#31: 私のお気に入り

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

数日前、福岡では雪が降るほど冷え込み、このところ日々の温度の変化が激しく体調管理が難しいなと感じています。朝ベッドの中で目が覚めたときに少し鼻が詰まっていようものなら、「あぁ、今日はコーヒーがおいしく飲めないかも」なんて嘆くことも。

それで思い出したのが、少し前に読んだCOVID-19の後遺症でにおいや味の分からなくなった料理人やパティシエ、ソムリエに関するこちらの記事。嗅覚や味覚を最大限に活用して特別な体験を生み出す飲食に関わる人たちにとって、この二つの感覚を失うことは深刻を極める事態でしょう。考えただけでもゾッとする症状で、コーヒー業界で特にお店などの現場でコーヒーを提供する立場にいる方や焙煎士の方たちにとっては、他人事ではありません。今週日本でもようやくCOVID-19のワクチン接種がスタートしたばかりですが、引き続きうつさない、うつらない行動を気をつけて生活していきたいですね。

ちなみに、この上記の記事にも書かれていましたが、社会的企業の草分けとして有名なアイスクリームのBen & Jerry'sの共同創業者ベン・コーエンは、先天性の嗅覚障害を持っているそうです。嗅覚が弱いために口に入れたときの食感を頼りにアイスクリームを開発していったところ、クッキーやチョコレートの固まりが次第に大きくなっていったんだとか。弱みは強みへと変わる可能性を秘めていることを教えてくれるエピソードですね。

最後に今週のStandartは、読者やお取扱店のみなさんがSNSにシェアしてくれる「最新号、届いたよ!」というメッセージに元気と幸せをたくさんもらっています。いつもありがとうございます! SNSやメールなどで、ぜひご感想聞かせてくださいね。

編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

ストーリー・オブ・ユアライフ

以前のニュースレターでも触れたように、近年著しい成長を見せる独立系コーヒーショップ。なんでもこの傾向は大都市だけでなく、郊外や地方都市でも見られるのだそう。こちらの記事では、そんな郊外や小規模都市で広がりを見せる通称「ネイバーフッドカフェ」という考え方について語られています。

ここで特徴的なのは、コーヒーショップを「地元コミュニティに属する人々が足を踏み入れることで初めて存在し得る空間」と述べている点です。前提として、小さな町では都市部のような集客や高い回転率を望めないことから、人々が「自分たちの居場所」と感じられるような空間作りが極めて重要とのこと。上質なコーヒー体験に加え、バリスタと顧客、そして顧客同士の顔の見える関係性が育まれることで、その空間がコミュニティ内のネイバーフッドカフェとして浸透していくのです。本誌14号では、ロースターと農家の関係を「主張するものではなく、築き上げるもの」と描いていますが、これはどんな文脈においても共通すること。あらゆる空間(存在)が持ち合わせる色彩は、コミュニティの持つ「特色」が加わることで、より豊かさを増すのではないでしょうか。

つまりカフェを利用する私たちは、サービスの受け手であると同時に、消費や関係構築の主体でもあるということ。私たちが特別だと感じる空間を、私たちを含めて特別だと感じる誰かが存在する。自分たちが受け取る側でも、渡す側であるとも考えたとき、私たち全員がそれぞれのスペシャルティを誰かと紡いでいく、そんな人生の主役なのだと感じてなりません。

 

タイトル:あなたの台南物語

世界的なコーヒー競技会において多くのファイナリストを輩出し、コーヒー生産国としても注目を集める台湾で、近年、古都台南のコーヒー産業が盛り上がりを見せています。

台南で生産されるコーヒーの多くは、赤道線から南北緯25度以内の「コーヒーベルト」に位置する東山(ドンシャン)区内の標高500~800mの山々で栽培されています。また同区内の主要な産地が県道175号線沿いに集まっていることから、この一帯は「コーヒーロード」の名称で人々に親しまれているのだそう。近年東山珈琲は、台湾コーヒーを代表する古坑(グーコン)珈琲や阿里山珈琲に並ぶ評価を獲得しており、台南市によると2020年までに既に21もの東山産コーヒーがCQI(Coffee Quality Institute)から正式にスペシャルティコーヒーの認定を受けているとのこと。現在台南農業局は、コーヒー産業のさらなる発展に向け、市内で採れるコーヒーや野菜を味わえる農業レジャーパークの建設計画も進めており、既に東山区内には東山珈琲文化館が開設されています。 また最近では台北の企業と連携し物流システムの整備を進めるなど、台南コーヒーのさらなる知名度・アクセス向上を狙った積極的な取り組みが見てとれます。

