#28: 境界線の先にあるもの

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今週の水曜日にStandart Japan編集部がInstagram Liveを行いました。オフラインイベントでみなさんと直接会う機会は少なくなってしまいましたが、デジタルな空間でも同じ時間を共有できたことが嬉しく、とても温かい気持ちになりました。

ライブ配信ではニュースレターを始めた経緯や読者のみなさんのご質問にお答えしたのですが、いただいたご質問の中に、毎週ニュースレターをキュレートしていく中でどんなことを感じますか? というものがありました。様々な情報を紡いでいく中でいつも思うのは、世界中で日々いろんなことが起きていて、すべてを把握するのは到底無理なのですが、コーヒーという視点から断片的にでも世の中を見つめることで、自分たちの知らなかった世界が広がっていき、コーヒーを通じてその解像度をあげることができるということです。StandartやThe Weekend Brewを読んでくださっているみなさんは、少なからずこの感覚を体験しているからこそ、コーヒーカルチャーに惹かれているんじゃないのかなと思います。

今後も読者のみなさんと、こうしてコミュニケーションが取れる機会を作っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

Team Standart Japan

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

今と未来を映す場所

シアトル郊外にあるコーヒーショップBlack Coffee Northwestが、昨年のオープン時に引き続き二度目のヘイトクライム被害を受けたとの報道が。同ショップは地域内の黒人コミュニティ活性化を目指し若手バリスタ育成やビジネス支援を行う一方、お店に訪れる客などから人種差別的な発言を聞く日も珍しくないとのコメントも。「黒人コミュニティの活躍が乏しいこの地域だからこそ、その代表として活動していきたい」という彼らの言葉からは、その強い思いと地域の抱える問題構造が伺えます。
 
「コーヒーショップの示す特色は地域によって大きく変わる」と述べるこちらの記事に基づくと、コーヒーショップで起こる人種差別は一時の問題ではなく、その空間を取り巻く地域や社会の問題構造が、コーヒーによって映し出されているとも考えられます。現代社会をコーヒーが映し出すとすれば、差別の無い、より良い未来を映し出すのもまたコーヒー。だからこそBlack Coffee Northwestをはじめ、世界中で社会・文化活動のプラットフォームとしてコーヒーが用いられることに、大きな意味を感じてなりません。
 
ここで先日の米国大統領就任式にて世界を魅了した22歳の詩人アマンダ・ゴーマンさんの詩の一節を、ご紹介します。コーヒーを介せば誰しもが平等な存在となれる、そんなコーヒーの紡ぐ未来を思わず想像せずにはいられませんでした。詩の全編(日本語字幕付)はこちらから。

“We close the divide because we know, to put our future first, we must first put our differences aside. We lay down our arms so we can reach out our arms to one another. We seek harm to none and harmony for all.”
「分断を無くす。未来を最優先するなら違いをこえなければならないから。武器を置く。そうすればその手を互いに差し伸べることができるから。誰も傷つけず皆が調和できるように。」

 

思いを(綴じ)込めて

ピカソにJ.K.ローリング、ボブ・ディランなど、時代や分野を超えて、長年表現者の創作の場として親しまれる空間、コーヒーショップ。在宅時間も増える中、先日BBCが発表した「コーヒーショップで過ごす時間の減少は、人々のクリエイティビティの低下をもたらしている」という記事には、かのレジェンドたちも同意せざるを得ません。
 
こちらの記事の主題はコーヒーショップにおける「偶然性」について。クリエイティビティが予期せぬ人との交流適度なノイズによって向上するという研究結果を踏まえると、人の行き来、日当たりの変化、コーヒーのアロマなど、数えきれない 「偶然の出会い」 に溢れるコーヒーショップが、長年多くの芸術家や哲学者たちに愛される理由も頷けます。また近年では、バーチャル領域でも偶然性のデザインに取り組まれていることや、予期せぬ出来事を受容・順応することがキャリア面においての成功にも繋がるという見解からも、日々の何気ない出会いや繋がりの尊さに改めて感謝が尽きません。なんだか私たちの秘める創造力や可能性とは、偶然の出会いによって花開く”図り”知れないものであると思いませんか?
 
