#120: アンケート、パラレルワールド、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか? 

普段から自宅で飲むコーヒーはフレンチプレスで淹れることが多いのですが(実は一番好きな飲み方)、少し前に読んだBarista Hustleの記事がとても有益な検証を行なっていて勉強になりました。

例えばフレンチプレスでお湯を注いだ後はプランジャーの蓋はしない方が収率が増えることや、抽出時間は4分よりも5分の方が適していること、そして5分抽出した後に水面にできたクラストをスプーンなどで壊しながらかき混ぜて(カッピングの時のように)からプランジするとコーヒーによりボディや複雑性が生まれることクラストのブレイクからプランジまでさらに数分待つとよりクリアーな液体ができるなど。

実際にやってみると確かに違いを実感できます。もしかするとバリスタの皆さんには「知ってるよ!」と突っ込まれてしまうかもしれないんですが、個人的には目から鱗な情報ばかりでした。上記の結論がどのように導き出されたのかは記事内でチェックしてみてください。

ただ推奨されている方法だとフレンチプレスでコーヒーを淹れるのに10分近く待つことになり、なかなか忍耐力がいります(笑)。お店でのオペレーションには適していない気もしますが、自宅でパーフェクトなカップを作るためなら試す価値は大いにあります。上記のリンク先に淹れ方の動画があるので、よければこの週末にでも試してみてください。

今週のStandart Japanは、最新号を楽しんでくださっている皆さんからSNSやメールを通じて届くコメントに目を通してニコニコしたり、返信したり、引き続き最新号のリリースの余韻を楽しんでいます。次号の制作も順調で、翻訳を進めながら、インタビューの実施や撮影などに取り組みました。これから年末にかけて次号を完成させていきます。

個人的には、福岡で開催されていたアートブックフェアNewgraphy Fukuoka Art Book Expo 2022に行って、色々とインスピレーションをもらいました。フェアの会場にはコーヒーもあってサイコーでしたね。Print isn't dead!

それでは今週も良い週末を。

編集長 Toshi

  

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

名は体を表さず

先日発表された研究から、イエメンの生産者が使う品種の俗称は遺伝情報とマッチしないことが判明しました。元々イエメンではコーヒーノキの外見を基準に品種を区別し、それに対応する(現地の生産者の間でのみ通用する)俗称が用いられていました。しかし約150の農園を対象に俗称とコーヒーの遺伝情報を照らし合わせたところ、両者の間には関係性がないことが分かったのです。ちなみにこの調査の最中に発見されたのが、以前ニュースレターでも取り上げたイエメニア種でした。

これはイエメンのコーヒー生産者が、自分たちの生活を支えるコーヒーノキの実態を把握できていないことを意味します。コーヒーノキは実をつけるまでに5年以上を要し、100年近く生きるため、仮に農園の環境に合わない品種を植えてしまうと、何世代にもわたって悪影響を被ることになってしまいます。また現在イエメンコーヒーの代表格として流通する、トゥファーイやウダイニといったプレミアム商品も、その価値が揺らぐ恐れがあります。

現在同研究チームが主体となり、国内初の種苗園の運営や一部農家には無料でコーヒーの苗を提供し国内の持続可能なコーヒー生産の基盤作りに着手しているようです

 

気になるニュース

▷  今年度のエクアドルCOEで、シドラ種(ウォッシュト)が90.28点を獲得し一位に。エクアドルで生まれた、レッドブルボンとティピカの交配種であるシドラ。近年ワールドバリスタチャンピオンシップでも目にすることが増えており、注目を集めています。

▷ 非営利団体ゴーファンドビーンズが、コーヒー業界の賃金問題是正に向けアンケートを実施中。パンデミック以降のバリスタの給与推移、人種・ジェンダー・セクシュアリティと給与の相関性の有無、仕事量や職場環境、福利厚生への満足度など、実態把握を目的としています。

▷ 英国で、植物油と農作物廃棄物を利用したリユーザブルカップが登場。再生可能原料から作られた新たなバイオプラスチックを使用しており、連携拠点での回収・再利用を繰り返しながら、使用期限を迎えたものは原料として新たなカップの生産プロセスに戻る仕組みになっています。

