ミルクと乳糖不耐症:動物性タンパク質の混入を防ぐ方法

ミルクと乳糖不耐症:動物性タンパク質の混入を防ぐ方法

ここ数年でソイミルクやオートミルクなど、植物性の代替ミルクを提供するカフェが増え、乳糖不耐症や牛乳アレルギーの方、あるいは菜食主義者のように動物性の食品を取りたくない人でもカプチーノやラテを諦めなくてすむようになりました。

しかし適切な処置をほどこさないと、牛乳のタンパク質が代替ミルクを使ったドリンクに混入する可能性があるということがSimonelli Groupの研究により分かっています。以下では、創刊号からStandart Japanをサポートしてくださっているトーエイ工業株式会社の協力のもと、Simonelli Groupが行った研究についてご紹介します。

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複数種のミルクを提供しているお店では、どのように交差汚染を防げばいいのでしょうか?

この問題に答えるため、Simonelli Groupとカメリーノ大学が共同で設立したThe International Hub for Coffee Research and Innovationは、複数種のミルクを使い分けながらカプチーノを作る際の交差汚染に関する研究を実施しました。

研究方法:牛乳をスチームした後に同じスチームワンドを使ってソイミルク入りのカプチーノを作った場合、牛乳に含まれるタンパク質の残留物が検出されるかを検証。

この実験では、牛乳とソイミルクを使って複数のカプチーノを準備。そして牛乳をスチームしたときと同じスチームワンドを使ってソイミルク入りのカプチーノを作った場合、ソイミルク・カプチーノから牛乳に含まれるタンパク質が検出されるかを調査しました。研究者はもっとも一般的と思われるカフェでのオペレーションを再現しながらそれぞれのカプチーノを作成。

タンパク質の検出にはウェスタンブロット法と呼ばれる、生化学研究で用いられる手法を採用し、ソイミルクには含まれないラクトグロブリンという乳清タンパク質のひとつを残留物としてカウントしました。

清潔なクロスや使い捨てのペーパータオル、別々のジャーを使いながら実験を重ねるうちに、スチームワンドの拭き取り方やパージの時間によってラクトグロブリンの混入が観察されました。

研究結果:汚染を根絶するためには丁寧な洗浄が必須

研究の結果、ミルク間の交差汚染が極めて発生しやすいということが分かりました。そのため異なる種類のミルクを使ってカプチーノを作る際には、都度スチームワンドを丁寧に洗浄しなければなりません。もっとも有効と思われる(=もっとも効果的に交差汚染を防げる)洗浄方法は、お湯でスチームワンドを洗浄した後に清潔なペーパータオルで水分を拭き取るというもの。またジャーもそれぞれのミルクごとに用意し、同じジャーを異なる種類のミルクに使わないようにしなければなりません。

清潔で濡れたクロスをつかってスチームワンドを拭き取るだけでは、交差汚染のリスクをかなり軽減できるとはいえ根絶することはできないため、せいぜい乳糖不耐症の人であれば影響が少なくなるという程度でした。もしもアレルギーを持つ顧客がいる場合は、ミルクの種類によって異なるスチームワンドを使うか、毎回スチームワンドを熱湯で洗浄し、清潔なクロスまたはペーパータオルで拭き取り、さらにはそれぞれのミルクに応じたジャーを準備することをお勧めします。

 

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清掃を徹底するというのは飲食業に携わる人にとっては当然のことかもしれませんが、COVID-19のような感染症の拡大や代替ミルクをはじめとする新しい種類の食品の登場など環境は日々変化していくため、上記のような情報が最適なオペレーションを構築する助けになれば嬉しいです!