#75: CSA、数学、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

新年明けましておめでとうございます! 年末年始はゆっくり過ごされた方も、お仕事などでお忙しかった方も、一年の良いスタートを切れていることを願います。

皆さんは、新年の1杯目のコーヒーは何を飲みましたか? 私はコスタリカのウォッシュトでした。寝落ちして起きたら新年だったというニアミスはありましたが、おいしいコーヒーを淹れて良い朝を迎えることができました。

新年の抱負というわけではありませんが、コツコツ積み重ねていくことに勝るものはないと信じ、今年もまた1号1号を大切にインスピレーションの詰まったStandartを皆さんにお届けしていきたいと思います。

また、今年でStandart Japanは5周年を迎え、新しいことにも挑戦していきます。2022年はStandartにとって大きな節目の一年になりそうです。

これまで以上にthoughtfulでdynamicな一年を、今年もStandartと(もちろんおいしいコーヒーも)共に過ごしていただけると嬉しいです。

本年もどうぞよろしくお願いします!

それでは良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

「顔の見える」から「支え合う」へ

米・ポートランド州のJunior’s Roasted Coffeeが、農業生産者に代金を前払いして定期的に作物を受け取るCSA (Community Supported Agriculture: 地域支援型農業)の仕組みをコーヒーに応用したプログラム「Community Funded Coffee (CFC)」をローンチしたと、Daily Coffee Newsが報じています

CSAでは、生活者が農作物の収穫前に定期契約を結ぶため、生産者は安定的な収益を得られるというメリットがあります。しかし都市のローカルシフトの事例が紹介されている『ローカルエコノミーのつくり方』では、CSAの本質は料金システムではなく、その根底にある「自分たちで農業を支える」という、農家と生活者の強い意志にあるとされています。なぜならCSAには返金制度がなく、不作の場合は契約者が受け取る農作物の量も減少するなど、農家と生活者がリスクを共有しているからです。それによって、両者の間には「顔の見える関係」だけでなく、共に豊作を喜び天候不順を悲しむ「互いに支え合う関係」が構築されるのです。

初年度となるCFCの定期購入では、コーヒーチェリーの収穫前に契約が結ばれ、その後ニュースレターやブログを通じて生産・焙煎過程の最新情報が随時シェアされるとのこと。何マイルも離れた生産者とコーヒーを通じて形成される”ローカルエコノミー”が、新たな好循環の訪れを予感させます。

 

その他の気になるニュース

▷ 英国のスターバックスが「Vegan Tax」とも称される植物性ミルクへの追加料金(約63円)を廃止へ。同社株主となった動物愛護団体PETAを筆頭に、アクティビズムの影響も見受けられます。

▷ 米・テキサスを拠点に学生が運営するコーヒーチェーンBrewbikeが、新たに約3億5000万円の資金調達に成功。収益の柱である大学キャンパスでのコーヒーキオスク事業では、各大学の学生をマネージャーとして雇用し、学内で起業・就業経験を育んでいるそう。

▷ フランスで法改正があり、年始から国内のバーやカフェで水道水の無料提供が義務化されました。従来はボトル入りの水が販売されていましたが、プラスチック廃棄削減を目的に法改正にいたったとのこと。

▷ 最新の研究によると、ブラックコーヒーを好む人は、ビターなダークチョコレートを好みやすい傾向にあるそう。しかし研究者たちは、その理由が味覚の嗜好にあるのではなく、カフェインの覚醒効果を、脳が「苦味」に結び付けているからではないかと考えています。

▷ そのアイコニックな青いロゴが特徴的なブルーボトルコーヒーですが、コーヒーメディア『Sprudge』曰く、先日大阪・茶屋町にできた新店舗はブルーボトル史上最も"ブルーな"店舗かもしれないそうです。

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

FREAK COFFEE ROASTERS 愛知(地図

FREAK / fríːk
熱狂的な、珍しい、奇形、変人

そんな人達が名古屋市名東区藤が丘に昨年10月店を持ちました。 ロンドンとメルボルンでのバリスタ経験から世界のスタンダードをより身近に感じてもらえる味作りをしています。浅煎りのシングルオリジンにフォーカスし、エスプレッソ用の豆はブラックでもホワイトでも違いを楽しめるように週毎に入れ替えています。 コーヒーが"特別"ではなく"日常"に溶け込んだ風景を思い描いて日々焙煎、抽出しています。

生産者:Java Frinsa Estate

生産地域:インドネシア 西ジャワ州バンドン パンガレンガン地区(地図

品種:カトゥーラ、P88

精製方法:ラクティック・ファーメンテーション ナチュラル

テイスティングノート:パイナップル、キウイ、ハイビスカス、カカオにぶ

編集長のコメント:

新年一発目は、#31ぶりとなる久しぶりのインドネシア。ラクティック・ファーメンテーション(乳酸発酵)ナチュラルという製法が、この農園では厳密にどうやって乳酸発酵を精製工程に組み込んでいるのかわからなかったのですが、ヨーグルトのようなフレーバーと爽やかな酸味が特徴的なコーヒー。香りはカルダモンや僅かにシナモンのようなスパイス香に加えて熟したトロピカルフルーツの甘さを感じ、温かいうちはまさにカカオニブの強いフレーバーがあります。透き通るようなクリーンな味わいで、冷めてくるとハーブウォーターを飲んでいるかのよう。ホタテなどの魚介を食べた時に感じるミネラル感も。シルキーなテクスチャーと柔らかい甘さはちょっとハイチューを思い出しました。インドネシアは近年、このコーヒーのようにどんどん素晴らしいスペシャルティコーヒーができてきています。これからがもっと楽しみな産地ですね! 素晴らしいコーヒーでした。


Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち

アーティスト: 

苅部 太郎 ウェブサイトInstagram

プロフィール:

東京在住のフォトグラファー。大学在学中に英国留学、南アフリカ共和国で国際NGOでの研修を経験し、その後金融機関勤務を経て独立。写真を用いて社会と個人の関係について考察する作品を制作し、インスタレーションやブックメディアなどを横断して発表している。

最新の掲載記事:

Standart Japan 第17号『Meet Your Guest - Marie Sekine』

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

『数学の贈り物』 森田真生

神戸の本屋「本の栞」に足を運んだ際に出会った一冊。数学を研究の軸に、京都を拠点に活動する独立研究者の森田真生さんによる、ミシマ社ウェブサイトでの約5年におよぶ連載を書籍化した著者初の随筆集です。描かれるのは、日々の散歩や、幼い我が子とのやりとりといった日常の風景。読み終えた後に思わず「あれ、数学の話題あったっけ?」と感じてしまうほど、その内容からは数学の香りが漂わず、むしろ数学の考え方や概念を糸口に、一見ありふれた毎日の中で森田さんの内外に起こる機微について、岡潔やデカルト、芭蕉や孟子など分野を超えた先人たちの言葉を手がかりに、掘り下げ、思考し、そして新たな言葉が紡がれていきます。以下は本書あらすじからの引用。

”目の前の何気ない事物を、あることもないこともできた偶然として発見するとき、人は驚きとともに「ありがたい」と感じる。「いま (Present)」が、あるがままで「贈り物 (Present)」だと実感するのは、このような瞬間である。”

この本の言葉に触れるうちに、一つ一つの出会いの尊さだけでなく、その出会いや繋がりはこれまでの歩みの中でしか生まれることはなかったという、人生の壮大な偶然性を実感しました。それは「いま」という時間に、「これまで」と「これから」という解釈が加わったような、そんな不思議な感覚です。私たちは日々あらゆる局面で何かを選択し、時に選択しなかった未来へのノスタルジーを抱えながら、その感情と共に「いま」という時間を生きているのだと感じます。コーヒーに導かれ、コーヒーを通じて大切な出会いや学びに恵まれる日々。そんなかけがえのない「いま」という贈り物を、「これまで」と「これから」の尊さと共に、2022年も大切に味わっていきたいです。

 



Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

名倉 慶佑 aka なぐ

沖縄で飲んだ黒猫食堂(閉店中)のクリスさんのコーヒーと東京で出会ったMIA MIAのヴォーンさんに感銘を受け、2020年からコーヒー文化を学びにメルボルンへ。現地でバリスタをしながら発信していた音声配信をきっかけに、STANDARTのニュースレターを読むコーヒー系ポッドキャスト『コーヒーを読む日曜』(Apple Podcast Spotify / Amazon Musicなど)を配信中。フリーランスバリスタとしてポップアップや各地イベントにてコーヒーを淹れています。オーツミルクにどハマり中。現在家にはオーツミルクが30L、オーツ麦が5kgあります。

セットアップ:

抽出器具:HARIO V60
豆量:18g
湯量:300ml
挽き目:細かめ
湯温:92℃
抽出時間:5:00

手順:

  1. フィルターをお湯でリンス
  2. 30mlのお湯を注ぎ45秒まで待つ
  3. 1分30秒までに200mlまでお湯を注ぐ
  4. 2分半までに300mlまでお湯を注ぐ
  5. 落ち切るまで待つ

    ポイント:

    上記の手順を完全に無視して、何より大切な人を思ってコーヒーを淹れたら美味しくなるはずです。

    コメント:

    Podcast『コーヒーを読む日曜』では、僕と一緒にエンジニアでコーヒーマニアのいざわさんと二人で楽しく放送しています。Stand.fm という音声配信アプリで毎週日曜am9:00からLIVE配信後、Apple PodcastやSpotify、Amazon Musicなどで配信しています。今皆さんが読んでいるTHE WEEKEND BREW の回も、日曜の12時にはPodcastに配信されています!通勤中や家事の合間、そしてこのTHE WEEKEND BREW を読みながらぜひ「ながら聴き」してみてください☕️

     


     

    今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

    今日のShoutout!は、一年の始まりのcalmnessをブリューイングで見事に表現してくれているalexさん。最新号のサンプルコーヒーを淹れてくださっています。ありがとうございました!

    バックナンバーを含め、The Weekend Brewの感想やコメントはぜひ #standartjapan のハッシュタグと共にシェアをお願いします! 質問はメールでお待ちしております。またお友達やご家族など、The Weekend Brew を一緒に楽しんでもらえそうな方にこのメールを転送していただけると嬉しいです。

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    今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第18号スポンサーのブルーマチックジャパン、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業The Roast Expert by PanasonicFAEMA x DKSHのサポートでお届けしました。

    LOVE & COFFEE✌️
    Standart Japan
    (執筆・編集:Takaya & Atsushi)

    #75: CSA、数学、コーヒー

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