▷ 世界最年少のQグレーダー、フランキー・ヴォークマさんが手掛けるコーヒーブランド、ホーヴェンコーヒーコーヒーバーを発売。同ブランドは若手生産者(特に35際以下)への支援を掲げており、新商品に使用されるホンジュラス産コーヒーも23歳の若き生産者アブラハムさんによって生産されています。

▷ ロシアのクリスピークリーム元店舗で、クランチードリームいう新たなカフェチェーンがオープン。以前スタバ跡地にオープンしたスターコーヒーに続いて、もはやパラレルワールド状態です。

物足りないあなたへ

英国ホスピタリティ業界の労働者団体が、大手コーヒーチェーン4社のバリスタが直面する賃金問題・人員不足の実態把握に向け、大規模なキャンペーンを開始ロンドンにも展開中のNY発コーヒースタートアップ「ブランクストリートコーヒー」がEC事業に着手。ジェームズ・ホフマンさんが、WIREDのYouTubeチャンネルに登場。Twitter上のコーヒー関連の質問・迷信に答える「コーヒーサポート」として出演しています。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

THE ROASTERS 和歌山地図

和歌山のみかん倉庫を改装して2014年に焙煎所をオープン。 焙煎機はラッキーコーヒーマシンの直火を半熱風にして、バーナーも増やしてます。毎日飲みたくなるようなコーヒーを目指して、日々焙煎と向き合っています。

 

生産者 エンリケ・ナバーロ

生産地域コスタリカ サンホセ州タラス ラ・バンデラ・デ・ドータ(地図

品種カツアイ

精製方法ホワイトハニー

テイスティングノート
柑橘系の明るい酸とホワイトグレープのジューシーな甘味のバランス

編集長のコメント:

挽いた豆にお湯を注ぐと、ナッツを潰した時のような香りが漂います。準備ができ早速一口すすると、どっしりとしたアロマとボディとともに、ジューシーな果実感や程よい酸味を感じます。オレンジのようなニュアンス。そして餡子のようなほっこりとした甘い味わいが口いっぱいに広がります。温度が下がってくると、フレーバーが一気に花開くよう。生チョコや干し柿のようなねっとりとした甘さ、黒糖も。浮かんできたのは、秋晴れの公園へピクニックに行って、持ってきたバスケットを開けるとフランスパンや果物が出てくる風景。漂うパンや果物の香り、枯れた草木やみずみずしい空気。香りや味が想像力を掻き立てるのか、はたまたこんなコーヒーをそんな情景で飲みたいなと思っているのかわかりませんが、マグカップに注いだコーヒーを両手で持って温まりながらゆっくり飲みたいコーヒーでした。ごちそうさまです!


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

今週のStandart Communityでは、Ryusuke.Mさんが沖縄・又吉コーヒー農園でのコーヒー収穫体験についてのレポートを共有されました。収穫から精製、焙煎から抽出まで、各工程の様子がうっすらと浮かび上がってくるほど、丁寧に現地の様子を解説してくださいました。事前にコミュニティ内でも、沖縄のオススメコーヒースポットについて会話が盛り上がっていましたね。国内コーヒートリップとても羨ましいです!

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

『ちゃぶ台』

ミシマ社が半年に一度発刊する、生活者のための総合雑誌。ふしぎと囲むだけでゆるやかかつながりが生まれるちゃぶ台のように、年齢、性別、属性などのあらゆる記号を超え、自分たちの生活や時代を、自分たちの手でつくる手がかりを探っていきます。

今回購入した第7号『特集:ふれる、もれる、すくわれる』で、個人的に特に印象的だったのが、『手の倫理』の伊藤亜紗氏と『食論』の藤原辰史氏による対談。中でも、「食べる」という行為が、公共性と私的空間を行き来する行為であるという指摘がとても興味深かったです。食べるとは、単に栄養を摂取することではなく、人間関係の構築、ひいては民主主義や公共性を質的に変容させる可能性を秘めている。その一方で、口に入った瞬間、味わい、食感、喉を通る感覚を楽しんだりと、瞬時に公共性とは真逆の行為となる。「食事」という枠組に抑えられるのではなく、各個人が「食べる」という行為を生成することで、空間内にゆるやかに食事の輪郭が浮かび上がる、そんな主体性こそが食べることの可能性なのではないかと考えます

