#142: 緊急着陸、ミラクルショット、コーヒー

#142: 緊急着陸、ミラクルショット、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今日は3ヶ月毎の嬉しいお知らせ! Standart Japan 第24号がリリースされました。日本語版Standartの6周年を記念する最新号です!!

今号も、一歩ずつ、一号ずつ、より良い雑誌を作っていくという、私たちの想いを表現した読み応え抜群の一冊ができました。きっと、皆さんの思考を様々な場所へ連れて行ってくれるはずです。

第24号では、日本のスペシャルティコーヒー界におけるパイオニアの一人でもある、鹿児島の老舗ヴォアラ珈琲の井ノ上 達也さんに、コーヒーに関わり始めて40年以上経つご自身のキャリアについて語っていただきました。

Meet Your Baristaは、タイ直送のコーヒーを届けるアカアマコーヒージャパンの山下 夏紗さん。旅や自らの人生を表現するカフェという空間がどのように誕生したのか、そして様々な経験が今この瞬間に繋がっていく物語は、皆さんにきっと何かを残してくれるはず。

トラベルカルチャー誌『NEUTRAL』『TRANSIT』の創刊編集長として知られるインディペンデント出版社Neutral Colors 代表・加藤 直徳さんのインタビューも見逃せません。

特集記事は、アラビカ・ロブスタ二元論の影に隠れつつも、今後のコーヒー業界を支える可能性を秘めた野生種に迫る「野生のパワー」。世界に眠る130種もの野生種はどんな力を持っているのか、そしてそのパワーを解放するために、どんな障壁を乗り越えなければいけないのか。長編記事で読み解いていきます。

その他にも、紆余曲折の歴史を経てきた「美しき島」台湾のコーヒー産業や、最近コーヒー愛好家の間で絶大な支持を得ているワイス・ディストリビューション・テクニックについてなど、コーヒープロフェッショナルからコーヒーラバーまで、皆さんの好奇心を刺激するストーリーが満載です。

そして最新号と一緒に楽しんでもらいたい付録のサンプルコーヒーを準備してくれるのは、中国雲南省のスペシャルティコーヒーを専門に扱うコーヒーブランド、マウンテンムーバーこのGW中に焙煎してくれているようですよ! ユアン・イ・ユアン農園が独自開発した酵母を用いて、マウンテンムーバーが特注したナチュラル精製のコーヒーをお楽しみください! 今世界で大注目されている新しいコーヒー産地である中国のコーヒーを皆さんにお届けできるのが本当に楽しみです。

そしていつものように、最新号をチラッと覗き見しちゃいましょう。その他の記事についてや、今号からマイナーアップデートした雑誌の詳細についても、ブログでチェックしてみてくださいね!

 

それでは今週も良い週末を!

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

ミラクルショットの立役者

コーヒーブランド「ビッグフェイスでお馴染みのNBAプレーヤー、ジミー・バトラー先日彼の所属するマイアミヒートのプレーオフ出場が決まり、バトラーは初戦のミルウォーキー・バックスとの試合に向けて、敵地ミルウォーキーに向かうことに。毎日のコーヒールーティーンを欠かさないバトラーは、普段アウェイ先にもコーヒー機材を持っていくものの、重量のあるエスプレッソグラインダーだけはいつも現地で貸出先を探すのだそう。こうして今回白羽の矢が立ったのが、ミルウォーキーのコーヒーショップ「インターバル」のオーナー・ホバンさんでした。

ホバンさんは連絡を受けた当時の心境を、「このグラインダーは、ジミー・バトラーに貸すために持っていたんだと悟った」と述べています。受け渡し当日、グラインダーとお店のサンプルコーヒーと共に約束の場所に向かったホバンさんは、代理人に機材を渡すだけだと高を括っていたところ、建物に入るとそこにはなんとジミー・バトラー本人の姿が。ホバンさんはバトラーとコーヒーについての会話を交わした後、「バックス戦は、是非気楽にお願いします」とバックスファンとしての思いを伝え、最高の思い出と共にその場を後にしたそうです。そうして迎えたプレーオフの初戦、(美味しいコーヒーを十分に補給した)ジミー・バトラーは前半24得点の大活躍。事情を知るホバンさんの子どもたちや友人のバックスファンからは、「(ホバンさんのせいで)ジミー・バトラーが活躍してるじゃないか!」と怒りの声が上がったそうです。

その後ジミーバトラー率いるマイアミヒートは、第1シードのバックスを4勝1敗で破る下克上を果たして、カンファレンス準決勝へと駒を進めることに(NBAプレーオフは7試合4勝制のトーナメント方式)。最終戦のジミーバトラーは42得点と圧巻のパフォーマンスで、第4クオーター終了間際には、試合をオーバータイムに持ち込む跡の同点ショットも。ホバンさんにとって、今年のプレーオフはきっと色んな意味で忘れられない思い出になったはず。

