#109: フレンズ、一輪挿し、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週は、現在読者の皆さんを順次ご招待しているStandart コミュニティにてイベントを開催しました。(Standartコミュニティは、8月からスタートした新しい取り組みで、読者の皆さん同士が繋がれるコミュニティプラットフォームです。現在、定期購読者の方たちを順番に毎週数百人ずつコミュニティサイトに招待しています)

今回開催したのは「コーヒーwith Standart」。イベントといってもStandartのチームメンバーとゆるくコーヒーを飲もうよという企画でした。海外から参加してくださったロースターの方や、コーヒー豆の輸入業者で働く方、IT業界で働いている方、デザイナーの方、福祉業界の方などなど、Standartの読者であるコーヒーラバーの多様性を感じる時間となり、本当に有意義なものになりました。この場を借りて、ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございます!

コミュニティの活用方法をお話していた時に、これからしっかりと伝えていきたいなと思うことがありました。それは、「Standartコミュニティは読者の皆さんが主役で、皆さんと一緒に時間をかけて作り上げていく場所」ということです。このプラットフォームを利用して、うまくいろんなコミュニケーションを取っていってもらえるといいなと思っています。

活用例で言うと、例えばレシピや焙煎について質問をしてみると、現在活躍しているバリスタやロースターからアドバイスをもらえるかもしれません。旅行先のおすすめのコーヒーショップを聞いてみてもいいですね。経営者の方は、経営方法やチームビルディングなどについて学ぶためのアイディアを得たり情報交換に活用できます。お店がコーヒーラバーに聞いてみたい質問を投げかけて意見交換したりするのも面白いですね。「一緒にコーヒーショップ巡りをしよう! 今度お店でコーヒーとカクテルのイベントを開催します!」などなど、イベントの開催の告知ももちろんウェルカムです。ご自身が書いた記事や論文、ポッドキャスト、Youtube、SNSなどでの情報発信をシェアするすることもできます。

うまくコミュニティを活用してもらうことで、新しいコーヒー仲間を見つけたり、メンバー間で仕事が生まれたり、現場の生の声を聞いたりと、活用方法は無数に見つかってくるはずです。Standartのメンバーともいつでも直接繋がることができます。

コーヒーショップで隣に座った人と話をするように、ぜひコミュニティのメンバーとお話してみてくださいね。コーヒーwith Standartは、これから定期的に開催しますので、お時間ある方はぜひご参加ください。

それでは今週も良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

労働結成を拒むもの

今月1日、米・サウスカロライナ州アンダーソン市にあるスターバックス店舗で、賃金の引き上げと備品新調を申し出た従業員たちが、マネージャーを「誘拐」したとして告発されました。警察当局はこの出来事を誘拐事件として調査しているものの、一部メディアで報じられたTiktok動画録音データに残っている事件当日の様子から、明らかに誘拐には値しないと物議を醸しています。

元々同店舗の従業員はコロナ禍に伴う労働環境の悪化を背景に、今年5月に労組を結成。しかし、マネジメントによる一方的な勤務シフト・営業時間の削減や、労組結成店舗を福利厚生の対象から除外するといった同社の措置に耐えかね、7月には2度のストライキを実施しました。そして新たなマネージャーの異動日だった8月1日に、March on the Boss (従業員たちが一同に介してマネージャーに直談判を行うこと)を実施したそうです。

現在も調査は続いているようですが、少し気になるのは、この事件を担当している法律事務所について。こちら記事によると、担当を依頼された法律事務所はこれまでも有名企業の労組にまつわる争いに携わってきたらしく、スターバックスは過去3ヶ月の間に、同事務所に約50人の弁護士を要望し、現在17州での対応を依頼しているそうです。資本格差によって最終の決定内容が変わってしまわぬよう、公正な目線が必要とされています。

気になるニュース

▷ ベトナムのコーヒー備蓄が、9月末までに前年比で半減する通し。世界的なコーヒー価格の高騰を受けてロブスタの輸出量・需要が増加する中、国内のコーヒー在庫が大幅に減少。加えて来季の収穫量は減少予測となっており、コーヒー価格の高騰に拍車をかける可能性が示唆されています。

▷ 先日、米国で初めてリジェネラティブ・オーガニック認証付きコーヒーが発売されました。2019年に世界各地でパイロット運用が開始され、現在同認証を受けた農産物は140種以上。特定の条件をクリアすれば、農家の支払う登録手数料が免除となるケースもあるそう。

▷ アルゼンチンでは、インフレ悪化に伴う輸入制限強化を受けて、国内のコーヒー不足深刻化。外貨不足やコーヒー価格の上昇から、「必需食品」ではないコーヒーの輸入量が大幅に減少しているようです。

