Standart Japan第18号のパートナーVictoria Arduinoが、ミルクベースのドリンクを作る際の化学変化や、最適な温度について教えてくれました。
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体に良く、見た目にも美しいミルクベースドリンクのレシピの鍵は、タンパク質、リン脂質、そして60℃前後の温度。
カプチーノやフラットホワイトを作る際、栄養と風味の観点から牛乳の品質を損なっていないか気になったことはありませんか? 見た目の美しさと栄養価を両立させることはできるのでしょうか?
カメリーノ大学の研究者たちは、これらの疑問への答えを、Victoria Arduinoの親会社であるSimonelliグループとの共同プロジェクトを通じて探ってきました。
さまざまな種類の牛乳とカプチーノの栄養価に着目したこの研究では、ミルクベースドリンクを作る際の最適な条件を見つけるために、温度や蒸気といったパラメーターを変化させてテストを実施しました。「カプチーノとフラットホワイトの検証では、スチーミングされた牛乳とフォームの両方を分析し、同じバッチのスチーミングされていない牛乳から得られたデータと比較しました」と、このプロジェクトの研究コーディネーターであるシルヴィア・ヴィンチェンゼッティ教授は述べています。
スチーミングの違い
ラテやフラットホワイトのフォームは、カプチーノよりも細かな泡からできており、厚さ数mm以下の液状でクリーミーなフォームをつくるためには、より細かいスチーミングが必要です。一方、クラシックなカプチーノのフォームはクリーミーでコンパクト、かつきめが細かく、厚さ1cm程度で表面に光沢があるものが望ましいとされています。
「カプチーノのフォームは、液体中に気体がコロイド状に分散したものです。ここでいう液体はカプチーノに使う牛乳、気体は牛乳を泡立てるための空気と水蒸気を指しています。牛乳にはタンパク質やリン脂質などの界面活性剤が含まれているため、気体粒子は牛乳の中でコロイド状の分散体を形成します。そしてフォームの安定性は、界面活性剤の濃度に依存します。つまり濃度が高いほど、気体粒子は小さくなり分散されるため、フォームはより安定します」とヴィンチェンゼッティ教授。
温度の違い
もうひとつの重要な要素が温度です。「牛乳の温度が70℃を超えないように注意しなければいけません。そうしないと、乳糖がカラメル化し、牛乳に含まれるタンパク質が変性してしまうため、結果的に焦げた風味がしてしまうのです。また変性したタンパク質は、エスプレッソコーヒーに含まれるタンニン酸と結合し、消化されづらいタンニン酸アルブミンが形成されます。ミルクベースドリンクの牛乳の温度としては、乳糖が最も甘くなる60℃程度が最適といえるでしょう」。