#17: グローバルという常

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

10/30~31にかけて、世界12都市でオンラインコーヒーイベントGlobal Coffee Festivalが同時開催されました。日本では夕方から翌朝の時間帯だったので全部は視聴できませんでしたが、業界のフロントランナーや経営者たちの話、各都市のバーチャルコーヒーショップツアーなど、豪華メンバーと充実したコンテンツで世界のコーヒーの今を感じることができました。

Weekend Brew #10でもご紹介していたこのイベント、皆さんは参加されましたか? 「コーヒーフェスティバル」という名前ですが、どちらかというとSCAJのような展示会・カンフェレンスのオンライン版という趣。でもリアリティショーを見ているようなラフさと面白さもありました。進行もしっかりされていて、プログラムも事前に公開されていましたし、チャットを見るかぎり視聴者のエンゲージメントも高かったように思います。数千人が常時視聴しているようでした。イベントの録画が見れるので気になる方はこちらから(フリンジイベントと呼ばれる、スピンオフイベントは実は本日もまだ開催されていますよ)。

最近はこのような大きな規模のオンラインイベントも増えてきましたね。7月に開催されたRe:coシンポジウムでは、オンラインイベントを体験型にするために参加者の自宅へコーヒーキットを送付するという取り組みも行われました。こういった体験型のデジタルイベントはこれからもっと増え、アイディア次第ではもっと面白いことができそうです。他の業界の動きも参考にしていきたいですね。そしてそれと同時に、リアルな場での繋がりにより価値が生まれています。オンラインとオフライン、これまで以上にクリエイティビティが発揮できるチャンスが沢山ありそうです。

今週のStandart Japanは14号のリリース準備中。と同時に、あと2日に迫ったアメリカ大統領選挙の行方を気にしつつ、15号のコンテンツや構成などを検討し始めています! 

編集長 Toshi

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

速報の裏側

先週のWeekend Brewでも触れた通り、9月のブラジルのコーヒー輸出量は過去最高を記録し、今年のアラビカ種の生産量は歴代2位を記録しました。一見すると明るい兆しに映るこのニュース。しかし実際は2021年以降の不作を暗示する情報としても捉えられています。
 
コーヒーの隔年結果(花や果実の量の多い年と少ない年を繰り返す現象)を考慮し、2018から2019年にかけてのアラビカ種生産高の減少率を2020年の生産高に当てはめると、今年は4750万袋だった生産高が来年には約3400万袋、つまり約3割減少するだろうというのがベースとなる予測。
 
そして2021年は気候変動による高温少雨な気候の影響から、さらなる生産の落ち込みが予想されています。ブラジルのコーヒー生産のサイクルは花芽ができる2〜6月に始まるため、2021年度の生産サイクルは今年の前半には始まっていました。しかし気温上昇が受粉を、雨量の減少が成長を妨げたことから、パトロシニオをはじめとする一部地域では来年の見込み生産量がほぼ0となっているようです。
 
高温低湿な気候下で火災のリスクが上昇しているほか、現地通貨レアルの下落による輸入肥料・農薬価格の高騰、過去最低水準の市場価格も忘れてはいけません。あらゆる要素が2021年度以降のコーヒー生産への不安に繋がり、それらは世界のコーヒー産業の未来にも直結しているのです。

 

Cのサイクル

「繋がりの間にはいつもコーヒーがある」。そんな単なる飲み物を超えた魅力に溢れるコーヒーは、実はサイクリング文化とも深い縁があります。その始まりは20世紀後半にイタリアのエスプレッソマシンメーカーFAEMAがサイクリングチームのスポンサーを務めたことがきっかけと言われています。同社を皮切りに、その後もコーヒー企業によるチームや個人ライダーへの支援が続きましたが、その裏ではカフェとライダーの間で「コーヒー (カフェ)ライド」という新しい関係が築かれていきました。
 
コーヒーライドの定義は多岐に渡りますが、プロや競技ライダーにとっては厳しいトレーニングの後に行う、カフェでのエネルギー(カフェイン)補給や休憩を挟んだゆったりめのライド、サイクリングを趣味で楽しむ人々にとってはコーヒーショップを目的地とするサイクリングを指すのが一般的。
 