ちなみに、2019年に編集長トシが台湾・嘉義縣(ジアイ県)にあるFang Cheng-Lunさんのコーヒー農園を訪れた様子が、Standart Japanインスタグラムのハイライトに公開中。まだまだ渡航が難しい状況が続きそうですが、台湾のコーヒー事情が気になる方、是非脳内トリップがてらチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

その他の気になるニュース

▷ The Barista Leagueによる参加費無料のデジタルカンファレンスHigh Densityが3月9日(EST)に開催予定。お馴染みBoss BaristaのAshelyさんや、本誌14号「Meet Your Guest」のSunghee Tarkさんによるトークセッション、その他豪華コンテンツが盛りだくさん。参加登録はこちらから

▷ コーヒーの出がらしを扱うデンマークのスタートアップが事業拡大を計画中。同社商品の一つがコーヒーをアップサイクルした小麦粉。出がらしから脂質を取り除き、殺菌・製粉を経て作られる小麦粉は、グルテンフリーで栄養豊富なのだとか。

▷ コーヒー企業Citizens Coffeeが、エクイティクラウドファンディングのプラットフォームRepublic上で約5億円を調達。同プラットフォームは過去にSpace Xも活用しており、カフェ・レストランビジネスによる活用は今回が初めてなのだそう。

▷ 歯科医師のアドバイスによれば、コーヒーは歯磨き後に飲むべし、とのこと。コーヒーを飲んだ直後に歯を磨くと酸が定着してしまい、結果的に歯の外層を傷つけるとのことですが……「歯磨き粉」というフレーバーに惹かれないのは私だけ?

▷ リユーサブルカップ企業KeepCupと豪州のコメディ番組がコラボしたこちらの動画。KeepCupを持たない男性が素手でコーヒーを受け止める姿は見てられない。リユーサブルカップは地球と私たちの護身用。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

beans farm 
東京

東京都町田市にある自家焙煎コーヒーショップ。地域に寄り添い、コーヒーを身近に感じてもらいたいと1996年12月にオープン。コーヒーを通じて生まれるたくさんの出会いを大切に、日々丁寧にコーヒーと向き合っている。

生産者:
スロトコ農園

生産地域:
インドネシア スラウェシ島 タナ・トラジャ県(地図

品種:
ティピカ種/ブルボン種

精製方法:
ウォッシュド

テイスティングノート:
ミルクチョコレート、キャラメル、ナッツ

編集長のコメント:

The Weekend Brewのご紹介で初めて登場するインドネシアのコーヒー。まず豆を挽いてすぐにふわりと香ってきたのは台湾の金萱茶のようなミルキーな乳香、そしてキャラメルやチョコレートの深みのある甘いアロマ。お湯を注ぐとそれが焼き菓子に代わり、わずかなシナモンも感じました。一口目で驚いたのは、そのびっくりするほどの甘さ。とにかく甘い。そして(ワインでいうところの)噛みごたえがあり、バランスの良いタンニンの渋さのようなものを感じました。フレーバーの奥に感じるスパイス感と相まって、さながらホットワインを飲んでいるよう。少し冷めると焼きリンゴのようなジューシーさや、コーラのような後味も。WOWなコーヒーでした。


