おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今週初めに、最新号のEditor's Letterにも記載したStandart コミュニティをローンチしました。一言で言うと、読者の皆さんが繋がり合えるオンラインプラットフォームです。
これから約1~2か月かけて、定期購読者の方たちを順番に毎週数百人ずつコミュニティサイトに招待していきます。ぜひ自己紹介だけでなく、コーヒーに関する質問をしたり、おすすめのカフェを聞いたり、アイディアを共有したりと、コミュニティに参加していただけると嬉しいです。
プラットフォームはまだベータ版で、徐々に拡張しながら皆さんのフィードバックも反映させていきます。コーヒーショップで隣に座った人と話が弾んだときに感じるような、温かい繋がりが生まれる空間を、これから皆さんと一緒に作っていけるといいなと思っていますので、招待メールが届いたらぜひご参加ください。
ご購読者以外の方も、今後ご参加いただけるような仕組みを考えていますので、まだ少し先になりますが、楽しみにしていてもらえると嬉しいです!
今週は、少し体調を崩してしまってあまり調子のいい週ではありませんでした。そんな時もたまにはあるかと思いますが、体調が悪いとコーヒーが美味しく飲めずにいつも余計に落ち込んでしまいます。そんなこともあって、今週のWhat We're Drinkingはお休みさせてもらいました。楽しみにしてくださっていた方、ごめんなさい 皆さんも夏風邪など気をつけてくださいね。
それでは今週も良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
コーヒー栽培の未来を見据えて
コーヒーの国際研究機関ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)が、2015年から取り組んでいる国際品種栽培試験「International Multilocation Variety Trial 」(IMLVT)。気候変動の影響によって2050年にはアラビカ種の栽培に適した土地が半減すると言われる中、コーヒー栽培の長期的な未来を見据えたグローバル規模の取り組みとして注目を集めるこのプロジェクトでは、世界各国から耐性・品質・収量などを基準に選ばれた31品種を集め、苗木を16のコーヒー生産国で試験栽培し、収穫後にカッピングを実施。その後、それぞれの生産地に適した品種の選定・生産拡大、さらに品種ごとの遺伝子と気候環境の相互関係についての研究データ収集を目指しています。
そして先日、WCRはアフリカ南東部マラウイでの初収穫についてのレポートを公開しました。それによると初年度は28品種が試験栽培され、今年3月には初めてのカッピングを開催。トップスコアの品種には、IPR 103、パカマラ、カティモール129、オロ・アステカ、15066が並んでおり、今後数年にわたってより精緻な分析をもとに適正品種を選定していくそうです。
IMLVTが始まった背景には、生産国の歴史・制度上の障害によって新しい品種にアクセスできないという課題がありました。持続可能なコーヒー生産を実現するために、様々な観点から情報・アクセスの民主化をする必要があることを改めて認識させられるニュースでした。
気になるニュース
▷ 2021-22年度のインドのコーヒー輸出額が10億ドル(約1.3兆円)を超え、過去最高を記録しました。過去60年間で同国のコーヒー輸出量は約12倍、輸出額では760倍以上も増加しており、現在輸出先は50か国を超えています。
▷ 国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが、日本の大手カフェチェーン9社による使い捨てカップの現状をまとめた調査報告書を発表。報告書によると、2020年に排出された使い捨てカップは3億6,950万個 (推定で2,808.8トン相当)におよび、最も消費量の多かったカフェチェーンはスターバックス (2億3,170万個) だそう。
▷ コーヒーリーフの抽出エキスとCOVID-19の感染予防効果の関連性を示唆する研究結果が発表されました。液内の化合物 (クロロゲン酸、キナ酸 etc.)が抗ウイルス活性をもたらす可能性が指摘されており、実験では通常のエタノール消毒以上の予防効果が見られたそうです。
▷ フロントラインワーカー用のレジュメサービス「Tendo」が、スペシャルティ業界で働くバリスタ向けのスキル用語集を公開。用語を明確に定義することで、バリスタのスキルの見える化、雇用者と被雇用者・求職者とのコミュニケーションの円滑化、教育の効率化を目指します。
▷ フロリダ大学が行った研究によると、コーヒー (カフェイン) の接種が朝イチの喫煙欲求を軽減する可能性があるそうです。映画のタイトルにもなった名コンビの関係は思ったより複雑なのかもしれません。
物足りないあなたへ
PostCoffeeが、新たにデカフェブレンドを発表。先日紹介したYouTubeスター、エマ・チャンバレンのコーヒーブランド「Chamberlian Coffee」が、シリーズAラウンドで約9,400万円を調達を完了。米国でデータセンターをテーマにしたブレンドコーヒーが発売されました。
What We're Drinking
今週のコーヒー
今週はお休みです!