そしてこれは「綴じるメディア」の魅力とも繋がるのではないでしょうか。紙雑誌にせよニュースレターにせよ、「綴じる」魅力の一つは、開く前には予想もしていなかった話題との巡り合わせ。リコメンド機能が発達する一方、ある種ピュアな出会いを生み出す空間は、時代や分野、またオン・オフラインの境界を超えて今後も人々に親しまれるように感じます。これからも心からの思いを(綴じ)込めて、皆さんに本誌・The Weekend Brewを届けることができれば本当に幸せです。

 

その他の気になるニュース

▷ Nikeがコーヒーをモチーフとしたスニーカーシリーズの販売を発表。おなじみAir Force 1女性用Air Maxなどのモデル展開に加え、焙煎度合を思わせるカラーデザインがさらにツボ。さりげない「ROASTED BY NIKE, INC.」の刺繍もたまりません。

▷ 英国で初のマダガスカル産スペシャルティコーヒーが販売開始。フリーウォッシュト精製・Bourbon-Typica系の同コーヒーが紡ぎ出す新たなオリジンストーリーに、大きな期待と注目が集まります。

▷ 東京のLight Up Coffeeがベトナムコーヒー農園のオーナー制度「Coffee Farm Owners -Vietnam-」を開始。毎月の農園レポートやコーヒー豆の定期便に加え、農園ツアーやオリジナル精製などのオプショナルプランも展開。詳しくはこちらのURLから。

▷ スウェーデンのコーヒーグループLöfbergsが、3Dプリンティング技術を用いた世界初の廃棄ベースのコーヒーステーションを製造。同プロジェクトは2030年までにゼロ・コーヒーウェイストを目指すサーキュラー・コーヒーコミュニティ(CCC)の活動なのだそう。

▷ 米国のベーカリーチェーンPanera Breadが、同社アンケートで「寒空でもアイスコーヒーを飲むことを止めない」と回答した78%の人々に向け、アイスコーヒー専用手袋を開発。冬空の下、大切な人とアイスコーヒー片手に、手も心も温かなひと時を。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

時計のない喫茶店
北海道

時計すら置かないシンプルな店内作りを心がけた″時計のない喫茶店″。感覚にセオリーも加えて日々エレガントなコーヒー を追求しています。お店の名前はとある曲名に由来するんだとか。

生産者
 
小規模農家
Gatukuza Coffee Washing Stationにて生産処理
生産地域
ブルンジ ンゴジ県ガテュクザ村(地図
品種
ブルボン種
精製方法
ナチュラル
テイスティングノート

ラズベリー、ストロベリークリーム


Standartの感想:

「パンッ」と鮮やかに広がる酸味。オーストラリアではじめて食べたグラニースミス(青リンゴ)を思い出しました。酸味は間もなく口の中で甘さに変わっていき、そのグラデーションがブラッドオレンジを彷彿とさせてくれます。青リンゴをまず思い浮かべたせいか、味の変化と共に味に赤い色を感じるような感覚がありました。液体を舌で転がしてみると、綿飴を口に入れた時のような繊細な甘さがあり、不思議とトロッと感じる舌心地良さ。あれ、この味なんだっけ?と最後に思い出したのはマクワウリ。今は冬だけど、どこか夏を感じるコーヒーでした。

 


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

Taku Bannai | イラストレーター
ウェブサイト

友人から新年の挨拶もかねていただいたVERTEREのクラフトビール。そのラベルに描かれたイラストに目を奪われ、ビールを飲みながらしばらく眺めていました。ラベルに掲載されたQRコードを読み込むと、イラストレーターである坂内 拓さんのサイトへアクセスできます。東京の奥多摩にある醸造所VERTEREが、クラフトビールを通じてアートに触れる機会を増やし、ラベルアートを見ながら味わうことでクラフトビールの価値を高められたらという想いから実現したコラボだそうです。作品のイメージからビールのレシピを作成しているそうで、その逆転の発想が素敵だなぁと。アルコール度高めのどっしりとしたビールで甘みがあり、オレンジのフレーバーが溜まりません。ゆっくりと飲み終え、絵とビールの余韻にひたりました。


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

田端 涼輔

三重県津市から地域おこし協力隊として岩手県久慈市でコミュニティカフェ&キッチンカー「YAMANECO COFFEE LAB」を営む。 海外サッカーにハマっている。

セットアップ:
抽出器具:origami
豆量:15g
湯量:240g
挽き目:中挽き
抽出温度:92℃
抽出時間:3分


手順:
4投 注湯スピード6-7g/秒
48cc(0:00-1:00)
48cc(1:00-約1:30落ち切り)
104cc(1:30-2:20落ちきらない)
40cc(3:00落ち切り)

ポイント:
▷ ペーパーはリンスする
▷ 1投目は注湯後スピン3回
▷ 2投目は壁の粉もそっと落としながら
▷ 4投目は真ん中のみにゆっくり注ぐ

一言:
協力隊の任期が4月で終わります。今後は、個人事業主としてコーヒーとともに歩んで行くことになります。 カフェの方は築100年超えの古民家、キッチンカーもエスプレッソマシンを積んでやってます! 岩手を代表できるようなコーヒー屋になれるよう精進しますので、是非岩手に来られた際は足を運んでいただけたらなと思います!

 

 

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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第14号スポンサーの Victoria Arduino x トーエイ工業、パートナーの MiiR JapanBarista Hustle JapanSucafina のサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan 

#28: 境界線の先にあるもの

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