#30: スポットライトの当て方

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

今回はとっても嬉しいニュースがあります。2021年最初のStandart Japanがついにリリースされました!🥳  年末年始に雑誌の校了が丸かぶりして休み返上で誌面と向き合ったのも、もう遠い昔のよう……。とはいえ、皆さんに読んでもらうまで気が抜けません。来週よりいよいよ全国へと一斉発送です。楽しみにしていてくださいね。

今号のキーワードは「照明」「抱擁」「コーヒー」。数多いるコーヒープロフェッショナルの誰に、そして数々の国境をまたぐコーヒーの取引のどこにスポットライトをあてるべきなのか。そして新旧さまざまなアイディアを受け入れる準備が私たちにはできているのか。今号もコーヒーという窓から政治、歴史、気候変動、マーケティング、ジェンダーにいたるまで多種多様なトピックを見つめ、表紙から裏表紙まてでコーヒージャーナリズム満載でお届けします。

第15号のサンプルコーヒーを提供してくれたのは、スイス・チューリッヒにあるMAME。ワールド・ブリュワーズ・カップ 2018 チャンピオンの深堀 絵美さんが、パートナーのマシューさんと共同経営するお店です。日本の皆さんにぜひMAMEのコーヒーを飲んで欲しいと今回2人が用意してくれたのは、なんとマシューさんが2018年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップで使ったものと同じ生産者、品種、精製方法のコーヒー。ワクワクが止まらない! お二人からメッセージも届いているのでぜひチェックしてみてくださいね。絵美さんおすすめの抽出レシピはこちら :)

編集長 Toshi

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

解凍への回答

英国の共同組合が毎年発行する消費者レポートによると、パンデミック期間に英国内のエシカル消費市場が成長したとの報告が。フェアトレード商品の売上が19年度比較で約15%増加したことや、プラントベース食品の売上、公正なサプライチェーンを重視する消費者の割合の増加からも、私たちの日々の消費行動に確かな変化が伺えます。

社会心理学者 Kurt Lewin氏によると、集団(組織)の変革には①解凍 (unfreezing): 変化への関心・認知の向上、②変化 (changing): 転換と実践、③再凍結(refreezing): 新たな意識・状態の定着、の三段階が必要であるとのこと。この理論に基づくと、パンデミックによって私たち(の消費者意識)は反強制的に「解凍」の段階を経験しているとも考えられます。そんな中、フランスではパンデミックに伴う自転車通勤の需要拡大を受け、自転車修理代への補助金やパリ市内の大幅な自転車用レーンの開通といった「変化」の導入により、国全体のCO2排出量削減を促す「再凍結」へと繋げる動きも見られます。帝国主義時代の爪痕が残るコーヒーやチョコレートといった嗜好品の文脈でも、今日の消費者意識の変容が持続可能なサプライチェーンの実現に繋がるよう、業界全体が積極的な連携促すことが今後の課題と言えるでしょう。

そしてチョコレートといえば、今日は年に一度のバレンタインデー。今年は本命チョコを「自粛する」人が多いとのことですが、形式云々にかかわらず、大切な人には遠慮無く日頃の感謝を伝えたいもの。

 

影無きところに光無し

アラビカ種の原産地エチオピアで行われた、コーヒーさび病に関する研究。その内容とは「同じ菌類である重複寄生菌がコーヒーさび病菌の発生を抑制する」というもの 。ちなみに「重複寄生」とは寄生生物に対する寄生を指す言葉で、今回の場合はさび病菌に寄生する別の菌が「重複寄生菌」にあたります。主に雨季から乾季にかけて盛んに発生するコーヒーさび病ですが、研究結果によると重複寄生菌が見られるエリアでは同期間内でも発生率が低い傾向が明らかになったとのこと。

