#25:一杯の無限

皆さん、明けましておめでとうございます! 2021年のWeekend Brewがスタートしました。今週はどんな一週間でしたか?

お休み中、何人かの方が「今週はWeekend Brewないんですか?」とメッセージをくださり、こうして楽しみにしてくれている方がいるんだなと改めて嬉しく感じながら新しい年を迎えることができました。ご連絡くださった方、ありがとうございます。

この年末年始はあまり外出できず、いつも以上にゆっくり過ごしたという方も多いのではないでしょうか。どんなことをして過ごしましたか? Standart Japanでは、創刊から初めて、誌面の校了が年末年始に丸かぶりのタイミングとなり、お正月気分もほどほどに年明けから昨日まで次号の制作期限に追われていました。ちょうど昨日、無事に印刷工程へと進むことができ今胸を撫で下ろしているところです。2月のリリース、楽しみにしてくださいね。

さて今年も毎週日曜朝に皆さんのメールボックスへ、Standart Japanがキュレートしたコンテンツをお届けしていきます。SNSでのシェアや、コーヒー好きなお友達やご家族へのWeekend Brewのご紹介、どうぞよろしくお願いします!

Team Standart Japan

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

昨日の明日

大晦日にニュースメディアVOXが公開した『2020, in 7 minutes (2020年を7分で)』と題されたこちらの動画。映画の予告を見ているのかな、と思わず勘違いしてしまいそうな内容ですが、実際に2020年に起きたニュースを基に作られた完全ノンフィクション。一年を締めくくるはずのこの動画は、簡単には締めくくれない変化の中で私たちがこれからどう生きるのかについて逆説的に問いかけているように感じます。
 
コーヒー産業に関しては、Daily Coffee Newsがサイエンスビジネスなどのジャンル別に2020年のハイライトを発信中。その中でもサステイナビリティに関して、「2020年にコーヒー産業の持続可能性が後退した」という指摘は見逃せません。こちらの記事では、米国をはじめとする従来の消費国において、コーヒー企業の持続可能性への革新的な動きが見られず、その背景としてまだサステイナビリティが業界全体の問題として深く認識されていないと語られています。特に今日の経済不況における利益志向の高まりは、業界内で分断の意識を強めているという視点に加え、持続可能性に積極的に取り組む企業は業界全体の1/3にしか満たないという研究報告など、その背景には複雑な構造が見られそうです。
 
ここで改めて、あらゆる歪みは突発的に生まれるのではなく、それまでの月日や過程があって生じるという現実が浮かびあがってきます。今日は昨日の明日、2021年は2020年の翌年。私たちのこれからの生き方が、「7分後」の世界を描いていく。その意識を大切に、この2021年を生きていきたいです。

 

Slow Down to Look Ahead

日々速報ニュースが飛び交う中、社会とスクリーンに向き合う時間が増えた人も多いのではないでしょうか。以前のニュースレターでも触れたように、今日の社会は日々増殖する情報に囲まれた「情報過剰社会」。資本の経済的価値が「希少性」に依存するという考えに基づくと、情報化が進む今日の社会は、私たちの注意(attention)という希少性への依存によって発展しているという説明もできます。芸術家兼作家のJenny Odell氏は、人々の注目が経済価値を生みだす「アテンションエコノミー (Attention Economy)」の構造は、ソーシャルメディアをはじめとしたスクリーンの閲覧時間の急増だけでなく、私たちのウェルビーイングの危機を引き起こしていると語っています。
 
そんな中、近年注目を集めているのが「Mindful Eating (食べる瞑想)」。スクリーンや仕事から離れ、心身共に目の前の食事に集中することで、作り手への感謝や食材の旅路を感じながら食事という体験を楽しむ習慣を指しており、こちらの記事では五感をフルに活用したコーヒー体験が、移動を制限される私たちの「旅感性」を養うとの指摘も。また食べる瞑想はストレス性の過食症改善も期待されることから、緊急事態宣言によってストレス増加が予想されるこれからの日々により実践の必要性を感じます。
 
