#130: レコード、鉄道模型、コーヒ

#130: レコード、鉄道模型、コーヒ

おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?

Standart Japanの最新号、予定通り全国一斉発送がスタートしました。もうすでにちらほらと届いている方もいらっしゃるようで、SNSでシェアしてくださる様子を見ながらニヤニヤしています。(いつもありがとうございます!)皆さんの元へ雑誌を届ける様子を記録したドキュメンタリー映像公開していますので、お暇な方はぜひ。無事に雑誌やコーヒーが届きましたら、ご感想や喜びの声を聞かせてくださいね!

そして、今回はいつも雑誌とコーヒーと一緒にお送りしているおまけのポストカードの代わりに、個人的にはクールだと思っているステッカーを同封しています。貼っても全く違和感のない、店舗の入り口やエスプレッソマシーン、グラインダーやスケールのお皿の部分にワンポイントでご利用ください😉

話は変わりますが、今週、個人的に運営しているコーヒーショップでブッククラブ(読書会)を開催しました。読書会には大きく分けて、参加者が1人ずつ本を持ち寄って紹介する自由形式と、課題本を決めてその本について参加者同士が話をする課題形式があります。今回開催したのは自由形式のスタイル。5分間の持ち時間で、持ってきた本についてプレゼンをして質疑応答タイムがあり、全員それぞれの本を紹介したところで、次回開催の読書会(課題形式)のための課題本をみんなで選びました。この課題本を選ぶ時に、「せーの!」で好きな本をみんなで指さしたのですが、エアロプレスチャンピオンシップの決勝のような緊張感があってとっても楽しかったんです

その時に参加者の方から「ビブリオバトルというゲームを教えてもらいました。本を紹介するコミュニケーションゲームで、大会なども開催されているそうです。まさしく今回の読書会のフォーマットがこのビブリオバトルそのものでした。Youtubeなどでバトル動画がたくさんアップされていますが色々とみているとどんどん読みたい本が増えてしまって困っちゃいます。プレゼンの風景はどこかバリスタチャンピオンシップのような雰囲気があって面白いですよ。もしご興味ある方がいらしたら、チェックしてみてくださいね。

Standart Communityでも、Standartの記事に関して理解を深めたり、記事をきっかけに会話を楽しむブッククラブが始まるそうです。楽しみですね! 定期購読者の皆さんはコミュニティに自由に参加できるので、気が向いた時に覗いてみてください。

それでは今週も良い週末を。

編集長 Toshi

 

 

 

This Week in Coffee 
世界のコーヒーニュース

沈黙を破ることば

ポッドキャスト「ボス・バリスタのホストでお馴染みのアシュリー・ロドリゲスさんが、先日コーヒーメディア「フレッシュ・カップ」に難聴者のバリスタ、カジャル・ルッティさんへの資金援助を促す記事を寄稿していました。ルッティさんは、コーヒー業界で働くマイノリティに対して無料トレーニングを提供するNPO団体グリッター・キャットの2023年のメンバーに選ばれ、今年3月にデンバーで開催予定の米国バリスタチャンピオンシップ予選大会に参加します。しかし、出場に際してスペシャルティコーヒー協会に通訳者を手配してほしいと依頼したところ、規定に基づき、費用を含めてすべて出場者が負担しなければならないという回答を受けとったそうです。

「より良いカスタマーサービスには、必ずしも口語が必要でないこと」を証明すべく、難聴者コミュニティを代表して大会に臨むルッティさん。自身が競技会に出場することで、難聴者コミュニティのスペシャリティコーヒー業界へのキャリアパスを築いていきたいというコメントには、勝敗を超えた出場への強い思いが感じられます。その一方で、普段ASL(アメリカ手話)ではなくキュードスピーチ(Cued English)を主に使うルッティさんにとって、競技会の日程に合わせて通訳者を見つけること自体が大きなハードルとなってしまっています。また交通費・宿泊費に加え、他の多くの出場者には必要のない通訳者の派遣費用をルッティさんは全て自己負担しなければならないという現状は、以前のニュースレターで紹介した、「競技会のステージに至るまでの何層にも及ぶ機会の不平等」と言えるのでないでしょうか。

現在ルッティさんへの支援は、こちらのページから受けつけています。彼女の出場がインクルーシブな労働環境や競技会のあり方について、改めて見つめ直す機会となることを願っています。

