おはようございます。今週はどんな一週間でしたか?
今週は、全国の皆さんから「100号記念ステッカーが届いたよー!」とSNSを通じてたくさんのご連絡をいただきました。どうやらステッカーが届くのが九州・沖縄、北海道などは遅かったようで、今週届いたところも多かったようですね。
Weekend Brewerの方々の中にも、すでお店に足を運んでステッカーをゲットした方もいらっしゃったようで、Standartや協力してくれるロースターの皆さんと共に、この企画を楽しんでくれて本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。コーヒーコミュニティの温かさを再認識させてもらった1週間でした。
今週は、東京に2日間ほど行ってきました。間も無く皆さんにご報告できる次号に向けた新しい取り組みの最終チェックを行うためです。そしてこのタイミングで、制作担当のAtsushiと昨年末から新たにStandart Japanのチームに加わったカスタマーサポート担当のNanakoと、約数年ぶりに3人で会うことができました。
Nanakoは、以前からStandart Japanの翻訳や、SCAJなどのイベント出店を手伝ってくれていて、長くStandartをサポートしてきてくれた一人。Standart Japanでは、お客さまとのコミュニケーションや発送業務を統括しています。チームに参加してからは今回が初めて3人で顔を合わせることになりました。普段リモートで働く私たちがこうして短い時間でも顔を合わせて会話することは、(これまで何度も話にでたことでありますが)とても大切な時間でもあります。
来週は、次号のリリースに向けた準備が本格的に始まり、11月号の制作もスタートします。
それでは今週も良い週末を。
編集長 Toshi
This Week in Coffee
世界のコーヒーニュース
垣根を超えた行動へ
昨月、国際コーヒー協定(ICA)のおよそ15年ぶりとなる大幅改定が発表されました。改定の肝となるのが、今年で60周年を迎えるICA初となるプライベートセクターの参画です。元々各国の政府によって構成されていた同協定に、新たに「世界最大級の小売、ロースター、製造企業」が加わると、国際コーヒー機関(ICO)の事務局長がコメントしています。コーヒー業界がグローバル規模で直面する課題に対し、官民共同戦線を張るべく今回の改定に至ったそうです。
Daily Coffee Newsの記事では、輸出割り当て制度が停止した1989年から今日に至るまでの、プライベートセクター主導の歴史が紹介されています。2020年に発行されたレポートによると、世界のコーヒー輸出量の約50%をわずか5社が握り、約35%のコーヒーがたった10社によって焙煎されています。その一方、生産国が受けとる収益はコーヒー総輸出額の10%以下にとどまり、世界の小規模農家 (約1250万人)にいたっては、さらにそれ以下の額しか受け取っていないのが現状だそうです。そんな業界構造の抜本的な改革に向け、2020年度末に発表された公式声明の概要に沿う形で、この度の改定が発表されました。
ICAに関しては、米国、グアテマラに続き、今年ウガンダが脱退したことも記憶に新しいですが、今回の改定のタイミングでマダガスカル共和国が新たに加盟を表明しています。官民の垣根を超え、コーヒー業界が抱える本質的な課題に対し行動できるのか。形式ではなく、常に行動と、それに伴う結果をクリティカルな視点で捉える必要があります。
気になるニュース