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
メリッサ・シュリーク Instagram|ウェブサイト
プロフィール:
オランダ出身のフォトグラファー。『The City is a Choreography』をはじめ、これまで複数の個人プロジェクトを発表。審美的かつコンセプチュアルなアプローチを通じて、演出とドキュメンタリーの境界を探求する。作品を通じて、人々と他者/個々の環境との関わりについて問いかける。
最新の掲載記事:
Standart Japan 第21号「どこにもいない“あの”バリスタ」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『ザ・ホワイトタイガー』
インドの貧困層に生まれた青年が、家族のしがらみや社会の理不尽な仕組みに翻弄されながらも成り上がっていく姿を描いたインド映画。インド映画で一攫千金の成り上がりというキーワードだけ聞くと「スラムドッグ$ミリオネア」を思い出しますが、あの映画と異なるのは主人公のストーリーにより深みや説得力があり、インド社会や文化の闇をより垣間見ることができる点。本作品は、イギリスの文学賞ブッカー賞を2008年に受賞したインド人作家アラビンド・アディガ氏の小説「グローバリズム出づる処の殺人者より」が原作。ラミン・バーラニ氏が監督・脚本を手がけています。彼の別の作品「ドリーム ホーム 99%を操る男たち」同様に(これもぎりぎりと感情を削られるように揺さぶられて面白いです)、皆それぞれの正義や夢があって、それを叶えようとする人間達とその犠牲になる人々とのドラマが本作品にも色濃くあらわれています。インド社会のカーストにNoを突きつけつつ、その中でずる賢く、強く生き、奴隷のような人生から抜け出す主人公バルラムのサクセスストーリーはかなりインパクトがあります。この映画に出てくる様々な描写がどの程度インドの現実に基づいているのかわかりませんが、自分の価値観や興味を広げてくれる映画はやっぱり面白いですよね。踊るボリウッド映画もいいんですが、この踊らないインド映画、おすすめです。よければ日曜の夜にでも観てみてください。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
青柳 拓郎
GOOD LUCK COFFEE代表。いつだって好きなことに夢中な人。カフェ、スポーツ、Mr.Children、そして家族が大好き。あ、1級造園技能士の元庭師なバリスタです。
5 questions
今気になっている問いは?
生きるとは? 生まれた瞬間から終わるその日まで問われ続けることだから。
お気に入りの場所は?
近所の山とか田んぼとか。あとは神社かな。自分をリフレッシュしてくれるから。
譲れないこだわりは?
やるべきこと・やりたいことだけをする。あらゆるものは有限であり、無駄に消費したくないから。
今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?
桜井和寿さん
明日地球がなくなるとしたら誰と何をする?
家族と食卓を囲む。
Fancy a refill?
編集後記
今週、パンデミックが私たちの言語理解に与えた影響についての興味深い記事を読みました。
イェール大学ハスキンス研究所は、外的な出来事が言語理解にどのような影響を与えるかを検証するため、パンデミック以後急激に使用頻度が上がった言葉を28個選出し、2019年時点で使用頻度が同程度の音が似た言葉との聞こえ方を比較する実験を行いました。
例えば「knockdown(ノックダウン)」という単語を読み上げた音声の「kn」の部分を雑音(咳払いの音など)と入れ替えて「ockdown」しか聞き取れない状態で、被験者に何という単語が聞き取れたかを尋ねたそうです。まずこの実験の組み立てがめちゃくちゃ面白い。
同じ仕組みで「tempting(魅惑的な)」、「injection(注入)」といった単語の一部を改変した音声を聞かせたところ、「knockdown」は「lockdown(ロックダウン)」に、「tempting」は「testing(検査)」に、「injection」は「infection(感染)」に聞き間違えた被験者が多く、「task(任務)」と「mask(マスク)」にいたっては「tap(蛇口)」と「map(地図)」のように感染症との繋がりの薄い単語同士よりも3倍ほど多く聞き間違えが発生したとのこと。
拡大解釈ではありますが、自分が発する言葉や、身を置いている環境を漂う言葉によって、僕たちの社会の捉え方にも違いが出てくるのかなーなんてことをボンヤリ考えていました。
Atsushi
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第21号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、FAEMA x DKSH、Swiss Water、ブルートーカイコーヒーのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)