▷ 米国の人気ドラマ「フレンズ」に登場するコーヒーショップ「セントラル・パーク (Central Perk)」が、この度ブレンドコーヒー3種を発売。ブレンド名は、「How You Doin'」「Pivot Blend」、「We Were on a Coffee Break」と、ファンには聞き覚えのあるフレーズばかり。現在実店舗のオープンも計画中です。

▷ 静岡・イフニロースティングがSEE SEEと協働で、ケメックスをオマージュした一輪挿しとスツールを製作イームズのスツールと同じ製法が取り入れられてるなど、細部へのこだわりとオールド・ケメックスへのリスペクトが溢れるプロダクトです。

物足りないあなたへ

スイスの業務用全自動コーヒーマシンブランド「フランケ・コーヒー・システムズ」が、東京・大崎にショールームを開設。例の”エスプレッソ事件”が起こったイタリアのディッタ・アルティジャナーレが、トロントに初の国外店舗をオープン。今年のニューヨーク・コーヒーフェスティバルに、ソングライター向けの国際コンペ「コーヒーミュージックプロジェクト」のパフォーマンスステージが返ってきます。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

BREATH HIROSHIMA 広島(地図

芸術と同じ様に、感情に微細に訴えかける1杯としてのスペシャルティコーヒー。生産者の創意に敬意を持ち、最後の担い手として適切なアプローチを行うバリスタ・ロースター。コーヒーに関わるものごとの成長と価値向上に努め、その周囲にさらに豊かな結果を導くこと。これがわたしたちのミッションと捉え、日々コーヒーを選び、作っています。わたしたちは広島のコーヒーロースターです。東京、そして世界のコーヒーシーンをルーツに、これまで出会うことのなかった体験を、広島の町中からお届けしています。2021年創業。

 

生産者 ヤネス ヤンゲス

生産地域パナマ チリキ県ボケテ(地図

品種カツアイ、カツーラ

精製方法ダイナミックチェリー (CCD M3-RSV Pre Dry+Anaerobic 80hr high temp)

テイスティングノート
デーツ、ベイクドアップル、レッドグレープ、カカオニブ、みたらし、コンプレックス

編集長のコメント:

パナマのコーヒー革命集団CREATIVA COFFEE DISTRICT(通称CCD)のコーヒー。彼らは独自の精製方法の名称があって、今回飲んだのはダイナミックチェリー。ナチュラル x アナエアロビック精製のコンビネーションのようですが、嫌気性発酵はビニール袋を使った密閉空間(完全密閉ではない)で時間をかけてゆっくりと発酵させているんだとか。初めてのコーヒーに胸が高鳴ります。ひいた豆の香りを嗅ぐと、カカオやプルーンの香り、そして思い出したのは個人的に結構好きだった美術室の匂い。オイルや絵の具、木材などの入り混じった香りで、何か特別な場所に自分がいるような感覚にさせてくれます。とても複雑な香りのするコーヒーにお湯を注ぎいよいよカッピングです。香りからものすごい存在感でしたが、一口すすって真っ先に浮かんだのはチキンラーメン。チキンストックと塩味を彷彿とさせるフレーバーが飛び込んできました。そしてカカオ、木の実、バナナ、濃い色の果実などを鍋に入れて煮込んだようなリッチかつ濃厚でかなり複雑な味わい。バルサミコ酢のようなニュアンスもあります。ただ発酵感がうまくコントロールされていてメリハリがあり、強い甘さを感じるため、飲んだ後の口の中には不思議な心地よさが残ります。温度が下がってくると味わいがまろやかに落ち着いてきて、ラム酒やチョコレートムースのように。ぬるめの温度帯が個人的にはとても美味しく感じました。このフレーバー体験は唯一無二です。改めてコーヒーって面白いなぁと思わせてくれるコーヒーでした。ごちそうさまです!


Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち

アーティスト: 

ラウリ・タリャ  Instagram

プロフィール:

ヘルシンキを拠点にミュージシャン兼フォトグラファーとして活動。日々の営み、思わず目を惹く場所・人の姿を写真に収める。シネマティックなフィルム写真やクリエイティブポートレートに定評がある。

最新の掲載記事:

Standart Japan 第21号「ヘルシンキ」

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

ファンダムエコノミー入門

近年K-POP界隈を中心に話題に挙がることの増えた「ファンダム」という言葉。インターネットやソーシャルメディア、生産手段の民主化といった環境が整った現代におけるファンダムは、これまでのそれと何が違い、何が共通しているのか。ファンダムが支えるアーティストやアスリート、さらには企業のあり方は時代の進展に伴ってどう変容するのか。未だはっきりと定義されていないように映るWeb3やメタバースといった技術革新は、ファンとその対象との関係にどのような変化をもたらすのか。——このような疑問に、カルチャー、メディア、ビジネス、テクノロジーなどを切り口に、さまざまな分野の専門家のインタビューやエッセイから多角的に迫るムック。