▷ サークルKとコーヒー企業ロフベルグが、協同実施したコーヒーレスキュープロジェクトによって、昨年約26トンのコーヒー廃棄量削減に成功。両社はパッケージの傷などを理由に廃棄予定だったロフベルグのコーヒー豆をスウェーデン国内のガソリンスタンドに併設されたサークルKのコーヒーマシンで提供していました。
▷ 英国の生活協同組合(コープ)が、年間7万トンといわれる牛乳の廃棄量を削減するため、パッケージに冷凍保存を促すラベルを導入。使用時は一旦冷蔵庫で解凍し、24時間以内の消費を推奨するとのこと。
▷ ラ・マルゾッコのオーストラリア法人が、数量限定でシェフナイフを発売予定。ナイフをコーヒー液に浸して黒錆加工を行うといった、コーヒーラバーの心をくすぐるこだわりも。プレスリリース毎に5本限定発売のため、お求めの方はお見逃しなく。
▷ コスタコーヒーとマクドナルドが、英国内のサービスエリア事業者と連携し、30箇所にコーヒーカップのリサイクル回収ボックスを設置。年間5000万人が利用するサービスエリアを通じてリサイクル習慣の定着を目指します。
▷ 高級車ブランド「ブガッティ」のディーラーが、自称「ロンドンで最も高級なコーヒースポット」をオープン。看板メニューとも言えるのが、ブガッティのカーボンファイバーカップで味わうエスプレッソ、お値段なんと£50 (約8,200円)。ラウンジへのアクセスといった特典付きとはいえ、いろんな意味で目が覚めそうな一杯です。
物足りないあなたへ
ラ・マルゾッコがウクライナ難民の子どもたちを支援するため、コーヒーカップシリーズPEACE(ピース)を発売。インテリジェンシアがK-Cup(コーヒーカプセル)市場に参入。元サッカー日本代表の高原直泰氏が立ち上げたサッカークラブ「沖縄SV」が、沖縄でのコーヒー生産栽培に挑戦中。
What We're Drinking
今週のコーヒー
COFFEE SENTI 沖縄(地図)
沖縄県北部にある本部町(もとぶちょう)カフェ&ロースターです。近くには美ら海水族館などの観光エリアがあります。僕たちはコーヒーをきっかけにコミュニティのハブとなり、地域を盛り上げ、人々の日々を豊かにしていくことを目標としています。
生産者: レオポルド アンドラデ、フィンカ ラ ホセフィナ
生産地域:エクアドル ナポ県エル・チャコ(地図)
品種:ティピカ
精製方法:ウォッシュト
テイスティングノート: キャラメル、りんご、桃、フローラル
編集長のコメント:
実はThe Weekend Brew 初登場のエクアドル産のコーヒー。2年間のニュースレターででてこないくらい、あまりメジャーではない産地ということでしょうか。事実、前に飲んだのがいつなのか記憶にないくらいで(おそらくオランダで)、かなり久しぶりに手に取るエクアドルのコーヒーに胸を高鳴らせました。豆を挽くとナッティな香りが漂い、少しブラジルのような特徴があるのかなと思いながらお湯を注ぎます。準備ができて一口すすって、すぐさまでてきた言葉は「アーモンドミルク!」。柔らかな布に包まれたアーモンドを濾しながら優しく絞り、繊維の穴から滴るミルクの様子が浮かぶよう。透き通るようなクリーンな味わいです。そしてすぐに桃やネクタリンのようなストーンフルーツや、フレッシュでジューシーなりんごが顔を出しました。冷めてくると果実感はどんどん増していきます。昔オーストラリアの洋梨農園で季節労働をしていた時に、仕事の合間にかぶりついていた木からもいだばかりの洋梨をふと思い出しました。シャリシャリとりんごのようで、芳醇なピーチの香りなんかもして、ジューシーな洋梨もいいけれどこれはこれで好きだなぁと思った記憶。いろんなエクアドルのコーヒーを飲んでみたいと思える、素晴らしいコーヒーでした。ごちそうさまでした!
