#10: フォースウェーブはアクセシビリティ

#10: フォースウェーブはアクセシビリティ

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

コーヒー業界における、(個人的な)夏の終わりの風物詩と言えば、東京ビッグサイトで毎年開催されている展示会 SCAJ。⽇本全国&世界各国からコーヒー関係者が集まるコーヒーに特化したイベントで、3日間の開催期間を通じてコーヒー業界の今を見て感じることができます。去年はちょうど今頃に開催されていました。

このSCAJで2018年よりスタートした、全国の小中規模のロースターやコーヒー関連ビジネスを集める「Coffee Village」という企画に、立ち上げからディレクションとして関わらせていただいていたこともあり、過去2年間この時期はとても濃厚な時間を過ごすことができていました。また、いつもSCAJ期間の前後で様々なイベントが開催され、普段なかなか話ができない人たちとコミュニケーションが取れるのも、SCAJの魅力です。今年は残念ながらCOVID-19の影響でキャンセルとなりましたが、来年は盛大に開催されていることを願っています。

海外でも同様に展示会やイベントが軒並みキャンセルとなっていますが、そんな中SCAがオンライン上で新しい製品やインスピレーションとなるデザインをまとめるプラットフォームをスタートしました。New in CoffeeDesign in Coffee、どちらも見ているだけで面白いですし、コーヒー業界のトレンドなども感じることができるのでおすすめです。

今週のStandart Japanは、先週に引き続き制作業務に集中していました。記事の文章と写真やイラストなどのビジュアル素材の準備ができると組版という作業に入るのですが、その前に校正や見直しをしながら一つ一つの記事を何度も読み込みます。このときの記事の印象と、一冊の雑誌に編集されたものを読むときに受ける印象とでは、感じ方が変わることもあるので、全体のフローやリズムを意識しながら記事と向き合うのが大事です。組版の話はまた今度にでも。

Toshi & Atsushi

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

コーヒーから考えるインクルーシブな社会

日本サステイナブルコーヒー協会がNPO法人勇気の翼インクルージョンと共同で、2021年5月12日に第1回 CHALLENGE COFFEE BARISTA 大会を開催します。カフェ業務に従事している障がいのある方たちを対象としているこの大会の目的は、インクルーシブな社会を作っていくこと。障がい者たちの技術向上と雇用の創造を目指し、コーヒーを媒体にして多くの人が彼らと触れあうことで、誰もが大切な存在であることを再認識することができる素晴らしい企画です。

カリフォルニアで2018年にスタートしたGlitter Catも、コーヒー業界をよりインクルーシブにしようと活動しているNPO団体。この業界で周縁化(marginalised)されてしまっている人々に(BIPOC、LGBTQIA+、女性、障がい者など)、コーヒーの大会に出場するための無料のトーレニングを提供しています。Glitter Catはこの秋に、彼らが支援しているコミュニティに向けたオンラインのコーヒーコンペティション「DiGiTiTiON」を開催する予定です。

様々な企業がこれらの団体や大会をサポートしているのも、コーヒー業界全体が共通の問題意識を持ち、支援の輪を広げたいと努力をしているからなのかもしれません。こういった大会や情報発信を通じて、社会の課題や問題などを意識するきっかけになりそうです。

 

透明性が信頼の第一歩

先月、Blue Bottle Coffeeが同社の米国店舗で働く従業員全体のInternal Demographics Report(人口統計の社内報告)を公開しました。アメリカ国内で働くすべてのブルーボトラーたちに送られた手紙には、冒頭に同社の新しいチャプターがスタートすると述べられています。従業員をよりサポートしやすい環境を作るために、同社はまずは2つのことに取り組んでいくそうです。

1. 社内のさまざまな役職や職種に関して、人種や性別の割合の現状がわかるデータを公開
2. 会社として(社会としても)、どうやって今の環境が作られているのかを理解するために、構造的な抑圧の歴史や白人至上主義などについて4週間かけて学習するカリキュラムを作成・実施

この情報へのアクセスや学習機会の提供は、あくまで最初の一歩だと強調するBlue Bottle Coffee。社会の動きに迅速に対応し、新しいスタンダードを作っていく姿は、コーヒー業界の模範として多方面から熱い視線が注がれています。

 

その他の気になるニュース

▷ 生豆のインポーター Nordic Approachが生産国別の透明性レポートを公開しています。初回のルワンダに続き、ペルーを先日公開。生産国のバリュー・チェーンの説明や同社の仕入れ価格などが掲載されています。

▷ 京都にある珈琲焙煎所 旅の音が、keiei(経営)のオンライン学校を開校。現役の経営者から、今のコーヒーシーンやコーヒービジネスの多くを学べるチャンスです


▷ より安定したコーヒー業界を作っていくためには、なぜ生産国でのコーヒー消費量を増加させることが重要になってくるのでしょうか。またその方法は? スペシャルティコーヒーだけが正解というわけでもないようです。

▷ 世界12都市にて12時間ノンストップのオンラインコーヒーイベントGlobal Coffee Festivalが、10月30日に同時開催されます。素晴らしいラインナップのコンテンツにも関わらず、チケットは無料。スポンサーの方々に大きな感謝を。

