おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
最近、ちょっとハマっているのがコーヒーショップのサウンド。仕事中に流していると、結構集中できます。昔から音楽を聴きながら仕事をすることが多かったのですが、特に集中したい作業の時は逆に音楽が鬱陶しくなって無音で作業することも。ただコーヒーショップのサウンドに関しては何故か気にならず、仕事もはかどるので気に入ってます。
コーヒーショップの環境音のような多少の雑音をホワイトノイズと呼ぶそうです。2010年のストックホルム大学の実験結果によると、ホワイトノイズを流すことで普段注意力が散漫な子どもの学習効果が上がったという報告があります。(逆に普段から集中力がある子どもには逆効果だったとか) 個人差はあると思いますが、仕事や勉強をするときに良ければ試してみてください。コーヒーラバーならきっとみんな好きなはず!
今週のStandart Japanは、先週に引き続き次号のリリースの準備と、次次号の制作に取り組んでいました。GW明けごろには次号のリリースとなりますが、現在の最新号であるStandart Japan (19号)の在庫が残り50冊を切っています。GW中は発送がお休みとなるので、休暇中に本でも読もうかなと思っている方、良ければぜひ。
それでは今週も良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
モノポリーの危険性
先日ウガンダの財務省とコーヒー企業Uganda Vinci Coffee Company Ltd. (UVCC) の間で結ばれた”ある協定”が波紋を呼んでいます。Bloombergの記事によると、協定ではUVCCが今後ウガンダ産コーヒーを最優先で買い付けられるよう定められており、他の企業はUVCCが必要な分量を買い取った後でしか取引に参加できなくなくなるようです。さらにUVCCには免税措置がとられ、コーヒー価格の決定権さえ与えられるとのこと。UVCCによる国内のコーヒー市場独占への懸念から、一部議員や現地エクスポーターの間で協定撤廃を求める声が高まっています。
現在UVCCは、100億円規模の国内最初のコーヒー加工工場建設を予定しており、これはウガンダ政府が掲げる、2030年までに年間輸出量2000万袋を達成するという野心的な目標の中核を担うと見られています。なお政府は同協定への批判に対し、UVCCの購入量はウガンダのコーヒー生産量の6.5%に満たないことから市場独占の可能性を否定しています。また加工工場の建設によって雇用が創出されると主張していますが、突然の発表に地元コーヒー関係者の間では不安が広がっています。
ウガンダは今年二月に国際コーヒー協定 (ICA) を脱退したことも記憶に新しく、今回の協定とICA脱退の関連性も疑われます。今後引き続きウォッチしていく必要がありそうです。
その他の気になるニュース
▷ ウクライナサポートプログラム「THE GLOBAL COFFEE CALIBRATION」が4/29に開催予定。当日提供されるコーヒークラスは全て10ポンド(1700円)で受講可能で、収益はすべてSCAウクライナにおくられます。
▷ 昨年米国で人気を博した「ギネス・コールドブリュー・コーヒービール」が、今月より英国でも発売開始。今年度内にはヨーロッパ、アジア各地域への展開が計画されています。
▷ 米・ヒューストンでコーヒーシンポジウム「the Color of Coffee Collective Symposium 」が開催予定。BIPOC (黒人、先住民、有色人種)コミュニティの視点から見えるコーヒー業界に焦点をあてたこのイベントでは、業界著名人らによるパネルディスカッションのほかCxffeeblackが手がけたドキュメンタリーの上映も予定されています。
▷ アロマディフューザーならぬコーヒーディフューザーがKickstarter上で資金調達に成功。コーヒー豆やオイルは付属品以外も使用可能のため、お気に入りの組み合わせを探ってみるのも楽しそうです。
▷ 東京・高円寺の「原稿執筆カフェ」が大人気。原稿執筆を目的とした人のみが利用可能で、入店時に記入した「提出目標」を達成するまで退店できない仕組み。Standartのメンバーも追い込み期にぜひお邪魔したい……!
