Standart Japan

Meet Your Artist: イラストレーター MALDO

Meet Your Artist: イラストレーター MALDO

毎号、Standartのコンテンツを特別なものに変えてくれるのは、イラストレーターやフォトグラファーといった才能溢れるアーティストのおかげです。

この記事では、Standartのコントリビューターのひとりである、チェコ・プラハ在住のスロバキア人デザイナーMartin Malacekさん(以下、アーティスト名 MALDO)にスポット当てます。

Standart JapanにはまだMALDOのイラストは登場していませんが、2018年6月15日(金)〜 7月8日(日)に福岡で開催されているコーヒーTシャツイベントの為に、とっておきのStandartイラストをデザインしてくれました。彼のTシャツデザインはインタビューの真ん中あたりで登場しますよ!オンラインからご注文も可能です。

コーヒーTシャツストア
今回で3回目となるTシャツストアは、「福岡を美味しいコーヒーとそれを楽しむ人で溢れる魅力的な街にする」をコンセプトを掲げ活動するClick Coffee Worksさんの主催。今回は、30店舗・団体のTシャツが福岡のStereo Coffeeに集まっているそうで、Standartも仲間に入れてもらっています。詳しいイベントの情報はこちらから。

それではここからはMALDOのインタビューです!

ーーこんにちは! まず簡単な自己紹介をお願いできますか?

私はMALDOというあだ名で呼ばれていますが、本名はMartin Malacekと言います。スロバキアのブラチスラヴァという場所で生まれ育ちました。 グラフィックアーティスト兼イラストレーターとして活動する前までは、公告代理店やグラフィックデザインスタジオ、事業のスタートアップやコンテンツの代理店といった場所で経験を積み、数年前に商業用のデジタルイラストに転向しました。先日、COMPUTER ARTSが出版する雑誌で、2018おすすめのイラストレーター ベスト25”に選ばれました。

ーー今はどちらにお住まいですか?

生まれはスロバキアですが、ロンドンにしばらく住みながら仕事をしていました。今はプラハに住んでいます。ここの生活も楽しいんですが、実は来年には地元のブラチスラヴァに戻る予定です。ブラチスラヴァはロンドンなどの発展した大都市に比べると様々な分野でちょっと遅れを持っているかもしれませんが、今急成長中で、チャンスがたくさんあります。自然が豊富にあり、この街をさらに良くしたいという想いを強く持つ、野心的な若者がたくさんいて、毎年大きな成長を遂げているんです。この街には長い歴史があり、それと同時にいい感じでクリエイティブな雰囲気が流れています。

ーーフリーランスのアーティストになったのはなぜですか? 

グラフィックデザイナーからイラストレーターへ転身したのは数年前、ロンドンにいた頃です。だんだん、グラフィックデザインと9-18時(+残業!)の代理店業務をするのがしんどくなってきて、イラストレーターのフリーランスとして自由な働き方をするライフスタイルに憧れていました。私は自分の嫌いな仕事と好きで得意な仕事が明確に分かっていたので、本当にやりたい仕事=イラストに集中することにしました。気づいたら仕事が増えていって、フルタイムのフリーランスに転身できたんです。

ーーご自身のイラストのスタイルを表現すると?

私は大胆、シンプル、ミニマルとも言えるような、遊び心のあるイラストを描きます。具体的には大雑把な線画や太い筆書き、豊富な種類のハーフトーンのパターン使い、できる限り余分な色を取り除いた高コントラストな色使いが特徴的です。頭を使いながら、からくり要素を盛り込んだり、描くものの概念などのアイディアを織り交ぜたりして、ネガティブスペース(イラストの背景にあたる空白の部分)を活かしながら描いていますね。

ーー仕事に欠かせない3つの道具を教えてください。

  1. PhotoshopAffinityなど必要なソフトウェアが入っているPCとタブレット
  2. 思い浮かんだアイディアを書き留めておくための鉛筆か筆ペン、そしてスケッチブック
  3. コーヒー(Of course!!)

 ーー仕事場はどんなところですか?

大抵家で仕事をしています。私のアパートは静かで居心地がよく、プラハの中心地のいい感じなカフェやパブがたくさんあるエリアにあります。ですがプラハとブラチスラヴァを行ったり来たりする生活をしているので、作業場はシンプルに「ノマドスタイル」。デスクにあるのはMacBook ProWacom Intuos ProA4サイズのスキャナー、壁にかけた小物入れ、それとホウライショウの鉢植えくらいですかね。

 

 ーー時間やプロジェクトの管理はどうしていますか?

