#115: ティーンエイジャー、サークル、コーヒー

#115: ティーンエイジャー、サークル、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか? 

今週は、先週のSCAJでいただいた名刺の整理をしながら、SCAJの振り返りからスタートしました。一度にたくさんの人とお話をすると、細かい会話まで記憶に留まらないことが多いため、できるだけ記憶が新しいうちに思い返すようにしています。(とはいえ、なかなか全てを記憶しておくのが難しい年頃になってきたのですが…汗)

そしてSCAJの余韻もほどほどに、今週から次号のリリースに向けて急ピッチで作業を進めています。ちょうど、今週のWhat We're Drinkingのコーヒーを飲みながらこの冒頭を書いている時(10/21 11:41)、11/1にリリースされる次号のサンプルが自宅に届きました。パッケージからサンプルコピーを取り出すときのワクワクは創刊当初から変わりません。出てきたのはインパクトのあるカラーの22号。SCAJが開催される前日に印刷会社を訪問して、ある程度の印刷の出来上がりは確認していたのですが、製本されて一冊の雑誌となって手の中に収まると、全く違った印象をうけます。ただ、これは紙媒体の編集者あるあるですが、出来上がったものをあまり細かく見過ぎると誤字脱字を見つけてしまうのが怖くてあまりしっかり見れません(笑)

今号も間違いなく面白いものができました。全国一斉発送は11月2週目あたりを予定しています。SNSやブログで詳細は随時発信していきますので、楽しみに待っていてくださいね。↓の写真は、先日印刷会社の誠晃印刷さんをStandartの創刊編集長であるマイケル・モルカンと一緒に訪問した時の様子。

今週は、サンプルコーヒー豆の輸入、皆さんのサブスクリプション更新の準備、ウェブサイトやSNS用の写真撮影など、忙しくなりそうです。

それでは今週も良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

臨界点へのカウントダウン

世界で消費されるコーヒーの約7割を占めるアラビカ種の栽培に適した土地が、気候変動の影響によって2050年に半減すると予測される「コーヒーの2050年問題」。これまでも、気候変動がコーヒー生産に与える影響について数多くの研究が発表されてきましたが、今回「飽差 (ほうさ) 」に着目した新たな研究により、「コーヒーの2050年問題」の信憑性がさらに裏付けられることになりました。

飽差とは、1立方mの空気が、あと何グラムの水蒸気を含むことができるかを示す数値のこと。気候変動によって生産地の気温が上昇することは、別の言い方をすれば、(湿度が一定である場合)その土地の飽差レベルが上がる、つまり乾きやすい状態になることを意味します。最新の研究によると、この飽差レベルがある臨界点を迎えると、農地1ヘクタール当たりのアラビカ種の収穫高が約400kg減少することが判明しました。これは世界的な平均収穫量の約半分に当たります。さらに深刻なのは、既にケニア、メキシコ、タンザニアで、この臨界点を超えてしまっているということ。仮に気候危機による気温上昇が2℃から3℃に達した場合、世界のアラビカ種栽培地の約81%で、同様に飽差レベルが臨界点に達すると予想されており、世界のコーヒー生産の危機は明白と言えます。

気候変動という大きな問題の解決に取り組むことは、まさにコーヒー生産者の生活、そしてコーヒー業界の未来を守ることと同義です。業界全体として、この臨界点までの危機感を共有すると共に、迅速且つラディカルな変革が求められています。

 

気になるニュース

▷ コロンビアで開催されたエアロプレスチャンピオンシップで、マヌエラ・トレスさんが史上最年少となる13歳でチャンピオン! 若きコーヒープロフェショナルの世界選手権での活躍にも期待が高まります。決勝戦のハイライトはこちらの投稿から。

▷ 豪州のセブンイレブンが、フェアトレード認証コーヒーへの100%移行を発表。現在豪州内で700店舗以上を展開する同社は、この取り組みによって豪州内最大手のフェアトレードコーヒー取引先となります。

▷ 国際コーヒー機関 (ICO)が、インフレや不景気の影響で、引き続きカフェよりも家庭でのコーヒー消費が増えると予想コーヒー消費全体は維持される見通しですが、消費者がより安価なオプションを選択することで、スペシャルティコーヒー生産者への経済的被害に繋がる恐れも。

