一日中コーヒーを楽しむために、増えてきた美味しい選択肢

一日中コーヒーを楽しむために、増えてきた美味しい選択肢

 Standart Japan24号のパートナーを務めてくれたのはスペシャルティ・カフェインレスの分野を牽引するスイスウォーター。「今後日本ではカフェインレスコーヒーの需要がさらに増えていく」と語る同社のマーケティングディレクター、エリン・リードさんに、そのわけを聞きました。

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日本の健康やウェルネス(肉体的な健康だけでなく、精神的、社会的、環境的な要素まで捉えた包括的な生活の質を指す)に対する国家的な取り組みの歴史は長く、100年以上前にすでに国立健康・栄養研究所が設立されていました。この機関はあらゆる食物の栄養データを収集し「誰も取り残されない」栄養政策を国家レベルで確立させました。また、ユネスコ無形文化遺産にも認定されている「和食」は、栄養バランス、食材の旬などの物理的な要素と、自然の恵みへの感謝や尊重など、社会的な側面を含む情緒的なウェルビーイングに重きを置いています。

こうした歴史的、文化的な積み重ねを土台とし、現代の日本ではますます健康とウェルビーイングに配慮した食品・飲料が好まれる傾向にあります。2021年の日本におけるパッケージ食品の売上に占めるヘルス&ウェルネス食品の割合は約13%に達し、2016年から平均で年0.7%で成長しています。さらに2026年までには年1.6%まで成長速度が加速すると予想されています1。また新型コロナウイルス感染症の影響で、より健康的な生活習慣と病気の予防に対する関心が増し、食品に貼られたラベルと栄養表示をチェックする消費者は増えています。

そんななか、20112016年の5年間に少なくとも101人がカフェインの過剰摂取により病院に搬送されていたと日本毒性学会が2017年に発表し、コーヒーを含むさまざまな飲み物のカフェイン含有量へも目が向けられるようになりました。ちなみに搬送された人の多くはカフェイン錠剤を服用しており、中にはコーヒーやカフェイン入りエナジードリンクと併用していた人もいたそです。

カフェインの過剰摂取は珍しいケースではあるものの、カフェインの摂取量に注意を払う人は増え、コーヒーを楽しみながらもカフェインの取り過ぎによる身体への悪影響を避けるため、代替品を選ぶようになりつつあります。かつては、健康上の理由がある人が仕方なく飲むイメージの強かったカフェインレスコーヒーですが、質が高まり選択肢が増えたことと、よりヘルシーなライフスタイルが実現できることから、年代を問わず飲まれるようになってきました。カフェインレスコーヒーを飲む40歳以下の人を対象にした2021年の調査2では、回答者の60%が直近2年以内にデカフェを飲み始めたことがわかりました。その回答者がデカフェを飲む主な理由として挙がったのが「不安の解消」「睡眠の質の向上」でした。また全日本コーヒー協会よると、諸外国と同様、カフェインレスコーヒーの輸入量はパンデミックで物流に混乱が生じた2020年を除き、2018年から毎年増加しています。同期間中のカフェインレスコーヒーの市場規模は年平均14%もの成長率を見せ、コーヒー全体に占める割合も倍増しています。

さらに複数の研究により、カフェインレスコーヒーでも、カフェイン入りのコーヒーと同様の健康増進効果が期待できると分かっています。つまりデカフェコーヒーにも、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病などの長期的なリスクを低減する効果があるとされているのです。これは、コーヒーに含まれているポリフェノールやクロロゲン酸といった化合物が、カフェインを抜いた後も成分としてコーヒーに残っているためです。

日本では塩化メチレンを使用したカフェイン除去方法が法律で禁止されているため、スイスウォーター®プロセスのような化学薬品を使用しない安全な処理技術が普及しています。この弊社独自のカフェイン除去技術では、化学物質を一切加えず、水、温度、時間を管理して、カフェイン残存率が0.01%になるまでカフェインを除去します。スイスウォーター®プロセスなら、それぞれの産地が持つコーヒーの個性を損なうことなくカフェイン除去でき、デカフェであることさえ気づかなかったというお客様の越えも多く聞いています。2020にはカナダのコール・トロデさんが、スイスウォーター®プロセスでカフェインを除去したラパルマ・イ・エル・トゥカン農園のゲシャ種でのカナダバリスタチャンピオンシップに挑戦するなど、協議会でも通用するカフェインレスコーヒーが生まれています。

ウェルネスに認知拡大とともに、高品質なカフェインレスコーヒーの選択肢もますます増えていくでしょう。スペシャルティコーヒーの分野では、これまでもスイスウォーター®プロセスで高品質なデカフェを提供してきましたが、近年では、インスタントコーヒーから缶、ペットボトルのアイスコーヒーまで、幅広い種類のカフェインレスコーヒーが、スーパー、コンビニ、自動販売機など様々な場所で販売されています。カフェインレスコーヒーを扱うロースターやメーカーにとっても、パッケージの表示を見て購入する健康志向な消費者が増える日本では、私たちスイスウォーター®プロセスのような質の高いデカフェを使用しているということは、一つのアピールポイントとなるのではないでしょうか。

 

この記事は、Standart Japan第24号のパートナー Swiss Waterの提供でお届けしました。 

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カフェインレスコーヒーに適した焙煎・抽出とは?

→ 希少なコーヒーもカフェインレス化できるのか?

1 https://agriculture.canada.ca/en/international-trade/market-intelligence/reports/health-and-wellness-series-organic-packaged-food-trends-japan

2 Hanover Research, Path to Purchase customized study for Swiss Water Decaffeinated Coffee Inc., 2021, U.S. n=564