おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今週は各地で卒園式や卒業式などが行われているようで、コーヒー関係者のSNSなどを見ていると、ご家族の晴れ舞台を見逃すまいとお店を臨時休業されている方もいらっしゃいましたね。
かくゆう私も今週、ちょうどStandart Japanに携わるようになる少し前に産まれた子が卒園を迎え、とても感慨深い日を過ごしました。この6年間、一人の人間が日々成長する姿を側で見守りながら、その成長スピードに驚かされ、そして自分は成長できているのかな?と自身に問いかけることは少なくありませんでした。
そしてStandart Japanとの歩みも子どもの成長と共にありました。Standart Japanの創刊号が印刷され、正式なローンチをしたのは実は6年前のこの週末。Tokyo Coffee Festivalに初参加して創刊号をお披露目させてもらい、中目黒にあるBlue Bottle Coffeeにてローンチパーティを行いました。このローンチパーティの写真は、私たちがコーヒーコミュニティの一員になれた第一歩の瞬間として毎年振り返るようにしています。
あれからStandart Japanも号を重ね、雑誌としてもチームとしても成長してきました。でもまだまだほんのスタートライン。やりたいことは山ほどありますが、より良い雑誌を作り、読者の皆さんとの関係をさらに深く築き、コーヒーコミュニティやカルチャーに私たちなりのやり方で貢献していくことを最優先に、これからも邁進していきたいと思います。改めて、これからもよろしくお願いします。
次週からは、次号の校了前の追い込みで忙しくなりそうです。
それでは今週も良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
旅のチケットは、チーズとコーヒー
卵黄とコンデンスミルクの入ったベトナムの「エッグコーヒー」や、シンガポールで長年親しまれる「コピ」をはじめ、コーヒーは世界中のありとあらゆる場所で、さまざまな形で親しまれています。今日紹介するのは、日本から遥か彼方、スカンジナビア半島北部の少数民族の間で親しまれているコーヒー「カフェオスト」です。「オスト」がスウェーデン語でチーズを表す……と読めばもうピンときた人もいるかもしれません。そう、チーズ入りのコーヒーなんです。遊牧民族のサーミー人の間で親しまれているこの伝統的なコーヒーは、フィンランドのラップランドや北部地域、ノルウェー北部、スウェーデン北部、ロシア北西部を中心に飲まれているそう。
カフェオストに使用されるのは、フィンランドの国民的チーズであるレイパユースト。直訳すると「パンチーズ」を意味し、その所以は気泡を含んだチーズの見た目がパンの断面に似ているからだそうです。噛んだ時のキュッキュッとした独特の食感や、ミルクの甘味を感じられるのが特徴的で、コーヒーと合わせるとコーヒー入りのチーズケーキやティラミスのような味わいだという人も。
伝統的な飲み方としては、「ククサ」と呼ばれる木製カップに、煮出したコーヒーとたっぷりのレイパユーストを加えるのが定番なのだとか。レイパユーストは日本では手に入りにくいものの、他のチーズでも代用は可能なので、さまざまなチーズのフレーバーを試してみるのも面白そうです。今週末は一味違ったコーヒーで、一杯の小さな旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?
気になるニュース
▷ 2月のブラジルの生豆輸出量が、昨年比35.8%減を記録。2度の不作による国内在庫の減少と、農家が現行のコーヒー価格での販売に消極的になっていることが原因とのこと。2月に出荷された生豆袋は約211万袋で、これは2018年以降の同月で最低の数値です。
▷ 米・ポートランドの老舗アイリッシュバーが、3月17日の聖パトリックデーにアイリッシュコーヒー作りのギネス記録に挑戦。2度目となる今回の挑戦では264ガロン(約1,000L)を目指していますが、実は昨年ギネス記録が550ガロン(約2,082L)に更新されてたので、新記録樹立はむずかしそう……
▷ NASAが無重力空間専用のコーヒーカップの映像を公開。流体力学の粋を結集したデザインにより、宇宙空間でもストロー要らずで液体を飲むことが可能に。将来的には、貨物の軽量化に繋がる可能性も期待されています。
▷ 3月8日の国際女性デーを記念し、インドで最初の女性コーヒーテイスターとして、50年以上も活躍するスナリニ・メノンさんのインタビューが公開されました。ちなみにメノンさんは、2018年に大統領から「ファースト・レディ功労賞」を授与されています。
▷ 米・ラッパーのスヌープドッグが、インドネシアのスマトラ島ガヨ地区のコーヒーを使用したコーヒーブランド「インドxyz・コーヒー」をローンチ。昨年出た料理本に引き続き、今年はコーヒー関連の本も出るかも。
物足りないあなたへ
オンラインデザインメディア「ヤンコ・デザイン」がおすすめするコーヒーテーブル10選。クリエイティブコーヒーブランド「Lonich,」を手がける株式会社オリエンタルコーヒーベンチャーズが、総額4000万円の資金調達を実施。IWCA(インターナショナル・ウィメンズ・コーヒー・アライアンス)のベネズエラ支部が誕生しました。
コーヒーイベント
▷ 和歌山県:WAKAYAMA COFFEE MARKET spring 2023(3/21)がいよいよ来週開催!