社会学者Ray Oldenburgは、カフェをはじめとするサードプレイスが8つの要素によって構成されると説き、その中には「中立領域」、「平等主義」といった要素が含まれています。実際にスペシャルティコーヒーへの興味関心やライダーとしての熟練度に関係なく、コーヒーの周りでは人々が平等な存在となり、新たな繋がりやローカルコミュニティが育まれているという点に改めてコーヒーの魅力を感じます。
 
コーヒー(Coffee) の間に繋がりがあり、繋がり (Connection) の間にコーヒーがある。次はどのようなコーヒー文化や繋がりが生まれるのでしょうか。考えていると思わずにやけてしまう、そんなコーヒーが紡ぎだす魅力に、私たちはずっと昔から惹きつけられているのかもしれません。

 

その他の気になるニュース

▷ 10月3日、世界最大のカッピングイベントが開催されました。YouTubeのライブ配信を使って行われたこのバーチャルイベントの最大同時視聴者数は、なんと1万人以上。ホストを務めたJames Hoffmannさんは自身のチャンネルでこの経験から得た気づきをシェアしています

▷ 今年のコロンビア COE(国際品評会)上位24ロットのうち、優勝ロットを含む18ロットがCOE初挑戦の農園で栽培されたものでした。オークションは11月19日に開催予定。

▷ Light Up Coffee代表の川野さんが一杯のコーヒーから何円が生産者に渡っているのかについてnoteで解説してくれています。冒頭の数字だけでなく、それに続く4つの議題は今後のコーヒーの価値を決める上でとても大切なポイント。

▷ グアテマラと日本を拠点に活動する生産者団体Good Coffee Farmsが沖縄県に研究拠点を設立へ。沖縄の環境に適した品種選定、精製プロセスの研究、商品開発などを行い、「世界に通用する」コーヒー産業の発展を目指します。11月4日にオン・オフライン開催のオープニングイベントも要チェック。

▷ ベトナム企業ShoeXがベトナムコーヒーを材料とした布マスクを開発。より多くの人に環境問題を意識した生活を送ってほしいという思いが込められた同製品は100%ビーガン、繰り返し使用可、生分解性。

 

What We're Drinking
今週のコーヒー


 

JOKI COFFEE
高知

フィンランド語で川を意味する「joki」。高知県の山間にある人口3000ちょっとの小さな町を流れる町のシンボルとも言える大きな川のほとりで2013年にオープンしました。「ヨキ」には、コーヒーの生産者とコーヒーを飲む人々を繋ぐ川の流れとなって、良きコーヒーをお届けしたいという想いも込められています。ヨキコーヒーで良き一日を。

生産者: 
Peralta Family

生産国:
ニカラグア、ヌエバ・セゴビア県、サンフェルナンド市(地図

品種:
イエローカトゥアイ

精製方法:
アナエロビック・ナチュラル

テイスティングノート:
ラム、シナモン、クランベリー、トロピカルフルーツ、カカオ、スパイシー

編集長のコメント:

ちょっと肌寒い朝に立ち寄ったコーヒー屋さんの軒先でコーヒー片手にシナモンロールを頬張るーーそんな情景がぴったりなスパイスと甘い香りがたまりません。まるでテイスティングノートのひとつひとつを答え合わせしていくように、コーヒーが舌先に触れた瞬間から喉の奥に流れていくまでの間に、それぞれのフレーバーの輪郭をくっきりと感じることができます。空気の澄んだ朝に外で飲みたいなと思った、不思議とエネルギーを感じるコーヒーでした。パッケージの手書きの文字も愛を感じます。農園の動画がVimeoにありました。


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

全国学生オンライン演劇祭 - 劇団ノーミーツ
ウェブサイトオンライン演劇

コロナの影響でなかなか気軽に演劇も観に行けない状況が続いていますが、自宅で楽しめる演劇を自宅から届ける劇団が今年の4月に発足されました。"NO密で濃密なひとときを"をテーマに、打ち合わせから本番まで1回も会わずに活動するフルリモート劇団「劇団ノーミーツ」。新しい時代の演劇の形としてかなり注目されているのも納得で、彼らの作るリモート演劇は時代性があって本当に面白いです(かなりバズっていた動画はこちら)。Youtubeにアップされているのは短編ばかりですが、長編公演も春と夏にそれぞれ1度行われていて、1万人以上がリアルタイムで視聴しました。そんな劇団ノーミーツが、コロナで様々な行事がキャンセルになっている学生に青春を感じる場を届けるために、”役者同士が一度も会わずに上演すること”を条件に全国学生オンライン演劇祭を開催します。中学生〜大学生までが参加可能で、スマホなどで撮影したオンライン演劇作品を募集しており、決勝は生配信されるそうですよ。クリエイティビティは制約があることで発揮されますよね。新しいアイディアやストーリーが生まれる瞬間を目撃したいと思います。 - Toshi


