Brew it like Terraform!

Brew it like Terraform!

Standart Japan 第36号のサンプルコーヒー豆は、上海発のロースター Terraform Coffee Roasters今回、Terraformが選んだエチオピア・イルガチェフェの Danche 2026年ニュークロップ・ウォッシュトのコーヒーを、読者の皆さんへサンプルコーヒーとしてお届けします。

この記事では、今回のコーヒーに関する詳細やおすすめの抽出レシピに加えて、Terraform Coffee Roastersがコーヒーに込める思いや、彼らが考える「焙煎」という行為についても話を伺いました。

 

Terraform Coffee Roastersについて読者にご紹介いただけますか?

Terraform Coffee Roastersは、Blacksheep Espressoの立ち上げから1年後の2019年に設立されました。当時、私たちはひとつの分岐点に立っていました。店舗数やチームを拡大して事業規模を大きくしていくのか、それともコーヒーそのもの(品質管理や調達、生豆供給など)により深く向き合うのか。最終的には後者を選び、それがTerraformの土台となりました。チームを率いるのはJiとKittyです。二人は、Blacksheep Espresso以前の2015年に設立された生豆ブランド「Beanboom」の共同創業者でもあります。

 

“Terraforming”という言葉は、とても力強くユニークな概念です。コーヒーにおいて、その言葉にはどのような意味を込めているのでしょうか? また、自分たちがコーヒーカルチャーを再構築している感覚はありますか?

もともとはSF作家ジャック・ウィリアムスンによって生み出された言葉で、人類が居住できるよう惑星環境を変化させるプロセスを意味します。SF的な想像力と現実の科学探究、その両方に根ざしたこの考え方に、私たちは深く共鳴しています。2015年のNASAによるケプラー452bの発見から、2016年のプロキシマ・ケンタウリbに至るまで、人類は“地球に似た惑星”への理解を広げ続けています。そうした探究心や好奇心、可能性への姿勢こそが、「Terraform」という名前を選んだ理由です。そこには希望やロマン、そして未知を追い求め続ける精神を込めました。

Terraform Coffee Roastersが単独でコーヒーカルチャーを変えているとは考えていませんが、生産地と一杯のコーヒーをつなぐ橋渡し役として、日々コーヒーをご提供する中で、お客さまがコーヒーをどのように体験し理解するかに自然と影響を与えていると思います。近年では、さまざまな手法でフレーバーを"加えた"コーヒーによって、スペシャルティコーヒーのプロセス由来の風味と豆本来の風味との境界線が曖昧になることもあります。そのなかで私たちは、コーヒー本来が持つ風味を際立たせることに取り組み続け、地に足のついたコーヒー消費のあり方を促していければと考えています。

 

日本市場へはいつ進出されたのでしょうか? また、なぜ日本だったのでしょう?

2025年8月中旬、代官山にBlacksheep Espressoをオープンし、日本市場へ進出しました。日本を最初の海外展開先として選んだ理由はいくつかあります。まず、中国との地理的な近さにより、オペレーション管理を効率的に行えること。そして、日本には長い歴史を持つコーヒーカルチャーがあり、知識と感度の高い顧客層が存在していることです。

また、日本の都市空間の丁寧なデザインや、世界的にEC化が進むなかでも活気を保ち続けているオフラインリテールの強さにも魅力を感じました。そうしたさまざまな要素が重なり、日本は私たちにとって初めての海外進出先として自然な選択となりました。

 

Terraform Coffee Roastersの焙煎哲学をどのように表現しますか? また、異なるコーヒーカルチャーに触れるなかで、その考え方に変化はありましたか?

