Standart Japan

Meet Our Partners: RK Corporation

Meet Our Partners: RK Corporation

RK Corporation代表のカルロスさん(前列左)

 

 

Standart Japan 9号のパートナーRK Corporationは、日本を拠点にグアテマラの小規模農家生産者団体GOOD COFFEE FARMSを運営しています。グアテマラ出身の代表Carlos Melen(カルロス・メレン)さんはどんな経緯で日本にやってきて、コーヒーに携わるようになったのでしょうか? そしてGOOD COFFEE FARMSが提唱するサステイナブルなコーヒー生産とはどんなものなのでしょうか?

 

——こんにちはカルロスさん! 現在は札幌を拠点に活動されているということですが、どんなきっかけで日本にいらっしゃったんですか?

初めて日本に来たのは、高校を卒業してすぐの18歳のときでした。ただの旅行だったんですが、日本をすっかり気に入ってしまって、ここに住もうと決めたんです。

実際に日本に住み始めて、私がグアテマラ出身という話をすると、必ずと言っていいくらいコーヒーが話題に挙がったんですよ。そんなことが数え切れないくらいあったので、英語の「When life gives you lemons, make lemonade*」ということわざ通り、じゃコーヒーを仕事にしてみるかという経緯で2011年、DARKS COFFEEというブランドを立ち上げました。


*直訳すると「レモンを授けられたなら、レモネードを作ってしまえ」。レモンは人生における困難を指していて、逆境に直面したとしてもポジティブに考えようという意味のことわざ。

 

——そこからどのようにGOOD COFFEE FARMS設立にいたったんですか?

最初はブランドのためにサステイナブルでトレーサビリティの高いウェットミルをつくるというアイディアから始まりました。それからグアテマラに行って実際にミルを設立したんですが、うまくいかなかったんです。会社をつくって、輸出ライセンスを取得するというのが想像以上に難しくて、思い通りにいきませんでした。でも実は自分がやろうとしていたことは、グアテマラのような生産国が抱える問題の解決策になりえるというのが後になってからわかりました。

数年前から特に小規模農家の人たちは、市場価格の大幅な下落や環境汚染に苦しめられてきました。精製方法は100年以上変わっていなくて、とても環境に悪いんですよ。従来の方法だとほとんどの農家には手が届かないほど高価な機械が必要で、使う水の量も膨大。しかも精製後に残るミューシレージやバクテリアでいっぱいの水が川に流されるので、周囲の環境や何百万人もの人たちに水を供給する水源に悪影響がおよんでいます。

グアテマラの多くの川がこのような背景から汚染されていて、同じようなことが他の生産国でも起きています。

 

 

——具体的にはどのようにその課題を解決しようとしているんですか?

環境に優しく、かつ金銭的な負担の少ない精製方法を確立するためのアイディアとして思いついたのが、自転車を動力とする脱穀機を使ったドライ・パルピング・システムでした。このシステムを使えば、水も燃料も電気も使わずに果肉を除去できます。通常、コーヒーチェリーの外皮と果肉を除去する工程はウェットミルと呼ばれますが、私たちは自社開発のシステムで水を使わずにこの工程を行っています。

もうひとつ私が気になっていたのが、脱穀後の乾燥工程でパーチメントを地面に広げるということでした。地面に広げるとコーヒーの水分で濡れたコンクリートや土の臭いが付いてしまいますし、動物や人間が誤って踏んだり、空気中のゴミが付着してしまったりすることもあります。さらに雨が降ったときは、ビニールのカバーをかぶせて重しをおくんですが、そうすると熱がこもってしまって品質に影響が出てしまいます。なかには大きな乾燥機を使う農家もいますが、これには燃料や電気、木材が必要になるので環境によくありませんし、何より金銭的な負担も大きくなります。

そこで日本のビニールハウスを応用するというアイディアを思いつきました。無香の素材を使ったビニールハウスと棚を使えば、周囲の環境からコーヒーを守ることができます。またビニールハウスには紫外線をカットする素材が使われているうえ、研究の結果、内部の温度はコーヒーを乾燥させるのに最適な37℃に保てるようにしています。

トレーサビリティに関して言えば、農園で作業する人のリストや、収穫エリアとその時期などあらゆるデータを毎日記録するよう心がけていて、精製方法の選択にあたっては、農園でもミルでもチェリーの糖度を計測し、そのときどきで最適な方法をとるようにしています。

 

 

——蔦屋書店でのStandartフェアに出品いただいたDARKS COFFEEブランド、Real Coffee Woodの製品もグアテマラで作られているんですか? 

