#39: 美濃焼、微生物、コーヒー

#39: 美濃焼、微生物、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週、コーヒープロフェッショナル(主に時給で働く)を支援する団体Go Fund Beanが最近立ち上げたBean to Beanというメンターシッププログラムについて知る機会がありました。内容は、コーヒー業界でのキャリアを積んでいくためのメンターシップを提供するというもの。具体的には、技術の向上や業界内の異なるフィールドで活躍したいと考えるコーヒープロフェッショナルに対して、業界の経験豊富なメンターが、明確なゴールとマイルストーンを設定してマンツーマンでトレーニングを行うそうです。

コーヒーを仕事にすると考えたときに、企業に属する以外に、「バリスタ→ロースター→独立」というキャリアパスが思い浮かぶことが多いのですが、これ以外にもコーヒーに関わる方法はたくさんあって、さまざまな境遇にいるコーヒープロフェッショナルたちにとって、Bean to Beanのようなプログラムはきっと大きな力になるのではないでしょうか。

個人的に、人生の節目でメンターとも呼べるロールモデルに出会えたことが、今のキャリアの指針にもなっています。日本国内でもBean to Beanのようなプログラムは歓迎されるんでしょうか。みなさんは、メンターと呼べる存在がいますか?

編集長 Toshi


 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

一歩進んで二歩下がる

深刻化するプラスチック廃棄問題への対応として、先日オーストラリア政府は「国家プラスチック戦略」を発表。政府は公式声明として「プラスチック廃棄を減らす最も簡単な方法は、不要なプラスチック消費を減らすこと」と述べており、主要ビーチにおけるプラスチック利用の禁止や、テイクアウト用ポリスチレン容器の廃止をはじめ、国内産業全体へプラスチック利用の脱却を呼びかけるとのこと。

特筆すべきは、2022年7月を目処に進める生分解性プラスチックの段階的な廃止であると、こちらの記事で指摘されています。同素材は微生物の働きによって自然に還る「はず」である一方、明確な定義や認証がないことから、実際はマイクロプラスチックの流出につながるケースや、分解されるのに相当な年月を要すること等が問題視されていました。加えて同記事が注意を喚起するのは、プラスチックの適切な「回収・処理」についてです。例えば認証付きの「コンポスト可能 (Compostable)」プラスチックを購入しても、適切に回収されずに埋め立て処理された場合、結果的に従来以上の環境負荷を生んでしまうとのこと。社会全体として「選択・購入」に注目が集まる中、私たち消費者が使用後の「回収・処理」に目を向けることで、リユーサブルカップの使用といった「使わない/再利用」という選択肢の意義が育まれていくように感じます。

ちなみに、4月22日は世界中で気候危機を訴えるアース・デイ(Earth Day)。認証や表記、日々の消費行動について一歩踏み込んで考え、その上で一歩引いて全体(地球環境)への影響を俯瞰する。そんな日々の歩幅を使い分けが、社会の大きな一歩に繋っていくのではないでしょうか。

 

「意味」のリファレンス

多くのコーヒーラバーにとって、日々のコーヒー習慣が生活の豊かさに繋がっていることは言わずと知れた事実。しかしこちらの記事では、毎朝のコーヒー習慣には人々の孤独を解消する可能性さえあると示されています。

同記事によると、コーヒーを淹れるといった毎朝の小さなルーティーンが、私たちの人生の「意味」を育み、それが孤独の解消につながるとのこと。注目すべきは、ここで言う「意味のある」習慣が、文化・社会的な側面だけでなく、私たち自身が見出す意味によって支えられているという点です。言い換えると、人の数だけ意味のある習慣が存在し、ある人にとっては、毎朝何もしない時間を楽しむというルーティーンも「意味のある」習慣になり得るということ。これは、以前のニュースレターでも紹介した「行為そのものが目的」、つまり「おいしいコーヒーを味わう」というピュアな体験を楽しむこととも通ずるように感じます。

最近だと、映画をはじめとする映像作品に対してもコストパフォーマンスを重視し、作品を早送り再生で鑑賞する人が増えているとのニュースも(これに関しては早送りが可能なプラットフォーム側の責任も否めませんが)。「アクセス」が容易になった時代背景に加え、外出が難しい今日では特に、日々の小さな行動に意味や目的を求め(られ)る機会が増えているのかもしれません。だからこそ、「コスパ」では語れない面白さに宿る意味を、これからも大切にしたいですね。

 

その他の気になるニュース

▷ メキシコのコーヒー生産者協会AMECAFEが、コーヒー価格を管理する新たな政府機関設立を推進中。国際相場の変動によって困窮する小規模農家の生活向上を目指し、独自の予算を確保しながら、農家への財政・マーケティング支援を行うのがミッションとのこと。

▷ フィンランドのクラフト飲料メーカーが世界初のジンをベースとしたオーツリキュールを発売。気になるそのお味は、「カルダモンとバニラソースをたっぷりかけたオーツ麦の風味漂うブルーベリーパイ」。

▷ 米郵便公社がアール・デコ調のコーヒー切手をリリース。残念ながら発送先は国内限定ですが、アメリカに知り合いがいる人はこちらから購入してみては?

