#19: Stay with You

#19: Stay with You

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週はじめにStandart Japan 第14号のプレオーダーをスタートしました。前号からデザインとコンテンツを一新したStandart Japanは、今号もコーヒーにまつわるチャレンジングなテーマを扱いながら、冒険心溢れるアーティストと協業し、表紙から裏表紙までコーヒージャーナリズム満載でお届けします。

今号のキーワードは「宇宙」「虹」「コーヒー」。生まれ育った故郷や長年築いたキャリアを離れ、コーヒーの世界に飛び込んだ人たちはどのように自分の居場所を築いていったのか。カラフルなコーヒーの世界を構成するのはどんな人たちなのか。「リモート疲れ」でグレーな気持ちになっているあなたにも、ポジティブかつカラフルな未来を描けるようなストーリーをお届けします。第14号には、カリフォルニア州サンタクルーズ発Verve Coffee Roastersのブレンド豆がついてきますよ!

今月下旬に雑誌とコーヒー豆が日本に届き次第、発送を開始しますのでお楽しみに🙌 より詳しい内容はこちらのブログから。

そして最後に、最新号のデザインを覗き見👀

編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

思考のナチュラルプロセス

コロンビア企業のMuchachaが販売開始したブレンドコーヒーInés。その特徴はサプライチェーンの全工程がすべて女性によって管理されているということ。「社会の偏った見方や要求によって女性が活躍することが難しい」と述べる創設者のDiana Hoyosさんは現在、ブロックチェーン技術を用いてコーヒー産業の透明性向上を図るiFincaの新規事業コーディネーターも兼任中。そこでの経験が、輸入・輸出業者を含むサプライチェーン全体の女性の機会創出と、「顔の見える」関係性構築を徹底する現在のMuchachaのビジョンへと繋がっています。今後同社のウェブサイトでは、誰もが各商品の「コーヒージャーニー」を確認できるよう、それぞれの工程に携わった人たちの情報や掲載されることになるそう。
 
Hoyosさんの活動は、テニス界のスター選手Venus Williamsさんが自身のSNSに投稿した「性差別が女性だけの問題でないように、人種差別は黒人だけの問題ではない」という言葉を彷彿させます。いくら当事者が声をあげても、マジョリティの立場にある人たちが意識の向け先を変えてその声を聞き、行動を変えなければ意味のある変化は起きません。Inésのような商品には、そのきっかけとなる可能性が秘められています。

スペシャルティコーヒー業界を全ての人とってインクルーシブで素敵な環境にするためにも、一人一人が無意識(ナチュラル)な思考プロセスに潜むリスクに目を向ける必要があるのではないでしょうか。

 

コーヒー・バチェロレッテ

最近の少し肌寒い秋日和には、ついついテラス席でミルクの入った温かいラテを飲みたくなります。ラテは世界中の人々から絶大な支持を集めており、2019年には米国で一億杯以上も販売されるほど。そんなコーヒーの絶対的パートナーとも言える「ミルク」ですが、環境への配慮から最近は植物性ミルクを選択する人々も増えています。

しかし一口に植物性ミルクと言っても、その種類はさまざま。ここで浮かぶ疑問が「植物性ミルクの中でも最も環境負荷が少ない選択とはなにか」ということです。動物性ミルクと比較し植物性ミルクの環境負荷はどれも少ない一方、米国のアーモンドミルク生産のように農薬を使った大規模栽培は、受粉を行うミツバチたちの生命を奪い、生態系の破壊を引き起こす可能性もあります。またソイや近年人気のオーツミルクは環境面で高いパフォーマンスを発揮する一方、原料となるオーツ麦のその大半が家畜の飼料用として大規模栽培されている背景から、土壌肥沃度の枯渇や生態系の単一化を引き起こすリスクも孕んでいます。
 
結論として「最も環境負荷が少ない選択」への回答は、動物性ミルクの消費を減らすことを前提に、オーガニックの植物性ミルクを「複数」選択すること、となるようです。なぜなら市場の消費が一定の商品に偏ることは、その後の大量生産における土地の枯渇や農薬の使用を示唆するからです。コーヒー・バチェロレッテの場合、選ぶ「お相手」は一人であってはいけないようです。

 

その他の気になるニュース

▷ 周囲の雑音が少ないほど、コーヒーを深く味わえることを示唆する研究結果が発表されました。大きな音には特にアロマと苦味の強度を弱める作用があるようです。

▷ 中米各国に甚大な被害をもたらしたハリケーン「エタ」。洪水や土砂崩れが各地で発生し、今期だけでなく来期以降生産にも大きな影響がおよぶ可能性があります。

▷ 京都のColon Coffee Roastersがアジアのパッケージデザイン賞を受賞。商品名でもある、パッケージに記載された数字(900、1230等)は、飲む時間とシチュエーションを表現しているそう。

▷ 米大統領選挙前夜、Googleで”Coffee”の検索件数が過去最高を記録。また同日にはピザやアルコール類、マリファナの売り上げも急増しました。これぞアメリカ版「〜がなきゃやってられない」。

▷ 南アフリカ産のコーヒーリカーHeart of Darkness。こちらのインタビューでは生産者のAndrew Rallさんが同製品が誕生した背景やコーヒーとクラフト蒸留酒の類似点などについて語っています。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー


AUNG COFFEE
 
東京

ミャンマー産のコーヒーを専門とする自家焙煎店。カッピングコンペティション1位の豆から上位入賞豆を中心に、19種のマイクロロットを農家から直輸入して提供している。 2018年にはミャンマーコーヒーフェスティバル(ヤンゴン)に日本のコーヒー店として初出店。2020年9月にMYANMAR COFFEE LABを東京・牛込柳町にオープンした。

