#155: 爆発、静電気、コーヒー

#155: 爆発、静電気、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週後半からお盆休みの方も多いのではないでしょうか。お住まいのエリアによっては、せっかくのお休みが台風で台無しになっちゃいそうな方もいらっしゃいそうですが、とんでもなく暑いこの夏は、ご自宅でゆっくり本や映画などにどっぷり浸かるというのも案外悪くないかもしれません。(もちろん、おいしいコーヒー豆をゲットして)

そんな方にタイムリーに届いてほしい!と願いながら、今週、最新号のStandart Japan 25号が全国のサブスクライバーの皆さんの元へ旅立っていきました。すでに、「届いたよー!ハロー!」とSNSでシェアしてくださっている方も多くこの週末も皆さんのコメントを拝見しながら、温かい気持ちでいっぱいになりました。読者の皆さん、いつも本当にありがとうございます!

そして最新号についてくる付録コーヒーも楽しみですよね。今号は、ベトナム中部高原のダラット郊外にあるランビアン山で、コーヒー生産に取り組む山岡 清威さんと少数民族K'ho族のPatさんが中心となり立ち上げたプロジェクト「Lang Biang Coffee Project」(ランビアン・コーヒープロジェクト)がご用意してくれたエアロビック・ナチュラル。2023年のニュークロップです。

焙煎のタッグを組むのは、東京の清澄白河にあるアライズコーヒーロースターズさん。オーナーの林さんが今回のサンプルコーヒーを美味しくブリューするために、ドーナツドリッパー、V60、Coresの3つの抽出器具でのおすすめ抽出レシピを教えてくださったので、ブログ記事にまとめていますぜひこちらのレシピを参考にしながら、付録のコーヒーを淹れてみてくださいね。

ブリューの様子やご感想などシェアしていただけると、山岡さんをはじめとするランビアンの農家の皆さんやアライズコーヒーの林さんも喜んでくださるはずです。コーヒーラバーやコーヒープロフェッショナルの皆さんたちの声が届くことで、生産者やロースターの方々の大きな励みになります。

そして、雑誌のご感想もぜひ聞かせてください。好きだった記事、心に残った言葉や写真、これってどうなの?と思った点や、今号から一新したデザインについてなどなど。それは、私たちにとって本当に大きな喜びとなり、力となります。 

来月頭に、久しぶりにコーヒーwith Standartもコミュニティで開催したいと思います。コーヒー片手に25号について色々と語り合えると嬉しいです。詳細はまた後日ご案内しますね。

それでは皆さん、良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

サイクリング型循環社会

スコットランド南西部の都市グラスゴーで、新たなコーヒーイニシアチブ「グラウンド・フォー・リサイクリング」が発足しました。このイニシアチブでは、はじめに希望者のサイクリストが市内のコーヒーショップやカフェを自転車で回りながら、コーヒーの出がらしの回収を実施集められたコーヒーの出がらしは、コンポスト施設で処理された後、最終的にグラスゴー植物園で肥料として使用されます。食品廃棄問題や循環型社会への理解を深めながら、回収スポットのカフェで美味しいコーヒーも楽しむ、そんな市民参加型プロジェクトとなっています。

そしてこのプロジェクトの広告塔として活動するのが、以前のニュースレターでも紹介した「自転車での世界一周の最速タイム(女性)」のギネス記録保持者であるジェニー・グラハムさん。ライド中に飲んだ数え切れないほどのコーヒーに影響を受け、自身の著書に『Coffee First, Then the World(はじめにコーヒー、そして世界)と名づけるほどのコーヒーラバーである彼女は、まさにコーヒーとサイクリストのコミュニティを繋ぐ存在です。お時間ある方は、是非彼女が登場するプロジェクトの紹介動画もチェックしてみてください。

今回の舞台である都市グラスゴーは、2021年のCOP26(連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)の開催地としても知られ、昨年は初の「使い捨てカップフリー」を掲げるグラスゴー・コーヒー・フェスティバルも開催されました。環境分野を中心に精力的な動きを見せる同市の、今後のコーヒーイニシアチブの行方に期待が高まります。

 

気になるニュース

▷  国際貿易センターが、西アフリカ地域のコーヒー生産者・加工業者を対象に、コーヒーの精製方法についてのハンドブック作成。精製技術・知識の民主化を通じて、同地域のロブスタコーヒー産業の利益増加を目指します。ちなみに、1960年代の西アフリカは、世界のロブスタ生産量の約50%を担っていました(現在は約6%)。

