Standart Japan

Meet Our Partners: Ally Coffee

Meet Our Partners: Ally Coffee

Standart Japanのパートナーをご紹介するMeet Our Partners。2回目となる今回は、生豆の商社としてだけでなく、ロースター・バリスタ向けトレーニングをはじめ、「コーヒーコミュニティづくり」をビジネスの核に置くAlly Coffeeをフィーチャーします。

同社のDirector of SpecialityRicardo Pereiraさん(下写真)にお話を伺いました。

 

――Hello Ricardo! まずはAlly Coffeeについて簡単に教えてもらえますか?

Hello Standart Japan ;)

Allyは一言で言うと生豆の商社で、主な業務は個々のロースターと生産者を結びつけることです。日常的にはカッピングやサンプルの評価、オリジンでの生産者との会議といったことをしていますが、配送手配やお金のやりとりなど、表には出ない仕事もたくさんあります。時には、商品の開発やパッケージデザイン、農家から消費者までのトレーサビリティの確立なんてことまですることも。

それと、もうひとつの大きな仕事が、教育プログラムの企画・運営です。内容としては、焙煎からFDA(アメリカ食品医薬品局)の規制に準拠するためのFood Safety Planの策定・書類準備の仕方まで、ロースターに必要な知識のほぼすべてと言っていいと思います。

私たちは、コーヒーが生産者にとっては金銭面でも環境面でも持続可能に、ロースターにとってはもっとエキサイティングに、消費者にとってはもっと美味しいものになれると信じています。コーヒーのサプライチェーンは日々変化しているので、違うやり方を試して、現状を打破する余地がまだまだあります。

その思いを知ってもらうためにも、私たちはブランディングを一新して、去年シアトルで行われたSCAで「Moving Coffee Forward(コーヒーを前進させる)」という新しいタグラインを発表しました。

 

――Allyはどのようにスタートしたんでしょうか?

まず、Allyのルーツはブラジルにあります。AllyGrupo Montesanto Tavaresというグループに属していて、Grupo Montesanto Tavares自体は社長のRicardo Tavaresがコーヒー豆の栽培、輸出、輸出先での在庫管理まで、サステイナブルかつ一気通貫型のコーヒービジネスを確立したいというビジョンのもと生まれました。

私はAllyの前身となるコーヒー商社を1人でやっていたんですが、2012年にポートランドで開催されたSCAA(現在のSCA)でGrupo Montesanto Tavaresのメンバー、Bruno Tavaresと出会い、彼らがスペシャルティコーヒーの部門を立ち上げようとしていると話を聞いたんです。話が進むうちに、彼が一緒に仕事をしないかと言ってくれて、結局私は2013年にGrupo Montesanto Tavaresのスペシャルティ部門を任されることになり、Ally Coffeeが誕生しました。



――Standartのことはどこで知ったんでしょうか? そしてStandartをサポートしてくれることになった背景を教えてもらえますか?

Standartのことは、2017年にハンガリーのブダペストで開催されたWorld of CoffeeSabineStandartスタッフライター)とLuke(英語版Standartエディター)に出会ったときに初めて知りました。それからMichalStandartファウンダー)とも話をして、徐々に「チームStandart」のことも知っていった、という感じです。

コンテンツとデザインの質、そして3人をはじめとするStandartの裏にいる人たちがサポートを決めたきっかけです。また、カフェでの雇用の問題やオリジンにおける価格の不平等など、とにかくコーヒー業界全体に関する内容がカバーされていたというのも、Allyのブランドととても合うなと感じました。

 

――日本、ひいてはアジアのコーヒー市場とそれ以外のエリアで違いを感じるポイントはありますか?

まず全体の傾向として、日本を含むアジア市場はサプライチェーン内で大きな付加価値が生まれているように感じます。これはどういうことかというと、たとえばアメリカでは、質は良くても価格が安くないとなかなかモノは売れません。でも日本やアジアは、質に対してお金を惜しまない傾向にあって、特に新しいトレンドと組み合わさるとその傾向が顕著に表れます。

もう少し細かく見ると、私はアジアの主要市場は大きく3つに分けられると感じています。まずは、最近大きく成長している韓国、台湾。コーヒーの市場がようやく花開きだした中国、そしてアジアで一番市場が成熟している日本です。日本市場は成熟度が高いので、質の高い豆を生産している農家にきちんと対価が支払われることが多いように見えますが、最近では韓国や台湾のバイヤーもオークションロットに対して、日本のバイヤーよりも高い価格をつけることがあります。

 

――何かホットな話題があれば教えてください!