Artists in Residence
Standartを彩るアーティストたち
アーティスト:
ジョナサン・モリス ウェブサイト|Twitter
プロフィール:
英ハードフォードシャー大学の研究教授であり、王立歴史学会の副会長。専門領域は消費の歴史。世界的なコーヒー歴史学者として知られている。著書に、『コーヒーの歴史』、『Coffee: A Comprehensive Guide to the Bean, the Beverage, and the Industry』。ポッドキャスト「A History of Coffee」のホストも務める。
最新の掲載記事:
Standart Japan 第20号「コーヒーの歴史の脱植民地化」
Inspiration
おすすめの本、映画、音楽、アート
『tattva』
「ポストコロナのビジネス&カルチャーブック」を掲げる季刊誌。先日札幌を訪れた際に、Seesaw Booksで購入しました。タイトルである「tattva (タットヴァ)」は、サンスクリット語で「それがそれとしてあること」を意味する「tattva」と、日本語の「尊ぶ(たっとぶ)」に由来しているのだそう。物事をゆっくりと見つめながら、共生と共創を目指していきたいという想いが込められており、いますぐには答えが出せない事柄について、ビジネス/アート/テクノロジー/ポップカルチャーなど様々な切り口から対峙し、多様な視点を提示していきます。
同誌編集長花井氏の「いい話し合いって、何だろう。」の一文から始まる、最新号Vol.6の特集テーマは「生まれる打ち合わせ。いい会議」です。以前紹介した『手の倫理』の著者伊藤亜紗さんによる寄稿や、「演劇の現場から学ぶ「よい会議」」など、興味深い記事が多数並びますが、個人的になんと言ってもツボだったのが、小説家・映画監督のミランダ・ジュライによるリアーナへのインタビュー。まるで映画の脚本を読んでいるかのような、嘘みたいに美しく、それでいてユーモア溢れるインタビューはまさに圧巻の一言。こちらは2015年にthe New York Timesに寄稿された記事の転載らしく、少し調べていると「リアーナの前でどう正気を保ったか」についてミランダが語っている動画も上がっており、読み始める前から読み終わったあとまで最高のひと時でした。今度時間があるときに、実際のインタビュー原文も読んでみようと思います。
Brewing with…
あの人のコーヒーレシピ
丸山 いつ季 aka いつ ( itsu )
みなさんはじめまして! いつです!
コーヒー屋さんでアルバイトをはじめたことがきっかけで、コーヒーから生まれる人との繋がりや、コーヒーの奥深さに引き込まれ、大学生2年生(当時20歳)の時に、cup of talk coffeeという会社を設立しました。店舗は大学生を卒業した年の夏にオープン(2021年8月)。兵庫県の西宮市にある甲東園というところで小さなお店をやっています。“特別な一杯”をコンセプトに「あなたのコーヒー」というcup of talk coffee独自の方法でお客様の好みを一緒に探し、シングルオリジンに限定したスペシャルティコーヒーをご用意しています。YouTube いつゆるもよければチェックしてみてください!
5 questions
今気になっている問いは?
「選ばれ続けるお店とは」
お店を始めてからまもなく1年が経ちます。初めは目新しくて来て頂いたお客様も、今はかなり減りました。1日のオーダーを見てもほとんどがリピーターさんです。それはとても嬉しいことです。でも中には、リピートする間隔が空いてきたり、突然見かけなくなったり。何かしらの理由があってそのお客様との時間が止まってしまう事があります。それが不思議なんです。何度もリピートしてくれていたのに、どうしてなのか。選ばれ続けるお店、それは、気に入ってもらえただけでは続かないのだと気付きました。
「記憶に残り、思い出せるお店」であることが必要なのかなと最近は考えていますが、具体的にはまだわかりませんし、これが理由なのかもわかりません。みなさんの思う「選ばれ続けるお店」の理由の何か思いつくことや考えがあればぜひ、私に教えてください!! いろんな考えを聞いてみたいです!!
お気に入りの場所は?
「神戸」
大学生の頃、通学途中に神戸で下車できたので、よく遊びに行っていました。神戸は山もあって海もあって、その時の気分で動けるので一日中満喫でき大好きです。例えば、朝からお気に入りのコーヒー屋さんでモーニング、そこから歩いてメリケンパークへ行って海の近くの芝生にある大きな石の上で休憩。栄町の方へ歩いて好きな古着屋さんや雑貨屋さんを巡り、お昼にカレーを食べたら、もう一度コーヒー屋さんで休憩して、北長狭通付近をぶらり。夜は美味しい中華を食べます。神戸、最高です!!