物足りないあなたへ
米・ボストンでSCA主催のコーヒーエキスポ(SCE)が4月7〜10日に開催され、新製品が多数お披露目されました。インドネシアの協同組合・中小企業省は、同国のコーヒービジネス6社のSCE参加を支援。Go fund BeanとGlitter Catは、SCEでヘトヘトになったボストン在住のバリスタのために、食事を無料で提供しました。
What We're Drinking
今週のコーヒー
COFFEE LONG SEASON 大阪(地図)
大阪市内、下町の情緒が残る西田辺に今年誕生したコーヒーショップ。40年以上続いた喫茶店の跡地を再利用した落ち着きのある店内と大きな窓が特徴。浅煎りから深煎りとコーヒー豆の個性を活かしたプロファイルを意識した焙煎で幅広い銘柄を取り扱う。コーヒーの持つマジックな魅惑の感覚体験をお届けします。店内でもお飲みいただくことも可能ですので、大阪に来られた際はぜひお立ち寄りください。
生産地域:ホンジュラス ラパス県カバーニャス(地図)
品種:カトゥアイ、IHCAFE 90、パカス
精製方法:ナチュラル
テイスティングノート: キウイやバナナのトロピカルな味わいからメロンの芳醇な果実味が広がり、後口のラムのようなアルコール感が一層余韻を引き立てます。スペシャルティコーヒーのもたらす味覚体験に驚いた懐かしい記憶を呼び起こさせます。
編集長のコメント:
封を切った袋からは苺ジャムのような濃厚な香りが立ち上ります。その特有の香りからナチュラルだと確信し、封を開けたばかりの袋から香るコーヒーってなんでこんなに美味しそうな匂いなんだろうと考えながら、去年の夏ぶり(#51)のホンジュラスのナチュラルに胸が高鳴ります。カッピングスプーンの中でゆらめく液体を啜ると、柔らかに広がったと思うと、一気にぎゅーっと身体中の毛細血管を通って体に染み込んでいくような果実感。濃厚なブルーベリーや巨峰の果肉から滴る果汁を感じました。たまらず2口、3口と続けて飲むと、味わいはゆらゆらと移ろいミックスジュースのような複雑さを感じた後、マンゴーの後味で喉奥に流れていきます。鼻腔にはブルーベリーマフィンの香りが抜けていき、口に残ったのは濃厚なガトーショコラを食べた後のような感じ。「ふぅ」と一息つきながら、満たされた感覚の余韻にどこまでも浸っていたいと思うのでした。ごちそうさまでした!
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
三浦 咲恵 ウェブサイト|Instagram
プロフィール:
大分県出身。サンフランシスコにて写真を学んだ後、東京でのアシスタント経験を経てフリーランスへ。18年に写真展“Apple Ball”を開催、同名の写真集も発売。19年オランダ・アムステルダムへ居を移し、21年に帰国。20年よりイタリア・ローマの写真コンペPasse Partout Prizeの審査員も担う。好きなものはコーヒーとパン。
最新の掲載記事:
Standart Japan 第18号 「Meet Your Guest - Kai Sawyer」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『山學ノオト②』青木真兵・海青子
奈良県東吉野村にある人文系私設図書館「Lucha Libro(ルチャ・リブロ)」を運営する著者らの日記帳。本書は『山學ノオト』(2020年刊行)に引き続き、自宅を図書館として解放するお二人の2020年の記録と書き下ろしエッセイが収録された一冊です。先日Readin' Writin' BOOKSTOREを訪れた際に購入しました。(ちなみに4/23 (土)はReadin' Writin' BOOKSTOREの5周年!おめでとうございます!)
本書の中で特に印象に残ったのは、著者の一人真兵さんが述べる「二つの原理」を想定する重要性についてです。この点を、現職の一つである社会福祉法人での障がい者の就労支援を例に説明しています。
真兵さん曰く、就労移行支援においては、「福祉期」と「就労期」の二つの原理が必要であるとのこと。はじめに、その人の存在が仕事の成功・失敗にかかわらず絶対的に認められる「福祉期」を通じて、心身の安定と社会関係の中での心理的安全性を確保する。その次の段階として、自らの労働力によって社会と繋がる方法を模索する「就労期」に移行できると述べられています。
「健常者」と呼ばれる人々は、ここで言う「就労期」だけを過ごすことが多いため、仕事の成否が自分の存在価値と直結してしまう。真兵さんは、ルチャ・リブロという何度だって失敗できる(=福祉期的な)活動があるからこそ、法人職員の戦力として働くことができると言います。常に二つの原理を生活の中に確保し、それらを混ぜ合わせ、「行ったり来たり」する状態。これこそ現代の渡世人であると説かれているのです (真兵さんは『男はつらいよ』の大ファン)。
公と私、都市と村だけでなく、常にその間にある連続性に目を向け、二つの原理を「行ったり来たり」すること。改めて、答えではなく、常に問いを求める生き方を大切にしたいと思いました。是非機会を作り、奈良県東吉野村を訪れたいと思います。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
西谷 里歩
4年前大学生のときに、日曜日だけ営業する「ナナブンノ珈琲」を始めました。ナナブンノは1週間のという意味で、いつか毎日できたら良いなと思い始めました。その後、映像制作会社に就職し、会社員をしながら夫とふたりで週末限定の間借りコーヒースタンド「トーコーヒー」オープンしました。2021年に夢だったお店を徳島市に構え、現在は息子を育てながら、ナナブンノとしてイベント出店をしています。
5 questions
今気になっている問いは?
「通いたくなるお店とは?」
最近、お店がたくさんオープンしていて、改めて常連さんのありがたさを感じることが増えました。毎週、顔を出してくれる方、帰省のたびに遊びに来てくれる方、頻度はバラバラだけど、なぜお店に通ってくれるのか。おいしいコーヒーがあるのはもちろんだけれど、それだけじゃないような気がして。店主の人柄やお店の雰囲気、ほかにもいろんな要素が合わさって通うお店になるんだろうなと思いますが、お客さまにとって通いたくなるお店ってなんだろうなと最近よく考えています。
お気に入りの場所は?
「昔からある喫茶店」
わたしがコーヒーを飲めるようになったきっかけが、昔からある喫茶店の浅煎りコーヒーでした。その喫茶店はサードウェーブが来るずっと前から浅煎りコーヒーを出していたそう。マスターとはお店ではないところで出会い、この人のコーヒーなら飲めると思ったのがきっかけで、お店にお邪魔しました。初めて飲んだ浅煎りコーヒーに感動し、そこからコーヒーに関わるようになり、今でもずっと通っています。
きっとお気に入りなのは、マスターがいること、そしていつも変わらないおいしいコーヒーがあるからだと思っています。また、赤ちゃんがいても迎え入れてくれる優しさもわたしにとってお気に入りのポイントです。
もちろん、自分のお店もお気に入りです。お気に入りというより安心する場所かもしれませんが、夫がお店でコーヒーを淹れていて、見慣れたお客さまに会うとほっとします。育休中、夫が大切にしてくれていたお店に、家族3人で立つのが今の楽しみで、息子にとってお気に入りの場所になればいいなと思っています。
譲れないこだわりは?
「靴と靴下の組み合わせ 」
素敵な靴を履いていると、良いところに連れて行ってくれる。そんな話を聞いてから、靴と靴下の組み合わせ方は、1日を楽しく過ごすためにこだわっています。組み合わせを間違った時はテンションが上がらず、出先で靴下を買うことも(笑) 今のお気に入りは、自分の足に合わせてつくってもらったTストラップの革靴に、リブのクリーム色の靴下を合わせることです。春らしい足元になり気分ルンルンで、息子とお散歩に出かけています。
今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?
「中高の同級生」
お店をしたいと思ったきっかけは6年間一緒に過ごした同級生が県外へ進学、就職したことでした。私は25年間ずっと徳島なのですが、友人は県外へ。そんなときに帰ってくる場所をつくりたいと思い、いつかお店をしたいと思っていました。昨年、お店をオープンしたのですがコロナ禍のため実現せず、今年こそはその友人と一緒にお店でコーヒーを飲みたいです!
最近、何に感動した?
「息子のできることが増えたこと」
9か月になった息子。少し前にハイハイができるようになりました。自分が行きたいところに行って好きなおもちゃで遊んでみたり、パパに遊んでほしいから突進したり。
最近は拍手やバイバイ、ハイタッチがマイブームで、意思疎通ができるようになってきてると嬉しく思います。完全なる親バカですが、まだ9か月だけど成長したなぁと日々感動しています。
Fancy a refill?
編集後記
初めまして!(?) the Weekend Brewの執筆を担当してるTakayaです🙋 皆さん週末いかがお過ごしでしょうか? 今週もニュースレター楽しんでいただけてたら嬉しいです☺️
先日Single O Hamachoで開催されたテイスティングイベント「La Esperanza Taste Journey」に参加しました。Single O Japanが2月から提供しているLa Esperanza農園の6ロット全てを飲み比べするという非常に贅沢なイベント。今回はゲーム要素としてブラインドで6種類をテイスティングし、品種毎のフレーバーの違いを楽しみました。Single O Japan代表の山本さんのお話や参加者の方々のコメントなど、勉強になることばかり。そして何よりコーヒーが本当においしかった〜。その他イベントの詳細は、Cafesnapさんの投稿にもまとめられているので、こちらも是非チェックを。
Single O Japanのオンラインストアでは、La Esperanza農園のコーヒーがまだいくつか購入できるほか、本日Single O Hamachi Cafeでは限定数でタップインでの提供も行われているそうです(ハンドドリップ/豆の購入の場合は常時可能とのこと)。
ご都合の合う方は是非足を運んでみては🙋
Takaya
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第18号スポンサーのブルーマチックジャパン、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、The Roast Expert by Panasonic、FAEMA x DKSHのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)