そうです。環境問題への対策の一環で、これまでは薪としてしか活用されていなかった、寿命を迎えたコーヒーノキは、コースターやスプーン、トレー、お箸などに加工して販売し、農家にとっての新しい収益源を作りつつ、ゴミを減らそうとしています。また、カスカラ(コーヒーチェリーの実の部分)も清潔な管理体制で丁寧に生産することで、とても甘く美味しいコーヒーチェリーティーや、高ポリフェノールのスーパーフードとして販売しています。

これまでに挙げたような取り組みのおかげで、全体で見たときの二酸化炭素排出量ゼロを実現しました。さらに環境への負担もないうえ、システムの導入も安価という噂が広まり、グアテマラのメディアやコーヒー協会からも注目され、何百人という人たちからプロジェクトに参加したいという連絡をいただくまでになりました。

当初は精製システムにDARKS COFFEE SYSTEMという名前をつけていたんですが、このプロジェクトに参加してくれる農家の数が200を超えたあたりで、もっとインクルーシブな名前にしようと決め、最終的にGOOD COFFEE FARMSという名前を冠することにしました。

 

 

——環境問題やコーヒーの質といったこと以外には、どんな点を気にかけていますか?

グアテマラではコーヒー生産量の97%以上を小規模農家が担っているんですが、先ほどお伝えしたように従来の精製方法では設備に膨大なコストがかかるため、何の付加価値もなしにチェリーの状態でコーヒーを販売する農家がとても多いんですよ。そうすると、彼らの生活が市場動向に大きく左右されてしまうだけでなく、結局コーヒーをビジネスとして成り立たたせられるのは豊富な資金のある農家だけということになってしまいます。実際、カフェで販売されているグアテマラ産のコーヒーは、このような大規模農園の名前がついたものばかりです。

また、コヨーテと呼ばれるブローカーにコーヒーチェリーを販売する農家がほとんどで、彼らは仕入れたチェリーをまとめて扱うため、トレーサビリティがまったくありません。現地のウェットミルはコヨーテからチェリーを買い、誰が栽培したかはおろか、どんな農薬が使われていたか、さらにそのチェリーが盗まれたものかどうかさえ把握していないということもザラです。そして精製されたパーチメントは、情報を欠いたままドライミルやエクスポーターの手へと渡っていきます。

 

一方、GOOD COFFEE FARMSが開発した脱穀機なら、小規模農家の人も自分たちのお金で購入できます。またプロジェクトに参加してくれた農家には、スペシャルティコーヒーに求められる精製ノウハウや品質管理についてのトレーニングも提供しているので、コヨーテに上手く利用されるのを防ぐこともできるんです。

この業界にはさまざまな課題がありますが、一番の問題は小規模農家にそのしわ寄せがおよんでいるということです。残念ながら、この事実を知りつつ、体裁を守りながら利益をあげている組織や企業もいますし、そのつもりはなくても仕組みに問題があり、本当に助けを必要としている人のもとにお金が届いていないという場合もあります。

だからこそ私はこのGOOD COFFEE FARMSを設立して、小規模農家一人ひとりがビジネス/フランチャイズオーナーとして、私たちと一緒に成長できるようにしようと決めました。つまり私は彼らの上司ではなく、情報提供やイノベーションを通じてメンバーそれぞれの努力を促進し、もっと多くの農家がチャンスをつかめるようにしようとしているんです。将来的にはグアテマラだけでなく、他の国にもこの仕組みを導入しようと考えています。

 

 

——Standart Japanのことはどこで知ったんですか? 

Standart Japanのことは、2018年のSCAJで行われた、アップサイクルがテーマのディスカッションで知りました。その後も代官山蔦屋書店でのトークイベントや東京コーヒーフェスティバルでStandart Japanのメンバーに会って面識を深めていったという感じですね。

サポートを決めた背景として、Standart Japanの読者にはスペシャルティコーヒーだけでなく、サステイナビリティにも興味をもった人が多そうということ、あとは記事やビジュアルの質が鍵でしたね。それと、色んなイベントに参加していて、コーヒーコミュニティに積極的に関わろうとする様子もいいなと感じていました。

 

——もしもコーヒーの仕事に携わっていなければ何をしていたと思いますか? 

昔はパイロットになって世界中を飛び回るのが夢でした。でも結局コーヒーの仕事をしていると世界中を旅することになりますし、おまけにカフェインの効果で空を飛べるような気にもなるので一石二鳥ですね(笑)。

 

——最後に、Standartの読者にメッセージをどうぞ!

Standart Japanを読んでいるということは、皆さんコーヒーが好きなだけでなく、コーヒーのこれからについても考えているんだと思います。そんな皆さんにグアテマラの小規模農家を代表してお伝えしたいのは、コーヒーに携わる人たち全員にとって良い業界にしていこうということ。品評会で賞をとれるような裕福な農家は全体のほんの一握りです。

次に行きつけのカフェを訪れたときは、GOOD COFFEE FARMSに参加している小規模農家から直接仕入れた、サステイナブルなコーヒーを扱ってみたらどうかと聞いてみてください。あなたも一緒にコーヒー革命を!

 

GOOD COFFEE FARMSについてもっと知りたい方は、ぜひ彼らのInstagramFacebookをチェックしてみてください。

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