 

気になるニュース

▷  英国のコーヒーチェーンを対象に、カプチーノMサイズに含まれるカフェイン含有量を比較した結果、コスタコーヒーのカプチーノ(325mg)には、スターバックスの約5倍(66mg)のカフェインが含まれていることが判明しました。ちなみに250ml缶のレッドブルに含まれるカフェイン量は80mgです。

▷ コーヒーマシン専用のIoTモニタリングシステムを提供するバイブ・コーヒーが、約2億8000万円の資金を調達。同サービスでは、メーカーを問わずあらゆるコーヒーマシンをクラウドに接続し、マシンの状態や使用頻度の数値化・管理ができます。

▷ ケメックスからブリューワー兼エアレーター「ケムエアー(ChemAer)」が登場。下部の二つの凹みによって、コーヒーが効果的に空気に触れるとのことですが、風味の変化やいかに? なおワインのエアレーターとしても使えます。

▷ 岩手・盛岡市の本屋BOOKNERDが、喫茶店を切り口に盛岡の街の魅力を描く『コーヒーを、もう一杯を発売。店主お気に入りの喫茶店にまつわるエッセイやコーヒーブレイクに聞くべきレコードガイドも載っているそうです。

▷ ユーチューバーエンジニアが、キッチンからエスプレッソを自動で運んでくれる、「最も便利な1/176スケールの路線」を開発。制作期間が予定より伸びて、疲労困憊が隠しきれないユーチューバーの姿には同情間違いなしです。

物足りないあなたへ

この度の大地震を受けて、エトキン・ドリッパーが、今週分の売り上げを全て、トルコ大地震支援基金に寄付すると発表。スペシャルティコーヒー協会トルコ支部やラ・マルゾッコのトルコ支社も支援に乗り出しています。

 

 

What We're Drinking
今週のコーヒー

 

Humming Coffee 沖縄(地図

2022年8月、日本最古と言われる沖縄県沖縄市のショッピングセンター「PLAZA HOUSE」にオープンしたのがHumming Coffeeです。「尊敬する生産者と消費者を繋げる」を大きなコンセプトに掲げ、コーヒー生産者だけでなく、人々の生活に関わる良き生産者の仕事をコーヒーを通して伝えていく。それがHumming Coffeeのミッション。歴史あるPLAZA HOUSEから素晴らしきカルチャーを発信していきます。

 

生産者 エレアナ・ショーガリス(モプラコ社)

農園カヨカミノ農園

生産地域:エチオピア南西部、シェカ県、マシャ郡(地図

品種74110, 7454, 74112など

精製方法ハニープロセス

テイスティングノート
アプリコット、イチヂク、りんご、プラム、ミルクチョコレート、ブラッドオレンジ、丸みのある口当たり、リンゴ酸、クリーンカップ、ウェルバランス

編集長のコメント:

豆を挽くと鼻先をかすめたのはカルダモンの香り。とはいえ、どちらかというとエチオピアの豆にしては少し抑えめな香りだなと思いながらお湯を注ぎます。準備ができて一口すすると、口一杯に広がった甘酸っぱさ。すぐに思い出したのはカスカラティーでした。カスカラというのはコーヒーの実の皮と果肉部分を乾燥させたもので、お湯で抽出してお茶のように飲むことができます。まるでコーヒーチェリーを飲んでいるかのような、生き生きとして丸みを帯びた質の高い酸味や、とろりとしたテクスチャのある上質な甘さ、凝縮感のあるアメリカンチェリーのようなフレーバーを感じます。熟れた梅の実の香りを嗅いだときに口に広がる記憶の中の梅味。そんな風にも思いました。体に馴染むようなダシ感のある液体は、心地がいいとしか表現できないほどにするすると口から喉に滑り降りていきます。エチオピアのコーヒーは素材のポテンシャルが高いものが多く、それゆえに素質の良さに目が行きがちな気がするのですが、このコーヒーはどこか地に足のついたしっかりとした印象を受け、ストラクチャーががっしりしているなと感じました。最後にパッケージを見てみると「ハニープロセス」の文字。エチオピアのハニープロセス?パッとすぐ浮かぶほど飲んだ記憶がなく、なんとなく腑に落ちたような気になりました。これは何度もおかわりしちゃいそうです。ごちそうさまでした。飲んでみたい方は、オンラインショップはまだないそうなので、店舗にて。