どの記事も刺激的でしたが、特に中国におけるストリーミングサービスの趨勢やスーパーアプリ誕生の背景に関する陳暁夏代さんの論考は目から鱗でした。またマイノリティや被支配層が文化資本の欠落を埋める方法を提供する存在としてのファンダムや、先鋭的な思想を持つとされる団体に見られるファンダムの原理など、身の回りに潜むファンダムの影響には驚かされます。3色刷の攻めたブックデザインも見どころ。



Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

関口 照輝 

小学生の時にラーメンの食べ歩きをスタートし、その熱で学生時代にアメリカで日本のラーメンブランドの立ち上げに参画。
帰国後に株式会社ユニクロに新卒入社。その後株式会社リクルートを経て、ラーメン専門店一風堂を展開する力の源ホールディングスに入社し、社長室、採用・教育責任者を経て、2020年独立。現在は、人事コンサルティングを本業としつつ、日曜日に自身のアウトプットの場として、コミュニティ・共有地の創出を目指し、東京の新橋・烏森神社の参道で「烏森珈琲」を運営中。

5 questions

今気になっている問いは?

「今秋に設立予定の会社について」
世の中にどんな価値を提供できるのか、どういう存在であるべきか、なぜ会社にすべきかを最近は問いかけています。そして社名を考え始めると、彷徨いにさまよい、まだ社名を決め切れていません(苦笑)。

お気に入りの場所は?

「広島県・尾道」
山側と海側とがあり、情緒豊かな空気感が流れていて、日中も夜も町に色気があります。美味しいお店も多く、商売されている方々も気さくで素敵な方が多いです。しまなみ海道のドライブも最高です。

「東京・新橋」
ちょっと前までは、サラリーマンの町の代名詞でしたが、最近は若い人も増えて雰囲気が変わってきました。銀座、虎ノ門、築地など、異なるカテゴリーのエリアに隣接していて、新橋が港区というとイメージのせいか、「信じられない」と言われることも多々(笑)。アクセスも様々な路線が通っていて、出張の玄関口としても、神奈川や千葉に行くのにも実はとても便利な場所です。

譲れないこだわりは?

「仕事における即レス」
日々経営者の方々と仕事をすることが多く、経営者の思考やアイディアはとても速いスピードで移ろうもの。そして誰かに口に出して話してみることで頭の整理になることも多いので、その壁打ち相手として即レスを大事にしています。社内には相談できないようなことをスピーディーに対応することが、自分の介在価値の1つだと思っています。そしてそのパートナーとしてのスピード感が、他社の大企業に勝てる唯一のポイントだと思ってやっています(笑)

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「両親と兄弟と全員で」
久しぶりに全員が集まって、コーヒー片手に最近のことや、将来についてなど語りたいです。

最近、何に感動した?

今夏の甲子園で優勝した、仙台育英高校監督の優勝インタビューです。生徒への想い、コロナ渦で切磋琢磨してきた他校の選手へのリスペクトなど、あの大舞台で出てきた言葉の1つ1つに感動しました。求められている指導者も益々変わってきていると実感します。そして、自分自身も変化に強い人になりたいと強く思います。

 

Fancy a refill?
編集後記 

先週自宅に荷物が届いて「何だったっけ?」と思ったら、とあるクラウドファンディングの返礼品でした。僕が参加したのはオンラインの古本屋を営んでいるバリューブックスの企画で、古紙回収にまわるはずだった本から生まれたノート、その名も「だったノート」プロジェクト。

バリューブックスには1日に2万冊もの本が全国から届くものの、そのうち半分は古紙として回収にまわさなければいけないそうですそこで古紙となる運命にある本に新たな命を吹き込むべく生まれたのがこの企画でした。いざノートを見てみると、たまに活字が残っているページがあったりして、発見するとテンションがあがります。

 

                           「や」

古紙の再生でいえば、Neutral Colorsというインディペンデント誌も既刊号の余った紙を和紙にしてポスターを作っていました

Standartでは毎号決まった部数しか印刷していませんが、印刷工程では(テスト印刷などで)どうしても「ゴミ」が発生します。しかしその「ゴミ」にも、雑誌に登場してくれた方々や制作に携わってくれた人たち、それから僕たち編集部の時間と労力の一部が宿っているわけで、その思い出やある種の歴史を別の形に生まれ変わらせられるんじゃないかと考えるとちょっとワクワクしますね。

Atsushi

 


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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第21号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業FAEMA x DKSHSwiss Waterブルートーカイコーヒーのサポートでお届けしました

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)

#109: フレンズ、一輪挿し、コーヒー

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