 
This is Water - David Foster Wallace
動画音声&書き起こし

普段あまり本を読み返したり、映画を見返したりすることがないんですが、折に触れて見る、聞く、読むようにしている、というより自然と引き戻されるスピーチがあります。「This is Water」と題されたこのスピーチは、アメリカ出身の作家David Foster Wallaceが2005年に米ケニオン大学の卒業式で学生に贈ったもの。卒業生に向けられたスピーチということもあり、高等教育の意味を基点に話が展開されるものの、その中身は他者へのエンパシーや自由の意味についてなど、すべての人に関係します。人間は誰しも自己中心的な考えが根底にあり、それに抗わずにデフォルトモードで日々を過ごすと言動も自己中心的なものになってしまう。でも注意を向ける先を変えることで、その動物的な本能の奴隷にならず、他者へのエンパシーを育むことができるのだと主張する彼。自分の意識をコントロールし、自己を犠牲にして他者のために行動することこそが本当の意味での「自由」だという彼の言葉を聞くと、毎回背筋が伸びる思いがするんですよね(このスピーチは書籍化・邦訳もされています)。ちなみに彼の代表作と言われる「Infinite Jest」は1000ページを超える超大作で、何度かチャレンジしたもののまだ読了できていません……今年こそ……。 - Atsushi


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

薮内 颯人
やぶうち はやと

札幌市立の高校に通っている高校3年生、インディー焙煎師。2019年にコーヒー農園で生産や加工、流通を学ぶため、東ティモールへ3ヶ月留学。現在はユースコーヒーブランド“C-origin”を立ち上げ、主にBASEでの豆の販売や、間借りカフェを運営している。 音楽好き(Frank Oceanと小袋成彬が好み)、元陸上部でジョギングを楽しむ。

セットアップ:

抽出器具:
KONO式 名門ドリッパー 2人用
KONO 円すい コーノコットンペーパー
月兎印 琺瑯スリムポット 0.7L
豆量:17g(焙煎度によって多少の調節) 
湯量:300ml
挽き目:中挽き(ボンマックのコーヒーミルにおける4.5の挽き目)
抽出温度:92℃
抽出時間:3.5分-4分


手順:

  1. コーヒー豆は事前に冷凍庫で冷やしておく。ドリッパーをリンスし、少し水気を帯びた状態の上にペーパーを乗せる。
  2. 40ml程度のお湯を注ぎ、蒸らしの工程に入る。ここまでで1分を少し過ぎるくらい。(豆が浅煎りの場合は蒸らしの時間に撹拌する)
  3. 白い泡がなるべく頂上から500円玉より大きく広がらないようキープしながら、線の細さを意識して注いでいく。
  4. 抽出し切った後は、しっかり液体をスプーンで攪拌し、あらかじめ温めておいたカップへ注ぐ。

        ポイント:

        ▷ 甘みと余韻を大切にしたいため、細さを意識して注いでいます。
        ▷ ペーパーにコットンを利用することでとろっとした味わいが実現できるため愛用しています!

        一言:

        フレッシュなコーヒーはハッピーな時も憂鬱な時も自分を受け入れてくれて、そして雰囲気を作ってくれる。コーヒーが演出してくれる時間って、本当に豊かで素晴らしい思っています。カルチャーとしても本当にかっこいい。コーヒーの虜なんです(笑)  これから、コーヒー豆の焙煎以外にも、毎週日曜日に札幌で間借りカフェをしたり、でも文化を発信したりと色んなことを画策しています。Instagramで追っていただければ幸いです。若輩者ですが、楽しみながら頑張ります!


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        今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第13号スポンサーの Daterra、パートナーのトーエイ工業Swiss WaterDepartment of Brewlogy のサポートでお届けしました。

        LOVE & COFFEE✌️
        Standart Japan

        (執筆・編集:Takaya & Atsushi)

        #17: グローバルという常

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