▷ カフェやコーヒーショップ向けにオンラインの在庫管理プログラムを開発するOdekoと、消費者向けのモバイルオーダーアプリを開発するCloosivが合併。1200万ドル(約12億円)の資金を調達しており、小中規模の飲食事業のための新たなエコシステムを構築するプラットフォームが誕生します

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

darestore
宮城

仙台市青葉区にあるスペシャルティコーヒーを取り扱うロースターカフェ。キッチンも併設し、とにかく美味しくコーヒーに合う焼き菓子やホットサンドが楽しめる。

生産者:
約850の小規模生産者 (Testi West Arsi Washing Station)

生産地域:
エチオピア オロミア州 Nensebo地区 Werka村(地図


品種:
Heirloom

精製方法:
ナチュラル

テイスティングノート:
フレッシュストロベリー、ダークチョコレート、マンゴー。ベリーの爽やかさやチョコレートの滑らかさを感じられる味わい。トロピカルフルーツのような甘い後味を楽しめるコーヒーです。

編集長のコメント:
いい意味で予想を裏切られました。想像していたフルーツ感たっぷりのエチオピアっぽさよりは、デーツのような濃厚な甘さがあり、熟成感のある果実味がどっしりとした印象を与えてくれます。少し温度が下がってくると、紹興酒のような味わいもあって、スイーツとのペアリングや、夜にゆっくり飲みたいコーヒー。


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

アップロード 〜デジタルなあの世へようこそ〜 - Greg Daniels
トレーラー視聴

仮想現実に意識をアップロードすることで死後も“余生”を楽しめることになった2033年が舞台のSFコメディドラマ。事故に遭い若くして“アップロード”された主人公ネイサンと、仮想現実のバーチャル空間を死者に提供する会社でカスタマーサポートとして働くノラの物語がコミカルに描かれています。一見無茶な設定に思えますが、コロナの影響で画面越しに人と話す機会も増えたせいか(?)、案外すんなりと入り込めます。かなり細かい設定が笑える反面、死に対する考え方や人との繋がりをテーマとしたこの作品、自分の死生観を考えるきっかけになるかもしれません。— Toshi 
 



Delayed Gratification - The Slow Journalism Compan
ウェブサイト

20110年からスタートしたインディペンデント雑誌。スロージャーナリズムをコンセプトにStandart同様、三ヶ月毎に世界のニュースを振り返り読み解きます。センセーショナルな情報をできるだけスピーディーに届けることで利益を上げようと考えるメディアの力が強まる中、情報の受け手である我々も、世界で起こる出来事の複雑な背景を知るよりも、すぐに答えを示してくれるコンテンツを求めがちです。何度か報道されたニュースは、しばらくすると忘れ去られてしまい、その後どうなったかは気に留めないことも多いですよね。そんな今だからこそ、社会にとって価値のある情報が何かを吟味して、ニュースを掘り下げて報道するこの雑誌は貴重です。デザインやインフォグラフィックも秀逸で、Standartも参考にさせてもらっています。同誌の共同創設者であるRob Orchard氏がスロージャーナリズムについて語ったTED Talksもおすすめ。— Atsushi


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

荒居 愛

福岡、メルボルン、鎌倉でバリスタとして働き、現在は長野県で子育て&店舗のないコーヒー屋さんを運営。ナチュラルワインと癖のあるチーズにハマり中。普段は、自然の中で子どもと本気遊び、夏はサップ、冬はスキーを楽しむ。

セットアップ:
抽出器具:カリタ ウェーブドリッパー155
豆量:13g
湯量:投入量220g(抽出量180g)
挽き目:Wilfa 中挽き(Filter1より細かめ)
湯温:88度(中深煎り)
抽出時間:2:00


手順:

  1. 湯が沸いたらサーバーとカップを温める
  2. コーヒー粉をドリッパーに入れて平らにならす(サーバー内のお湯は捨てること)
  3. お湯40gを中心から粉全体に注ぎ、30秒蒸らす
  4. 2投目 お湯70g →3投目 お湯50g→ 4投目お湯60g (注ぐタイミングは、ドリッパー内お湯が凹んだら)
  5. 最後にスプーン等でステアして出来上がり

        ポイント:
        お湯を注ぐ時は10円玉サイズで「の」を描く。注ぐ際はできるだけ細くジェントルに。4投目の時は優しく中心部に注ぐ。

        一言:
        大自然の中で子育てしながら、ノマドスタイルのコーヒー屋さんをしてます。いつかはお店を持ちたいけれど。場所を問わず、好きな時にホッと一息、ゆったり楽しめるコーヒを皆さんに届けられますように中々配信できてないですがYouTubeチャンネルもあります。覗いてみてください。愛を淹れよう Brew Love!


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        今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第13号スポンサーの Daterra、パートナーのトーエイ工業Swiss WaterDepartment of Brewlogy のサポートでお届けしました。

        LOVE & COFFEE✌️
        Standart Japan