▷ 滋賀県:Shiga COFFEE FES.が草津市の草津川跡地公園de愛ひろばにて開催されています。(3/18&19)今日が二日目!
▷ 宮城県:SENDAI COFFEE FES 2023 Springが仙台の定禅寺通りグリーンベルト・肴町公園にて開催!(4/15&16)
※日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jp)でぜひシェアしてください!
What We're Drinking
今週のコーヒー
sommarlek coffee roaster 高知(地図)
高知城から徒歩10分ほどの高知市洞ヶ島町に2019年オープン。コーヒースタンドと併設して焙煎所があり、オールドフジの直火式焙煎機で日々焙煎しています。日々の生活を少しだけ豊かにできるようなそんなコーヒーを提供することで、日常に寄り添った町のコーヒーショップを目指しています。
生産者: Guillermo Sanchez
生産地域:グアテマラ グアテマラ県サン・フアン・サカテペケス(地図)
品種:ナンス(イエローブルボン)
精製方法:ウォッシュト
テイスティングノート:青リンゴ、マスカット、カラメル、洋梨、シロッピー
編集長のコメント:
The Weekend Brewで登場するのは一年以上ぶりのグアテマラのコーヒー。カッピングの準備ができて一口目を口に運ぶと、フレーバーノートにある青リンゴが広がります。グラニースミスの酸味強目の青リンゴではなく、王林寄り。瑞々しく軽やかな味わいは今の時期にはぴったりで、フレッシュな気持ちの春を連想させてくれます。洋梨と和梨の合いの子のような伸びのあるジューシーな味わいが心地いいです。良質な温泉水のようなとろみも感じます。後半は、やや柑橘の皮や紅茶のようなニュアンスもありつつ、ナッツのようなフレーバーも感じました。温度が下がってくると果実感がギュッと凝縮されたような味わいもあって、とってもバランスがいいです。何度でもおかわりしたくなるコーヒーでした。ごちそうさまでした! 飲んでみたい方はこちらから。
What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること
今週のStandart Communityでは、浅煎りの豆のドリップ時に抽出時間が長くなってしまう現象について、質問が投げかけられました。焙煎度合いに伴う多孔性の違いやフィルターの目詰まりなど、考え得る原因や共通の実体験についてさまざまなコメントが寄せられました。お家コーヒーが個人のものではなく、よりオープンに開かれたものになると、コーヒーライフがより一層楽しくなりますね😁
※Standart Japan定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
ROKKONOMAD(ロコノマド)
Website / Instagram
神戸・六甲山にある、泊まれる森のシェアオフィス「ROKKONOMAD(ロコノマド)」。神戸市が推進する「六甲山上スマートシティ構想」の一つとして開設した山上のビジネス交流拠点で、利用者はトライアルから長期滞在支援プログラム「ワーク・イン・レジデンス」まで、さまざまなプランを選択することができます。先日、実際にロコノマドに二泊三日で滞在したのですが、マネージャーのヤンセンさんたちとの会話や夕食に作ったビリヤニ、小鳥のさえずりで目覚める朝まで、本当に豊かな時間を過ごすことができました。
また滞在中には、ロコノマドがコーディネートする「NL/ ROKKO」の山歩きプログラムも体験。この企画は、六甲山上のルート内にある4ヶ所の読書スポットを巡り、テーマとなるZine(4冊で1セット)を読みながら、未来の「働く」について考えるアクティビティです。既に会期は終わっていましたが、僕は「なぜ人は働く?(why do we work?)」というテーマのZineを片手に、約2時間かけて山道を歩きながら、今後のキャリアや働き方についてぼんやりと考えていました。久々に紙の地図を持って山道を歩くと、特に序盤は自分が今いる場所が分からなくなることもしばしば。「あれ、この道で合ってるんだっけ」と思いつつ、とりあえず歩いてみて見える景色と地図の情報を擦り合わせる中で、少しずつ世界と同期していく。その感覚は、実際に身体で感じる景色が、頭で想像するどんな景色よりも鮮やかであることを教えてくれたかのようでした。ありたい姿は、想像すると同時に、生きて、経験する中で真に育まれるもの。自分は「働く」ことを通じて、借り物の言葉ではなく、自分の身体/経験から生まれる言葉を話す人でありたい、そんな思いを再確認できたような気がします。