中でも興味深いのは、重複寄生菌は日陰樹(シェードツリー)を取り入れた農園のような湿度の高い空間を、逆にコーヒーさび病菌は湿度の低い空間を好むということです。つまり大規模プランテーションのような生物多様性やシェードツリーの損失リスクを孕むコーヒー農園ではさび病のリスクが高まる一方、原生林やシェードツリーの中で栽培を行うアグロフォレストリー式の農園ではさび病のリスクは減少するということ。 今後さらなる調査が必要とはいえ、同研究は生態系への配慮を中心に据えた長期的な視点に沿ったコーヒー栽培が、生産者と自然環境の双方に利益をもたらす可能性を示しているのです。近年イタリアのコーヒー企業illyがグループ内で推し進めるリジェネラティブ農業(土壌の修復・改善といった環境の再生を見据えた農業)への取り組みをはじめ、業界全体がマクロな視点から全体利益への理解を促すことがコーヒーの明るい未来には不可欠なのです。

あらゆる領域で成長と効率化が求められる今日の社会ですが、今回の研究結果はコーヒーという文脈を超え、私たちに本当の豊かさについて語りかけているのかもしれません。

 

その他の気になるニュース

▷ Alliance for Coffee ExcellenceがCOE出場コーヒーのオリジン検証に向け、トレーサビリティ企業Oritainとの連携を発表。化学的な組成からコーヒーの生産地を特定し、「Origin Fingerprint 」という血統書のようなデータを作成することで、トレーサビリティ向上を目指します。

▷ SCAが昨年末に公開した新しいブリューチャートの可能性に関する投稿を、2016年のWBrCチャンピオンでStandart Japan創刊号の表紙を飾ってくれた粕谷 哲さんが日本語で解説。TDS(濃度)とPE(収率)、フレーバーの新たな関係性が見えてきます。

▷ Sprudge編集部メンバーがオリジナルコーヒープレイリストを公開し、Instagram上では熱い議論が交わされている模様。ちなみにStandartも昨年コーヒープレイリストをリリース。みなさんお気に入りのコーヒーソングも是非教えてください!

▷ 現在ヨーロッパの一部地域では寒波の影響で降雪量が増加中。そんな中ポーランドのクラクフでは滑り止めの砂の代わりにコーヒーの出がらしを使うことに。地元コーヒーショップと市民のコーヒー消費のさらなる循環に期待が高まります。

▷ Super Bowl恒例コマーシャルシリーズで、オーツミルク企業OatlyのCM酷評を呼び話題に。試合後同社が「視聴者が無駄にした30秒の代わりに」無料配布した『OatlyのCMマジ最悪』Tシャツは完売。マーケティング的にはタッチダウン。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

APOLLO COFFEE WORKS
愛知

コーヒーの好みは人それぞれ。気分や季節によっても変わるくらい変化がある好みの中で、自分好みのコーヒー豆を見つけて欲しいと願うAPOLLO COFFEE WORKS。各産地・農園のコーヒー豆をそれぞれに適した焙煎度で、浅煎り〜深煎りまで取り揃えています。カフェスペースではコーヒーに合う焼き菓子の提供も。

生産者:
イルガチェフェコーヒー生産者組合連合 コンガ農協

生産地域:
エチオピア コンガ地区(地図

品種:
原種

精製方法:
ナチュラル

テイスティングノート:
ピンクグレープフルーツ、ストロベリー、こしあん

編集長のコメント:

一口目から苺のフレーバーと穏やかな酸味が口いっぱいに広がります。発酵感としっかりとしたボディ、そしてほんのわずかなシナモンっぽさが、きなこをたっぷりかけた羊羹のような味わいを感じさせてくれます。その余韻と甘さを口に残しながら二口目を啜ると、「あれ、もしかしたら今、苺大福を食べているのかい?」と思わせるくらいの苺と餡子のグルーブ感が。決して派手ではありませんが、和菓子のような凛とした佇まいと芯のあるコーヒーで、心をふっと落ち着かせてくれました。エアロプレスでも淹れてみたところ、トロッとした口当たりがフレーバーとマッチして絶妙でした。ちなみに、APOLLO COFFEE WORKSさんの店舗ができるまでのDIYがすぎる様子がこちらにまとまっていて必見です。すごい〜〜。


