おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今週は、次号の制作の校了Weekでした。3か月ごとに訪れる魔の1週間です(笑)。
今日は、どんなふうに紙面制作が進んでいくのかご興味ある方もいるかもしれないので、少し制作の流れをご紹介してみますね。
まず、Standart Japanの記事は英語版からの翻訳とJapan独自の記事があって、英語記事はテキストの最終ドラフトが出来上がった時点で(日本語版のおよそ1か月前に英語版がリリースされます)翻訳をスタートします。ちなみに翻訳者の方々のお名前は雑誌の冒頭に記載されていますよ翻訳が上がってくると、制作担当のAtsushiが翻訳校正を行い、完成へと進めます。
Japan独自の記事は、私とAtsushiで話し合いながら内容を決めて、執筆やインタビューの依頼を行っています。翻訳と同時進行で日本語記事のインタビューや執筆が進み、テキストができたところでクリエイティブディレクターのKirillと一緒にビジュアルをAtsushiが検討していきます。その後、撮影やイラストを手配。
それぞれテキストとビジュアルが完成したら、グラフィックデザイナーのNastyaがレイアウトを作成し、日本語特有のレイアウト調整などはAtsushiが行い、出来上がったドラフトを私とAtsushiで何度も読み込む作業へ進みます。
そしてここからが約1週間の校了Week。修正箇所や質問事項はドラフトデータにマーキングして連絡し合い、修正前と後をチェックしながら、文章やレイアウトの完成度を高めていきます。完成したら、印刷会社へデータを送って印刷工程へと移り、出来上がりの色の確認などを行ってから印刷スタート、という流れです。
印刷会社へデータを納品した後は、ほっと一息つくのも束の間、リリース準備やサンプルコーヒー豆の手配、次次号のコンテンツの話し合いなどを進めていきます。ということで、来週からは次号のリリースに向けた準備で忙しくなりそうです!
それでは今週も良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
規模では測れないもの
コーヒープロダクトの製造・販売からコーヒー豆のキュレーションサービスまで、幅広いビジネスを展開する「Fellow」。元々無類のコーヒー好きだった創業者のジェイク・ミラー氏は、名門スタンフォードのMBA在学中に電子ケトルの開発をスタート。卒業後の2013年、Kickstarterでの資金調達を機にFellowを創業しました。
同社のプロダクトはこれまで様々なデザイン賞を受賞していますが、開発を支える約80名のデザイナーの内、20名近くがTeslaやApple、Googleといった大手テック企業出身者なのだそう。Fellowが大手テック企業の人々を魅了する理由として、Fast Companyのこちらの記事では、「人々の毎日の幸せを彩る」というコーヒープロダクトそのものへの共感や、一人一人が任される裁量の大きさ、膨大なテクノロジーや専門知識をコーヒー器具のデザインに集約することへのやりがいなどが挙げられています。また電気自動車の開発のような10年規模のプロジェクトと比較しても、デザインから発売までのスパンが短いことも大きな魅力だそう。
Standartでも異業種からコーヒーの世界に飛び込んできた方々のお話をこれまで何度かお伝えしてきましたが、このニュースレターを読んでくれている人の中にもFellowの社員に共感できる人がいるのではないでしょうか。