関西にお住まいの方や地方移住を考えておられる方はもちろん、新しい働き方を考えるきっかけとしてもロコノマドはとてもオススメです。神戸近郊にお越しの際には、是非一度足を運んでみてください。ちなみに、気になる方も多いだろうコーヒー事情ですが、手動ミルやドリッパー、ドリップケトルまで一通りの設備が揃っているので、必要な方はお気に入りのコーヒー豆を持ってくるだけで大丈夫です(またロコノマドには、中〜深煎りのコーヒー豆が常備されます)。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
三村 大地
1996.1.1 生まれ27歳。器とコーヒーの人。コーヒーにハマり鉄道会社退職後、約1年かけて東南アジアのコーヒー農園を周る。帰国後焙煎所に勤務と日本酒バーの店長。その後渡豪。ロックダウンを機に帰国後New world coffeeリリースとHALLO COFFEEをオープン。器とコーヒーの関係性に興味を持ち、2022.6月からは焙煎所兼器屋に業態変更。現在は HALLO 珈琲器暮らしの道具 として営業中。
5 questions
今気になっている問いは?
「コーヒーと五感の関係性」
人はなぜ、どんな時に美味しいと思うのかが分かれば、より満足度の高いものを提供できるのではないかと考えているから、最近はエチオピアのコーヒーをエチオピアっぽい絵を見ながらエチオピアの民族音楽を聴いてエチオピアを連想させるような土器っぽい器で飲むのがマイブーム。
お気に入りの場所は?
「ニューミュンヘン神戸大使館店の平日の14:00〜16:00くらいの間の1Fカウンター席」
昼過ぎ頃から酒呑みが各々良い雰囲気を醸し出して大ジョッキのビールと名物の唐揚げを手で食べている感じが最高。ビール注ぎ手のビールの注ぎ方やジョッキを洗う時の規則性ある動きも徹底されており、その場が一種の劇場のような雰囲気になっている。少しハイカラな雰囲気がどこか神戸らしさもあり僕の好きな "文化的な場" という言葉がバチッと当てはまる店。なぜか定期的に通いたくなる店。
譲れないこだわりは?
「市販のアイスでも練ってから食べる」
なめらかになって、めっちゃ美味しくなるから
今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?
「カリオモンズの伊藤さん」
会ったことないけどファンなので。
最近やらかしたエピソードを教えてください。
Qグレーダーの試験日、ド忘れしててモーニングコールが運営からだったこと。残り数週間で資格消滅の危機だったのもあり、近くを探すと韓国での試験しか残ってなかったので旅行も併せて行きました。
Fancy a refill?
編集後記
文化理論家のマット・クラインさんが発行するニュースレターZINEで、「Bimbo」という言葉が取り上げられていました。
1920年代から使われ始めたこの言葉には、無教養な/ふしだらな女性という侮蔑的な意味が込められていました。しかし最近では、女性やクイアの人々が「Bimbo」を積極的に使い、当時の男性有優位の社会の中で作られたイメージを再構築しようとしていると記されています。
近年シティポップブームや、Y2Kファッションの流行をはじめ、「ノスタルジア」に注目が集まり、ストリーミングサービスなどでの消費傾向と相まって一部では文化の発展や経済的な観点からネガティブに捉えられることもあります。しかし現存する概念を再定義すること自体は創造的な営みだと言えるでしょう。また社会的なイメージの変革が、その背後にある構造を疑問視することに繋がると考えると、過去を振り返らずには新しいムーブメントが生まれないのだという当たり前の事実に気付かされます。
Atsushi
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第23号スポンサーのComandante、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、TYPICA、Probat x DKSH、MiiR、OATSIDEのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)