▷ ケンタッキーフライドチキンが、上海で初のテイクアウト専用コーヒーキオスクをオープン価格で差別化を図る同店舗では、グアテマラ産シングルオリジンのスペシャルティコーヒーが約189円で提供されているそうです。

▷ 10/29~30に、神戸で「ボルカフェコーボーエキスポが開催予定。コーヒー生豆商社ボルカフェが準備した17種類の豆を、全国17の大学のコーヒーサークルが焙煎して提供するそう。お近くにお住まいの方は是非。イベント詳細はこちらから。

物足りないあなたへ

フィリピン農業省とネスレのフィリピン法人が、国内コーヒー生産拡大を目指すパートナーシップを発表。本誌20にも登場した「Cxffeeblack」がスニーカーをローンチ予定。スターバックスが、同社傘下の「シアトルズベストコーヒー」ブランドをネスレに売却すると発表ました。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

CoffeeRoaster&Cafe culmino 山形地図

山形県寒河江市のスペシャルティーコーヒー店です。良いものは美味しい。美味しいものは笑顔になれる。」美味しいコーヒーで笑顔をお届けします。

 

生産者 ニグセ ゲメダ ムデ

生産地域エチオピア シダマ州ブレ群カラモ住民自治組織ハイーサ(地図

品種74158

精製方法ナチュラル

テイスティングノート
フローラル、バニラ、ベリー、クリーミーマウスフィール、コンプレックス

編集長のコメント:

約半年ぶりとなるニグセさんのコーヒーでした。2020年のエチオピアのカップ・オブ・エクセレンス1位に輝いた農園として有名です。豆を挽いた時の香りの鼻に飛び込んでくる爆発力にまず驚きます。レーズンや金木犀にシナモン。まるで香りから旨みや歯応えを感じるような肉肉しさ。口の中で感じるとろりとした質感が印象的で良く熟れた洋梨を頬張った時のような感覚を思い出しました。エチオピア特有の甘い芳香を伴うフローラルさが鼻に抜け、レモンピールを彷彿とさせる爽やかさも心地いいです。シナモンやカルダモンといったスパイスもほのかに感じ取れました温度が下がっていくとだんだんとレモンティーのような味わいになり、かすかな蜂蜜のニュアンスも。目を閉じると目の前に広がったのは白詰草が広がる小高い丘のような春ののどかな情景でした。気持ちのいい風さえも感じさせてくれるような素晴らしいコーヒーでした。ごちそうさまです!


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

10/26 (水) 8:00pm~、Standart Community内で女性バリスタへのハラスメント問題についてのトークセッションが開催予定です。女性バリスタの多くがハラスメント被害を告発できずにいる原因について、現場で実際に起きたハラスメントの実例と、第18号「僕の周りのジェンダーギャップ」の内容をもとに、当事者が中心となって考えていく機会として企画されました。

今回のイベントに際し、女性バリスタを対象としたアンケートを実施しており、こちらから匿名でご回答いただけます (回答〆は本日いっぱい)。ご自身の経験や周りの方のお話などを、ぜひお聞かせください。どんな些細な違和感でも構いません。お勤め先の業態や規模も問いません。

アンケートの集計結果をもとに、イベントではディスカッションを予定しています。実際に現場で起きた事例として、ご紹介させていただくことがありますが、個人や会社名、店舗名が特定されそうな回答は公開いたしませんのでご安心ください。

(この企画において「女性」とは、女性としての性差別を経験しうる全ての人を指します。トランスジェンダーやXジェンダーの方も、ぜひご協力ください)