気になるニュース
▷ 昨年末、東京駅にも設置されたシンガポール発のロボットバリスタELLAが、半年以内に大量生産化予定。まずはアジア諸国の駅や病院、空港、オフィスへの展開にフォーカスし、ロボットバリスタ市場のシェア拡大を目指します。
▷ 米インテル・マイアミCFが、ラテンカルチャーに根ざしたコーヒーブランドCafé Busteloと提携。スタジアム内のキオスクやVIPエリアでのコーヒー提供を行うそうです。
▷ 大手通信機メーカーのファーウェイが、上海にコーヒーチェーンの展開を計画中。また中国発のスポーツブランドLi-Ningは、直営店舗内のコーヒーショップの拡大を発表しています。
▷ グラミーアーティストのリオン・ブリッジズが新曲「Summer Moon」をリリース。そのインスピレーションの源泉は、パンデミック中に友人と通ったコーヒーショップSummer Moonとのこと。
▷ 南フロリダ大学の研究によると、コーヒー(カフェイン入り)を飲んだあとは、衝動買いをしやすく、しかも”非”必需品においてその傾向が見られるとのこと。買い物はコーヒーの前に済ませましょう。
物足りないあなたへ
一部の中国製スマートコーヒーマシンを介して、密かに消費者情報を収集している可能性が浮上。シンガポール発、抽出条件をカスタマイズ可能なカプセル式コーヒーメーカーMornjngがシリーズAラウンドで約6.7億円の資金調達。Go Fund Beansが期間限定のサマーブッククラブを企画中です。
What We're Drinking
今週のコーヒー
ISHIBASHI COFFEE 北海道(地図)
ISHIBASHI COFFEEは、北海道・苫小牧市で今年2月にオープンしたコーヒーショップです。シングルオリジンコーヒーの持つユニークな個性や果実感を表現し、酸味を甘さで包み込む味わいを意識して日々焙煎しています。店内ではジャズを中心としたお気に入りのミュージックを流しています。
生産者: セルバンド・ラミレス・モントーヤ
生産地域:ホンジュラス インティブカ県マサグアラ、ポッソネグロ村 (地図)
品種:レンピラ
精製方法:ウォッシュト
テイスティングノート: メロンやパパイヤのようなエキゾチックで透明感のある甘さ、ピンクグレープフルーツを思わせるジューシーな酸の質感
編集長のコメント:
とても久しぶりに飲んだレンピラ種でした。(Timor Hybrid 832/1種とCaturra種の交配種なんだとか。)以前飲んだ時の細かい記憶はなかったのですが、今回飲ませてもらったのは標高の結構高い場所で作られたのでしょうか、鮮やかで綺麗な酸が印象的でした。挽いた豆からは濃厚なアロマが詰まった香りがムワムワと立ち上っていて、これは美味しそうだとはやる気持ちを抑えながらお湯を注ぎます。準備ができて口に含んだ一口目からは、弾けるような果実感。一瞬柑橘かなと思いきや、メローな味わいが口全体を支配します。梨のようなみずみずしさもあれば、メロンのようなゆったりと広がるフレーバーも。温度が下がってくると、ジューシーな味わいの伸びがあり、ぎゅぎゅーんと喉元あたりから体に美味しいエキスが染み渡っていくのがわかるよう。常温まで冷めたコーヒーを飲んだとき、広い草原を駆け抜けるような気持ちよさを感じました。透き通るようなクリーンさととうもろこしのような甘さを感じる、とにかく心地いいコーヒーでした。やっぱり、ウォッシュトいいなぁ。ごちそうさまでした!