譲れないこだわりは?
「靴下選び」
周りの人があまりしていない事をすることが好きな性格で、高校生の頃から楽しむようになったオシャレも、靴下にこだわる人が周りにいなかったので、こだわるようになりました。
ある時に、オレシャレ好きの大好きなおじいちゃんの「オシャレは足元からや」という言葉が、靴下好きを加速させてくれました。今となっては、コーデを決める時に1番悩むのが靴下です。何度も何度も履き替えて、しっくりくるまで選びます。例えば、青のシャツの時は青の靴下。赤のネックスの時は赤の靴下。シンプルなコーデの時は柄の靴下。靴下はコーデの締めくくりで、バランスを取ってくれていると気づいたらので靴下のこだわりは譲れません!
ちなみに、私の靴下は、まる見え収納になっていて、パッと見て選べて、何度も履き直せるので安心ですが、何足持っていても収納に困らないのでどんどん増えてしまうのが良いのか悪いのか!!
今誰と一緒にコーヒーを飲みたい?
「cup of talk coffee のスタッフのみんなと」
毎日のようにミーティングや営業中に一緒に飲む場面はあるのですが、同じ想いで一つのお店を作り上げてきたみんなと飲むコーヒーは、私にとってはここでしか味わうことのできない特別なコーヒーです。スタッフのみんながどんな時も一緒に歩んでくれたから、cup of talk coffeeの今日があると言うことをいつも忘れません。そんなみんなと何も考えずにただただ飲むコーヒーは、私にとってたくさんの想いの詰まった特別なコーヒーなのです。
最近のやらかしエピソードを教えてください?
コーヒー屋さんをやっている方なら、お店に来てくださるお客さまのお名前を覚えていたいですよね。そして覚えていた時は自分で自分を褒めたくなるくらい嬉しかったりもします。でもその思いとは裏腹に、覚えていたつもりでも何故か思い出せないということも……。この間も、何度かきてくださっていた女性と世間話をしていて、「よし、お名前覚えてるぞ!」と内心誇らしくも感じていました。その日はずいぶん話が盛り上がって、いつもより少しお客さまに近づけた気がして嬉しいなぁと思っていたら、なんと…………私が思っていた方とはまったく違うお客様でした! 怖い! 失礼すぎる! 幸いお名前をお呼びすることがなかったのでことなきを得ましたが、思い込みって本当に危険です。次はもう、もう間違えません!!
Fancy a refill?
編集後記
先日、遠方に住む旧友と久々に再会した。彼は最近ワイン用ぶどうの栽培に従事しているらしく、近況報告から最近印象に残った本や映画、将来の野望から悩みまで、夜が更けるのにも気づかず過ごした時間は、どこまでも心地よかった。
ふと1日の仕事の流れについて彼に尋ねたとき、「季節やその日の天気によって、仕事の中身も時間も変わる」という返答に思わずハッとさせられた。未来を決めたがる気持ちは、ある意味自分の傲慢さの表れなのかもしれないと感じさせられた。
以前同じ友人と、旅の醍醐味は「不快感」だという話で盛り上がったことがある。普段慣れ親しんだ生活リズムを脱し、"上手くいかなささ"に身を委ねること。今思うと、その時感じるあの摩擦は、世界と自分の内の傲慢さの間に生じているのかもしれない。
生態系の中に生きている、という当たり前の事実を、より自分事化する。文字通りその一歩として、これからも移動し続けることを心がけたい。
Takaya
今週の The Weekend Brew はいかがでしたか?
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今週の The Weekend Brew は Standart Japan 第20号スポンサーのFAEMA、パートナーの Victoria Arduino x トーエイ工業、TYPICA、Probat、セラード珈琲、MiiRのサポートでお届けしました。
LOVE & COFFEE✌️
Standart Japan
(執筆・編集:Takaya & Atsushi)