#35: 鳥、足もと、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

先週水曜日に、以前ニュースレターでもご紹介したHigh DensityというBarista League主催のオンラインイベントが実施されました。錚々たるメンバーに加え、無料でここまでやるかのというコンテンツ、進行や演出なども含め、素晴らしいイベントでした。

Standart Japan最新号のサンプルコーヒーを提供してくれたMAMEの深堀絵美さんとMathieuTheisさんも登場。楽しい解説と共に、飲んだことのないコーヒー豆をおいしく抽出するための思考プロセスを、世界トップクラスのバリスタから学べる内容となっていました。Youtubeでアーカイブ動画が公開されているので、気になる方はこちらから。ちなみに、最新号に付いてくるMAMEのサンプルコーヒーは、新しく焙煎したものが数量限定で届いたので、定期購読者をご検討中の方はなくなる前にお早めに。

そして現在、最新号(15号)の読者アンケートを実施中です。抽選で当たるAEROPRESS GOやMiiRボトルなどのプレゼントもご用意していますので、定期購読中の方も、書店やカフェなどで第15号を読まれた方も、ふるってご参加ください! アンケートはこちらから

最後に、今週インスタグラムで「Standartはブログもやってたんだ!」とコメントくださった方がいらっしゃいました。実はやってます(笑)。コーヒーブレイクや移動中のお共にぜひどうぞ

編集長 Toshi


 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

ディスタンスへのスタンス

毎年5月9日は渡り鳥の生態保護を呼びかける「世界渡り鳥の日」。混雑した都市部への移動が減り、昨年の5月9日には一日当たりの野鳥観察記録数の世界記録が樹立されるなど、人間と鳥たちの距離は縮まっている模様。しかし鳥たちとコーヒーの関係性はどうでしょうか?

こちらの記事で取りあげられているのがその名も 「バードフレンドリーコーヒー」。有害な農薬や肥料による生態系の破壊が問題となる中、近年では森林伐採を前提としたサングロウン(Sun-grown)式の単一栽培から、陰木の下で栽培を行うシェードグロウン (Shade-grown)式への移行も見られています。しかし同記事によると、明確な基準のない「シェードグロウン」という表記は、必ずしも生物多様性の保護を意味するわけではないとのこと。一方で、明確な認証規格に基づくバードフレンドリーコーヒーの場合、葉の影や木々の高さ、栽培環境全体の生物多様性など、あらゆる側面で鳥たちにとって理想的な生息環境(コーヒーの栽培環境)を保証しているのだそうです。

しかし約900人のバードウォッチャー兼コーヒー好きを対象とした調査によると、同認証に馴染みがあるのはその内の半分以下、実際の購入者はわずか9%だったとのこと。この結果からも、認知への障壁と、先週のニュースレター冒頭でも触れた「課題への共感」から「購入」へと繋げることの難しさが感じられます。今後も認証に加え、企業や団体が発信するサステイナビリティのメッセージと消費者の間に存在する距離の縮め方は、大きな社会課題と言えそうです。サステイナビリティの在り方についてのさらなる議論は、ぜひ本誌最新号『コーヒー企業のサステイナビリティ戦略』をご覧ください。

 

カップの(が)繋ぐ未来

コーヒーを通じて警察と地元コミュニティの交流を図る対話型イベント「Coffee with a Cop」。COVID-19の蔓延以降、各地で開催延期を余儀なくされていた同イベントですが、米国をはじめ、オーストラリアでも徐々に再開の報告が上がっています。

Coffee with a Copの最大の目的は、地元コミュニティと警察の間で交わされる「雑談」です。「警察と住民の壁をなくすこと」をミッションに掲げる同イベントでは、アジェンダや一方的な講義はなく、地域住民はコーヒーを片手に、自分たちが抱える悩みや関心ごとについて地元警察とカジュアルな会話を育めるのだそう。この背景には本来地域警備に不可欠である「住民との信頼関係」が気薄になっているという問題意識があり、コロナ以前には米国だけでなく、ヨーロッパやアフリカ諸国でも広く普及していました。「小さな行動が大きな信頼を生む」という言葉が示すように、一杯のコーヒーが生み出す対話が人々の繋がりを育み、その線が集まることで「コミュニティ」という存在が描かれていくのだと感じます。

しかし昨年米国全土で予定されていた5周年記念イベントは、BLM運動の高まりを受け中止に。黒人差別に加え、以前のニュースレターでも紹介したアジア・太平洋諸国系米国人(AAPI)への人種差別問題など、各地域で顕在化する深刻な分断が問題となっています。社会全体がつながりへの回帰を問われる今、Coffee with a Copのような積極的な対話を促す姿勢こそ、大切な一歩になっていくのでしょう。

 

その他の気になるニュース

▷ AdidasがグラミーアーティストBad Bunnyとのコラボスニーカー「The First Café」をリリース。以前紹介したNikeのコーヒースニーカーシリーズをはじめ、近年スニーカー界でもコーヒー旋風が巻き起こっている様子。

▷ ブロックチェーン技術を用いてあらゆる有形・無形物をデジタル資産として管理できるNFT (non-fungible token) 。アート界を中心に話題の同技術ですが、こちらの記事ではレシピやメニューなど飲食業界ならではのNFTの可能性がまとめられています。

▷ ブルーボトル京都カフェの離れ2階が、コースメニューを楽しむ完全予約制フロア「The Lounge Kyoto」としてリニューアルオープン。コーヒーコースといえば、先日は東京の清澄白河にオープンしたKOFFEE MAMEYA -Kakeru-が話題になっていました。

▷ 現在製作中の『Espresso Tycoon』は、あなたがカフェ経営者として立地から運営までを主導するビジネスシュミレーションゲーム。なんと提供するコーヒーも、アラビカ種/ロブスタ種、産地やフレーバーなどの詳細設定が可能なのだとか。詳しくは公式サイトをチェック。