 

気になるニュース

▷  サウスチャイナ・モーニング・ポストから、ファインロブスタ生産に乗り出すベトナムのコーヒー農家の姿を映したショートムービーが公開。ブラジルでのアラビカコーヒーの不作によってベトナム産コーヒーの需要が増加し、2022年のベトナムのコーヒー商品の輸出高は前年32%増の約5,380億円を記録しました。

▷ インドと英国を拠点とするコーヒサブスクリプションサービス「アラムス」から、南インド式コーヒーブリューワーが登場伝統的なデザインも踏襲しつつも、フィルター部分を一新することでより緻密で安定した抽出が可能に。開発秘話などをまとめたYouTubeの解説動画もご一緒に。

▷ ブルーボトルコーヒーがミュージシャンのザ・ウィークエンドとコラボし、彼自身のルーツであるエチオピアのコーヒーカルチャーに焦点を当てたプロジェクト「サムラ・オリジンズ」をローンチ。プロジェクト名の「サムラ」は、ザ・ウィークエンドの実母の名前に由来しています。

▷ エアカナダの機内で、客室乗務員がコーヒーの準備のためにコーヒーメーカーのスイッチを入れたところ、マシンの一つから煙が発生し、飛行機が緊急着陸することに。幸い乗客・機内クルーにケガ人はおらず、問題のコーヒーメーカーは取り替えられたそうです。

▷ ウェス・アンダーソン監督が朝のコーヒールーティーンを撮ったら、きっとこんな感じになるはず(BGMも完璧)。余談ですが、東京・天王洲では「ウェス・アンダーソンすぎる風景展が5月26日まで開催中です。

物足りないあなたへ

SCAが2023年のベストプロダクト賞ベストデザイン賞を発表。米・ポートランド州開催のコーヒーエキスポ2023に出展した、デイリーコーヒーニュース注目のグラインダー焙煎機ホームコーヒーブリューワー

コーヒーイベント

 福岡:PARK x Weekend が開催!(5/12~14)Standartも企画に関わらせてもらっています。いよいよ出店者も公開!

▷ 滋賀:COFFEE AND OUTDOORが開催!(5/21)コーヒーを片手にアウトドアを楽しむイベント。サップやカヌー、テントサウナまで。サイコー!

▷ 石川:金澤コーヒーフェス2023が開催!(5/27&28)インスタグラムでのイベントや店舗紹介がとってもわかりやすく、みてるだけでワクワクします。

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

WESTSIDE COFFEE 東京地図

WESTSIDE COFFEEは台東区浅草橋・蔵前エリアに店舗を構えるスペシャルティコーヒーロースタリーです。ホテルの『LOBBY』をコンセプトとし、どなたでも気軽にご利用いただける地域に根ざしたカフェを目指しています。カップ一杯最後の一口まで心地よいコーヒーと、ほっと一息できる空間・時間をお楽しみください。

 

生産者Dukundkawa Musasa協同組合

生産地域:ルワンダ北部州ガカンク地区(地図

品種ブルボン

精製方法ウォッシュト

テイスティングノート
オレンジ、イエローピーチ、ブラウンシュガー

編集長のコメント:

相変わらずルワンダのコーヒーは僕の心をガッチリと掴んで離してくれませんでした。一口啜った液体からは、ジューシーなフレーバーが飛び出してくるよう。桃、プラム、レモン、ブラッドオレンジのような果実が混ざりあった、爽快でハツラツとした味わい。そして黒糖のシロップを思わせるストロングな甘さと質感。ズーンとくるその甘みは、一本の芯が通ったような感覚で、ブレることなくカップから体の中へ一直線で飛び込んできます。後に広がるのはブラックティー。茶葉に顔を埋めて思いっきり息を吸い込んだようです。そして最後はクローブのようなスパイス感やキャラメルのような後味があり、どこかコーラを思い出させてくれるようでした。とてもクリーンなコーヒーで、これは何度でも飲めそうです。ごちそうさまでした! 飲んでみたい方はこちらから

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

今週のStandart Communityでは、カフェと生理用品にまつわるアンケート調査が開始しました。本誌第23号内の記事「生理とカフェ」では、生理の平等化に向けたカフェの役割・可能性について論じましたが、今回このアンケートを通じて、とりわけ日本のコーヒーショップ/カフェにおいて、生理中の人が直面する問題への理解を深めたいと考えています。ご回答いただきましたアンケート結果は、後日StandartのSNSやウェブサイトなどでご紹介させていただく予定です。お知り合いの方や周りのコーヒーラバーの方にもご紹介いただけたら嬉しいです。回答期限は5/21(日) 、ご回答はこちらから可能です。ご協力何卒よろしくお願いいたします!