 


What's New in the Community?
Standart Communityで起きていること

 

今週のStandart Communityでは、普段利用しているフィルターコーヒー用の器具について、意見交流が行われました。購入理由の中には、「〜を見て、「〜からオススメされて」といった声もちらほら。コーヒーラバー一人一人に、異なったコーヒーインスピレーションの源泉があるという事実には、ロマンを感じずにはいられません。

※Standart Japan​定期購読者の皆さんにはCommunityへの招待状をメールでお送りしています。まだの方はぜひご参加ください!

 

Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート

『出セイカツ記』ワクサカ ソウヘイ

日常生活のなかでふと、将来に関して漠然とした不安を抱くことはありませんか? 幼い頃から「基本的水準の生活」を維持することが幸せへの鍵だと信じていた著者。しかし大人になって不自由のない生活がおくれるようになっても、幸福を感じるどころか、「もしも今の生活が維持できなくなったらどうなってしまうのか」という不安に苛まれるようになりました。 そんなぼんやりとした不安や焦りから自らを解放するため、生活を部分的に諦めることで「出セイカツ」を試みた著者ワクサカ ソウヘイさんの様子が本書には記録されています。

例えば食の項目では野草や魚など、「自然のベーシックインカム」の恩恵にあずかったり、1日1食生活にトライしたりすることで自らのポテンシャルに感動し、衣服を徐々に処分する「セルフ追いはぎ」では全裸生活を迎えた果てに自己と社会の関係性に気づいたりするなど、その様子は実にコミカルかつシリアス。

そのどれもが良い塩梅で人並み外れておらず、なんとなく出来そうな気にさえさせてくれます。考えてみれば、衣食住に関する変化というのはなかなか自分からは起こしづらいもの。最適化とは異なるベクトルで自らの生活を変容させていくこと、つまり今とは違う生活のあり方を見つめること、それは生きる強さを育む訓練になるのかもしれません。 資本主義社会を生きる私たちが子どものころから確実に植え付けられているお金と生活を繋ぐ直線を、ぐにゃりと曲げたり、ぶつ切りにしたりしながら、軽やかに混乱させてくれる本でした。

 

Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ 

 

森 あや  

アルマロードコーヒー店主。パティシエ兼、バリスタ。2014年にイベント出店にてアルマロードコーヒーを始め、1年後に長崎県大村市に実店舗を構える。

5 questions

今気になっている問いは?

「カステラにはコーヒーか牛乳か?」

長崎県出身で、生粋のカステララバーです。コーヒーはもちろん大好きなのですが、カステラのペアリングは牛乳に勝るものはないと思っています。

お気に入りの場所は?

「図書館」

特にメルボルンのステイトライブラリー。
本が好きです。ステイトライブラリーはワーホリでメルボルンにいたときのお気に入りです。

譲れないこだわりは?

「パジャマと部屋着はコットン100%で、XL」

お家にいるときと寝る時は、ゆったりサイズの肌触りが良い綿のお洋服しか絶対に着ません!

今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?

「コロナで全然会えていない、甥のノアくん(9)とルイくん(7)」

お姉ちゃん家族がオーストラリアにいて、ノアくんがお家バリスタ、ルイくんがお家パティシエ。フラットホワイトとケーキを作って貰って、一緒にお茶したいです♡

最近のやらかしエピソードを教えてください

チーズケーキの焼き温度で、スコーンを焼いて丸焦げになったこと。営業中に急いで焼いた追加分だったので本当にショックで時が止まりました。

 

Fancy a refill?
編集後記 

少し前に門前仲町にあるwatariさんで、小ぶりなインドネシアのラタンチェアを購入しました。実はこの椅子、一年以上前にも購入しようとお店を訪れたのですが、お店に着いたときには既に売り切れ。「また入荷があればご連絡します」と店主さんがおっしゃってくださり、連絡先をメモ用紙に書いてお渡ししました。あれからかれこれ一年半、完全に忘れていた頃にご連絡をいただき、この度嬉しいご縁でラタンチェアが我が家の仲間入り。あの一枚のメモを一年半もの間保管してくださった、店主さんのお心遣いと優しさが何より心に沁みました。

Takaya

 


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Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)