以前ニュースレターの中で、フレーバーノートの権威性やフレーバーホイールの文化的バイアスについて取り上げましたが、改めて「フレーバーノート」の権威の下ではなく、一人一人がコーヒーを味わう行為を通じ、より良いコーヒーカルチャーが育まれ続けてほしいと感じます。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

寺本 寛子 aka Hanna

2007年にニュージーランド移住。移住してからコーヒーを学びました。15年間バリスタとして働いてきましたが、コロナがきっかけで今後のコーヒーとの関わり方を考えさせられました。その結果、現在は @coffeetechnz というコーヒー機器の開発・販売をしている会社で働いています。2014年、2022年のニュージーランドバリスタチャンピオン。ギリシャ・アテネの世界大会に出場予定。

5 questions

今気になっている問いは?

「私は何歳までコーヒーを作り続けられるだろう?」
コーヒー業界の良いところって、年齢・性別・人種や言語を超えて「コーヒー好きはみんな友達」って言えるところだと思います。なので、私は自分が頑張れる限り現役のバリスタを通したいと考えています。それだけ人のためにコーヒー作るの好きなんですよね。12月が来たら47歳になります。こうやって自分の年齢を誇れるのは、コーヒー業界が寛大だからだと思ってます。私の場合、年齢は経験の長さと比例します。それに見合ったコーヒープロフェッショナルに自分がなれているよう、意識するようになりましたね。

 

お気に入りの場所は?

「オークランド・オラケイ地区にあるGood Dayという小さなカフェ」
ニュージーランド人は、それぞれに毎日/毎週末訪れるお気に入りのカフェがあるくらいカフェが人々の生活の中に入り込んでいます。私のお気に入りはGood Dayで、他の地元住民と同じように週末はそこでブランチとバッチブリューというお決まりコースで過ごします。週末はGood Dayに行かなければ始まらない、と思えるほど、私にとっては憩いの場です。

譲れないこだわりは?

コーヒー以外でってなると結構難しいのですが、近しい人は絶対知ってるくらい私はゾンビ好きなんですよ。譲れないこだわりがあるとしたら、ゾンビは目が白くないとダメ。なぜなら、ゾンビは生命体としては死んでるからです。なので、Walking Deadは良いですね。一方で、28 Days Laterのようなのは感染者であり、生きています。なので、目は白くなっていないのが正解ですね。バイオ4のリメイク楽しみでーす♪ はい、失礼しました〜 (*´ω`*)

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

この質問の答えはいつだって祖母ですね。つい先日、96歳になった祖母がまだ元気でいてくれていることに心から感謝です。次に帰国した機会には、私が作ったラテをぜひ飲んでもらいたいですね。

最近、何に感動した?

最近、コーヒー業界で頑張っている女性たちに立て続けに「励みになりました」と言わることがありました。それは、私がこの年齢でまだコーヒー業界での「先の人生」を見ているからです。年齢は関係ない。やりたいことはやる。そんな性格なので、自分がコーヒー業界に居続けることに何の疑問も持っていませんでした。しかし、側から見るとそんな私の姿が周囲の女性たちに「自分もまだやれる」と思わせることができていたようで、私は逆にその事実に感動しました。コーヒー業界は、年齢層が上がると女性の数が激減しますよね。そんな心の揺れを感じ始めている女性たちを励まし続ける先駆者として、今後も突っ走れたらいいなと思っています。

 

Fancy a refill?
編集後記 

先日手網焙煎に初挑戦。頭で理解することと実際にやってみることの大きな差を痛感しつつ、コーヒーがもっともっと好きになる体験でした。「コーヒー最高だなぁ」とニヤニヤしながら、キッチン・床にに撒き散らかったチャフを掃除する週末。寒さが増してきましたが、皆さんお身体ご自愛ください。

Takaya

 


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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第22号スポンサーのCROWD ROASTER、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業TYPICAETZINGER x BREWMATICPhilocoffeaのサポートでお届けしました。

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Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)

#120: アンケート、パラレルワールド、コーヒー

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