▷ パプアニューギニア政府が、小型飛行機を用いたコーヒー生豆の輸送促進に向けて資金提供を。遠隔地でコーヒー栽培を行う農家が生豆を輸送できるよう、航空会社に輸送費の先払いを行います。現状約3,000トンの生豆を、国内67の小飛行場から運び出す必要があるとのことです。

▷ ニューヨーク大学タンドン工学部が発表した最新の研究で、多くの人々の日々の癒しであるコーヒーと音楽が、脳の認知能力向上に繋がる可能性が示唆されました。さあスピーカーのボリュームを上げて、コーヒーカップ片手に踊りましょう。

▷ コーヒープロダクトメーカー「アカイア」から、グラインダーアクセサリー「イオンビーム」が登場。このマシンは(その名の通り)イオン発生装置で、グラインダーの使用時に生じる静電気を抑制し、チャフの飛散や微粉の付着、ダマの発生を防止してくれるそうです。

▷ Netflixのチーフ・アクション・オフィサーに就任したアーノルド・シュワルツェネッガーは、現在本部でバリスタ任務を遂行中。「(同社の)隅から隅までアクションを浸透させていく」というミッションの下、本部では時折コーヒーが爆発することもあるようです。(映画のプロモーションなのでご安心を。)

物足りないあなたへ

コーヒー豆を使用しないビーンレスコーヒーを展開する企業7選ハリオからビギナー向けドリッパー「ペガサスドリッパーが登場。

コーヒーイベント

▷ 長野:「すみだCOFFEE FESTIVAL in 軽井沢2023」が、8/20(日)まで開催中!

▷ 長野:「みよたコーヒーウィークエンド by 長野コーヒーフェスティバル」が、8/26(土)〜8/27(日)に開催予定! 

▷ 福島:10/8(日)に、矢吹町にてSOUTH FUKUSHIMA COFFEE TIMEが開催!

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

YORI 山梨・北杜市

東京・西荻窪を拠点に卸しとイベント出店で2018年より夫婦で活動開始。 山好きが高じて2022年6月より山梨県北杜市に移り住み、現在はコーヒー豆の卸し・販売をしつつ焙煎所をオープンするために準備中。 特別すぎず、日常に溶け込みつつも「わあ!」と感動してもらえるコーヒーのある時間を目指して、産地や生産者ごとに特徴が違うコーヒーの香りや甘みを引き出し、優しく、そして深く染みる余韻を感じられるような焙煎を心がけている。

 

生産者アストリッド・メディナ & ルビエラ・ベラスケス

生産地域:コロンビア/トリマ(地図

品種:カトゥーラ

精製方法フリーウォッシュド

テイスティングノート
オレンジ、ビワ、フローラル、キャラメル、ウェルバランス

編集長のコメント:

コロンビアのウォッシュトは個人的に相性がいいのか、いつも豆を挽いた後に香る匂いがどこか素朴で、出汁感があって、甘さをほのめかせる、なんとも言い難い旨みとおいしさのようなものを感じます。今回もカッピングボールに入れたキラキラと輝いているようにも見えるコーヒー粉から、そんな香りがしてきました。すでにおいしそうだなぁと思いながらお湯を注ぎ待ちます。準備ができスプーンですくい口に含むと、ライムや蜂蜜のようなフレーバーを感じました。しなやかな酸が魅力的で、温度が少し下がってくるとより甘さの伴った柑橘系の果実が顔を覗かせます。プラムやブラックティーのようなニュアンスも。そして微かに感じるナッツのようなフィニッシュが全体をうまくまとめてくれて、心地よい余韻があります。まるで、友人が家に遊びにきて何気なく淹れるコーヒーのような、そしてその友人が一口飲んで「え、旨、なにこれ?」なんて会話がスタートしちゃいそうな、そんな誰かとついシェアしたくなるコーヒーでした。ごちそうさまでした! オンラインショップはないようですが、個人的なオーダーはお問い合わせくださいとのことなのでこちらか

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

今週のStandart Communityでは、メンバーがご家族からの還暦のお祝いでプレゼントされたというイタリア製のエスプレッソマシン、La Pavoniがシェアされました!同じマシンを愛用する他のメンバーからは抽出やスチームのアドバイスも。職人さんが一台一台作り上げたマシンで抽出するエスプレッソは絶品なんでしょうね!

ちなみに、Standart Japan 最新号の中にも、ちょこっとLa Pavoniが登場します。ぜひ探してみてくださいね~!

