おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
さて、皆さんお待ちかね。2022年一冊目となるStandart Japan第19号がリリースされました! イエーイ🥳 現在、絶賛通関中です。予定より少し時間がかかっているのですが、来週後半〜2月中旬には発送をスタートできるはずです。楽しみにしていただけると嬉しいです!
今号も、改めてコーヒーの多様性に驚かされる記事ばかり。読み進めていくほどに、コーヒーってやっぱり面白いなぁときっと感じてもらえる号ができました。
Standart Japan 19号のキーワードは「くじ引き」、「バックパック」、「コーヒー」。生産国ウガンダの話やコーヒー抽出に使う水のアルカリ度に関するギークな記事から始まります。国内外の路上でコーヒーを振る舞うフリーコーヒーに取り組む西川 昌徳さんの物語からは、コーヒーの懐の広さを感じずにはいられません。ヒップホップ愛溢れる書道家万美さんのインタビューでは、伝統と革新の間にある葛藤に、業界や立場は違えど境遇を重ねる人も多いはず。
フォトエッセイでは、新型コロナの猛威から世界中の都市が少しずつ立ち直りを見せる中、都市部のコーヒーショップに蘇りつつある喧騒を、ロンドンとマンハッタンという二つの都市の視点で眺めてみます。頭の中で音楽や人のざわめきが聞こえてくるような活気を感じてください。特集記事は、くじ引きがコーヒーサプライチェーン、ひいてはコーヒー業界をどのように改善しうるかを探る「くじ引き民主主義の可能性」。国や地域、組織の代表者を選出するうえで一般的に用いられる投票という手段は、一見公正なようで、実は不公平な実力主義をもたらすリスクを抱えています。一体なぜくじ引きがその代替となりえるのか? ぜひ本誌でそのヒントを見つけてみてください。
いつものように、最新号をチラッと覗き見!👀👇
定期購読者の限定サンプルコーヒーは、一袋から生豆をダイレクトトレードできるプラットフォームTYPICAが準備してくれたエル・ボスケ農園(ボリビア)のカツアイ・カスティージョブレンド。ボリビアの宝石のようなマイクロロット、京都のKurasuによる焙煎でお届けします。お楽しみに!
それでは、本日も良い1日を!
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
行動と想像
近々、米・シアトルでは、官民連携のリユーザブルカップサービス「Reuse Seattle」の試験運用が開始予定。市内のレストランやカフェ、スタジアムや大学などでリユーザブル容器の受取り・利用ができ、使用後は指定スポット (公園やオフィスなど) に返却することで、市内全体で使い捨てプラスチック削減を目指すそうです。サステナビリティ関連のニュースメディアGreenbizの記事では、そんなReuse Seattleの推進チームが掲げる「リユーザブルパッケージプロジェクトの成功に必要な要素」が以下のように紹介されています。
ちなみに同プロジェクトに関わる非営利団体Resolveのウェブサイトでは、他地域で同じプロジェクトを立ち上げたい人に向けて、(※)がついた要素についての詳細な資料が公開されています。
- 回収地点※
- 容器 ※
- デジタル化※
- インセンティブ
- 容器ラベルとユーザー育成※
- 働き手
- 回収時のロジスティックス
- 洗浄・消毒を担うサードパーティー ※
このプロジェクトの特徴は、サービス単体ではなくリユースのエコシステム全体に目を向けている点です。だからこそ推進チームは、6番の「働き手」が最も複雑な問題だと言います。なぜなら社会でプラスチック削減やリユースへの意識が高まる一方、その影響によってリサイクル回収で生活費を賄うホームレスの人々や、プラスチックの原料を採掘する労働者の存在が危ぶまれてしまうからです。だからこそ、そういった人々をいかにこのエコシステムに組み込めるのかがプロジェクトの優先事項の一つとして挙げられています。近年のコーヒー業界でも脱プラスチックや脱動物性ミルクの動きをはじめ、様々なアクティビズムが見受けられますが、人々の動機やアクションの尊さを大切にしながら、常に問題の複雑性に想像力を働かせ続けることが必要なのでしょう。
その他の気になるニュース
▷ 最新の研究結果によると、気候変動の影響から、2050年にはコーヒーの主要生産国全域でアラビカ種に適した生産地の劇的な減少が見込まれています。ブラジルでは最も栽培に適した生産地が7割以上減少する可能性も示唆されています。
▷ 現在イタリア政府が、「エスプレッソコーヒー」をユネスコ無形文化遺産として申請中。ナポリのピザ職人文化に続き、同国の新たな無形文化遺産誕生となるのか。コーヒー片手に続報を待ちましょう。
▷ Good Coffee FarmsがJICAとの連携協力を発表。特に気候変動や経済的リスクの影響を受けやすい小規模農家への働きかけを通じ、グアテマラの持続可能なコーヒーバリューチェーンの構築を目指します。
▷ 加熱式スマートコーヒーマグで有名なEmberが、再利用・クラウド追跡可能な冷蔵輸送ボックス「Ember Cube」を開発。今年末より医療品の低温運送時に利用予定で、配送ゴミの大幅削減が期待されています。
▷ 冬の時期に屋外で飲む温かいコーヒーは絶品。ですが、吹雪の日となると流石に室内の方が良さそうです。Stay Warm & Caffeinated 😉
What We're Drinking
今週のコーヒー
岡山県の中心に位置する豊かな自然に囲まれた美咲町で、田舎の暮らしを営む傍、スペシャルティコーヒーを専門に焙煎しています。世界各地で気持ちを込めて丁寧に育てられ届く旬なコーヒー豆に感謝して、常にそっと私たちの生活を豊かにし、楽しませてくれる自然のような”by your side”なコーヒーを目指して。