商社ビジネスに関していえば、コロンビアのボゴタにある買い付け用のオフィスが最近スタートして、取引する生産者の数も増えてきました。それと今年はバリスタ・チャンピオンシップの上位入賞者向けのオリジントリップをコロンビアで私たちが企画することになりました。オリジンと消費国、世界トップのバリスタと生産者を結びつける機会に携われるのをとても光栄に感じています。

教育ビジネスでは、新しくバリスタ向けのコースやワークショップを開発しました。新米バリスタからベテランまで、さまざまなレベルのバリスタを対象に複数のプログラムが準備されていて、オンラインでもオフラインでも学べるようになっています。

 

<ここからはRicardoさんについてもう少し詳しい話をうかがいました>

――これまでの経歴を簡単に教えてもらえますか?

私のバックグラウンドはサプライチェーン・マネジメントで、コーヒー業界に入る前は、肥料やガーデニング用品を扱う企業で6年間ほど買い付け、サプライチェーン・マネジメント、品質管理などを担当していました。

コーヒーに関して言うと、もともと私はブラジル出身で、子どもの頃から親戚が運営する農園を訪ねたりしていたので、コーヒー自体にはとても馴染みがありました。

企業でしばらく働いた後、ブラジルからアメリカへの輸出業が盛り上がっているのを見て、自分でビジネスを始めたいなと思ったのが、先ほどお話したAllyの前身となる企業を立ち上げたきっかけです。

コーヒーを選んだ理由としては、幼い頃から身近にあったということも関係していますが、何より当時アメリカにいた私が飲んでいたブラジル産のコーヒーは、とても母国のコーヒーを体現したものだとは言えなかったことが大きかったです。


――ひとりで会社(しかもインポーター)を運営するのは大変じゃありませんでしたか?

最初はかなり大変でしたね。

私が初めて生豆を輸入したときは、コンテナ半分のお金しか払えませんでした。実は当初はビジネスパートナーがいたんですが、その人から権利を買ったので、買い付けから品質管理、配送の手配や送金、コンテナからトラックへの積み込み、さらには顧客のもとにコーヒーを届けるまで、すべて1人でやっていました。私が手をつけなかったことと言えば、会計くらいですかね。これは私の妻がやってくれていましたが。

今でも印象に残っているのが、アトランタで行われたSCAAシンポジウムに参加したときのことです。会場はCounter Cultureの人など、長年コーヒーに携わっている人でいっぱいでしたが、当時の私はまだ完全な新参者でした。

イベント後のディナーミーティングで隣に座った人も十数軒ものカフェを経営していたんですが、その人と名刺交換したときに、「自宅で輸入事業をやっているんですか?」と聞かれたんです。そのときの声のトーンは単純な質問というよりも、蔑んだような言い方ですごく悔しかったのをよく覚えています。ディナー、部屋を埋め尽くすコーヒーのプロたち、彼の放った質問とそのトーン――当時の様子は今でもありありと思い出せます。でもこれが私のモチベーションになりました。

実はこの話には後日談があって、それから23年経ってから、なんとその人が私から豆を買い始めたんです。おそらく彼は質問のことを覚えていないでしょうけど。

――もしも今コーヒー業界にいなければ、どんな仕事をしていたと思いますか?

コーヒー業界にいなかったら、多分今でもアメリカの企業でサプライチェーン・マネジメントの仕事に就いていたと思います。そしてきっと今ほど幸せではなかったでしょうね。コーヒーの仕事を始めるまではそんな感じだったんです。仕事で幸せを感じることはなくて、達成感もありませんでした。

コーヒー業界に入った理由のひとつは、自分で何かを始めたいという気持ちだったんですが、輸入ビジネスを始めてから少し経って、勤めていた会社をクビになってしまったんです。それで他の職を探すか、自分のビジネスに本気で取り組むかという選択を迫られ、妻や家族、友人のサポートもあって後者を選んだというワケです。

結果的にコーヒーのおかげでたくさんのチャンスに恵まれたので、コーヒーには感謝してもしきれませんよ。

――Thank you, Ricardo!!

 

<Photo credit: Ally Coffee>

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