※アンケートへの回答は締め切りました。ご協力いただいた皆さま、貴重なお話をお聞かせいただき本当にありがとうございました。

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

『未来をつくる言葉』ドミニク・チェン

哲学、デザイン、アート、情報学の垣根を越えて研究・表現活動を行うドミニク・チェンの著書。日本出身の母、台湾出身の父のもと、フランス国籍者として東京で生まれた彼が、娘の誕生に端を発して半生を振り返り、自らの言語習得(彼は日仏英のトリリンガル)の過程や、プログラミング言語との出会いや吃音との生涯を通した付き合い、これまでに生み出した作品などから人と人を結びつける言語の可能性について思索する自伝的エッセイ。特に印象に残っているのは、The Weekend Brew #113でも引用した「コミュニケーションとは、わかりあうためのものではなく、わかりあえなさを互いに受け止め、それでもなお共に在ることを受け容れるための技法である」という一節です。「わかりあえなさ」、つまりは他者との間にある溝を、すでに自分の中にある思考や言葉で埋めようとするのではなく、その空白に目と耳を向け、そこから生まれうる未知の言葉をもって相手と共にあるという感覚を育んでいくことの大切さを訴える著者。時に他者を遠くに押しやり、時に取り返しがつかないほどに他者を傷つけてしまう力を持った言葉は、同時に安全圏の外へ出ようとする自分の背中をそっと押し、他者という未知の世界へ続く橋を架けてくれる。そんな希望を持たせてくれる一冊でした。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

山﨑 涼太 aka ぐりお

10代前半から何気なく飲み続けていたコーヒー。安く飲みたいという思いから始めた手回し焙煎、鍋焙煎がきっかけでコーヒーにどハマりし、焙煎機を購入しました。会社勤めをしながら今年の2月にGrio Coffeeを立ち上げOnline Storeでの焙煎豆販売、イベント出店をしています。競技会での活躍を目指して日々、突き詰め道を爆走中です!

5 questions

今気になっている問いは?

「自分にしかできないこと、伝えられないことはなにか?」
自然と動かされる歯車ではなく、自ら動き影響を与える歯車になりたいという想いがあります。コーヒーに限らず、自分にしかできないことや、自分にしか伝えられないことを問いかけて行動に移していくことで”自ら動き影響を与える歯車”になれると思っています。
と言いながら、力を抜いて自然と回っている時もまだまだあります。

 

お気に入りの場所は?

「三国町」
地元、福井県坂井市三国町です。
海もあり、緑もある地元は、日々の疲れた気持ちをリフレッシュしてくれます。食べ物も最高に美味しいんです!

 

譲れないこだわりは?

「お寿司屋さんに行ったら必ずかんぴょう巻きを食べる」
回転寿司屋さんでも、回らないお寿司屋さんでも行ったら必ずかんぴょう巻きを食べます。あんなに美味しい寿司ネタは他にないですよね!?

 

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「父」
ずっと怖い存在でしかなかった父なので、僕が淹れたコーヒーを飲みながら、今までできなかった話をしてみたいです。しかも、父はコーヒーが大好きなのですが、僕の淹れたコーヒーは1度飲んだことがあるかないかぐらいなんです。

最近、何に感動した?

「ペペロンチーノ」
自分で言うのもなんですが、本当に美味しいと思っています(笑)特に、あれこれ具材を入れずに作るシンプルなペペロンチーノは周りの人達にも「美味しい」と言ってもらえます。(お世辞ではないはず!

 

Fancy a refill?
編集後記 

先日Spotifyでとあるプレイリストを再生していると、聴き馴染みのある曲が耳に入ってきました。その曲とは映画『スパルタカス』の愛のテーマ。哀愁漂うオーボエの音色が美しいユセフ・ラティーフによるカバー、もしくはそれをサンプリングしたNujabesの「The Final View」が有名かもしれません。そのとき僕が耳にしたのはジャズピアニスト、ビル・エヴァンスによるものでした(後ほど調べてみると、ビル・エヴァンスバージョンも結構有名なよう)。

もともとカバー曲が好きなので、気になって他にどんなバージョンがあるのか調べてみると出てくるわ出てくるわ。楽器の違いだけでなく、ヴォーカルがのってるものまで色んなアーティストによるカバーがそこから各アーティストのオリジナル曲を聴いてみるとまた新たな発見があったりと、楽しい時間を過ごせました。

一部をプレイリストにまとめたので気になる方はどうぞ。

Atsushi

 


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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第21号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業FAEMA x DKSHSwiss Waterブルートーカイコーヒーのサポートでお届けしました

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)