▷ メーガン妃とハリー王子へのインタビュー動画に関して、「映像内に登場するコーヒーテーブルがあまりに低すぎる」と一部のTwitterユーザーの間で話題に。誤ってコーヒーを蹴り飛ばしてしまう朝一番の「キックスタート」にご注意を。

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

恋史郎コーヒー
宮崎

宮崎市にある小さな自家焙煎店。浅煎りを中心に、澄んでいて個性豊かなコーヒーを提案しています。

生産者:
Peralta Coffee(オクタヴィオ・ペラルタ)

生産地域:
ニカラグア ヌエバ・セゴビア県、カロリーナ (地図

品種:
カトゥアイ

精製方法:
ナチュラル・アナエロビコ

テイスティングノート:
ラズベリー、ミルクチョコレート、ヨーグルト、ロングスイート

編集長のコメント:
品のあるコーヒーで、凛とした酸味と長く続く甘さが印象的。アナエロビックファーメンテーション(嫌気性発酵)の処理は時に強すぎる発酵感を感じてしまうことがありますが、調和のあるフレーバーで個人的にはちょうどよく心地よいです。コクとミネラル感があり、ジューシーなイチゴやラズベリーのフレーバーはさしずめワインのガメイ種のよう。液体が喉をすぎたあと、ふわりと鼻にぬけていく香りはまるでアポロチョコで、不思議と笑みがこぼれました。ライブ音楽を聞いた後に体に残る振動のように、飲み終わりも口に残るやさしい甘さが体に広がっていくのを感じました。


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

発酵文化人類学 - 小倉ヒラク
リンク

発酵の世界の面白さを知るにはとっておきの一冊。最近よくテレビや雑誌や飲食の世界でもよくホットなトピックとして話題に挙がる「発酵」について、発酵デザイナーである小倉ヒラクさんが、文化人類学の視点から紐解き、そのミクロな奥深い魅力を伝えてくれます。味噌や醤油、ワインにチーズに日本酒などなどなど。食べ物だけみても、私たち人類の生活と発酵は切っても切れない関係にあります。微生物の視点から見える世界がこれほど軽快に表現された本はなかなかありません。パリで美術の勉強をされていた小倉さんのアートな感性も素晴らしく、「絵画が画家と鑑賞者のインタラクティブアートであるように、酒は醸造家と飲み手のインタラクティブアートだ。アートの本質とは表現そのものではなく、表現をめぐる関係性なのだ」という一文に、これはコーヒーや雑誌にも完全に当てはまるなと感じました。本の中で、山梨の甲府で醸造業を営む五味醤油さんが頻繁に出てくるんですが、甲府のAKITO COFFEEさんのTane(焙煎所)があるのはこの五味醤油さんの旧醤油蔵。実は数年前にTaneでイベントをご一緒させていただいた際に、五味醤油のみなさんにもお会いしていて、その時いただいた桃と味噌が最高に美味しかったのを思い出しました。


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

高須 智之

映画「A FILM ABOUT COFFEE」を観てスペシャルティコーヒーの世界に魅了される。その後、得意分野である絵を描くことを活かしてコーヒーアパレルブランド「BURR FINE COFFEE」を立ち上げ、アートを通してコーヒーの魅力を伝える活動を行なっている。 夢は、コーヒーを飲みながらアート作品の鑑賞や制作ができる「芸術のサードプレイス」を作ること。 今ハマっているのはクリームパン作り。仏像にも興味があり、仏師について勉強中。

セットアップ:
抽出器具:ORIGAMIドリッパー S/カリタウェーブフィルター 1〜2人用
豆量:16g
湯量:240g
挽き目:Wilfa SVARTで「●FILTER」より1メモリ細め
抽出温度:92〜93℃ (沸騰したお湯をサーバーに移し、ケトルに戻せば適温です。)
抽出時間:2分50秒

手順:

  1. 1投目:44gまで円を描くようにまんべんなく注いで1分まで蒸らす
  2. 2投目:1分になったら88gまで注ぐ
  3. 3投目:1分30秒になったら154gまで注ぐ
  4. 4投目:2分15秒になったら220gまで注ぐ
  5. 5投目:2分40秒になったら240gまで注ぐ
  6. 2分50秒になったら、お湯が残っていてもドリッパーを外します。

ポイント:

▷ 浅煎りの場合は、1投目を注ぎ終わってからティースプーンで3〜5回撹拌
▷ 2投目までが勝負!あとは3回に分けて密度を調節
▷ お水は水道水をブリタでろ過した浄水を使用
▷ ペーパーフィルターはリンスなし
▷ 注ぐお湯の太さは「蕎麦とうどんの間」くらい
▷ レシピは私が勤務しているEnon Coffee Roastersのもの

        一言:
        BURR FINE COFFEEのコンセプトは「コーヒーを着よう。コーヒーで笑おう。」です。 始めた当初は「カッコいいコーヒーのTシャツが欲しい」という軽い動機でしたが、それからコーヒーのことを知れば知るほど、皮肉ですが「コーヒーはファッション(流行)じゃない」と思うようになりました。 もっとコーヒーと同じように、背景を想像し情熱を感じてもらえるプロダクトを作り、コーヒーラバーを笑顔にさせることがBURR FINE COFFEEの使命です。 Standartのように、コーヒーの新たな価値創造ができるように頑張ります!


         

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        今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第15号スポンサーの 兼松株式会社、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Paradise Coffee RoastersPrana ChaiTypicaのサポートでお届けしました。

        LOVE & COFFEE✌️
        Standart Japan
        (執筆・編集:Takaya & Atsushi)

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