#134: トレーラー、エキシビジョン、コーヒー

#134: トレーラー、エキシビジョン、コーヒー

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

よく聞いている World Coffee Portal が運営するポッドキャスト5THWAVEでコーヒーメディアのビジネスに関するエピソードがありました。業界の専門家や起業家、ビジネスに関するお話をインタビュー形式で伝えてくれるこのポッドキャストで、Standartのファウンダーであるマイケル・モルカンが雑誌メディアの起業家としてインタビューに答えています。他にはDaily Coffee NewsのファウンダーNick BrownさんやCoffee T&Iでマネージャーを務めるNicole Ouさん。

Standart以外は、よりデジタルプラットフォームにフォーカスしたメディアですが紙媒体の雑誌も発行しています。Nick Brownさんが「コーヒーロースターやコーヒー業界はお金が稼げる業界じゃないという話をよく耳にしますが、そのコーヒーについて情報を届けるメディアはどうだと思う?」と自嘲気味に話していましたが、ビジネスの現状やモデル、メディアとしてのアプローチは異なるものの、それぞれオンライン・オフラインのプラットフォームやプロダクトをうまく活用しながら、コーヒー業界のメディアとして持続可能なビジネスを模索・継続しているようでした。

さまざまなメディアがデジタルに移行する中、Standartはなんで紙なの?と聞かれることがよくありますが、このポッドキャストでも同様の質問があり、マイケルがこう答えていました。「みんながデジタルに移行するから、Standartがハイクオリティな紙媒体としてこのコーヒー業界であるべき場所を見つけることができている」。

5THWAVEホストのJeffrey Youngさんが、スペシャルティコーヒー業界は、言語的や地理的な要因だけでなく、情報のニーズに応じて多種多様なメディアサービスを提供するスモールプレーヤーたちが生き残っていく十分な規模があるとおっしゃっていたのが印象的でした。

それぞれのメディアの取り組みもシェアされていたので、気になる方は聞いてみてくださいね。

それでは今週も良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

カリバチの力を借りて

先日米ハワイ州が、コーヒーの害虫対策に関する草案を発表しました。“コーヒー好き”として知られるコーヒーノミキクイムシは、チェリーを内部から食い荒らす甲虫で、2019年にはこの虫によるハワイのコーヒー産業への被害額が約10億円に上りました。またコーヒー農家は、虫喰いチェリーを手作業で取り除くという膨大な作業を強いられるため、害虫対策は喫緊の課題でした。

そこで目を向けられたのが、フィマスティクス・コフェアというカリバチでした。2021年に実施された先行研究では、フィマスティクス・コフェアがコーリーノミキクイムシに好んで内部寄生することや、ハワイ州内の在来種へ悪影響をもたらさないことが報告されています。ハワイ大学はこの研究を踏まえ、フィマスティクス・コフェアを州内に放つことは「大きな影響を伴わない」と結論づけ、現在草案の審議を進めている状況です。ちなみにフィマスティクス・コフェアは、少なくとも12のコーヒー生産国で害虫対策として活用されています。

しかしコーヒーメディアのスプラッジも言及しているように、生態系への介入には懸念が残るのも事実です。コーヒー農家への迅速な支援と生態系へのリスク回避、その両立を図るためにも、常に情報の透明性と適切な効果測定が求められています。

 

気になるニュース

▷  映画「コーヒー・ウォーズ(Coffee Wars)」のトレーラーが公開されました。借金返済に苦しむビーガンコーヒーショップのオーナー、ジョーが、ワールドバリスタチャンピオンシップへ出場し、乳製品優位なコーヒー業界に新たな旋風を巻き起こす(+賞金獲得を目指す)ストーリー。日本でも公開してほしい!

▷ ハンズフリーの自動ミルクスチーマー「ナノ・フォーマー・プロ」が、クラウドファンディングに成功。スチーマー内部のマグネットパーツを取り替えるだけで、牛乳・植物性ミルクへの切り替えが可能。

▷ コペンハーゲンのイタリア文化センターで、エキシビション「イタリアの情熱:エスプレッソの芸術」が開催中。エスプレッソを取り巻くコーヒーマシンやコーヒー用品に焦点を当て、デザインやテクノロジー、その文化的な意味合いについて、歴史的観点から掘り下げていきます。

▷ フィナンシャルタイムズによるメルボルンのコーヒーガイド公開されました。オススメのメニュー、オススメできない客層やシチュエーション、オープンアワー、フラットホワイトの価格がお店毎にまとめられていてありがたい。

▷ ナチュラル、ハニー、ウォッシュトプロセスの違いを、ものすごーーーくシンプルに説明した結果がこちら最初にウォッシュトの説明を思いついたんだろうな、となんとなく想像しました。

物足りないあなたへ

今年度のワールドコーヒーチャンピオンシップ(WCC)のジャッジになるための試験が、アテネと台北で開催されます。労組結成を妨害した疑惑が上がっているスターバックスのハワードシュルツCEOが、今月末、米上院の公聴会でバーニー・サンダースの質問に答えることに。開催中止が発表された、今年の豪州のブリュワーズカップ及びバリスタチャンピオンシップが、やっぱり開催に。これに伴い、6月開催予定の世界大会へ豪州代表の参戦も決まりました。

コーヒーイベント

 佐賀県:SAGAN COFFEE FESTA(3/12)今日!