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

Roadtrip
Link

先日、友人から教えてもらったアプリ「Roadtrip」は、言うなれば音楽に特化したClubhouse。SportifyかApple Musicを繋げることで、ユーザーは箱(ルーム)のDJとして選曲を行うことや、Clubhouse同様他のユーザーとおしゃべりすることも可能。リスナー側は音楽や雑談を聴くだけでなく、曲のリクエストやChatty (話したい)、Focus (ボイスチャットはミュートにして音楽だけ聴きたい)といったステータスの表示もでき、作業用としてもルームの一員としてのインタラクションも楽しめます。また個々のアカウント上はもちろん、ルーム内で流れているプレイリストもチェックできるので、文字通りあなたの音楽の輪が広がっていく予感。ちなみにこちらのサイトの情報によると、Roadtripのリリース日はClubhouseのおよそ一年前なのだとか。Revueの買収を経て、Twitterが新たに開始するニュースレター機能をはじめ、今日マスから個への情報発信先の変化がメディアを横断して感じられる中、今後もRoadtripをはじめとするメディアプラットフォームの多様化に目が離せません。


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

三浦 沙羅

19歳でコーヒーを学ぶために上京。 様々なコーヒー店で3年ほど学んだ後、メルボルンに渡りManchester pressでバリスタとして働く。 帰国後、神戸のコーヒーとワインお店The ANCHOR での勤務を経て、現在は地元山梨でメルボルンスタイルのOZO coffee&wine standを経営。コーヒーやワインを通して気候変動やフェアトレードなど地球に優しいライフスタイルの提案をしている、環境に配慮したお店。 趣味はカメラを持って旅行に行き、ゲストハウスや様々なホテルに泊まること。

セットアップ:
抽出器具:FLOWER DRIPPER cup1
豆量:14g
湯量:220g
挽き目:カリタ ナイスカットG 2~3.5
抽出温度:90℃
抽出時間:2:30~3:00


手順:

  1. ペーパーフィルターをドリッパーにセットしてお湯でリンス
  2. ドリッパーに豆をセットして40g注ぎ、ドリッパーを3~5回し40秒蒸らす
  3. 40秒後、真ん中から外側、外側から真ん中に回しながら60g(100gまで)注ぐ
  4. 1分10秒になったら同じように60g(160gまで)注ぐ
  5. 1分40秒になったら同じように60g(220gまで)注ぐ
  6. 2:30~3:00の間で落ち切ったらフィニッシュ

    ポイント:
    ▷ 最初にリンスしてサーバーに落ちたお湯はペーパーの臭いが残るので捨て、もう一度新しいお湯で濯ぐ
    ▷ 2投目以降はドリッパーにお湯が半分くらい残っていてもOK
    ▷ その豆が持つ個性を存分に引き出してあげる
    ▷ コーヒーは楽しく幸せな気持ちで淹れる

    一言:
    多くの変化があり人間にとって困難が続いている反面、海が綺麗になりサンゴが生き返ったり、空気が綺麗になり青い空を見られるようになった地域も多くあるそう。 人間が汚し過ぎた地球は限界に達し、少し休息を求めていたのかもしれませんね。 空気、土、水、人など多くの協力を得てみなさんの元に届くコーヒー。 コーヒーを飲みながら、地球環境や生産者などその背景にも興味を持って貰えると嬉しいです。 一杯のコーヒーが幸せを運び、地球やあなたの心と体も豊かにしてくれるでしょう。 

     

    今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

    本日2/21の10:00~10:30に、2014年ワールドバリスタチャンピオンの井崎 英典さんが企画する#BrewHomeに編集長Toshiがゲスト参加します。#BrewHomeは、コーヒーを片手にZoom上で集まろうというシンプルな企画。昨年も何度かゲストで参加させていただきましたが、今回も最近読んだ本のご紹介です。お時間合う方は#BrewHomeのサイトからぜひ。見逃した方はアーカイブにてお楽しみください!

    バックナンバーを含め、The Weekend Brewの感想やコメントはぜひ #standartjapan のハッシュタグと共にシェアをお願いします! 質問はメールでお待ちしております。またお友達やご家族など、The Weekend Brew を一緒に楽しんでもらえそうな方にこのメールを転送していただけると嬉しいです。

    Standart JapanのウェブサイトInstagramFacebookもぜひチェックしてみてくださいね。

    今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第15号スポンサーの 兼松株式会社、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Paradise Coffee RoastersPrana ChaiTypicaのサポートでお届けしました。

    LOVE & COFFEE✌️
    Standart Japan 
    (執筆・編集:Takaya & Atsushi)

    #31: 私のお気に入り

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