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

カフェの経営について私が学んだ事 | コリン・ハーモン 
Kindle

アイルランド・バリスタ・チャンピオンに4度輝き、ダブリンにあるコーヒーショップ 3fe Coffeeを経営するコリン・ハーモンさんが執筆した「What I Know About Running Coffee Shops」の日本語版が今週Kindleでリリースされました。内容は、コリンさんのライフストーリーと共に語られる、コーヒーショップ経営にまつわるさまざまなお話。コーヒービジネスの酸いも甘いも知った彼の話は、コーヒーだけに関わらず、いろんなビジネスにも応用できるアプローチや教訓で満載です。海外ではかなり人気のある本で、日本語で読みたいと待ち望んでいたたかたも多いのではないでしょうか。この本は、オランダでよく行っていた大好きなコーヒーショップ(Scandinavian Embassy 💛)でStandart Japan創刊号の写真撮影をさせてもらった時に、「いつかコーヒー屋やりたいんだよね」とオーナーと話していたところ、「まじで? とりあえずその前にこれ読んで考え直した方がいいよ」と勧めてもらった(?)思い出深いもの。海外と日本とで環境が異なる部分もあると思いますが、説得力のあるコリンさんの言葉に唸ること間違いなし! コーヒーショップを将来やってみたいと夢見ている方も、今コーヒーショップを経営されている方も、きっと多くを学べる良書です。


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

長谷川 晃平

BREATHER COFFEEオーナー。メルボルンに5年ほど滞在し、店舗ヘッドバリスタとしてマネージメントや現地バリスタの育成などに注力。 今ハマっているものはアウトドアとキャンプ。

セットアップ:
抽出器具:HARIO V60
豆量:18g
湯量:300g
挽き目:No 13.5 (EK43)
抽出温度:96℃
抽出時間:2:50


手順:

  1. ペーパーをお湯で濡らし粉を投入して平らに均す
  2. 60gお湯を注ぎ、スプーンで5回混ぜて攪拌。40秒蒸らす
  3. 150gまでお湯を注ぎ、湯面が1cm下がったら300gまで注ぐ
  4. ドリッパーを手で軽く回して側面の粉を中心に沈める
  5. 最後まで落ちきったら抽出されたコーヒーをスプーンで混ぜて完成

ポイント:
ペーパーを濡らす際、ドリッパーやカップを一緒に湯通しして温める(お湯を捨てるのを忘れずに)。

一言:
BREATHER COFFEEでは現在メルボルンのロースター’MAKER’のお豆を取り扱っています。2月からは自家焙煎も始動し、自社のお豆も販売開始予定。

 

 

今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?

来週2月18日の20時から、Good Coffee の大槻 佑二さんと編集長 Toshi がインスタライブをやります。お時間会う方はライブで会いましょう!

そして今日2月14日の夜21時からは、Clubhouse で Single O Japan 代表でシドニー在住の山本酉さんと、Standart Japan の Toshi & Atsushi がゆるくお喋りします。こちらもよければぜひ。

バックナンバーを含め、The Weekend Brewの感想やコメントはぜひ #standartjapan のハッシュタグと共にシェアをお願いします! 質問はメールでお待ちしております。またお友達やご家族など、The Weekend Brew を一緒に楽しんでもらえそうな方にこのメールを転送していただけると嬉しいです。

Standart JapanのウェブサイトInstagramFacebookもぜひチェックしてみてくださいね。

今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第15号スポンサーの 兼松株式会社、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業Paradise Coffee RoastersPrana ChaiTypicaのサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan 
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)

#30: スポットライトの当て方

国内への発送

東京の倉庫より発送。国内のお住まいの地域にもよりますが、2~8日程度で到着します。

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