▷ 石川県:コペンハーゲンのProlog Coffee創業者であるJonas GehlさんとSebastian Quistorffさんがtownsfolk coffeeでゲストバリスタをするそうですよ(3/17)

▷ 和歌山県:WAKAYAMA COFFEE MARKET spring 2023(3/21)

日本各地で開催されるコーヒー関連のイベント情報を募集しています! Standart CommunityやInstagramのDMやメール(hello@standartmag.jpでぜひシェアしてください!

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

今週はお茶を飲んでばかりいたのでお休み! 

 

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

今週のStandart Communityでは、「Standart Bookclub」の初回が開催されました!今回は、Standart Japan第23号の「味わいへの抵抗」をテーマに、各自の感想や疑問点などを持ち寄りながら意見交換を行いました。一人ひとりのバックグラウンドの豊かさや意見が本当に興味深く、ブッククラブという空間を通じて、Standartコミュニティの新たな魅力に気づけた瞬間でした。今後も、細く長く続けていけたら嬉しいです!

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

線は僕を描く

Standart Communityでのブッククラブの話に続きますが、先日のニュースレターで少しお話した自身のプライベートなブッククラブで、課題本として参加者と選んだ一冊。両親を交通事故で失った大学生が、水墨画を通じて自分を取り戻し、生きるということを思い出していくお話です。自分の気持ちや思い、つまり自分そのものが線に現れる水墨画では、自分を見つめ、自分の周囲の人や事象、その関係性を見つめていくことが問われます。一本一本の線が自分そのものであり、線が描き手を具現化していくような感覚の世界を、垣間見ることができます。印象的だったのは、水墨を描くシーンから感じられる静寂さやその凛とした空気感が、物語全体から感じ取れることです。とても安らかで、静か、だけど、人間の生きるという思いや情熱、人を思う心が滲み出てくるよう。読みながら頭に浮かんでくるシーンにはセリフがなく、でも静けさから感じ取れる意味が感情として心を震わせてくれます水墨画という全く知識も興味もなかったジャンルの芸術でしたが、この本を読んでいく中で新しい発見や興味を見つけることができました。実はこの課題本をブッククラブで話し合うのは明日。参加者とどんなお話ができるのか今から楽しみです。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

原口 翔子 aka shoko

1988年生まれ。スポーツ学部を卒業し保健体育の教員を経て、コーヒーチェーンで働く。そこで接客の楽しさに触れ、今では佐賀みやき町にある小さなコーヒースタンド「hello. coffee stand」を営んでいます。コーヒーに魅了されてはや12年間。まだまだ新しい発見のある毎日が刺激的です。

5 questions

今気になっている問いは?

「ハロードットコーヒースタンドのこれから?」

田舎町にあるハロードットは、田んぼと住宅に囲まれた田舎町にあります。コーヒーの根付いていないこの地域に、これからどんなコーヒーストーリーが根付いて行くのか想像をするとワクワクします。

お気に入りの場所は?

「7年越しに購入したコタツの中」

コタツって入ったら抜け出せないって言われてるじゃないですか。まさにその通りで、家族みんなの新たな住処となってしまいました。笑

譲れないこだわりは?

「整った暮らし」

いつでも部屋は整った状態にしています。整った部屋で暮らすと心もすっきりするし、家事も捗るし、なにより仕事が捗る。そういう毎日の整った生活が仕事でも自然と表れると思います。

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「こうへいくんとみかちゃん」

うちの豆を焙煎してくれているロースターの2人。お互いお店があるので、2人とコーヒーを飲みに行く機会が全然なくて!固い話は抜きにして、ゆっくりコーヒーを飲みたいです。

あなたのとっておきの料理レシピは?

「キャンプ飯!」

アウトドアがだいすき!先日、新しい土鍋を買ったのですが、土鍋で炊く白ごはんは最高です〜!プルドポークを作ってカレーに。外で食べると何でもおいしさ倍増なのが罪ですね!

 

Fancy a refill?
編集後記 

この前街中を歩いていると、ティッシュ箱を持ち歩いて鼻を噛んでいる方を見かけて、「分かる、超分かる!」と勝手にシンパシーを感じていました。今年もやってきましたね、花粉の季節が。「今年の花粉は昨年の2倍!」というニュースを毎年目にしてる気がするので、今年の花粉は5年前の30倍以上?もはや花粉の重みで肩がこりそうです。

Takaya

 


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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第23号スポンサーのComandante、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業TYPICAProbat x DKSHMiiROATSIDEのサポートでお届けしました

LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)