おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
昨日、運動をしながらポッドキャストを聞いていると、ふと考え込んで足を止めてしまう瞬間がありました。聞いていたのはアメリカのコーヒー情報サイトSprugeが運営する「A Better Table」というポッドキャスト。初回のゲストである障がい者の権利活動家Alice Wongさんが、プラスチックストローの廃止に言及する場面でのことです。
Aliceさん自身も神経筋疾患を患う障がい者の一人。彼女の目線から語られたのは、障がい者の中にはプラスチックストローを必要としている人が多くいるということでした。彼女はカップを持ち上げることができないため普段ストローを使っていますが、紙や生分解性のストローだと温かいラテなどを飲むときに溶けてしまい、思うようにドリンクを楽しめないことがあったそうです。何より一番問題だと感じているのは、ストローが必要であることをわざわざお店のスタッフに説明しないといけないということだそう。インクルーシビティを考える上で、心に留めておきたいお話でした。(気になる方は、トランスクリプトもあるのでぜひご覧ください。最新号の記事SHOUT!を執筆してくださったUmekoさんがパーソナリティですよ)
今週のStandart Japanは、最新号の発送対応などを行いながら、次号の記事のインタビューや翻訳・記事の執筆を進めています。SNSやメールで届く最新号やニュースレターへのご感想をひとつずつ拝見しながら、読者の皆さんが何かを始めたり、考えたり、行動するきっかけを雑誌を通じてご提供できていることを改めて実感しています。いつもありがとうございます!
Toshi & Atsushi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
コーヒー器具を製造・販売するFellowがWeb開発企業Megeと共同で始めた「ComeTogether」。3月のローンチ当初は、世界中のカフェの営業状況を共有するプラットフォームとして機能していましたが、長引くCOVID-19の影響を受け、現在は協賛企業や寄付者と共に「ComeTogether Cafe Fund」の名の下、経営状況の苦しいカフェやロースターに対して資金的な援助を提供しています。なお集まった資金はBIPOC(Black, Indigenous and People of Color:黒人、先住民、有色人種)や障がい者、LGBTQ、女性、少数民族など社会的に抑圧されたコミュニティの人々が経営もしくは働くビジネスにおくられるとのこと。支援対象を限定しているのは、COVID-19の影響が人々の属性によって大きく異なることが背景となっているようです。
映画「ペイ・フォワード 可能の王国」では、主人公のトレバーが社会科の授業で出された課題をもとに自分が受けた善意を別の人に渡すというアイディアを思いつき、彼の善意が徐々に周囲の人々に変化をもたらす様子が描かれています。このペイ・フォワード(英語では"pay it forward")を実践しているのがアメリカ・ウィスコンシン州ベロイトにあるBlue Collar Coffee。店内の壁には「pay it forward wall」と呼ばれるスペースがあり、そこにはCOVID-19と最前線で戦う医療従事者やまったくの他人に向け、店を訪れたお客さんが購入した善意のコーヒーチケットで埋め尽くされています。ちなみにこの文化はイタリアのナポリで100年以上前に誕生したと言われており、現地ではCaffè sospeso(飲み手の決まっていないコーヒーの意)として知られています。Netflixではこれを題材にしたドキュメンタリー作品「Coffee for All」が公開されています。
- ルワンダのコーヒー農家500人に一年分の健康保険を提供すべく、日本の有志のロースターが集まり、コーヒー豆の販売を通じた支援策を実施中。8月31日まで。
- レバノンのベイルートで起きた爆発事故によって、コーヒーショップにも甚大な被害が。こちらで現地のショップオーナーたちの声が紹介されています。スターバックスは現地パートナーと共に20万ドルの支援を行っています。
- Daterraが4〜6月に実施したキャンペーンの結果、37,307本もの木(20ヘクタール相当)がブラジルの地に植えられることに。
- 米オンラインメディアVoxは、気候変動がコーヒー生産に及ぼす影響についての動画を公開。素晴らしいインフォグラフィックにより問題の要旨が分かりやすく伝えられています。
- 焙煎ソフトを開発するCropsterが、機械学習技術を使って最大2分先の豆の温度とRoR(温度上昇率)を予測する機能「Bean Curve Predictions」をリリース。
