜜芋のような甘さが強調されてきます。後味にはお茶のようなニュアンスも。フレーバーのバランスがいいおかげで飲んだ時に体が驚かずにスッと液体が入ってきて、ふわっとフレーバーが広がりながら口の中を優しく包んでいくような体験ができる、毎日飲みたいコーヒーです。このままでも食事にもよく合いそう!
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
八重樫 王明 ウェブサイト|Instagram
プロフィール:
東京都在住のイラストレーター。広告・グッズ等のイラスト制作、キャラクターデザインと並行して自身のオリジナル作品も発表。近年は日本文化や動物をモチーフにしたコミカルな作風を中心に、海外でも積極的に活動を行っている。
最新の掲載記事:
Standart Japan第19号「アップ・オール・ナイト」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『SPIRITUAL COFFEE』 - Martin Hudak
コーヒーとカクテルといえば彼と言っても過言ではないくらい、コーヒー業界やバー業界に多くのインスピレーションを与えるMartin Hudakさんの著書『SPIRITUAL COFFEE』。少し前に注文していたものがようやく届きました。Martinさんは、2017年のWorld Coffee In Good Spiritsのチャンピオンとしても有名ですが、ロンドンのThe Savoy Hotelでシニアバーテンダーとして働いた後、現在はオーストラリアにあるカクテルバーMaybe Sammyやコーヒー&カクテルバーSammy Jnrの共同オーナーとして、コーヒー業界ならず、バー業界に多大な貢献をしている方。スロバキア出身で、StandartのCEO マイケル・モルカンと昔からの友人ということもあり、Standartとも長い友好関係があります。Standart 3周年の時に、ベルリンのThe Barnで開催した周年パーティで作ってもらったコーヒーカクテルが最高においしかったのを覚えています。本にはコーヒーとカクテルの歴史が細かくまとめられていて読み応えバツグン。そしてなんといってもMartinさんの考案したコーヒーカクテルのレシピが何十種類も載っていて、コーヒーカクテルファンやプロフェッショナルであればぜひ持っておきたい一冊。今や「おうちコーヒー」は市民権を得てきましたが、「おうちコーヒーカクテル」なんていうのも、これからいかがでしょうか。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
竹内 絵理香 aka エリー
毎朝コーヒーを淹れる父の影響で、幼い頃からコーヒーという飲み物に興味を持ちました。学生時代にスターバックスでアルバイト。約3年前からGluck Coffee Spotに仲間入りをしました。現在は卸やオンラインを担当しながら、Gluck Coffee Spot 本店でコーヒーを淹れています。最近お弁当生活を始めました。熊本は肉・野菜・魚・水、なんでも安くて美味しいので、美味しいものを美味しく食べる尊さを感じる日々です!
セットアップ:
抽出器具:HARIO V60
豆量:14g
湯量:215g
挽き目:wilfa のfilter目盛よりひとつ粗挽き
湯温:90°
抽出時間:2分以内
手順:
- お湯を20g注ぎ、豆が膨らみ切るまで待つ
- 90gまでお湯を注ぐ
- 215gまでお湯をそそぐ
- 最後まで落とし切る
ポイント:
家で浅煎りのコーヒーを淹れる時のレシピです!
2投目は優しく細い線で、3投目は太めで、
てきとうに淹れるより、美味しくなれ〜と思いながら淹れる方が、断然美味しくなるのはなんででしょうね
コメント:
今までの人生、日本は熊本以外で生活したことが無いのですが、ほんと〜〜にいいところだなと、大人になるにつれて感じます。Gluck Coffee Spotが、皆さんが熊本に行ってみようかな、と思うきっかけになれると嬉しいです!
今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?
今日のShoutout!は、コーヒー器具が好きなコーヒーライフクリエイターのORIFFEEさん。Standartについてご紹介いただきました。ありがとうございます
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第19号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、カラベラコーヒー、Toddyのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)