             

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

断片的なものの社会学』ー 岸 政彦

御年80歳の路上のギター弾き、植木鉢を囲み喋り続ける大阪のおばちゃんたち、競馬とノミ行為で生計を立てていた男性の話など、様々な人の生き様が断片的に描かれるこの本には、社会学者の著者が分析することすらできない、無意味な社会の断片が1冊に集約されています。

本書の中に記された話の中で目に留まったのが、居場所についての話。どの場所や誰といても居場所が見つからないとき、多くの人は外に出て自分の居場所を見つけたくなるものです。著者が出会ったキャバ嬢もその一人。高校時代に不登校となり、成り行きで風俗の仕事を始めた彼女は風俗の世界でキャリアを積みやがて一流企業の役員や実業家を相手に仕事をするようになります。風俗の世界では自分の店を構えたり、シンプルに愛人になることが多いそうなのですが、彼女は自分も向こう側の人間になりたいと思うようになったといいます。現在は高校卒業の資格を取るため、シングルマザーをしながら夜間学校に通い、風俗で働く人のサポートをしているのだとか。

真っ暗闇のトンネルの中にいるような感覚でいても、必ず「窓」を見つけ出口を出ることができるのだと著者は話します。その窓は人、音楽、本など様々。読み終えた後に、自分では思いもしなかった場所へと連れて行ってもらった感覚になったこの本は、私の「窓」だったのかもしれません。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

藤木 紗英 aka (pi)

食堂喫茶PECOSLOPEオーナー。保育士として6年間勤務し、その間一人暮らしの自炊で料理が好きになり飲食の世界へ。大阪福島にて古民家カフェの運営を経験したのち、地元東大阪市枚岡で食堂喫茶をOPEN。学生時代にアルバイトをしていたカフェでサイフォンコーヒーに魅了され、自身の店でも採用。趣味はヴィンテージ雑貨コレクション、歴史的建造物巡り、プロジェクターで映画鑑賞。

 

5 questions

今気になっている問いは?

「シンプルに生きるために本当に必要なことは?」
情報過多だったり飽食だったり便利な世の中なだけに気づけば色んなものを持ちすぎて少し疲れてきたなと。今はまだ難しいけれど徐々に手放しシンプルに生きる準備をしていきたいです。そのために今のうち自分に必要なことに出会い選ぶ感覚を身につけておきたい。
   

お気に入りの場所は?

「モロッコ」
休職中に2週間旅したモロッコ。色彩や伝統工芸、自然や人のエネルギー、 自分の好きがたくさん詰まった異国の地で見たもの感じたこと出会った人現地の人の姿に衝撃を受け、生きることや人に対する価値観が一気に変わりました。何よりも無意識にTAKE側だった自分の意識がGIVEへと向いたのはこの頃からかもしれません。あの時の経験は私の財産です。

 

譲れないこだわりは?

「ときめきを大切にする」
モノでも人でも場所でもフィーリングでキュンときたものをキャッチして逃さないようにしています。例えばヴィンテージのものとかは特に向こうから「私を見て!」って言ってくる気がするんですよね(笑) 私のキュンレーダーはピンポイントで一途なので物持ちがいいです

 

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「おじいちゃん」
珈琲が大好きだったおじいちゃんは、家に行くと決まって自慢のコーヒーメーカーで珈琲を振る舞ってくれました。珈琲を飲みながら広くはない部屋に大きなテレビと、8台のスピーカーで一緒に映画を見るのが親孝行ならぬじじ孝行でした。今は珈琲の香りがするお線香を焚いて、みんなで珈琲を飲みながら昔話をするんです。私が淹れた珈琲も飲んでもらいたかったな。

 

あなたのとっておきの料理レシピは?

「決まったレシピをつくらないこと」
食材も自分の身体もその時々に違うこと、両方から捉えて今の1番美味しいを大切にしています。だからご飯屋さんなのに得意料理はあまりピンとこないのですが、それでも強いて言うならば自家製の麹調味料。素手で麹を仕込む事で自分の身体に合ったものができるので、それは毎日取り入れています。

 

Fancy a refill?
編集後記 

クーラーの効きすぎで体調を崩しそうなときに重宝しているのが、スリランカが誇るスパイスティー「サマハン」。これが風邪のひき始めに最高に効くんです。指定量のお湯で割って、濃いめのストレートでグッと喉に染みる感じもいいし、個人的にはホットミルクで割るのがオススメ。カフェインレスなので、夜に飲めるのもありがたいところ。中にはコーヒーに入れている人もいるみたいです。

Takaya

 


今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第25号スポンサーのPostCoffee、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業TYPICAセラード珈琲Probat x DKSHSYU HA RIのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi & Nanako)