プロジェクト次第ですね。短期間の仕事の方が個人的には好きです。ひとつのプロジェクトに2-3週間かかるということはほとんどないので。締め切りまでに時間があるからといってそれが私にとって都合のいいことであるとも思いませんし、むしろ締め切りの数日前に仕事に取り掛かることで、100%そのプロジェクトに集中して仕事できることもあるんです。基本的には一つのことに長いこと時間をかけるのは好きではありません。一つの仕事を終えたら、すぐ次の仕事に取り掛かる。そうしないと集中力が切れてしまい、生産性とモチベーションがどんどん下がってしまうんです。それとプロジェクトの同時進行は3つまでにするようにしています。生産性を保ったタイムマネジメントには、紙に手書きかApple Notesのようなシンプルなツールを使ってTo Doリストを作っているくらいです。

ーー今回Standartの為にデザインしてくれたイラストについて教えてください。

構想はとてもシンプルでしたよ。Standartを代表するような、そしてコーヒーと関係のあるTシャツをデザインしたかったんです。

私が思うコーヒーとは、まず農園でコーヒーを育てる、農家の人から始まります。なので農家の人たちを描くことで、コーヒーのアートとしての側面を表現し、賞賛したかったんです。単なるイラストですが、文化や男女の多様性を描くことはとても重要なポイントだと思います。イラストの中の人物たちは、雑誌の上に立っていて、なおかつこの雑誌を読んでいる。つまりこの雑誌はコーヒーを飲む人だけでなくコーヒーを作る人、みんなのための雑誌なんです。

ーーデザイン工程について教えてください。

どの仕事も、まずスケッチブックと鉛筆を取り出して思い浮かんだことすべてを描き出すことから始めます。この作業が実は私が一番好きな作業なんですが、型にはまったイラストや浅はかなアイディアは避けたいので、一番難しい作業でもあるんです。 

プロジェクトにもよりますが、ヒントを得るために先に少しリサーチをすることもあります。「このプロジェクトの主題は何だろう?それに関わる物はあるのかな?描くべきものは何だろう?目指している真相は何なのか?カラーは?レイアウトは?」そんなことを考えながら仕事を進めていきます。

そしてできるだけ具体的なものを描かないようにしていますね。はじめは紙やPCを使ってサムネイルスケッチをしたり、筆にまかせて描いたり、同じものを何度も書いてみたり、構図を考えて色々と試します。頭の中のイメージを具現化するような作業です。その後何度か修正を行ったのち、イラストのスケッチと方向性をクライアントと確認して、次のステップつまりより精度の高いスケッチへと進みます。そこからは、Photoshopを使ったイラストの作成、ディテールの作り込み、ハーフトーンの追加、影付け、色付けなどの最終作業ですね。

ーーいつもどうやってコーヒーを飲んでいますか? 

自宅にビアレッティのモカポットをいくつか持っていて、中でもブリッカのモカポットを何年も愛用しています。今自宅の「コーヒーラボ」にケメックスとエアロプレスも仲間入りさせて、違う味わいや新しいことを楽しもうと計画しているところなんです。

ーースロバキアで「イラストレーター」として働く難しさはありますか?

才能があって素晴らしい作品を生み出すイラストレーターやアーティストがスロバキアにはたくさんいます。ですがそれを毎日仕事としてやって、それだけで生計を立てている人はそんなに多くないのではないでしょうか。そしてこの仕事で生活できている人であっても、外国のクライアントを持っているか、スロバキア国外に住んでいる人なのではないでしょうか。

ラッキーなことに、現代にはインターネットや生産性の高いツールが豊富にあってチャンスもたくさんありますので、オフィスワークや地元のクライアントに依存して働く必要がありません。

私のクライアントのうち95%は外国のクライアントです。つまり、外国のクライアントの方がより面白いプロジェクトを打診してきたり、より経験値が高くこれまで多くのイラストレーターとコラボしてきたり、高度なコミュニケーションを取ってきたことを意味するのではないでしょうか。そしてギャラもいいんですよ(笑) 

面白いことに、私のプロフィールに載っていないのにも関わらず、ロゴ、ブランディング、WEBやアプリデザインについて問い合わせを受けることがあるんです。私の予想だと、まだ多くの人がイラストレーションとは何なのか、また他のデザイン分野との違いが分からないんだと思います。 

ーー仕事をしていないときは何をしていますか?

プライベートではランニング、ハイキング、旅行、サーフィン、個人的なサイドプロジェクトに取り組んでいます。あとは料理と試食、フィルムカメラ、犬、ガーデニングも好きですね。

ーー日本のStandart読者がMALDO作品を見たいときはどうすればいいですか?

インスタグラムのアカウント@maldonautをフォローしていただくのが一番です。他では見たことのないものや密かにやっていた仕事、現在進行中のもの、これから始まるプロジェクトなどをたくさん載せています。Behanceでもこれまでの作品が見れます。 

ーー日本のStandart読者やファンにメッセージをお願いします!

このインタビュー記事をここまで読んでくれてありがとうございます! 楽しんで頂けましたか? 日本は私の「旅リスト」の中にしっかり入っているので、いつか個展を開けたらいいなと思っています。皆さんにお会いできる日を楽しみにしています!

何かご質問やお仕事のご依頼、もしくはちょっと話してみたいという方はメール(maldonaut@gmail.com)かインスタグラムからいつでもご連絡ください。

イラストレーターを夢見ている方。イラストレーターは夢を追いかける価値がある、素晴らしくやりがいのある仕事なので、ぜひ頑張ってください!

 

Cover photo by  W E L I N(@welinna

 

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