▷ 米国のとあるコーヒーショップが、オンラインオーダーに使う梱包材削減を目的に再利用可能な配達ボックス「Boox」を試験導入。使い終わったBooxは運営会社が回収・消毒し、再び加盟店のもとに届けられるという仕組み。

▷ 陶芸アニメ『やくならマグカップも』が放送開始。岐阜県多治見市に移り住んだ主人公豊川姫乃が、ひょんなことから亡き母が伝説の陶芸家であったと知り、陶芸の世界に魅せられていく物語。ちなみに姫乃の叔母と父が営む喫茶店では、ネルドリップ・コーヒーが飲める模様。

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

Paradise Coffee Roasters
ハワイ

2002年創業以来、スペシャルティコーヒーのみを扱い、2018年からはハワイでトップクラスのコーヒーをコーヒー農園レベルから品質管理を行い、ハワイ最高峰のコーヒーを世界にお届けしています。

生産者:
パラダイスコーヒー&アロハヒルズ農園

生産地域:アメリカ ハワイ州コナ(地図

品種:マラゴジッペ

精製方法:ナチュラル

テイスティングノート:
ピーチや柑橘系の酸味を持ち、フルーティさやハニーの甘味を持ち合わせる。しっかりとした深い味わいとボディー感が印象的で、コーヒー通にはグッとくる力強いコーヒーです。

編集長のコメント:
残念ながらコーヒー豆の到着が遅れてしまったので、テイスティングはできませんでした。が、以前テイスティングした、当ロースターのコナコーヒー ウォッシュトは目の前にフルーツバスケットが見えるくらい、南国フルーツのようなジューシーな果実を連想させるものでした。エチオピアのコーヒー全般に感じれるような華やかなフローラル感があります。ハワイのコーヒーははるか昔に一度飲んだことがあるくらいだったため、このようなハイクオリティなスペシャルティコーヒーが作られていることに驚きと感動を覚えたのをよく覚えています。


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

食卓一期一会 - 長田 弘
リンク

詩人や児童文学作家として活躍された長田 弘さんの著書。以前たまたま入った本屋で出会いました。開くたびにいまだに出会えてよかったなぁと思う本の一つです。食べ物の作り方や楽しみ方、生きることの楽しみ方を、カレーやコーヒー、パスタにテキーラなど、料理や飲み物をテーマに、長田さんのやさしい詩が軽快に、ゆっくりと、壮大で、緻密に語りかけてきます。色彩や匂い、食感や味、音がすぐそこに感じられるように、五感に語りかけてくる言葉の豊さにただただ感動します。ひとつひとつの詩にストーリー性もあり、そうきたか!と思わず笑みが溢れるものも。「食卓は、ひとが一期一会を共にする場。」後書きにそう綴った長田さんの思いが、言葉の節々に、言葉の余白に感じられます。個人的に「言葉のダシのとりかた」「朝食にオムレツを」「テーブルの上の胡椒入れ」「食べもののなかには」「絶望のスパゲッティ」などがお気に入り。おいしいご飯を誰かと一緒に食べた後に感じる幸福感がこの本には詰まっています。心とお腹を満たせますよ:)


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

櫻井 汰樹

ニュージーランド滞在中に、コーヒーとそこで生まれるなんともあったかいコミュニティに憧れて帰国後、コーヒーをはじめる。現在はパドラーズコーヒーで働く。ハマっているのはレコード集め。今のお気に入りはSpeechというアーティストのHooplaというLPとBobby Caldwell の名前そのままのLP(邦題はイブニング スキャンダル)。配信でももちろん聴けるのでぜひチェックしてみてくださいね!

セットアップ:
抽出器具:フレンチプレス
豆量:15g
湯量:225g
挽き目:あらめditting frenchpress用
温度: 97度
抽出時間: 5分

手順:

  1. 少し温めたフレンチプレスに15gの引いた豆を入れる
  2. タイマーを5分にセットしてまずはお湯を半分ほど注ぐ
  3. 20秒ほど待って残りのお湯を注ぎ切る
  4. タイマーが終わったら豆粕が入らないようにフィルターを使って温めた器に注ぐ

        ポイント:

        そこまで時間や数字に拘らないのがポイント。スケールがなくてもフレンチプレスなら感覚で淹れて美味しくできる! レシピと言ってますがあまりこだわらずで笑

              一言:
              コメント お店でも提供しているフレンチプレス。シンプルでクラシックでかつしっかりしたコーヒーの味わいを簡単に楽しめるのでお家用にもおすすめ。考えすぎちゃうと美味しいものも難しくなって美味しくなくなっちゃうので気楽に淹れれるフレンチプレス最高です!


               

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              今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第15号スポンサーの 兼松株式会社、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Paradise Coffee RoastersPrana ChaiTypicaのサポートでお届けしました。

              LOVE & COFFEE✌️
              Standart Japan
              (執筆・編集:Takaya & Atsushi)