コーヒーをもっとグリーンに

コーヒーをもっとグリーンに

Standart Japan第19号のパートナーを務めてくれたカラベラコーヒーの共同創設者アレハンドロ・カデナさんにグリーンなコーヒー調達についてお話を伺いました。

世界初のカーボンニュートラル認証を受けた生豆商社になるまでの過程を教えていただけますか? どのくらいの時間がかかったのでしょう? 当初の想定と比較して実際のプロセスはいかがでしたか?

プロセス全体が学びの連続でした。カーボンニュートラルを目指す私たちの旅は、2017年に初めてカーボンフットプリントを測定したことから始まりました。それ以来毎年測定を続け、それぞれのステップで学びを得ながら、測定方法を改善するとともに、すべてのステークホルダーに対して透明性を確保するためにインパクトレポートを通じてその結果を公表していました。

最大の問題は、私たちの力だけではゴールを達成できないことです。

2017年と2018年はウェブサービスを使い、自分たちでカーボンフットプリントを測定してみました。すると何を測定しなければいけないかや全体像は理解できたんですが、もっと正確かつ包括的な測定方法を採用しなければならないということがすぐに分かり、以後はその改善に努めました。そして2020年にOne Carbon Worldの力を借りてようやく私たちの事業全体のカーボンフットプリントを測定することができ、晴れてカーボンニュートラルを達成すると同時に、国際的な生豆商社としては初めてカーボンニュートラル認証を取得できました。



旅の始まりから5年が経った今、農園から焙煎所まで、サプライチェーンの各段階におけるフットプリントをより正確に把握できるようになり、排出量の削減も実現しました。カーボンフットプリントを継続的に測定することで、私たちが注力しなければならないエリアが明らかになったのがその大きな要因です。そしてそれぞれの問題点に合った解決策を講じることで、全体としての効率も向上しました。

サステナビリティは、20年以上にわたって私たちのビジネスモデルに不可欠なものです。企業として進化していく中で、地球を含むすべてのステークホルダーに対してプラスの影響を与え、コーヒー業界を、そしてコーヒーをより良いものにしていくことが私たちにとっては最も重要なのです。

「2025年までにカラベラが購入するすべてのコーヒーをカーボンニュートラルにする」という目標を達成するうえで、最大の問題は何だとお考えですか?

他の企業と提携し、カーボンフットプリントを詳細に計測したところ、私たちの企業としての原動力であるコーヒー豆の生産自体が、フットプリント全体の約95%を占める最大の排出源であることに気づかされました。

この気づきから多くの疑問が生まれましたが、それと同時に、事業のサステナビリティについての視野が広がりました。そこで2025年までに完全なカーボンニュートラルを実現するという目標に向かって、どの分野に注力すべきかを見極めるため、2020年に私たちは全世界のオペレーションの測定方法を改善しつつ、中南米の農園ネットワークにおけるカーボンフットプリントを測定するという困難な作業を開始しました。その結果、ようやく自分たちにとっての目標やゴールを設定することができました。以前は具体的な目標がなかったのですが、現状を正確に把握することで、具体的な削減計画や目標を立てることができたのです。これは全社的な意識改革にもつながっています。



最大の問題は、私たちの力だけではゴールを達成できないことです。パートナー農家やパートナーロースターのサポートがなければ完全なカーボンニュートラルは実現できません。これは巨大なプロジェクトであり、必要資金も決して少なくはありません。逆に言えば、業界内のさまざまな人たちが関わり合いながら、コーヒーをより良く、より環境に優しいものにできるチャンスでもあります。だからまずはそれぞれの組織が小さな行動から始め、他の組織の例を参考にしたり、その道のプロと提携したりしてフットプリントを測定し、自分たちのコーヒーの環境への影響を把握することが大切だと考えています。



カーボンニュートラルに向けて、パートナー生産者とはどのようなことに取り組んでいるのですか?

2025年までにサプライチェーンを完全にカーボンニュートラルにするという目標を達成するためには、まず農園レベルから始め、スペシャルティコーヒーの生産が環境に与える影響を理解・評価する必要がありました。カーボンフットプリントを通じて農場で発生する温室効果ガスを定量化することは、コーヒー農家がそれぞれの目標に向けて必要なアクションを確立するための第一歩となります。

「企業として成長していく中で、地球を含むすべてのステークホルダーに対してプラスの影響を与え、コーヒー業界を、そしてコーヒーをより良いものにしていくことが私たちにとっては最も重要なのです」

今年、私たちはCool Farm Toolを使って、現在コーヒーを調達している約1000軒のコーヒー農園のカーボンフットプリントを測定しました。そこから温室効果ガスの排出量の多い箇所を特定し、以下の活動に取り組み始めました。

  • 肥料の効率的な使用
  • ウェットミルにおける水や排水の効率的な利用
  • コーヒーパルプの処理・管理方法の改善
  • 生垣、シェードツリー、生態系管理、土壌保全のための自生樹木の植樹

生産者によるカーボンフットプリントの測定や改善点の把握を促進することは、業界全体がよりサステナブルなサプライチェーンを構築するための重要な鍵となります。予防、削減、軽減のすべてが地球を守ることにつながるのです。

このインタビューは、Standart Japan第19号のパートナー、カラヴェラコーヒーの提供でお届けしました。