希少なコーヒーもカフェインレス化できるのか?

Standart Japan第17号のパートナーを務めてくれたSwiss Waterにカフェインレスコーヒーにあう豆やSwiss Water®プロセスの特徴について訊きました。

Swiss Water®プロセスにはコーヒーの種類によって向き不向きがあるのでしょうか? それともどんなコーヒーでも特徴を保ったままカフェインレスにできるのでしょうか?

どんなコーヒーでもSwiss Water®プロセスでカフェインを除去することができます(ただし、私たちの研究の多くはアラビカ種を対象としています)し、これまでに非常に高品質なコーヒーのカフェイン除去にも成功しています。極端な例ですが、2020年にはバリスタ・チャンピオン・シップの国内大会用に使う、極めて高価なコロンビア産のゲシャのカフェイン除去を行いました。このような貴重なコーヒーの処理を任されたことを光栄に思うと同時に、私たちのプロセスが素晴らしい結果をもたらすことを確信していました。競技者も、これほど貴重なコーヒーを一か八かのチャンスに賭けるようなことはしないでしょうしね。

通常、私たちは「スモールバッチシリーズ」を通じて、特別なコーヒーを順次販売しています。これらは、産地や味、品質といった点で突出していて、入手できる量が限られているため、すぐに売り切れてしまいます。また、ブルンジやインドなど、カフェインレスのコーヒーがあまり出回っていない産地も含まれています。このようなバラエティに富んだ産地やユニークで少量しか出回らないロットをカフェインレスで楽しみたいと考えていたコーヒーラバーからはご好評いただいています。

Swiss Waterではカフェインを除去した生豆を販売するだけでなく、お客様からカフェインレス化のために質の高いコーヒーを送っていただくこともあり、多くの有名ロースターがSwiss Water®プロセスのパートナーとして名を連ねていることに誇りを持っています。しかし、私たちのプロセスの恩恵を受けるのにコーヒーは高級である必要はありません。スペシャルティ、もしくはブティックのロースターだけでなく、私たちの顧客には大規模な商業ロースターも数社あり、彼らが送ってくれたコーヒーの特徴を維持し、価値を保つためにSwiss Waterを信頼してくれていることをありがたく感じています。

そして、スペシャルティコーヒーに求められるような特徴を備えたカフェインレスコーヒーを生み出すことはもちろん可能です。私たちは、同一ロットのカフェイン除去前後を比較するためにブラインドカッピングを行っていますが、熟練のテイスターの舌を持ってしても両者を識別できないことがよくあります。一方で、「カフェインレス」という言葉にポジティブな印象を抱いていない人がいることも理解しています。カフェインレスコーヒーの歴史を振り返ると、伝統的なカフェイン除去法には塩化メチレンや酢酸エチルが使われるため、コーヒー本来の特徴を保てないとされていました(実際、「ナチュラル」と呼ばれる酢酸エチル処理によって、豆本来のものではない甘味が加わることが知られています)。そのため、カフェインレスのコーヒーを販売するロースターは、品質の低い豆をカフェインレスに回すことになり、結局カフェインレスコーヒー自体の品質も低迷してしまっていました。しかし、1900 年代後半に化学薬品を使用しないプロセスが商業化し、さらに現在でもその品質改善が進められていることから、カフェインレスのイメージが一新されました。「なぜわざわざカフェインレスを飲むのか」「カフェインレスを飲むくらいならコーヒーを飲まなければいいのに」といった言葉を耳にしたことがある人も多いと思いますが、純粋に風味を楽しめるカフェインレスこそ、真のコーヒーラバーの飲み物だとも考えられますよね。

同一ロットのカフェイン除去前後を比較するためにブラインドカッピングを行っていますが、熟練のテイスターの舌を持ってしても両者を識別できないことがよくあります。

Swiss Water®プロセスのどこが特別なのでしょうか?

私たちがグリーンコーヒーエキス(GCE)と呼んでいるカフェイン除去剤です。GCEはコーヒーと水だけでできているので、コーヒーによくなじむんです。まず生豆を水に浸し、カーボンフィルターでカフェインを除去しつつ、それ以外のすべての可溶性固形分を抽出します。こうしてできたGCEにカフェインを除去したい生豆を浸すと、コーヒーとGCEの間でカフェインの平衡を保つために、カフェインが生豆からGCEに移動します。つまり、コーヒー豆とGCEの間では、カフェイン以外の可溶性固形物は一切移行しません。もっと言えば、処理前の生豆に含まれていない成分が添加されることもないのです。

もうひとつ重要な点は、Swiss Waterのメンバーがコーヒーについて科学的に深く理解していることです。コーヒーそのものが好きなメンバーもたくさんいるので、カフェインレスコーヒーの体験を可能な限り良いものにしたいという情熱を原動力に研究にあたっています。豆のサイズ、密度、産地によって、それぞれのコーヒーが私たちのプロセスにどのように反応するかは異なります。例えば、硬い豆の方がカフェイン除去に手間暇がかかります。そのため、時間、スピード、温度など、さまざまな要素を調整し、豆の内部構造を保護しながらカフェインを除去することで、豆の特性を残しています。また、Qグレーダーがカフェイン除去前後でサンプルをチェックし、うまく処理ができたかを確認しています。

私たちのプロセスがコーヒーラバーにより良い味覚体験をお届けできるだけでなく、不要な化学物質のない選択肢を提供できることを嬉しく思っています。

コーヒーそのものが好きなメンバーもたくさんいるので、カフェインレスコーヒーの体験を可能な限り良いものにしたいという情熱を原動力に研究にあたっています。

Swiss Water®プロセスでは、コーヒーからどれくらいのカフェインを取り除くことができるのですか?

私たちのコーヒーはカフェインが99.9%除去されるまで処理されます。この基準は、世界各国の基準に適合しており、時にはそれを上回ることもあります。例えば、EUではカフェインレス焙煎豆のカフェイン量は0.1%以下であることが求められます。米国食品医薬品局では、カフェインを97%除去したコーヒーが規格に適合していると定めています。すべてのカフェインレスコーヒーには少量のカフェインが残留しており、通常1杯あたり粉量や抽出方法によって5~15mgの範囲に収まります。100%カフェインレスにすることは、コーヒーをコーヒーたらしめている風味を取り除くことになりますしね。私たちは、カフェインを最大限除去しながら、味も最大限に引き出せることを誇りに思っています。


このインタビューは、Standart Japan第17号のパートナー、Swiss Waterの提供でお届けしました。

 

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