Standart Japan第13号:カバーアートの制作舞台裏

Standart Japan第13号:カバーアートの制作舞台裏

第13号からデザインが一新されたStandart Japan。各記事の見た目はもちろんのこと、リニューアル後初めての一冊ということもあり、表紙には一目で印象に残り、かつ今号の雰囲気を伝えられるようなビジュアルが必要でした。 

表紙のコンセプト作りは、今号のコアとなるテーマからスタートしました。それが「Divergence」。日本語では「逸脱」と訳されることの多いこの言葉を表現するため、見慣れたコーヒー器具が普通から「逸脱」した形で使われている様子を描こうというアイディアが生まれました。カップとして使われているV60、ミルクジャーから注がれようとするコーヒーなどを見て、クエスチョンマークが頭に浮かんだ人もいると思います。

こうしてビジュアルのアイディアを考えるうちに、もうひとつのテーマが浮かび挙がってきました。それが現在のコーヒー業界を支える絶妙なバランスです。これは不安定さの裏返しでもあり、気をつけないとすべてが台無しになってしまうという意味も含まれています。

2つ目のテーマを表現するのが、この表紙を形にする上で一番楽しいプロセスだったかもしれません。セットはテグスや滑車、パテを駆使しながらすべて手作業で作られました。

今回力を貸してくれたセットデザイナーのEkaterina Starostinaさん (@rfnzrfnz)いわく、「一番難しかったのが小道具を固定する作業でした。特に液体が入ったものには手こずりました。全体のプロセスとしては、まず構図をざっくり考え、そこから小道具を選び、それぞれの置き場を決めていきました。その次がバランスを見ながら小道具の傾きや位置を調整し固定する作業で、これが一番大変でしたね」とのこと。

 

とはいえ、構図を組み立てるうえで大切な考えである、各要素の繋がりを無視することはできませんでした。一部の物は宙に浮いていたとしても、それ以外の物と何かしらの繋がりが感じられるように配置(そして固定)しなければいけません。そうして出来上がったのが、斜めに走る平面上にある、動きやエネルギーを感じさせる要素が、それぞれを強調し合う絶妙なバランスのうえに成り立つ構図でした。以下では撮影時の様子も少しだけお見せします。

印刷された写真は見る角度や向きを変えるとまた違った雰囲気が楽しめるので、まだ第13号を持っていないという人はぜひこちらからどうぞ!

セットデザイン: Ekaterina Starostina (@rfnzrfnz)
写真: Klim Bogdanov (@klimbogdanov)