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
カチャ・ゴリャット ウェブサイト|Instagram
プロフィール:
現代写真・ドキュメンタリー写真の分野で活動する彼女の作品は、鑑賞者を彼女自身の中に存在する世界や、日常の向こう側にある世界へと導く。後者では、社会の変化や伝統的な規範からの逃避によって人生が形づくられた人々の物語を伝える。彼女にとってのカメラとは、感情や意識をイメージに変換してくれる魔法の機械である。スロベニア、リュブリャナ在住。
最新の掲載記事:
Standart Japan 第20号 「リュブリャナ」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『Interstellar Black Space』 ブランドン・コールマン
LAビートシーンを牽引するレーベルBrainfeederから先月リリースされた、ブランドン・コールマン2作目となるアルバム。同レーベルの主宰者でもあるフライングロータスやグラミー賞にも輝いた技巧派ベーシスト、サンダーキャットとの共演、さらにはカマシ・ワシントンのバンドにおける活躍でも知られるコールマンの今作は、ファンク、ジャズ、フュージョン、R&Bなどの多彩な音楽の要素が渾然一体となったスペース感たっぷりの仕上がり。宇宙を舞台にしたRPGのオープニング音楽にも、SF映画の挿入曲にも感じられる「Lucid Dreaming」から、ハービー・ハンコックの『Future Shock』を彷彿とさせる「On the One」の跳ねるビート、冒頭のドラムフィルからのこぼれ出すようなキーボードやカマシ・ワシントンのサックスとコールマンの掛け合いに思わず体が動いてしまう「We Change - Part I」と、冒頭から彼の壮大な音楽世界をみせつけられ、ながら聞きをする余裕はありません。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
阿部 展和 aka. TEN
NITO Coffee&Craft Beerのオーナーバリスタ兼ロースター。大阪梅田の端っこで、コーヒーとクラフトビールのお店をやっています。「昼からビール、夜までコーヒー」をコンセプトに、日本各地のロースター様のコーヒーと世界各国のビールであなたを楽しくします。
5 questions
今気になっている問いは?
「どうすればよい人材と巡り合うのか。」
オープンしてから足掛け4年、今までのスタッフほとんどが縁故採用です。事業の新たな展開も見据え、新しい風を吹かせたいところです。我こそはと思う方、「STANDARTを見た」とご連絡お待ちしております。
お気に入りの場所は?
「家業だった喫茶店のカウンター」
幼稚園の頃から、家に帰らずお店で過ごすのが日課でした。カウンターから次々と運ばれていくドリンクや食事たち、作業風景を眺めるのが楽しかった。今の仕事に就いたのも、その時の体験があったからかもしれません。もうほとんど覚えてないんですけどね。笑
譲れないこだわりは?
お米は絶対残しません。
親父にめっちゃ怒られます。
今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?
祖父と飲みたいです。
自分は会ったことがないのですが、50代で亡くなるまでに、7度も結婚したそう。その間、同じ方と2度結婚したという経験値高めの祖父です。最終的には財産全部持って行かれたそうです。笑
自分はまだ独身ですが、結婚と人生について話を聞いてみたいですね。
最近のやらかしエピソードを教えてください
最近ではないのですが、この場を借りて伝えたいことが……。
アメリカ行きの航空券、宿泊の手配が完了してからパスポート紛失、気づいたのが渡航5日前の深夜。かなりのどん底でしたが、3日間で仕上げてくれたパスポートセンターの山田さん(仮)ありがとうございます!! この記事読んでくれてることを切に願います。
Fancy a refill?
編集後記
画像生成AIについて最近ちょこちょこ情報を追っていて、今週とあるツールにアクセスできるようになったので、いろいろといじくっていました。先日コスモポリタンの表紙に画像が採用されて話題になったDALL-E 2をはじめ、最近の画像生成AIツールの基本的な仕組みは、フレーズを自然言語(主に英語)で入力するとそれにマッチする画像が自動で生成されるというもの。
例えば「18世紀のコーヒーハウスでコーヒーを飲む4匹の猫」というプロンプトを与えるとこんな画像が生成されました。
「ウェス・アンダーソンっぽいカフェのテラスに正装した人々が集う様子」だとこんな感じに。
単純にそれっぽくてすごい、という新しいおもちゃに触れたときのような感動を覚えつつも、特に人間が絡む画像に見られる一定の傾向にはモヤっとするところも。
というのも、画像生成AIも他ジャンルのAI同様、現存する情報を使ってトレーニングするため、そこには人間のバイアスの集積が反映されます。画像を注意深く見ていると、ふと、「深淵をのぞくとき……」というニーチェの言葉が思い浮かんできました。
Atsushi
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第20号スポンサーのFAEMA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、TYPICA、Probat、セラード珈琲、MiiRのサポートでお届けしました。
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Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)