一言で表すなら「翻訳」です。Terraform Coffee Roastersでは、コーヒーの風味を、生豆・焙煎豆・抽出された一杯、それぞれに存在する異なる"言語"として捉えています。私たちの役割は、生豆が本来持つ個性を焙煎という表現言語へと翻訳し、その魅力を消費者にとって明確でわかりやすい形で届けることだと考えています。

日本という異なるコーヒーカルチャーに触れたことで哲学自体が変わったわけではありませんが、その考え方がより確固たるものになったように感じます。さまざまな経験を通して、風味をより精密に翻訳する方法への理解が深まりながらも、生産地とその個性に忠実であり続けることを大切にしたいと考えています。

 

Standart Japan 第36号でのコラボレーションでは、どんなコーヒーを選んでいただいたのでしょうか?

今回のコラボレーションでは、エチオピア・イルガチェフェの Danche Station 2026年ニュークロップ・ウォッシュトを選びました。これは、Terraform Coffee Roastersが長年愛してきたお気に入りのコーヒーのひとつです。
中国のスペシャルティコーヒー業界は現在急速に進化を続けていますが、そのなかで、非常にフレッシュで高品質なコーヒーを最も早いタイミングで空輸できることを、私たちは誇りに思っています。今回、このロットを皆さんと共有し、どんな反応をいただけるかとっても楽しみです。

Danche Stationは2019年にNegusse Debela氏によって設立され、周辺地域の数百人の小規模農家と協働しています。この地域特有の高い標高と、半森林のようなシェードグロウン環境(木陰での栽培環境)が、独自のカッププロファイルを生み出しています。
完熟した赤いチェリーのみを手摘みで収穫し、果肉除去後は72時間の発酵工程を経て、流れのある綺麗な水の中で4時間浸漬。その後、およそ10日間かけてアフリカンベッドでゆっくり乾燥されます。
カップでは、繊細な白い花のニュアンスに、甘いピーチやベルガモットを思わせる明るい風味、そしてクリーンで洗練された質感が感じられます。まるで春の始まりを思わせるような、軽やかで爽やかな一杯です。ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

このコーヒーをより楽しむための、おすすめの抽出レシピを教えてください。

唯一の“正解”となる抽出方法は存在しません。コーヒーにおいて大切なのは、バランスと柔軟性です。私たちは、それぞれの変数がカップにどのような影響を与えるのかを理解するためにも、さまざまな抽出条件を試してみることをおすすめしています。

美味しい一杯というゴールにたどり着く道筋は、決してひとつではないと思います。Terraform Coffee Roastersがよく強調するのは、「抽出率」よりも「濃度」のほうが、味覚体験に与える影響が大きいということです。そのため、レシピを調整する際には、まずコーヒー粉とお湯の比率など、濃度に関わる部分を優先的に調整することをおすすめしています。そのうえで、より明るい酸味や甘さ、透明感など、どの要素を強調したいかに応じて微調整していくとよいでしょう。レシピは下に掲載しているので、参考にしてみてください。

 

☕️おすすめの抽出レシピ

抽出器具:V60 (鮮やかな酸味やジューシーな味わい向け)
コーヒー:15g
湯温:90-93°
湯量(比率):240g(1:16)
抽出時間:2:15-2:30
抽出方法:
  1. タイマースタート。30gまで注ぐ
  2. 0:30になったら、100gまで注ぐ
  3. 1:00になったら、160gまで注ぐ
  4. 1:30になったら、240gまで注ぐ

※湯を注ぐ際は、円を描くようなモーションで注ぐ

抽出器具:Kalita Wave(バランスの取れたまろやかな味わい向け)
コーヒー:14g
湯温:90°
湯量(比率):225g(1:16)
抽出時間:2:10
抽出方法:
  1. タイマースタート。30gまで注ぐ。円を描くようなモーションで注ぐ
  2. 0:30になったら、100gまで注ぐ。ドリッパー中央に一点集中で注ぐ
  3. 1:00になったら、150gまで注ぐ。円を描くようなモーションで注ぐ
  4. 1:30になったら、225gまで注ぐ。ドリッパー中央に一点集中で注ぐ

 

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