What We're Drinking
今週のコーヒー
自分の目で見てきたものを大切にしたいという想いからコーヒー生産国を自ら訪ねて買い付けを行う、大分県大分市のコーヒーロースター。“生産者の顔が見えるコーヒー”を片肘張らずに自宅でおいしく飲んでもらうことが、オーナー三杉さんの願い。
生産国:コロンビア
地域:アンティオキア県アマガ
生産者:エチャバリア・ファミリー
農園:フィンカ・ベラクルース農園
品種:ゲシャ
精製方法:フリーウォッシュト
テイスティングノート:フローラル、ジャスミン、ベルガモット、トロピカルフルーツの風味。明るくジューシーな酸味と滑らかな口当たりが特徴的な、とても華やかなコーヒーです。
Standartの感想:アロマから想像していたメープルシロップのような甘さは、一口目の華やかな酸味に一気に吹き飛ばされました。大好きなピンクグレープフルーツが頭に浮かんだかと思うと、その後に追いかけてくる金平糖のような素朴でやさしい甘さのグラデーション。酸味と甘みと驚きと称賛、味わい深い緩急のあるコーヒーでした。
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
📚 The Coffeehouse Resistance: Brewing Hope in Desperate Times - Sarina Prabasi(Amazon)
NYでコーヒーショップBuunni Coffeeを夫と共同経営するSarina Prabasiさんの著書。ネパール人である彼女の幼少期や、夫と出会ったエチオピアでの話、アメリカで移民としてコーヒーショップを立ち上げ、お店が地域に根付くまでのストーリーなどが描かれています。家族愛、起業や経営、移民問題、政治といった切り口で語られるコーヒーをテーマとした本は、これまで読んだことがありませんでした。コーヒーショップがサードプレイスと呼ばれ”ニュートラル"な存在であることが普通となった今、昔のように政治や地域の問題などを語る場所になればとコミュニティ・アクティビズムに力を注ぐSarinaさんやそれに応えるBuunni Coffeeを訪れるお客さんたち。自分たちの住んでいる地域や国について真剣に考え、地元のコーヒーショップができることを行動に移していくプロセスに、心が動かされ、多くを学びました。英語でしか読めませんが、日本のコーヒーシーンにはまだない視点がここにあります。おすすめです。(Toshi)
🎞 You Can't Stop Us - Nike x Wieden+Kennedy (YouTube)
スポーツメーカーのNikeが現在実施している「You Can't Stop Us」キャンペーンの最新広告が先日公開されました。4000本ものアーカイブ映像と新規に撮影された映像を組み合わせて作られたというこの広告は、画面が中央で分割され、それぞれのシーンに登場する2人のアスリートがシームレスに融合する姿が映し出されています。差別や未曾有の感染症など、どんな困難がふりかかっても「私たちを止めることはできない」という強いメッセージが感じられるこの映像。たとえスポーツに馴染みがない人でもきっと勇気をもらえます。(Atsushi)
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
大阪でコーヒーの抽出を、東京で焙煎を学び、2018年に地元の香川県でLABOREMUSを創業。去年スパイスカレーのイベントに出店して以来、スパイスや薬膳に興味を持ち、内側からの身体の改善にハマる。最近では筋トレやランニングにも挑戦中。
抽出器具:iwaki ウォータードリップサーバー(k-8644-CL)
豆量:40g
湯量:100ml
水量:500ml
挽き目:中細-中挽き(浅煎り-深煎り)
湯温:90℃(蒸らし用)
抽出時間:2〜3時間
手順
- 50gのお湯を注ぎ、スプーンで撹拌。この工程を2回行って(50g×2=100g)5分蒸らす
- サーバー上部をセットし、500gの水を入れる
- 常温で2-3時間待てば滴下完了
蒸らしの工程をしっかりとることでどんな豆でも通常の水出しより風味が豊かになります。寝る前にセットしておけば朝にはおいしいコーヒーができあがってます! タンブラーに入れて持ち運ぶのも◎ 暑くてしんどい夏でも手軽にできちゃう。コーヒーと共に幸せな一日を。
今週の Weekend Brew はいかがでしたか?
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LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan