#6: Slow down to speed up

#6: Slow down to speed up

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

いきなりですが、コーヒーと戦争にはどんな関連があると思いますか? 一見似ても似つかないトピックのように見えますが、オーストリアにコーヒーハウスが伝来するきっかけになったのが戦争だという話があったり、アメリカではボストン茶会事件が独立戦争のきっかけとなってコーヒーを飲むことが愛国的態度を示すものになったりと、コーヒーの歴史には戦争の影がちらほら見えることがあります。ちょうど昨日で戦後75年を迎えた日本。コーヒーを通じて歴史の過ちや現代まで続く問題に目を向けてみるのもいいかもしれません。

今週のStandart Japanはお盆で少しリラックスモード。とは言っても、アーティストやライターの方々、定期購読者の皆さんとの日々のコミュニケーションは欠かしません。また周囲が少しスローダウンするこの時期は、普段とは違うものを見て読んで聞いて、新しいインスピレーションを得るチャンスでもあります。

Instagramでたくさんの方がシェアしてくださっている最新号の表紙ですが、そのカバーアートの制作舞台裏をStadart Journalで公開しています。「えー、こんな風に作ってたの!?」と驚きがあるかもしれませんよ!

Toshi & Atsushi

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

生豆を共同購入するCooperative CoffeesがSCAサステイナビリティアワードを受賞
23社のロースターからなる共同組合Cooperative Coffeesは、その経済・環境・社会的持続性を重視したビジネスモデルが評価され、今年のSCAサステイナビリティアワード(ビジネスモデル部門)を受賞しました。1999年の設立から一貫してフェトレード、オーガニックコーヒーを栽培する小規模農家および生産者共同組合とダイレクトトレードを行ってきた同団体。生産者団体に支払う最低価格は1ポンドあたり2.20ドルに設定されており、2019年の仕入れ価格は1ポンドあたり2.55ドルでした。仕入れ量に限りがありつつも志を同じくするマイクロロースターが集まることで社会的なインパクトを残せるという意味で、とても興味深い例です。日本でもスペシャルティコーヒー黎明期に生まれた珈琲の味方塾や、最近で言えばBook Your CoffeeTypicaなんかがフィロソフィーとしては近いかもしれません。

コーヒーに追加でCBDオイルはいかが?
過去10年間に、北米の一部地域やヨーロッパの国々で医療用・リクリエーション用の大麻の合法化が進められてきました。それに伴って急激な市場の拡大が見られたのがCBD製品です。CBDとはカンナビジオール(cannabidiol)の略で、大麻植物に含まれる化合物の1つ。いわゆる”ハイ”な状態をもたらすテトラヒドロカンナビノール(THC)とは違って、CBDには向精神作用がなく不眠症や慢性的な痛みなどへの効果があることから、オイルや飲食物の形で消費されています。そして最も人気があるのが飲料タイプのCBD製品で、2022年中にCBDドリンクの市場規模は10億ドルに達するという予測も。実際にCBDオイル入りのコールドブリューや、CBDが添加されたコーヒー豆、さらにはCBDカフェまで誕生しています。カフェインの覚醒効果とCBDのリラックス効果が組み合わさることで、適度な集中状態を作り出せるという人もいるようですが、実際のところはどうなんでしょうか……?
その他の気になるニュース
  • コーヒー豆を使わない「分子コーヒー」を開発するAtomo Coffeeが900万ドルを調達し、スターバックスの本社近くに新たな生産施設を建設予定。
  • 世界トップクラスの競技バリスタが集まる「All Stars」が、オンラインコース&トークセッションを無料で公開中
  • 日本の漫画喫茶にインスパイアされたカフェ「Akiba Cafe」がサウジアラビアにオープン。漫画やアニメ、スペシャルティコーヒーを楽しめ、ローカルアーティストの支援にも注力するこのカフェは、街の新しいカルチュラルハブになりそうです。
  • コーヒーインポーターやエクスポーターがブランド認知度を上げるために取り組むべき大切なこととは。基本的なことですが、B2Bビジネスを行う企業すべての参考になるはず
  • コーヒーのサプライチェーンを俯瞰できるインフォグラフィック。コーヒーがあなたのモーニングカップにたどり着くまでの過程が10ステップで説明されています。 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

issou coffee roastery
毎日飲んでも飽きないコーヒーを。オールドウェーブとニューウェーブの波間を漂う、屋久島のコーヒーロースタリー。

生産国:ブルンジ
地域ンゴジ県ブシガ
生産者:ルゴリ・コーヒーウォッシングステーション
品種:ブルボン
精製方法:フリーウォッシュト
テイスティングノート:しっかりとした甘さが持ち味のブルンジの中でも、さらに甘さ際立つロットです。いうなれば、完熟パイナップル。はっきりとした甘さの奥に、感じられるほのかな酸が、味わいに奥行きのある複雑さをもたらしています。
Standartの感想:熟した柑橘系のフルーツがつかった水に蜂蜜をスプーンひとすくい。甘さと爽やかな飲み口でグビグビ飲みたくなります。青空と南国のみかん果樹園が目の前に浮かぶような、透き通るほどクリーンなコーヒー。屋久島から届いたパッケージを開けたときの得も言われぬ高揚感と、同島在住のアメリカ人デザイナーがデザインしたCoolなラベルで、完全に脳内トリップできます。

 


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

📚 食べることも愛することも、耕すことから始まる - クリスティン・キンボールAmazon
ハーバード卒のニューヨーカーでジャーナリストとして働いていた著者が、取材先で出会った有機農業を営む人と出会い結婚。その後二人が始めた農場の最初の1年について描かれた本。ジャーナリストだけあって、深い洞察と表現力でグイグイ引き込んでくれます(NYだからなのか、女性である著者の目線で書かれた文体のせいか、頭の中で勝手にSex and the Cityのキャリーのナレーションのように聞こえてきます)。二人が始めた農牧場は、地域の農家と消費者が農産物の定期購買契約を通して互いを支え合うCSA(Community Supported Agriculture)というシステムを採用していて、実はこれ日本発祥なんだとか。でも日本では根付かず、現在はアメリカなど欧米を中心に世界的な広がりを見せているそう。読むうちに私たちが普段口にするものが、どのようにして生産されているのかも学べて◎ 。出てくるご飯の描写も美味しそうでたまりません。(Toshi

🎸Pink Moon - Nick DrakeSpotifyApple MusicGoogle Play
1969年のデビューからわずか5年後、26歳の若さでこの世を去ったイギリスのフォークミュージシャンNick Drake。最後に発表したアルバム「Pink Moon」の制作中、彼は深刻なうつ病に悩まされていたといいます。しかし繊細なフィンガーピッキングの音色、憂いと温かさが混在する歌声、そして冷静でどこか厭世的な歌詞には、絶望よりもむしろ「寂しさを抱えているのは独りじゃない」と思わせてくれる力があります。実はStandart Japan第13号の「最後の手紙」という記事には、同アルバムに収録された「From The Morning」の歌詞が一部引用されているので、ぜひ記事と一緒に楽しんでみてください。(Atsushi


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

麻生 信二 aka asoshing
KARIOMONS COFFEE ROASTER(ex.STEREO COFFEE)。カメラマンとしてStandart Japanの記事制作に協力してくれたことも。森でchillってハンモックで寝るのが好き。虫は苦手。

セットアップ
抽出器具:kalita wave 185
豆量:18g
湯量:270ml 
挽き目:やや粗挽きより(EKの目盛りで8.4)
湯温:85℃
抽出時間:1分35秒

手順
  • 40gのお湯を注ぎ、40秒間蒸らす
  • 0:40-1:00で160gまで注ぐ
  • 1:00-1:20で270gまで注ぐ
  • 1:35でドリッパーを外す
    ポイント
    ▷ 抽出のポイント
    kalita wave 185を使用することで、豆がお湯に当たって動く範囲を広くし抽出効率を高めています。

    ▷ asoshingのひとこと
    国境も年齢も関係ないのがコーヒーの魅力。沢山の人と話すきっかけをつくって、生活を豊かにしましょう!個人的には早くクラブで踊りたい!大きな音を聞きながらのコーヒーも(ハイネケンも)最高!


    インターネットやソーシャルメディアの普及に伴う「個人のメディア化」なんて言葉が使われはじめて久しいですが、最近ではその質が変化してきているなと感じる機会が増えました。具体的には「マルチメディア化」です。例えばこちらの方はWeekend Brewについてポッドキャスト、つまりは音声メディアで話してくれていますし、こちらの方はStandart Japanの最新号についてYouTube、動画メディアで紹介してくれています。紙を主戦場とするチームStandartですが、コンテンツによっては今後他の手段を模索する可能性も十分あります。つまり何が言いたいかというと、皆さんが発信する情報は私たちにとっての勉強材料だということ(チーム一同めちゃくちゃチェックしています)。


    ということで、感想やコメントはぜひ #standartjapan のハッシュタグと共にシェアをお願いします! 質問はメールでお待ちしております。またお友達やご家族など、Weekend Brew を一緒に楽しんでもらえそうな方にこのメールを転送していただけると嬉しいです。

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    LOVE & COFFEE✌️
    Standart Japan