生産者:Las Lajas Micromill
農園:Finca Sabana Redonda
生産地域:コスタリカ アラフエラ州アラフエラ区サバニージャ Central Valley(地図)
品種:SL-28
精製方法:ハニー、ブラックダイアモンド
テイスティングノート:ストロベリージャムの様な甘さと香り、グレープの様なジューシーさ、レッドワインを思わせる重厚感
編集長のコメント:
パッケージを開けて漂ってくる最初の香りがいつも大好きで、今回もいつもと同じように封を開けてから鼻を押し込みながら空気を一気に吸い込みました。いちごジャムやマフィン、ドライクランベリーのような香り。「わあ、今週もエチオピアかな」と思いながらパッケージを眺めるとコスタリカの文字。あれれ? びっくりしながら2度嗅ぎした後、やっぱりエチオピアのような華やかで芳しい装いを感じ、すごくいい意味でコスタリカもこんな香りのコーヒーがやっぱりあるんだなぁと驚きました。ワクワクしながらお湯を注ぐと、ぎゅっと凝縮されたいちごの甘ったるい香りが漂います。早速飲んでみると、いちごの他にもブルーベリーのような香りが鼻に抜けながら、プルーンジュースやレーズンのような濃縮感のある甘いフレーバー。「芳醇」という言葉がこれ以上にないくらいぴったりです。ワインだと断然メルロー。どっしりとしたマウスフィールと丸みのある質感も魅力的。カカオのような発酵感を少し感じ、フルーティな甘さは紹興酒も思い出させてくれました。飲んでいて気持ちがいい、素晴らしいコーヒーでした。
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
ニック・ファン・デル・ギーセン ウェブサイト|Instagram
プロフィール:
オランダ出身、2019年より石川県金沢市を拠点に活動するフォトグラファー兼ビデオグラファー。日本の文化や美意識に大きなインスピレーションを受ける。現在はクライアント業と並行し、パートナーの安田奈央氏と共に日本国内のクラフトや魅力的な土地を紹介するプロジェクト「hitonoto」を運営。近々金沢市内にギャラリーの開業も予定している。お気に入りのコーヒーショップは同じく金沢市にあるtownsfolk coffee。
最新の掲載記事:
Standart Japan 第8号 『Meet Your Guest - Yuri Okamoto』
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『フレンチ・ディスパッチ』
20世紀フランスのとある都市で刊行される雑誌『フレンチ・ディスパッチ』の最終号に掲載されたストーリーをオムニバス形式で描く、ウェス・アンダーソン監督最新作。ウェス・アンダーソンっぽさ満載の色使いや小物、各所に散りばめられたユーモアはもとより、ミュージカルやコミックストリップの要素を採り入れながら、雑誌をめくるように小気味よく展開するストーリーの数々に心が躍らされます。ビル・マーレイやオーウェン・ウィルソンなど、アンダーソン作品の"常連"はもちろん、「え? 今のあの人じゃない?」となるイースターエッグ的サプライズも相まって退屈する時間がありませんでした。『ザ・ニューヨーカー』の創始者のひとりハロルド・ロスをモデルとした、ビル・マーレイ演じる編集長のアーサー・ハウイッツァー・Jr.と各セクションを担当する記者のやりとりは普段のStandartの仕事ともどこか重なる部分があるような……。映画のパンフレットも『ザ・ニューヨーカー』っぽいイラストが表紙で雑誌のような仕上がりになっており、つい手が伸びてしまいました。映画館で観るべき映画。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
Matt Chen(マット・チェン)
カリフォルニアのサンフランシスコ出身のマットです。3年半前から大阪に住んでいます。高校を卒業した後オーストラリアに移住して、そこでスペシャルティコーヒーに出会いました。今はポップアップのコーヒーショップ Chen&coffeeを営みつつ、日本を旅しながらコーヒーを各地で淹れて周っています。写真が大好きで、最近はフィルム写真にハマってます。
セットアップ:
抽出器具:Origami dripper & Hario 01 paper filter
豆量:14g
湯量:210g
挽き目:中細挽き
湯温:92℃
抽出時間:2:30~2:45
手順:
- 0:00-0:20 蒸らし 30g (注いだ後にドリッパーをゆっくり回してコーヒーを全て濡らす)
- 0:20-1:00 1湯目 70g (100gまで)
- 0:50-1:20 2湯目 50g (150gまで)
- 1:20-2:00 3湯目 60g (210gまで)
コメント:
日本語はちょっとしか話せませんが、コーヒーが共通言語となり、お店に来てくれる皆さんとコミュニケーションを取ることができる時間が本当に大好きです。コーヒーを通じてたくさんの友人と出会うことができ嬉しく思います。日本が自分のHome(故郷)だと思えるくらい、コーヒーが私にもたらしてくれたものは大きいです。だから自分のお店も、来てくれた人がHomeだと感じてもらえるような場所にしたいです。
昨年、札幌や岡山、沖縄でコーヒーを淹れながら生活しました。今年はもっと日本を旅をするぞー! 実店舗も近々オープンする予定です。皆さんとコーヒーを飲みながらお話しできるのを楽しみにしてます!
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第19号スポンサーのTYPICA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、カラベラコーヒー、Toddyのサポートでお届けしました。