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

 

The Witch Trials of J.K. Rowling

「J.K.ローリングの魔女裁判」と題された本作は、作家J.K.ローリングにまつわる論争の背景に迫る、ドキュメンタリーポッドキャスト。トランスジェンダリズムにまつわる発言が発端で、ハリーポッターシリーズを愛する読者の失望を招いただけでなく、数々の脅迫に晒されたJ.K.ローリング。このポッドキャストでは彼女やトランスジェンダーのハリーポッターファンのインタビューを交えつつ、議論の俯瞰図を描こうという試みが見られます。

家庭内暴力の被害者だったJ.K.ローリングが現在のジェンダーにまつわる考え方に至る過程や、ヒートアップする議論の背景にあるオンラインカルチャーの存在、さらにローリングと意見を異にしながらも理解を示すトランスジェンダーのファンの主張を丁寧に取り上げ、聴取者に単なる炎上事件の概要だけでなく、ある考えを信奉することの意味について問いかける内容に仕上がっています。

極端な抗議活動などで知られるウエストボロ・バプティスト教会の創設者の孫として育ったホストのミーガン・フェルペス・ローパーが、シリーズ終盤で自身の経験を振り返りつつ「私はいかなるときも、自分が世界のほんの一部しか認識できていないということを忘れないように、確信から遠ざかるように心がけている」と語る場面がなんともいえない余韻を残します。

     

    Brewing with…
    あの人のコーヒーレシピ 

     

    中西 奈津美 aka NATSUMI/なっちゃん

    1993年生。大阪府大阪市港区出身。都心から少し離れた下町感のある街にて、開業してから2年が経ちました。店の成長と共に自身も探求し技術向上に励んでいます。ようやく街に溶け込めてきたかな? Qロブスタ・Qアラビカグレーダーを取得し、今後は競技会にもチャレンジしていきたいと考えています。

    5 questions

    今気になっている問いは?

    「ロブスタの可能性」
    ロブスタをお店で販売していると、『ロブスタって、あーあのまずい品種で安いやつでしょ』と言われることもしばしば。ですが、ロブスタは今後大きな可能性を秘めていると私は感じています。その可能性を感じさせてくれたのは、Future Coffee Farm農園主Toiさんのファインロブスタ! 驚くほどクリーンで綺麗なロブスタとの出会いでした。ベトナムの鑑定施設でカッピングスコア86点を取得し、高品質を証明するファインロブスタの称号を取得しています。まだ、ロブスタの偏見は多くありますが、高品質なロブスタは日本のコーヒーシーンでみかけることが多くなってくると思います。コーヒーの世界は、答えのない、飽きの来ない楽しい世界です。時々、他人の意見に苦しくなることもありますが、そんな世界をもっと色づけて仕事の活力を与えてくれるファインロブスタ! この豆を焙煎するたびに、前を向いていこうと言ってくれている気がします。

     

    お気に入りの場所は?

    「奈良県天川村」
    日本名水ゴロゴロ水がとってもおいしく、澄んだ空気と自然にパワーをもらえます。日常を忘れられる程よく遠い場所。

     

    譲れないこだわりは?

    「オレンジ色」
    私の好きな色。店の塗装もオレンジ、テントもオレンジ。お客様には、電卓までオレンジやん!!と言われます(笑) 落ち込んだ時は、明るい色でパワーをもらえます。私にとってのラッキーカラーです!

     

    今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

    「祖父」
    開業して2日目にコロナで他界してしまった祖父。お店を見せることも、私の作るコーヒーを一緒に飲むことも、残念ながら叶いませんでした。またどこかでと思っています。

     

    最近、何に感動した?

    「天ぷら」 
    銅鍋を使用し、温度コントロールして揚げることができます。天ぷらの音と温度コントロールは焙煎と似ているので、天ぷらもお任せください!! エビをぶつ切りにして、蓮根スライス2枚に挟み、大葉でシーリング。油は170°〜180°を保ち、5分程じっくり揚げたら完成です。蓮根挟み揚げ最高です!

    Fancy a refill?
    編集後記 

    最近身近な人たちから、仕事や大学院で海外に行くという話を耳にすることが増え、ここ数年止まってたものが再び動き出しているような印象を受けます。でも、きっとそうした大きな動きの前には、たくさんの準備と日々の積み重ねがあったんだろうなと想像すると、改めて自分も続けることを大切にしたいと思うばかり。このニュースレターが始まってもうすぐ丸3年。うつろう景色を楽しみながら、これからもいい波に乗っていきたい。

    Takaya

     


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    今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第24号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Swiss WaterFaema x DKSHFellow x Kiguのサポートでお届けしました。

    LOVE & COFFEE✌️
    Standart Japan
    (執筆・編集:Takaya & Atsushi)