生産者
クンセインシュエ
生産地域
ミャンマー シャン州パオ自治区ホーポン(地図
品種
カトゥアイ、カトゥーラ
精製方法
ナチュラル
テイスティングノート
綿あめのようにふわっと甘さがひろがり、そして完熟したハネージュメロンのようなジューシーな甘さが後をひきます。 マンゴ・ライチ・ハイビスカス・ハネージュメロン


Standartの感想:

ミャンマー産のコーヒーは過去に飲んだことがあるかあまり覚えていませんでしたが、このコーヒーは間違いなく記憶に残るインパクトがありました。中深に焙煎された豆にお湯を注ぎ、膨らんだコーヒーからぽこぽこと立ち上る空気は、まだ温かいシフォンケーキのような優しい甘さを感じます。酢酸エチルに似た香りも少し。焼き菓子っぽいバニラのようなフレーバーを感じたかと思うと、頭に浮かんだのはメロンクリームソーダ。スーッと馴染む甘さが長く口の中で続き、鼻に抜ける香りが楽しめます。ミャンマーのコーヒーってこんなにおいしいんだと驚くはず。

 


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

AKIRA - 大友 克洋
予告

学生時代に古本屋で大事に買い揃えた漫画版を誰かに借りパクされた苦い思い出が頭をよぎったものの、20年以上ぶりにふと見返してみたアニメ映画版のAKIRA。やっぱりマスターピースでした。舞台は、1982年に新型爆弾が関東地方で爆発し第三次世界大戦が勃発し、そこから復興を遂げた2019年の「ネオ東京」。かつての東京は旧市街と呼ばれ、2020年の東京オリンピック開催を前に建設ラッシュが進み混沌としている様子は、AKIRAが現実の2020年を予言していたと話題になりました。そこから超能力を持つ少年少女が出てきて……。1982年から始まった漫画が原作の映画ですが、漫画が完結する前に作られたこともありストーリーは漫画と完全一致している訳ではありません。それでもアニメで表現されたAKIRAの世界観はとにかく素晴らしく、世界的にSFアニメとして大ヒットしたのも頷けます。これが40年近く前の作品だとは到底思えませんし、アニメを変えた作品だと言われるのも頷けます。細部まで描かれた街並みもさることながら、戦いやバイク(金田ー!)で滑走するシーンの迫力を表現する圧倒的な画力にただただ感動するばかり。サントラもこれしかないというくらいの説得力で、シーンの怖さが体に伝わってくるような、なんとも不安な気持ちになる場面がありました。観終わった後に疑問も多く残る作品で、何度も見返すことになるかも。言うまでもないですが、全力でおすすめします。 - Toshi

THE GUEST CHECKS by Laundry Room Studios 
Instagramウェブサイト

アメリカでロックダウンが始まった頃に誕生した、匿名のアーティストによるプロジェクトLaundry Room Studios。最近は伝票をキャンバスに、ダイナーやカフェで聞こえてきそうなフレーズが書き殴られた作品を数多く発表しています。「Can I do the bacon extra crispy?(ベーコンは超カリカリにできる?)」や「I'm still nibbling on it(まだつまんでっから)」などクスっとくるフレーズも魅力的ですが、伝票と文字という限られた情報から、発言主の様子やそれに対する店員の反応、さらには周りの雰囲気などが自然と頭の中に広がり、何の心配もなく飲食点を訪れていた頃が想起されるなど、作品の奥行きにも面白さが隠れているように感じます。- Atsushi

 


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

森屋 恵慈
モリヤケイジ
aka けいじ

兵庫県西宮市BUNDY BEANS甲子園店ストアマネジャー。前職のエスプレッソマシン輸入会社を辞め、独立に向け2020年9月1日よりBUNDY BEANSにて修行中。 早起き、ボディメイク、動画撮影。大好きなコーヒーで1日をスタートさせ、十分にカフェインを身体に流し込んだ後のトレーニングは最高です。

セットアップ:

抽出器具:origami
豆量:15g 
湯量:220cc
挽き目:中挽き
抽出温度:91℃
抽出時間:3:00

手順:

  1. 1投目:60cc(0:00-1:00)
  2. 2投目:30cc追加(1:00-1:40)
  3. 3投目:65cc追加(1:40-2:20)
  4. 4投目:65cc追加(2:20-3:00)

ポイント:

▷ 1投目、2投目でコーヒーの成分を絞り出すようなイメージで抽出します。
▷ ペーパーは円すいのAbaca coffee filterを使用。通液性の高いペーパーフィルターで液体も一定に落ちる為、注湯の際も出来るだけ一定にじっくりと注ぐよう注意しています。

一言:

大好きなコーヒーでスタートする1日って最高ですよね。コーヒーって生活を豊かにしてくれる物だと信じています。"豊か"というのはお金じゃなく、"心"が。心が豊かになると、よりクリエイティブな発想が生まれるので、結果的にトータルで豊かになりますよね!皆さんと一緒にコーヒーを盛り上げていけたら嬉しいです!

 


今週のThe Weekend Brew はいかがでしたか?

先日たまたま、こちらのMAYAさんのツイートを見かけ、これこそ Standart や Weeked Brew を通して届けたい体験のひとつなんだよな、ととても嬉しくなりました。みなさん、今週の Weeeked Brew では何か新しい発見がありましたか?

 



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過去に配信されたニュースレターは、こちらのアーカイブページからご覧いただけます。Standart JapanのウェブサイトInstagramFacebookもぜひチェックしてみてくださいね。

今週の Weekend Brew は Standart Japan 第14号スポンサーの Victoria Arduinoトーエイ工業、パートナーの MiiR JapanBarista Hustle JapanSucafinaのサポートでお届けしました。


LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan 

(執筆・編集:Takaya & Atsushi)