もしかするとコーヒーがもたらす「ホッと感」は、スマートフォンやPCの閲覧を伴う「マルチタスク」を離れ、コーヒー体験を通じて私たち自身を取り戻す瞬間なのかもしれません。コーヒーへの溢れるアテンションは心に留めつつ、私たちが何より注目すべきは、何気ない日常に溢れる、小さな幸せへの気づきかもしれませんね。

 

その他の気になるニュース

▷ あらゆる材料でギターを作るユーチューバーBurls Artが、コーヒー豆ギターの製作動画を公開。音楽関連だと、ロック界のレジェンドKissのコラボコーヒーも今年発売予定なのだとか。

▷ ニカラグア国内の情勢悪化に伴うコーヒー農園の危機を受け、三重県のSHRUB Coffeeが「ニカラグアの小さなコーヒー農園の雇用を守るプロジェクト」を開始。支援金は一口1000円からで、ニカラグアコーヒー100gの返礼品付き。参加はこちらから。

▷ ウガンダで高い干ばつ耐性を備えた野生の高品質ロブスタ種が発見されました。気候変動に耐えうる種として期待が高まる一方、森林伐採や生物多様性の損失によって絶滅の危機に晒されています。

▷ イタリア人2万人を対象とした一日のエスプレッソ摂取量とバイオマーカーの追跡調査結果によると、1日3~4杯の「適度な」エスプレッソ摂取が特に心血管疾患関連の死亡率を下げるとの発表が。世界健康ランキング第二位の要因はエスプレッソに違いない!

▷ おなじみJames Hoffmanを「コーヒーの守護聖人」と称えるラベル付きの手作りキャンドルがInstagram上で話題に。右手にはコーヒーノキ、左手には彼の著書『The World Atlas of Coffee』など、ディテールへのこだわりがすごい……。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

13 COFFEE ROASTERS
群馬

群馬・前橋のFMぐんま近く、テイクアウトがメインの一軒家カフェ。1日は12時間が2回、1年は12ヶ月。毎日が「12」という単位を基準に動いているけれど、そんな日常に「1」を足す事でいつもよりちょっといい1日を過ごして頂きたい。オーナーが生まれ育った地元で、自分たちのコーヒーがそんな存在になれるようにと願いを込めて「13 COFFEE ROASTERS」は生まれました。

生産者
 
エドワルド・カンボス、ドナ・ネネン農園
生産地域
ブラジル ミナスジェライス州セラード地域 (地図
品種
ムンドノーボ、カツアイ、ブルボン、アマレロから選定
精製方法
ナチュラル(天然酵母で発酵を促した後に天日乾燥)
テイスティングノート

完熟パパイヤやアプリコット、甘みの強いマンゴーのような果実感。温度変化に合わせ、様々なフルーツの表情が楽しめます。


Standartの感想:
フルッタメルカドンというのはポルトガル語で「果物市場」という意味だそうで、その名前の通りいくつものフルーツを感じることができます。複雑なフレーバーが次々と押し寄せてきて記憶を刺激し、頭の中のその喧騒は市場さながらの賑わい。天然酵母の発酵のおかげか独特な後味とイースト香を感じ、これなんだろうと飲み進める中で頭のイメージが固まっていくと、そこに見えたのはゴロゴロした果実とカカオニブの入ったフルーツヨーグルトでした。温度が下がると味の輪郭がはっきりしてきて、シャンパーニュとフルーツをペアリングしているような感覚にも。ブラジルコーヒーの可能性を感じながら、無数にあるフレーバーの海にディープダイブできる、新年にふさわしいコーヒーでした。

 


Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

本の未来を探す旅 台北

詳細

以前台北に行った時に立ち寄った朋丁(pon ding)という書店が表紙に載っていて思わず手にとった本。台湾の出版文化を牽引する書店主や編集者やブックデザイナーなどとのインタビューが掲載されています。この5〜6年くらいの間に韓国や台湾では独立系の書店や出版社が立ち上がっていて、2018年に出版されたこの台湾特集が出る一年前には韓国特集も出版されています。本への情熱やそのスローな価値、本屋というコミュニティスペースを使ってできることなど、コーヒーシーンやStandartのような独立系雑誌にも通ずることが多く、読みながらマーカーでたくさん線をひき、つい読み止まって考え込むことも。書店経営の厳しさも赤裸々に語られていて、その上で試行錯誤している様々なビジネススタイルが紹介されていたりもします。台湾を旅行した気分にちょっとなれたし、学びの多い本でした。- Toshi

 

How Bad Is Your Spotify?
ウェブサイト

Spotifyの再生履歴から、あなたの音楽の趣味がどれだけ「悪い」かを評価してくれるウェブサービス。意地悪そうなAIが、「ふーん、〇〇聞いてるんだ」とか「△△聞いてるけど、皮肉を込めてだよね?」とか「××最近よく聞いてるようだけど、大丈夫か?」とデータを解析している最中もいちいちトゲを刺してきます。ちなみに僕は「adult-skateboarder-rock-addict-bad(年食ったスケートボーダー風ロック中毒者的趣味の悪さ)」と判定されました。いやあ、まあ、うん。……ですよね。最近は違う音楽も聴いてるよ、と思うところもありますが、データ解析においてまったく太刀打ちできない相手から冷たく通告されるともはや笑えてきます。AIが悪者扱いされる場面を見かけることもありますが、何に関してもモノは使いようで、じゃ全然別のジャンル、年代の音楽を聴いてみよう、と視線の向け先を考えるうえでは有用なのではないでしょうか。ちなみにこのサービスを運営しているThe Puddingはビジュアル・ストーリーテリングの専門家集団で、他のプロジェクトも一見の価値ありです。いやー、しかし手厳しい。- Atsushi

 


Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

宿谷綾子 aka AYA KOFFEE

外資系IT企業に5年間勤務ののち、28歳でオーストラリアへ。訪れたメルボルンでコーヒーに出会い、その面白さの虜に。2020年の夏に日本帰国後、友人とともに海外コーヒーのサブスクサービス New World Coffeeを開始。最近はブランディングについて勉強中。趣味はアクセサリー作り。

セットアップ:

抽出器具:ウェーブドリッパー(波佐見焼)
豆量:20g
湯量:320g
挽き目:中挽き
抽出温度:92℃
抽出時間:2:30


手順:

  1. 豆量の3倍のお湯(60g)を注ぎ、50秒間蒸らす
  2. 0:50-1:10 140g (200gまで)
  3. 1:30-1:50 120g (320gまで)

 

ポイント:

▷ 蒸らしは豆量の3倍のお湯で長めに時間を取ることで成分をぎゅーっと出してあげるイメージ
▷ 攪拌は一切せず、シンプルな手順で毎回ブレのないように
▷ 注湯のスピードは5-7g/秒になるようにする
▷ 飲んでくれる誰かのことを想って丁寧に注ぐ!

一言:

あけましておめでとうございます。2020年は、変化も学びも本当に多くとても忙しかった年。2021年は、目の前の小さなことを一生懸命取り組んで、一つでも多くの夢を実現させていきたいです。

 

 

新年第一弾のWeekend Brewはいかがでしたか?

バックナンバーを含め、Weekend Brewの感想やコメントはぜひ #standartjapan のハッシュタグと共にシェアをお願いします! 質問はメールでお待ちしております。またお友達やご家族など、Weekend Brew を一緒に楽しんでもらえそうな方にこのメールを転送していただけると嬉しいです。

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今週の Weekend Brew は Standart Japan 第14号スポンサーの Victoria Arduino x トーエイ工業、パートナーの MiiR JapanBarista Hustle JapanSucafina のサポートでお届けしました。

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan 

#25:一杯の無限

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東京の倉庫より発送。国内のお住まいの地域にもよりますが、2~8日程度で到着します。

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